2016/12/12 のログ
クラーラ > 今まで経験してきた戦いと大きく異なるのは、戦いを娯楽にしていること。
だから彼の仰々しい返事も何処か調子を狂わせるものだった。
冷静に、何時もと同じように戦おう。
心に言い聞かせながら、彼に変わらぬ澄まし顔を見せる。

「逃げた…?」

電気の矢を放つと、それに背を向けて逃げ出す男。
他の相手はここまで逃げ回ることはなかったのもあり、何事かと思っていたが、金属ポールを避雷針にして避ければ、なるほどと納得したように口角が少し上がる。

「できると思う…?――コンダクターボール」

これで電気が封じられたとは思わない、直進させる以外にも電気の使いようは在るのだから。
魔法を唱え、刃を横薙ぎにゆっくりと振るうと、周囲に紫色の魔力の球体が広がっていく。
それ自体には電気を帯びている様子はないものの、シャボン玉の様にふよふよと広がっていった。

(「あとは、これが広がってから……」)

その合間にペースを取られないよう、身を低くして彼へとダッシュする。
変わらぬ素早い動き、再びジグザグに駆ければ、今度は剣の間合い一歩手前で、バックステップして距離を離す動き。
自分の動きに合わせて攻撃しようとするならば、伸ばした四肢に電気をまとっていない刀身の切っ先を叩き込んで、カウンターを狙う動きをする筈。

フォーク > 女が呪文を唱えると、得体の知れない紫の球が生まれた。

(何をしてくるかわからない。これだから魔法は苦手さ!)

読めないのである。だから魔法を使う相手とはなるべく穏便に済ませたいのであるが、
今回ばかりはそうもいかない。ザ・バーバリアンは観客の前では無敵なのだから。

女が機敏に迫ってくる。
圧倒的にこちらが不利だ。向こうは剣を持っているが、こちらは素手。
初対戦なのでわからないが、彼女はかなりの腕前のはず。なにしろ正規兵なのだ。

「シャワーはお好きかな?」

闘技場の地面は、投げ技で致命的なダメージを受けないために砂地になっている。
男はその闘技場の地面を、思いっきり蹴り上げたのである。
大量の砂のシャワーが女に襲いかかる!!

ただの砂ではない。
数千、数万ものファイターが血で血を洗う死合をしてきた闘技場の砂だ。
激闘の末に折れた爪や歯がいっぱい混ざっているのである。
男の怪力で巻き上げられた砂の瀑布に混ざった爪と砂は、まさに散弾である!!

(クラーラ、お前さんが戦っている相手は俺一人じゃないぜ。この闘技場でしのぎを削ったファイター全員さ!)

闘技場全体が、自分の味方をしてくれているような気分になっていた。

クラーラ > ふよふよと広がり続ける紫の球体は、触れても何もダメージはなく、ゴムまりの様に跳ねて軌道を変えるぐらい。
じわじわと闘技場に広がるそれは、二人を取り囲むように広がる。

「……っ!?」

砂を使った目潰し、それに腕を交差して目を瞑って瞳を守る。
しかし、固形物が混じったそれは、肌の露出した腕周りや顔、太腿の絶対領域の辺りを細かく傷付けていき、小さな痛みが積み重なって顔をしかめる。
咄嗟の瞳を閉ざしたとは言え、少量は目に入ったのか、瞳が開けずにいた。
しかし、このままではされるがままになると、切っ先を正面に向けて魔法を唱える。

「ショックボルト…!」

再び電流の短矢が放たれるものの、先程は違うことが起きる。
彼が避けるなら、背後まで回った紫の球体に当たり、近くの球体へとそれを鋭角に曲げて反射していく。
別の球体に当たれば、再び反射し、走りと繰り返し、二人を囲んだ紫の球体の合間で、電流の矢が縦横無尽に走り回っていく。
避雷針へ到達させず、魔法で球体へとむけて放つことで、不規則な動きで彼の動きを封じようとしつつ、徐々に視野を回復させていく。

フォーク > (これくらいでギブアップしてくれるのならアリガタイのだが……)

女の気性を考えれば、諦めはしないだろう。
砂の瀑布は女に多少の傷を与え、僅かの間、視力を奪ったようだ。
ならば、男は女に通告しよう。

「お嬢ちゃん、ギブアップしたらどうだい。さもなければお前さんはとてつもない地獄を味わうことになるぜ!?」

女がまた電撃を放った。
とっさに飛び退いて回避をするが、電撃は紫の球体に当たり、乱反射を繰り返し始める。

(くそ、ビリヤードかよっ!)

白いボールならぬ電撃の矢が、男に襲いかかる。
この攻撃の恐ろしい所は、避けても避けてもキリがないことだ。こちらのスタミナが奪われてしまう。

(……こりゃ最終手段しかないな)

男は最終手段を使うことにする。

「ギニャーーー!!」

男は気合を入れて電撃を受けた。
体が痺れる。腕も脚も動けない……。

(耐えろっ、俺!!)

