2020/09/22 のログ
ご案内:「セレネルの海・海蝕洞」に影時さんが現れました。
ご案内:「セレネルの海・海蝕洞」にラファルさんが現れました。
影時 > ――云われるまでは気づかずとも、いざ見てみれば驚くものだ。

それは気づけば見慣れた風景であったとしても、少し見方を変えてしまえば、微かな驚きがある。
セレネスの海に面した夜の波打ち際、海岸線に沿って浜辺を歩けば至る岩場に「それ」はあった。
干満の差の妙により、大きく潮が引いた際に洗われる半ば水没した洞穴。
大海賊が根城にしていたなどと囁かれる場所で、最近海に住まう魔物が目につくという依頼を受けて赴いた。

水に浸かる場所であるとなれば、ひょいひょいと訪れることは叶わない。
周囲の地勢を見直しても、良い侵入経路も見つからない。
そうとなれば、如何に忍びの者と云えども侵入を果たすのは難しい。

「……やーれ、やれだ。
 まさかこんなに真っ当かつ地味に這入ることになるたァ、思わなんだ」

じゃぶじゃぶと冷たい海水に足や腰を浸からせながら、光苔がところどころに付着した洞窟内に進入を果たす黒い影が吐息交じりに嘯く。
市井に混じるための羽織姿ではない。
簡素とはいえ、鎧を付随させた姿は侵入戦闘を意図した装束だ。

灯火の類は灯すことなく、まずは進み、水から出ながら先に進む態勢を整えよう。

ラファル > 師匠が依頼を受け、学習の為に弟子がついて行くというのは、良く聞く話である。
 少女は師匠の受けた依頼の話を聞きながら一緒にやって来て。あー。と言う表情をする。依頼の内容は詳しく聞いていない。
 基本的に支障がどんな依頼を受けたのか、等は自分で調べるのが修行でもある、必要のある時は師匠の方から教えてくれるものだ。
 海に現れた魔物を退治するという依頼、どんな魔物なのか、とは思う所もあるが、実際に行って調べるのがいいはずだ。

 そして、来て、見て、判った。
 海に面した場所、基本的な侵入経路は水の中。幼女は一緒に泳いで入り、ぼやく師匠の背後に立つ。
 幼女の服装は普段と変わらない、防御力に関しては、幼女は竜の鱗がある、下手な鎧を着る方が邪魔になる。
 そして、野生の本能からか、服をあまり着たがらないので、何時もの格好、とはいえ、今回に限ってはそれが水着の代わりとなるのだった。

 クン、クン、と鼻を引くつかせ、光の要らない瞳で洞窟を眺めまわす。
 そして、くい、くい、と濡れる師匠の服の裾を引っ張る。

「師匠、本当に、ここ、行くの?」

 忌避感とか、恐怖とかではない、少女の表情は平静。
 なので、確認の意味合いが強い。
 行くと言うなれば、全力で行く、それだけの話であるし。

影時 > 世の中に魚の顔、頭をした亜人種の類が居ると聞く。
そのようなものと交渉している、取引している商人なども居るらしい。
ヒトならざるものを見かけるだけで実害や影響がないのであれば、わざわざ依頼が上がることもないだろう。
依頼を上げる方も、暇でもなんでもない。
報酬という形で財貨を供し、人を遣って片そうとする理由は当然ながら、あるものだ。

「……ふ、ン。あれか、「とーてむ」やら言う象徴かこれは」

ひとまず着衣を絞り、水気を少しでも払っては一息つきながら装備の欠けがないかどうかを確かめる。
左腰に佩いた太刀も含めて問題なく、付き添いの弟子もちゃんといることも確認すれば、目につくものがある。
流木の枝を組み合わせ、貝殻や魚の骨を組み合わせて作った紋章、象徴のようなものだ。
その云わんとするものは生憎と伺えないが、まるで、こういっているようにも思える。

――ここから先は、我らが域である。

そんな風に伺える、意図しているように見える。

「仕事だからなァ。何が居るかどうか確かめ、害があるのであれば撃ち滅ぼせ、と……?」

服の裾を引っ張る弟子の言葉に肩を竦め、闇の先に目を凝らせば微かに音がする。そして気配がする。
口元を引き締めながら、すぐさま洞穴の壁の手頃な窪みに身を顰め、気配を限りなく薄めてゆく。
出入り口の潮騒に紛れるように呼吸を絞っていれば、ひた、ひた、と濡れた足音が聞こえてくる。

うまく視線をずらせば、見えるだろうか。
黒光りする濡れた魚鱗を纏った、人とも魚ともつかない二足歩行の容貌魁偉な異形が。
それが、謡うように、嘯くように何かを囁き、首を傾げるような仕草と共に奥に戻ってゆく。

