2018/09/23 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > プロとは、良い結果を出す者の事ではない。
どんな時でも、クライアントに頼まれれば仕事をし、精一杯の結果を出すものだと、漠然とではあるがそう思っている。
そう、どんなときでも。それが例え……

「散々逆レされて数日後の今であっても……ってまじかあ……」

闘技場の中央で、クレスはそうひとりごちた。
幸いにして、広報班が皆逃げ出していたためあの時の事は録画されていなかったが、隷剣会序盤でいきなり闘技場側の戦士が負けたことは、大きなインパクトを残した。それ故の、期間をおかずしての再登場……だというのは解っているのだが。

『さあ、何と今回はビックチャンス!つい先日隷剣会にて無様にも敗北した、クレス・ローベルクが再びの再登場!これは挑戦者側、もしかしたら楽勝もあり得ますよ!』

あの実況娘マジ犯してやろうかと思いつつ、しかし敗北したのは事実だ。何も言い返さず黙っていることにする。

『ルールのおさらいですが、この隷属の会では、闘技場が用意した戦士……つまりこのクソ雑魚ローベルクを挑戦者側が倒せば、闘技場が用意した奴隷の中から一人を選んで自分の者にする事ができます!』

『今宵、雪辱の機会をクレスが掴むのか!或いは奴隷の手を挑戦者が掴むのか!期待が高まります……!』

実況者の口上は終わった。
後は挑戦者が来れば、試合が始まるだろう。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にエルフリーデさんが現れました。
エルフリーデ > 体の調子も取り戻せてきたところで、戦いの場に身体を慣らそうと思っていた矢先の事。
ダイラスの店に張られていた催しの知らせは、丁度いいタイミングだった。
そのまま闘技場へと足を運ぶと、受付を済ませていき、案内されるがまま向かっていく。
差し込む白い光がこちらを出迎えると、抜けた先では歓声と共に周囲をぐるりと取り囲む観覧席といったところか。
眩しさに目を細めながら歩み出ると、その先にいる彼を確かめていく。
あまり見慣れぬ格好と細身の体格を確かめつつ武道台へと上がっていった。

(「それにしても、普段の闘技場の雰囲気とは少し異なりますわね」)

観客達の声は重なり合い、なんと言っているか言葉で判別するには少々難しい。
ぐるりと周囲を見渡していくも、こちらではなく、何故か彼の方を小馬鹿にしているようすが見えれば、怪訝そうに眉をひそめつつ、彼へと向き直った。

クレス・ローベルク > 『おーっと!現れたのは先日と同じく年若い少女――!前は15歳ぐらいに負けたのでこれはいよいよ敗色濃厚か――!?』

どんな理屈だよと思いつつ、無視に専念する。
そして、エルフリーデに対して一礼する。

「やあ、こんばんは。えーと、学生さんかな?いや、こういう場とはいえ、騒がしくてゴメンね。この薄情共、つい最近負けたばっかだからって、俺をからかってくるんだよ。ひどくない?」

と言った後苦笑して

「まあ、君も少し戸惑ってるようだし、戦う前に簡単な挑戦者インタビューでもしようか。そうだなあ……若くして良くこんな場所に挑戦しようと思ったね。何か理由でもあるのかな?」

エルフリーデ > (「そういう事でしたのね」)

実況の声になるほどと言った様子で納得がいくと、眉をひそめて苦笑いを浮かべる。
相手としても、前回のことを彷彿とさせるなら調子が狂うか、それとも負けじと底力をみせるか。
どちらにしても手を抜く理由にはならないと、気を引き締めていくと、彼の一礼にぱちぱちと瞳を瞬かせる。
この場所にそぐわぬ礼儀正しさは想定外で、こちらも彼の礼儀に、カーテシー……御令嬢がするようなスカートの裾を摘むお辞儀で応えていく。

「こんばんわ。もう卒業していますわ、この格好は防具を兼ねておりますの。 いえいえ……私の今の住まいも騒がしいので慣れておりますわ。ふふっ……時に敗北をバネに立ち上がる人もいらっしゃるのに」

