2018/10/23 のログ
ご案内:「セレネルの海」にぼたんさんが現れました。
ご案内:「セレネルの海」からぼたんさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海 浜辺」にぼたんさんが現れました。
ぼたん > 浜辺近くの松林から、ぱき、と枝葉を踏んで歩いて来る影一つ。
「さむ…」
風呂敷を両手で抱え込むようにして、遮るもののない浜辺にぽつんと独り立ってみる。

ぼたん > 見上げれば白っぽい月が暗闇に浮かんでいる。ざあざあという、風と林の枝擦れの音に目を細めて、そっと息を吐きだしてみる。
「…まだ、白くはなンないねえ…」
そう、独り言ちて、海と空の間を見透かすように視線を落とす。

ぼたん > 季節の変わり目には、風のにおいが一番正直だ。夏の間、むせそうなほどしょっぱかったものが、今は少し凍り付いて、海岸の岩や木の香りを微かに運んでくる。
冬が来るね、と心の内で呟いて、水平線を横目に見ながら、浜辺沿いを歩き始める。

ぼたん > しばらく行くと、腰掛けるのに丁度よさそうな、すこし丘になった場所を見つける。さくさくと少し足早に近づいて、一つ頷くと海を眺める向きで腰を降ろす。
「はやくしないと、折角のも冷めちゃうね…」
抱えていた風呂敷を膝に降ろすと、ぬくもりが伝わってくる。思わず目を細めて、そのぬくもりが少し冷たくなった膝を溶かす感覚を味わってしまう…

ぼたん > 「…いけない」
すっかり膝が温まったところで、当初の目的を思い出す。
風呂敷を開けば、湯気がほわっと立ち昇って肉まんが姿を現す。
「わ…」
湯気は海風にすぐにさらわれて、闇夜へと霞んで消える。

ぼたん > 両手で暖を取るように持ってかぶりつく。もう暖かい、というより温いくらいでしかなかったが、口の中が温まると体の芯も温まる。
ぼたん > ひゅうと時折吹く海風に肩を竦めながら、聊か急いで食べ終わる。
「…ごちそう様…」律儀に手を合わせて、風呂敷を畳む。

ぼたん > 立ち上がって、尻の砂を払う。もういちど海を目を細めて眺めて
ぼたん > 「は…ぐしゅっ」
くしゃみひとつして、慌てて帰路へつく

ご案内:「セレネルの海 浜辺」からぼたんさんが去りました。