狙いは、一つ。

クラーラ > 「地獄…? どうせ負けたら、性的なことしかしないくせに…」

そういう場所だと知っているからこそ、早々にギブアップなんてしたくないと、彼の言葉を否定する。
乱反射する電気の攻撃で彼の足止めになればと放つが、どうやら電気を叩き消すなり、受け流す術は他になかったらしい。
何処と無くマヌケな悲鳴の声に、少し笑いそうになりながら視力を取り戻せば、動きを止めた彼を見やる。

「……同じ言葉返すけど、地獄というか…激痛、というか」

魔剣をしっかりと握りしめて魔力を注ぎ込む、すると刀身から電流の刃が伸びていき、さながら長槍の様な長さになっていく。
本来なら、相手を焼き焦がしながら切り捨てる破壊力があるが、電気への変換率を落とし、魔力の塊のような状態にして大怪我はさせないものにしていた。

「じゃあ…」

それを横薙ぎに斜めに振り抜き、しゃがんでも跳んでも当てられるように狙った攻撃を放つ。
距離は離れて5m程の距離、そこから長い刀身がバチバチと電気の音を響かせながら迫る。
彼が考える起死回生の手に誘い込まれてしまったか、それを上回れたか、果たして。

フォーク > そもそもザ・バーバリアンは素手で戦う所がウリなのだ。
なので魔法への対処は基本的に環境を活かして防御するしかない。
この最終手段は、男にしかできそうもない荒業となることだろう!!!

(こりゃまた……過激な)

剣が槍ほどの長さに成長をし始めた。そして女が振りかざす。
薙いだ。
男は痺れた体の重心を、崩した。さっき砂地を蹴ったことで足元がややくぼんでいたことも幸運だった。
立ってもしゃがんでも当たるのなら、地面に寝そべるしかない。
うつ伏せに倒れてた男の上を、雷神の剣が通り過ぎていった。

(二撃目が来る前に……っ!)

うつ伏せのまま地面に臥し、手足が動かない男の体が……。
急に跳ねたのである。
男根である。男は巨根を勃起させた勢いを利用し、蛙のように跳ねたのだ!!

「女のお前さんにゃ、想像もできなかっただろう!?」

そのまま娘に向かってフライングボディアタックを敢行する。
相手の虚を突き、ギャラリーを沸かす。
これぞエンターテイナー。ザ・バーバリアンの生き様であった!!!!

クラーラ > 崩れ落ちる彼が取ったのはそのまま地面へ崩れ、寝そべることだった。
それを考えていない…というよりは、寝そべったら、何も出来ないと考えるから普通はしないという意識の外にある答え。
寝そべったというよりは、限界だったかと思うのを、次の動きが崩していく。

「なっ……!?」

急激に跳ねた身体、そして異様に目立つ男の象徴に言葉。
嘘のような起死回生手段に、驚きながらも…脳裏を過るのは、犯された夜の記憶。
犯される、汚される、壊される、そんなのは嫌だと魔法を口ずさむ。

「リミット…オフ…っ!」

バチンと電気の弾ける音を響かせ、右手を剣から離すと、随分と不格好な動きで飛び跳ねた彼に腕を振り抜く。
筋力のリミットを外した、唯一の力技だが、注意して使わねば身を壊すだけの危険な代物。
彼に拳が当たれば、細い女が放ったとは思えない重さと破壊力の拳となって襲いかかり、殴った衝撃に自身の筋肉が壊れ、骨がきしんで反動のダメージも大きい。
空振れば、筋肉が無理な動きで壊れ、関節が空打ちに外れていき、右腕が暫し使い物にならなくなる。
それだけ、彼の奇策に恐怖したという証拠でもあった。

フォーク > (これは危険だ)

自分がではない。男はとっさに女の心配をしたのだ。
女の拳が目に入った瞬間、男はそれが『無謀』な一撃だと見抜いたのだ。
拳の一撃は、格闘技を学ぶ者が一番最初に学ぶ技だ。つまり一番練習する技とも言える。
なので危急の時に出される拳ほど、その人の武のあり方がわかるものはない。
今、女が繰り出した拳は、明らかに女の技量や体格に見合うものではなかった。
つまり、これは不用意に喰らえば自分よりも女の方が危うい、と男は判断する。

全身の痺れが残る男がもがいた男が腹に隠していたもの。
それは女が先程出した紫の球だった!!
考えてみて欲しい。本当に男根を勃起させただけであれほどの跳躍ができるものか!?
女の視界が奪われている間に、紫の球を腹に仕込み、うつ伏せになった衝撃を反射させた跳んだのである。

「ふん!」

女の拳を、紫の球で受ける。
一撃に込められた異質な力は、魔力を乱反射させる紫の球で散らされるはず。
空振りをするわけでもなく、破壊する力も生まれるわけではない。
プラマイゼロの、ノーダメージなのだ!!!

