2018/10/22 のログ
■ティリア > そうそう。偉い人は必ず、裏であくどい事に手を染めている……とは、言わないけれど。
きっと、今回は黒なんだよね。
出来れば、ちょーっと…それと、お近づきになりたいんだけれども。
(腐敗したこの国に於いて。貴族が、その腐敗を象徴していると称される事は多々有るが。
必ずしも、全てが腐っている訳ではないと。多くの者に解って欲しい。
お陰でついつい。擁護に似た台詞も出てしまう――尤も。今夜は。この会場は。
彼女の言う通り、内袖に獣心、ろくでもない暗闘の場を思わせているが。
そんな暗部を覗きたい、と少しだけ。…まぁ、彼女が一般の参加者であるというのなら。
巻き込むべきではないにしろ。)
うん。この国だと特に――ね。
得てして不幸な出会いは多いから。
男っていう生き物は。つくづく、理解し難い訳で―――― っ、っふ。ふ。
(二度、三度頷いてから。彼女の、連れ添いへの評に。
思わず軽く笑ってしまった。
誤魔化し半分に、つぃと二杯目のグラスに口を着け、二口程。
矢張り、ノンアルコール。もしかすればこの場で、己等二人だけが。
軽く口元を押さえた後手を振って。)
…ごめん、ちょっと。
何というか、解らないなんて言う割に…結構、分析細かいじゃない?
割と旦那様の事、解ってるというか――解ろうとしているんだな、というか。
いや、お熱い事で。
(微に入り細を穿った彼女の伴侶評を聞けば。なるど、仲を勘繰ってしまうというものだ。
…己の言葉通り。首輪めかせた装身具を考えたなら、最初の出会いは不穏当だったのかもしれないが。
その首輪が、彼女を実に幸せそうに。笑わせるのだから。)
■エシル・アルトワーズ > 「謝ることじゃねえよ。俺も気にしてないし。
まぁそりゃ…知りたいだろうよ…す、好きな人なわけだし…
っだー、この話はナシ!恥ずかし過ぎるわ!」
突かれれば思わず顔を赤くしてしまい、余計なことまで口から出てしまう。
頭を振りながら、手もぶんぶんと振ってしまうあたりなんとも免疫の薄いことである。
ただ、今はそれよりも気になることがある。
目の前の少女は眼前に広がる光景の、その深部。澱み爛れた内情をよく知っているのだろう。少なくとも自分よりは。
そしてその闇に首を突っ込みたがっている。仕事故か、好奇心か、そこまではわからないが。
そしてさっきの気配の消し方、その不完全さ。本人は隠しているつもりなのだろうか、多少の魔の心得があれば恐らくは看破に手間もかからない代物。
他人事と捨て置くには少々知り過ぎてしまったし、なにより知ったからには放っておけなどしないなんて最初から分かっていたことだ。
「…あんまり相手の仕事に踏み込むようなマネはしたくないけど、程々にな?
もしものことがあったら、そんとき近くにいたら手ぇ貸すけどよ…なんか放っておけないんだよな。危なっかしいって言うか。」
言葉を選べないのは長所か短所か。兎角忠告を贈る。
とはいえこの世の中だ、気をつけていても何が起こるか分かったものではないが。
■ティリア > そうかい?…ふふ、有り難う。
今日は、ろくな手合いが居ないからね――君みたいな人に会えたのは、良かった。
お陰でちょっと落ち着いて…落ち着きを、取り戻せたよ。
(気持ちばかりが先行すると。何事もうまくいかないものだ。
ささやかな会話だが、周囲全てが疑惑に満ちた中では、彼女の様な存在は…謂わば一服の清涼剤。
まるで羞恥に囚われたかのように。頬を染め、手を首を振る仕草の可愛らしさに。
どうにも口唇の緩みを戻せそうにないのだが。)
其処はお互い様、かも。
悪い事じゃないけれど――もし。この船で騒ぎが起こったら。
催している側の人間達は、きっと…君みたいな人に、疑いを掛けるから。
有らぬ疑いを掛けられたら、その時は――――気をつけて。
(暗に。何か騒ぎが起きるかもしれないと。否、騒ぎを起こすかもしれないと。
…己の様な小娘にも、良く良く理解出来ていた。
彼女が。一件たおやかなこの乙女が。辺りの貴族達とは明らかに、別種の生き方をしてきた物なのだ。と。
身のこなしや、そもそもの体のつくりや鍛えられ方が、違う。
何より、万が一も在り得るというのに。そんな場で、他者を気遣う事の出来る事自体が。
他も参加客達とは別物だった。)
まぁ、僕の仕事も。暴れる事じゃないからね。
実際そうなってしまったら負けというか…君のように鍛えられちゃいないから。
(そう、きっと剣を振り、力を持つ人物なのだという所迄推測出来ていた。
とはいえこの場に刃物を持ち込めるとは思えないからこそ。
逆に此方からも、心配を返し。無理はしてくれるな。と。)
■エシル・アルトワーズ > 頬の熱はまだ引く気配がないが、心だけは少しだけ平静になり。
少女の心配がひしひしと伝わる。
考えるまでもないことだ。この場で騒ぎがあれば誰を疑うか。
部外者であり、
剣を執る野蛮であり、
貴族の生まれではない賎民であり、
なにより、人目を引く女である。
あるも何も、吹っかけられるのは疑いですらない、罪なのだ。
「ああ、わかっているさ。俺には知恵と立場が、あんたには力が、それぞれ致命的に足りてねぇ。精々そうならないように気をつけるとするわ――少なくとも、何も起きない限り暴れるようなことはしないさ。
俺よりもあいつに迷惑がかかっちまう」
重くなった空気を断ち切るように、少しおどけたように返す。
重苦しい空気は時として必要だが、それは今ではない、と。
「まぁそういうこった。お互い気をつけてな。
――俺はそろそろあいつを探しに行くよ。多分そろそろ焦ってきてるころだろうし。
じゃあな、ティリア。また会おうぜ」
別れはあくまで簡潔に。
まるで次の日も会う様な気軽さで挨拶を投げつけてはそのまま歩き出し、人ごみへと姿を消すだろう――
■ティリア > …何もかもを手にするなんて。本当に難しいからね。
それこそ、真っ当な手段なら尚更に――
(矢張り、裏を孕む言葉。大貴族たる、今宵の宴の主催者は。
権力という大きな立場にして力を有しているが…それはきっと。真っ当に得た物ではないのだ、と。
お互い。そういった輩に及ばない部分が多すぎる。
だが、足りない事イコール、必ずしも悪ではないのだと…証明出来れば良いのだが。)
…く、ふ。本当、旦那さん、大事なんだ?
やれやれ、つくづく妬けちゃうなぁ――――
(と。戯れ事めかせた言葉を返して見送ったのは。
こんな、豪奢な伏魔殿の中で。己と彼女が、毒に染まらぬ会話を続けていた事を。
周囲には気取られぬように――という苦心だったのだろう。
片手を上げ、人混みに紛れる彼女の背を、消えるその瞬間迄見届けてから。
己も亦、デッキ上から歩き出す。
…果たしてこの夜。とある貴族の腐敗を曝く、何らかの証拠が、追う国軍側へ渡る事になるかもしれないが――――
それはあくまで秘密裏に。少なくとも、権力に伏す事のない彼女を、巻き込むような事態は起きなかった筈だ――)
ご案内:「セレネルの海 船上」からエシル・アルトワーズさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海 船上」からティリアさんが去りました。