2020/09/11 のログ
フルーア > 「そう体質。日焼けするとピリピリするし、だから、散歩も夜に限るよね、って。夜更かしするから、ますます、健康優良児から遠離るんだけど。
…あれ、そうだとしたら。もし、悪い事してたら――――怖いな、あ。何されちゃってたんだろうね…?」

(くすくす、悪戯に笑う。
おぉ怖い、なんて台詞を大袈裟に口にしながら、首を竦めてみせる悪ふざけ。
勿論。本当に、騎士に退治されなければならないような事を。今この場でしでかそうとは思っていない。
自らの力も、極々僅かな示威に留めて。どれだけ出て来たがるモノが居ようと、今夜は決して赦さない。
言ってしまえば自分は…この少女は。騎士やお姫様が活躍する物語に例えれば、悪い魔女の方に近いのだが。
例えそうだとしても。力を振るうべき相手か否かを決めるのは。自分の、自分自身に対する権利なのだから)

「むかしむかし、が頭に付くような、騎士とか王とか貴族とか…堅そうだよね、きっと、化石になってるんだよ。
君は…あー……そういうのは。難しいのかな。…難しいんだろうね。家族ってとりわけ、切り離せない繋がりになるらしい――し。
頑張る君は、それだけでも。…褒められていいのに」

(単為で造られた少女には解らない。家族やら家系やら、どれだけの重さなのかは。
ただ、そんな重いと言われているものを。重責であれ重石であれ、背負い込み続けている事だけは。視線の先、家紋を見ても解るから。
それはそれで、何かを護る「騎士らしい」んじゃないかなぁ、などと付け足す言葉)

「そうそ、古い方が良いとは限らない、筈なのに…ね。それを認められないヒトが多いのは…そういうヒト達こそ、古いからなんだよ。
僕も君も。新しい、若者同士。…凝り固まって、化石になって、地面に埋められないようにしないと?」

(くすくすと笑いながら、軽口めかせて言うものの。
これでも一応、年幼い、まだ人生経験少ない少女なりに。考えて、喋っているのである。…多分。きっと。

すると。彼の方から差し出された手。二人の手が重なれば、其処には体温という温もりが生じる。
水の冷たさとは真逆なものの。この温かさは、決して不快なものではない筈だ。
見つめて、見つめ合って、ほんのりと口元を緩めながら)

「……かっくぃー。その言い方、ドキッとしちゃう…かも。
僕の名前、か。…フルーア。そう呼んで?」

エイガー・クロード > 「なるほどねぇ。…………ふふ、少なくとも、そんなことしてたらこんな風に談笑なんてしてないと思うわ」

こちらもクスリ、と笑う。少々笑えない冗談だが、今の関係の自分達ならば笑える冗談だ
今日会ったばかりというのに、どこか互いに遠慮はなくなっていた
もしも目の前のこの少女が本当に王国の敵であるならば手にかけなければならない
だけど今のこの時は……それを知ってても、自分はこの子を手にかけようとしないと思う
それは、きっと―――