……なるほど。魔物らしい。口元を覆面で隠し直しながら、遠ざかる気配に微かに息を吐く。

ラファル > 「あーい。しっかし……まぁ……。」

 師匠の言う事は尤もだという事は、幼女も理解している。言いたい事とはちょっとばかりずれた返答なので、うん、と頷いてみせる。
 師匠の視線の先にある何か―――こう、壊したくなるような玩具の様なそれに視線を向けて、直ぐに興味を逸らす。
 師匠の気配が薄くなる、聞こえてくる足音と気配に、幼女もまた、気配を薄くしていく。その辺にある木石と同じように。
 気配を殺し、呼吸を殺し、海に、周囲に一体化していく。
 海に住まう魔物―――本来は、この辺にいる筈の無い存在。

 幼女は、師匠と共にそれをやり過ごし、瞬いて見せる。
 そして、手話を開始する。
 声が制限されている時に、やり取りするための技法であり、それは師匠から、みっちり仕込まれている。
 日常会話で冗談をいう事ぐらいできるレベルで習得をしているのだ。

――お母さんもだらしないね、あんなのに巣を奪われてるし。ま、ダイラスがあるからもう、用済みなのかな――

 少女の母親はリヴァイアサン種、海竜と名高い存在で。
 つまるところ、言いたかったのは、ここ、おかーさんの塒という訳である。
 それがどういう訳か、魔物が住み着いているという。

 幼女の感覚的には、放置していた別荘に誰かが勝手に住んでるねこれ、と言う所。
 とは言っても、此処がそうだと判ったのは、親の匂いが残っていたから。
 来たことはない、という事は、一応師匠には伝えておこう。

影時 > 生憎と竜と交渉する、関わり合いになるようになって気づけば長いが、まだまだ知らぬことがある。
それはそうだ。寧ろそれが当たり前だ。
師として色々教授することが多いが、己もまた知らぬものを彼女たちから教えられることがある。
それは特に、種族柄知覚できる事柄であることが多い。

人語を解するかもしれないが、解したところで――交渉ではなく、明らかな害意を返すだろうもの。
水棲の魔物の動向を気配の動きより察しつつ、弟子の向ける符牒の、手話により示される内容に虚空を仰ぐ。

――……そうかそうか、ここはそーゆー場所か。
  他に進入路がありそうだが、奥は思いっきり広そうだな――。

竜の子は竜。であれば親がそうでない道理はない。
海に住まう竜の元塒ということであるならば、それが狭隘であるということもないだろう。
人間もそうだが、何と言っても塒は広々としている方がいい。
「心得た」と手話で伝えた上で、行動を開始しよう。

自分も弟子も足を踏み入れたことのない場所であれば、その案内を頼むとすれば、先客に限る。
手印を組んで気勢と精神を整え、奥の方に戻っていく風情の魔物の後を追ってみよう。
そうと思えば、ゆらりと立ち上がる男の影と所作に音はない。
身にまとう鉄の匂いは、まだ染み付く潮の薫りで消せるだろう。

「…………」

帰ったら、刺身でも喰いたいところだ。ふと、そんなことを思いながら追跡と共に奥を目指す。
ただ、問題は歩哨を置いているつもりか。
入れ替わるようにやってくる直立歩行の魚の対処と始末だ。
暗がりにまた再度身を顰め、すれ違うモノを目を眇め、急所の有無を測る。
斬れば死ぬのだろうが、如何にして声を上げさせることなく、静かに屠るか。それが陰に潜む討ち手の永遠の課題だ。

ラファル > 人には人の理があり、異種族には異種族の理がある。今回の相手に関しては、正直に言って、少女としても会話ができるとは思わない。
 異種族としても離れすぎていて、上手く会話ができるとは思えない相手なのだ。
 おそらく、食うか、食われるか、そんな相手でしかない、幼女は、茫洋とした表情に見える魚人を眺めて考える。
 視線を向ければ、師匠は落胆しているのが判る。

 まあ、そうだろう。
 自分が案内できないという事ではなく、探すべき場所、広さを想像してだと、幼女はその考えに至る。
 隠密するのは良いのだけれども其れにも限度はあるのだ。
 広ければ広いほど、捜索に時間が掛かり、時間が経つほど、発見されてしまうリスクは高まっていくのだ。

 そう考えるのは幼女の思考で、師の懸念して居る事なのかどうかまでは、考えはつかないものだが。
 塒に関しての理解に少女は頷いてみせた。
 案内は出来ないが、竜の思考で物を考えることは出来る、つまり、母親がどんな意味で、この場所を作ったのか、と言うのは見ればわかる。
 それは十分に師匠の助けになる―――と思いたい、状況に依りけりなので、成ると言い切れないが。

 歩き回る魚人。
 考えている様子の師匠。
 幼女は手話にて、再度師匠に問う。

 釣る? それとも、音消す?

 幼女の思考としては、一匹を態と此方におびき寄せて、一匹ずつ倒す。それならば、必ず有利に倒せるから。
 あと、幼女の力を使う事の提案、音とは空気の波、幼女は竜の力で空気の波を止める。
 魔法で云えばサイレンスと言う静寂を作り上げる魔法、それを行使しようか、と己の竜の力で出来る事を提案。