ご挨拶の後、謝罪の言葉に苦笑いのまま頭を振っていく。
敗北をバネに、その言葉は彼にも向けているが、自分にも向けた言葉。
色々と理由はあれど、完膚なきまでに敗北して、心をへし折られた記憶は苦々しく残っている。
脳裏に走るそれは、掠れたテープのように砂嵐が掛かっているも、水面に写った自身の顔だけはよく覚えていた。

「いえ……普段なら、女性の方を小馬鹿にする場所でしたので、そちらに向いたのが不思議でしたの。理由は……病み上がりに身体を慣らすためですわ、戦利品は約束通りであれば……というところですわね」

勝てば奴隷を一人開放できる。
負ければ、自身が辱めを受けるというリスクを背負い込んでのことだが、この国で真面目な約束が通るとは思えない。
それが奴隷を扱う相手ならなおのことで、戦果はあまり期待していなかった。
軽く肩をすくめながら語るも、傷口には深くは触れない答えだけを伝えていく。

クレス・ローベルク > 「(お、こんな場所でもちゃんと礼儀ができてる、良い子だなこの子)」

口調や物腰から何となく尊い身分の子だというのは解るが、戦いの前でも礼儀を貫けるのは、心か、教育か、その両方か。あまり、こういう場では見ないタイプだ。

「(うん、これはいざって時が見ものだね)」

さておき、今は前座のインタビュー中だ。ちゃんと相手の情報を、観客に伝え、彼女が魅力的であることを、示さなければならない。それでこそ、後のお楽しみを一緒に楽しめるというものだ。

「あはは、有難うね。俺も流石に二連敗はしたくないからさ、君には悪いけど負けられないんだよね。しかし、病み上がりかあ。舐められてる、とは思わないけど、それで手加減はしないから、気をつけてね?」

そう言うと、腰のホルスターベルトから、液体が入った筒のような物を二つ取り出す。見るものが見れば、それが薬品を皮膚から血管に注入する、特殊な注射器であることが解るだろう。

「僕は挑戦者は馬鹿にしないよ。だから、ここの賞品も嘘じゃない。ちゃんと勝てば奴隷一人が手に入る!それは約束しよう。でも、敗北者についてはその限りじゃない」

そう言うと、注射器を短剣のように構える。
そして、初めてそこで、にたり、と嫌らしい笑みを浮かべて言う。

「さあ、君は今栄誉ある挑戦者だ。でも、それが栄光ある勝者か、それとも蹂躙されるべき敗者か――君の運命は、どちらになるかな?」

エルフリーデ > 普段ならこんな場所で畏まった礼儀を見せることはあまりないが、彼のように礼儀を知る相手ならそれに応える。
敗北の時の想像をふくらませるというのであれば、答えの言葉よりも、姿のほうが煽るだろう。
さらりと流れる金糸と、蒼玉の様な丸くて大きな瞳と西洋人形を思わせる甘い顔立ち。
身体を包む赤系の制服は金糸の色合いをより際立たせ、その下に隠れた白肌の想像を煽るかもしれない。

「私も負けるつもりはありませんわ。手加減なんていりませんの、全力で戦ってこそ意味がありますわ」

病み上がりとはいえど、体の調子は十分に戻っている。
後は戦いに体がなれて、ついてこれるかどうか、より実戦に近い場所でそれを試すのみと、微笑みは本来の性格に潜む強気さが目元に現れ、凛として彼を見つめ返す。
彼が注射器の様な武器を手に取れば、こちらも太腿のホルスターから魔法銃を引き抜いていく。
薄っすらと青色の掛かった金属のフレームと、フリントロックとは異なる複雑に絡み合うパーツのデザインはここらではあまり見ないであろうもの。

「……そこまでいうなら、本当と思っておきますわ。それと…その顔が本当のお顔かしら?」

構えると共に浮かぶ、ねっとりとした嫌な笑みにゆっくりと半目閉ざしながら心を冷やす。
犯してやると吐き出す乱暴者よりも、質が悪いタイプかも知れないと武器を改めて一瞥しながら警戒すると、こちらも構えを取る。
半身になって構え、二つの銃口を彼へ向けると、後は開始の合図を待つだけだ。