「…えぇ、そうね。いつまでも変わらず、そのうち風化されるような石頭。
でも……そんな石頭でも、悲しいことにこの国を支える人間の一人なのよねぇ~」

そう愚痴をつい零す。そしてため息を一つ吐いた後

「…ありがと。あなたのような子に褒められたら、きっとそれだけで私は報われると思う」

どこか、清々しい表情でそう言い切った

「…そうね、私はまだ若い方。だから一番働いて…一番変わり続けなきゃいけないのかもしれないわね、博物館で飾られちゃわないように、なんてね?」

どんな意図があろうと、その言葉は今の王国に勤める自身にとってはひどく響いた
その言葉の意味を自分なりに嚙み締め…冗談めかして、笑った

…重なり合った手と手、互いの体温が否応なく感じ合える
水は冷たく、しかしその冷たさが心地よくなる程度には、体温が上がっているような気がした

「ふふ、こう見えてカッコよさは理解しているつもりよ?
……フルーア。えぇ、覚えたわ……フルーア」

そう、嚙み締めるように、絶対に忘れないように…華奢な白い彼女―――フルーアの名を呼んだ

フルーア > 「ん、っふふ、かくして悪い悪い魔法使いは、正義の騎士によって成敗されたのです――なんて?
それこそ、黴が生えそうなくらい、昔っから使い古されたお約束。…嵌ってやるのも癪だし……エイガー。…エイガー。
君と喧嘩するの、想像したくなくなっちゃったから――ね」

(それは。大して長くもない、一刻にも満たないだろう遭遇と会話…だけでも。
信用に足る相手であるらしいだの、共感を抱いても良いよねだの、色々思う所があったのだろう。
だから、少女が彼に対して、敵対しようとする事は無い……無い、筈だ。少なくとも今現在。少女に役割を果たせと命じるモノは、もう居ない…筈だから)

「土台は堅くないと、上に重なった物が――崩れちゃうから。其処は仕方がないんだけど。
…要は下地だし、踏み台だよ。僕等若者の方が上に居る。そう考えたら、ちょっとは気楽になる…ならない?」

(うーん。呻く。下手くそ名例え話の連発は。果たして、彼に対して。役に立っているのだろうかと。
なので、ありがとうと言って貰えたのなら。満足げに頷いてみせただろうか。
熱が入ったせいもあり。ほんのりと、色の無かった頬に、生気じみた赤みを差させながら)

「あ…っは、もっと褒めて良いよ?君が褒めてくれたり…喜んでくれたり。そしたら僕も舞い上がっちゃうかもしれない。
――うん。うん、それで良いんじゃない?口だけの周りなんて無視して。働いて、動いて…二歩も三歩も先んじちゃえばね?」

(そうやって先頭に立つ者となったなら。自然、後に付いてくる者や、背中を目指す者が出て来る…認めざるを得ない者も。
小娘の言葉にも真摯に向き合う、彼のような人物が。そんな風に大勢にとっての指針たり得るようになったなら。
後から文句を言える者など、減っていくに違いない。

うんうんと、自分自身の想像に納得して頷きながら。
重なった手をくるりと裏返し。そうすれば、掌と掌が向き合って。きちんと手を繋ぐ形になれる筈)

「名前教え合うのも。…ニンゲンっぽくて良いと――思うよ。
だからね、エイガー。……うん。エイガー?もうちょっと仲良くしない?」

(記憶に刻まれた事を確認するように。幾度か、教わった名前を繰り返してから。にんまりと笑ってみせたなら。
…流石に夜も遅くなりすぎ、水に浸かりっぱなしでは寒くなってきた波止場から。何処かへ移動する事を誘いかける。
赴いた先は小娘に似つかわしくなく、しんみりと落ち着けるような夜の店かもしれない。
何処か特定の店舗に入るなどせず、公園や広場で座り込んで時間を潰したのかもしれない。
…もしかすれば。互いを知り得るより良い方法、体の隅々までをさらけ出すような場所…になるかもしれず。

どんな選択肢になったとしても。今夜は、好ましい時間を過ごす事が出来た筈だ)

エイガー・クロード > 「…あるいは、悪い魔法使いは、正義の騎士によって、悪いことをすることから解放されたのかもしれないわよ?
でもね……そんな使い古されたお約束が、人はやっぱり望んでるものなのよね。
……アタシも、あなたとはそういうこと、したくないかな」

そう、少し気恥ずかしそうに言う彼は、少し年相応にも見えるかもしれない
……そんな彼も、『もし』があれば、きっとあなたと事を交えることを辞さないだろう
良くも悪くも、そんな真面目さも感じ取れるから