クラーラ > 読み違えがあるとすれば、電流の流す物体となり、魔力で軌道を変化させる避雷針のような導体ということ。
ゴムまりのように弾く力があるとは言え、本来ならそこまで強烈な弾性は持ち合わせていない。
飛び跳ねた彼の腹部に仕込まれたそれを見ても、遠慮なく拳を振り抜く。
既に電気でリミッターを外し、力は解き放たれている。
そして、球体も拳を受け止めはするが、弾性の限界があり、限界まで拉げた瞬間、壊れない代わりに残った大量の破壊力が彼へと叩き込まれることになる。

「っ……」

ビキビキと軋む筋と骨へ伝わる強烈な衝撃、ずんと重みに少しだけ砂地に足が1mmぐらい沈んだような気がした。
振り抜ききった後、痛みにだらりと右腕を垂らしながら左手で剣を構える。

(「足が大分痛い…っ、もうそんなに余力はないかも…」)

無事な左手で、あとはどうにか切り裂いていくぐらいか。
捨て身のカウンターを放った彼が、これでも動くなら少々マズいと思いつつ、痛みに顔を顰めながら彼の様子を見る

フォーク > (……超、痛ぇ)

男はふ、と空を見た。

拳と巨体が交差した一瞬。
圧倒的な力が、男の体を劈いた。
それは巨体全体に満遍なく広がっていくのが感じられていた。

(こりゃ泣くな。大の大人が人前で泣くのは、すごく恥ずかしいな)

よし気絶しよう。
しかしただ気を失うだけでは面白くない。
何しろザ・バーバリアンはスーパースターなのだ。たとえ負けても負けと思わせない凄みが必要だ。

意識を失う寸前に、それは成せた。

立ったまま、気を失った。
両手の人差し指は天を衝いたまま気絶していた。
ザ・バーバリアンは意識がなくなっていても、ザ・バーバリアンを貫いた。

此の瞬間、女の勝利が決定した。

クラーラ > 相手が地面に落ちる、利き手は壊れて、残るは無事な左手と辛うじて動くだろう両足。
彼が立ち、まだ戦う意志ありと見れば、取り回しやすいように逆手に剣を構えるが。

「……」

立ったまま動かない、微動だにしないその動きに奇妙だと思い、じぃっと様子を見るとやっと気づいた。
気絶している、それも立ったまま空を指差したまま。
決めポーズのまま雄々しく散るさまは、淫猥なショーを待ちわびていた観客に感動を与える。
数秒の静寂から、歓声、そして降り注ぐ無数の拍手。

「……戦いに勝って、喧嘩に負ける、ね」

確かに勝利を得たが、最大の賛辞と栄光を手にしたのは彼だろう。
少しばかり悔しい気持ちを抱えながら、ふらふらと闘技場から降りていく。
控室に戻り、主催者が賞金と魔剣の収まった箱を運び込めば、右手を三角巾で釣った状態でそれを受け取るものの、賞金の半分を主催者へ押し返した。

「最後の人に。多分凄い怪我してるかもだから、ちゃんと直してって」

彼女なりに彼へ敬意を表した答えを返すと、主催者づてにそれは伝わるだろう。
変で面白いけど、強い闘志さんへと、女の言葉を添えて。

フォーク > 「痛い痛いいた~~~~~~い!! 全身の骨が砕けたようだ~~~!!」

女が闘技場を去った後、男は担架で男性用控室まで運ばれたのである。
割とあっさり意識を取り戻した男は、それは気兼ねなく痛みに泣いた。
同じ控室にいる仲間のファイターたちがなだめるのも聞かないほど。
そしてしばらく泣いたら、落ち着くのである。激しい痛みの時は全力で泣くに限る。
痛みは残るがアドレナリンが全身に回ったのでかなり楽になった。

「で、どうなの。彼女ちゃんと魔剣もらったのかい?」

プロモーターに男は訊いた。
本気で勝つつもりだったが、やはり賞品は彼女が手に入れるべきだ、と男は思った。
どんな結果にしろ、男は痛む体を動かしながら、上乗せされたファイトマネーを持って町まで出たのである。

「全身の骨折? にかわでも飲みゃ繋がるだろ」

フォーク・ルースに戻った男は、大体こんな感じなのであった。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からクラーラさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からフォークさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にアイゼンブルームさんが現れました。
アイゼンブルーム > ふむ……(観衆の興奮が渦巻く闘技場。 闘奴同士の戦いが今から始まる。 敗北の末に待っているのは死のみという厳しい世界だ。 しかし、今回の試合はそれとは違う……。 欲望に満ちた観衆の前で繰り広げられる茶番劇だ。 ―――闘奴は基本使い捨て、負ければ死んでしまう。 しかし、人気のある闘奴に死なれてしまっては、新たなスターを一から作らなければならない。 そんなことはそうそうできるはずもなく、考えられたのは、闘奴同士の特別な戦い……負けた方が体を犯され好きに嬲られるというショーの性格が大きい物だった。 今日の己は負け役が決まっていると知らされており。 観衆もそれを知ってか闘技場には昂った興奮に包まれる。魔道カメラは己の肢体を余すところなくアップで写し、闘技場のスクリーンには余すところなく、己の身体につけられた装飾品や、胸。股間の淫紋などがアップで映し出されてゆく。) ブルーム!! 今日はしっかりやられてエロいところ見せろよ!!(観衆の野次にもわれ関せずといった感じで一人レイピアを玩具の様に振り回し)
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からアイゼンブルームさんが去りました。