「……そう言う考え方も、アリね。フルーアは賢いのねぇ」

彼女の頬に赤みがあるのに、気づいてはいるが……
それにつけ籠めるほど、自身は騎士の体を捨ててはいない

「えぇ、前に行って私が指針になって……でも、後に続く子達に私みたいな口調にはなって欲しくないかも?」

クスクス、と笑って……手と手が繋がった形に、相手からしてくれたことに内心驚きながら

「……えぇ、フルーア。あなたがよければ、この後も……仲良く、しましょうか」

そう、頷きながら、彼女のにんまりとした笑顔に、こちらも触発される
自然と、互いの足取りはどこか軽く、そして少し疲れを見せていた彼は、とても楽しそうだった
その楽しさはきっと、この夜はずっとずっと続いたのだろう

そしてこの夜は……互いに忘れられない夜に、なったかもしれない
彼と彼女の、少し性別を考えたらちぐはぐな二人は、その夜を共に過ごしていった

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からフルーアさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からエイガー・クロードさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」に八蛟さんが現れました。
八蛟 > 港湾都市へと船で辿り着いたのは一匹の巨漢
大柄なそれは男ならあまり目立つことも無かっただろう
逆に荒々しい金髪と、女だったことが周りの目にはやや目立っていた

「おう、久しいなぁ
 ダイラスに帰って来たか。」

王都よりもこのダイラス近辺やバフートが馴染んでいた鬼は、そう言って肩から毛皮羽織を身に着ける
カラン、コロン、と丈夫な革のサンダルで歩きながら、肩には鬼の体格に合ったズタ袋が一つ

「じゃあなぁ! 海の酒、美味かったよ。」

荒々しい船乗りらと鬼は気が合っていたらしい。
別れの挨拶はその拳を突き上げ、ラム酒の礼を。
そうしたら向こうからひとつ、丸いフラスコ型に詰まったラム瓶が投げ渡され、大きな掌に収まった

向こうも向こうで、鬼がいるだけで力を扱う仕事がはかどることもあれば、砲弾を直接投げつけるといった
離れ業で海賊や海獣を遠ざけるなどもあったらしい
鬼の気まぐれなだけながら、その酒を手に日に透かすと霞んだ瓶の中で酒がみっちり波打っている

「(ギュポンッ)―――ペッ! さて、どうすっかねえ
 闘技場で遊ぶのもいいけど、海の女も欲しいってね。」

逞しい歯列でコルクを抜き、直接喇叭されていくラム瓶の赤い中身。
水のように喉を大きく鳴らして飲む度数は鬼をいい気分にさせた。
船着き場からカランカランと脚を鳴らし、移動旅が終わった石の道。
サンダルの音が小気味よく、揺れぬ地面だ。

このまま一つ暴れてもみようか
それとも船ではそうはいかなかった酒を干すほどに浴びようか
女でもいいが、攫うか買うかでまた違う。

にしても、やっぱこの赤い酒は良い味だ、とフラスコを揺らし。

ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」から八蛟さんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にエレイさんが現れました。
エレイ > 静けさ漂う、人気のない夜の倉庫街。
立ち並ぶ倉庫の間の路地を、腰に明かりの灯ったランタンを下げながらざしざしと
歩いているのは特徴的な銀色のジャケットを羽織った冒険者らしき風情の金髪の男。

「──くーわわわ……」

のんびりと歩を進めながら、男は誰も見ていないのを良いことに盛大に欠伸をかます。
……いや、この男の場合見てても構わずやるのだが。

なお、男は冒険者として倉庫街の警備の依頼を受けてこの場におり、今は不審なモノや
人物などがいないか、警邏している最中である。

──とはいえ。今の所とそういったものと遭遇する事もなく、男は暇であった。

「……平和なのは良いことではあるのだが……うぅむ、もう屯所に戻って
寝ててもいいような気すらしてくる始末」

などと、サボりさえ視野に入れ始めたりもしつつ。
退屈そうな面を下げたまま、ダラダラとやる気なさそうに巡回を続けてゆく。