2018/10/21 のログ
ご案内:「セレネルの海」にサナさんが現れました。
■サナ > 肌寒い様な、少し動けば汗ばむような、季節の境目にて。
岩場にくしゃりと置かれた服の塊。その中身は海の中。
とぷりと音を立てて頭の先まで沈み込み、息の切れる前に水面へ顔を出す。
立ち上がると、腰の辺まで外気に曝され、潮風に煽られた肌が薄く粟立つ。
髪を抓んで胸の前に持ってきてみても、然程隠すことも出来ずに薄紅の色が透ける。
―――――膝を折って肩先まで水の中へ。
■サナ > 暫く浸かっていると、体温がどんどんと下がって行く。
季節は移り変わり、寒さが増しているのだと体感して。
ゆると辺りを見渡してから立ち上がる。
顎先から、身体の曲線を追うように幾つも水が滴り落ちて、肌を伝う違和感に小さく身震いする。
「――――人肌、」
恋しい、とか。安易で短絡的だとは思うけれど、時々やけに。
真っ直ぐ服の処には戻らずに、水の中、川の方へと。
塩水より真水の方が、綺麗になるけれど。その分とても冷たい。
カチ、と歯を鳴らして、砂浜の方へ。さくさくと歩くと、足の方は砂だらけ。けれど少しだけ早足に。岩場へ向かって服を手に取る
■サナ > 日の光に肌が幾らか乾いて、未だ半ばは冷たい儘だったけれど風に曝すよりは良いのかもしれない。
服を纏い、緩い足取りで歩き去って行く
ご案内:「セレネルの海」からサナさんが去りました。
ご案内:「セレネルの海 船上」にティリアさんが現れました。
■ティリア > (その夜。絢爛極まる船内にて、夜会が催されていた。
…客船と呼ぶに相応しい船舶規模とその内装。酒や料理も贅沢に潤沢に。
楽団が昼夜を問わず音色を奏で、華美な装いの貴族達が踊りと会話に勤しんでいる。
――この船が。とある貴族が、その家門一つで所有し、運用しているというのだから。
多くの者は羨むし、それ以上の多くが…嫉妬する。
同時に、中には。斯様な大金が何処から捻出されるのかと、疑問を呈する者も出る。
…何せ今は。国の中枢奥深くに迄、密通や共謀の疑いが掛かっている時期だ。
この主催者にも必然、疑いを向ける者が居り――それ故。娘は此処に居た。
一見すれば、爵位を持つ家の娘として招かれた、只の客。
だが、言ってみれば己も亦内通者…貴族内から、軍部への。
今もグラス片手に、デッキ上で海を背に、多くの参列者達に目を向けて…
逐次。その顔を。彼等の繋がりを。そして、怪しげな動きを見せる者が居ないかを。
見覚え、頭に叩き込んでいた。)
■ティリア > …とはいえ。簡単には見せてくれない、よね…
(例え、陸地から隔絶された客船上であろうとも。
他の客達という不特定多数の目が有る場所では、そう大っぴらな動きも無いか。
仮に良からぬ企み事が有るのなら。船内奥深く、閉ざされた客室や、関係者以外立ち入り禁止の区域等なのかもしれない。
其方の方へ人目を憚り、見つからずに侵入するというのは。なかなかに難しそうだ。
万一、潜入に気付かれたなら。或いは…そうでなくとも、義眼にて参加客達の記録を録っている事が露呈したなら。
決して良い顔はされないだろうし、場合によっては…如何なる報復が待ち受ける事か。
そう危惧すれば軽率には動けなかった。)
――前例も有る事だし。
(陸を離れて直ぐの頃。始まったばかりの会場では。客達へのもてなしとして提供された、幾人もの奴隷達の姿が有った。
夜が更け、多くの客達がこうして、甲板上で笑い語り合う中。散々弄ばれ、使い潰された奴隷の娘達は…
未だメインフロアに転がっているのか。とうに、備品のように片付けられでもしたか。
…それを思い出せば。主催者達も、客達も。女を女と、奴隷を奴隷と、扱う事が当然と見なす者達。
下手に彼等の注目を浴び。客という立場の保証を失ってしまったら、と考えれば。
思わず溜息も出てしまう。沈む気持ちと危ぶむ気持ち。双方を押し流すように、グラスを呷った。
――まぁ、娘自身は、酒などまるきり飲めなかったから。中身はソフトドリンクでしかないが。)
ご案内:「セレネルの海 船上」にエシル・アルトワーズさんが現れました。
■エシル・アルトワーズ > ――正直な話、こういった騒ぎは余り好きではない。
贅と欲をつぎ込んだ煌びやかな夜会は、確かに豪奢で、威厳を持ち、そう容易には催せないものである。
確かに凄いな、とは思う。思うのだが。
「正直、つまんないんだよなぁ……」
客分としては失言もいいところだが、幸い周囲で聞き咎める者もなく。
付き添いで来たものの早速はぐれてしまってはさあどうしようかと取り敢えず人の輪の外へ。波を背中にぼんやりと眺め。
――眼を光らせる。それは比喩かそれとも――少女が目に留まる。
こうしている間にも好奇か下心か、言い寄ってくる貴人をあしらいつつ、少女へと近付いていく。
「――目つきが怖いぜ。探し物にせよ肩の力抜かないとバレちまうぞ」
小声で囁くように、目線は合わせず。
ただ同じ方向を向き、独り言に独り言を返すように。
■ティリア > ………?
(一つ、瞬きを。
とはいえ、その声の主に対して。不用意に向き直す事はしなかった。
隣り合い、改めて深く、デッキの柵に背中を預け。
ふ、と浅く息を吐いてから。)
悪いね。…見るのが、仕事だから。
とはいえ目に見える範囲には――――今は。特に目当ては無さそう、かな。
(矢張り。見られたくない物は、見えない場所に隠すのだろう。
都合良く、森の中なら木を隠せる、という油断はしてくれないらしい。
右目を閉じ、亦開き。そうすれば眼球に宿っていた燐光が消える。
隣の彼女が、それに気付くかは…未だ目を向けていないから、悟り得ないが。)
君は?君もお仕事?
…ティリア。よろしく。
(仮に同胞…そうまでいかずも、例えば似た様な目的を持つのなら、と。
名前を隠す事はしなかった。
…娘の考えは先走りで、実際には、彼女も客としてきているだけなのかもしれないが。
そうだとしても、恐らく、不穏な事柄や荒事を知る――普通の貴族ではない筈だから。)
■エシル・アルトワーズ > 「ティリア、か。俺はエシル。仕事――んまぁ仕事みたいなもんか。
ダンナの付き添いで来たはいいがうっかりはぐれてこのザマだ。
あっちもあっちで俺に感けることもできんだろうし、しばらくはこうしてブラブラしてる」
やれやれ、と言わんばかりに溜息をつき。ついでにワザとらしく肩を竦めて見せる。
何となくだが彼女から発せられていた妙な魔力は薄れ――消えていて。
だからこそか柵にしっかりと背を預けたまま話す声を少し大きくして普通の会話のように。
相手の仕事には敢えて踏み込まず、単なる知り合ったもの程度に会話をかける。
「しかし見てくれは派手だが。正直苦手なんだよなぁこういうトコロ。
息苦しくて肩凝っちまう。」
あーやだやだ、と肩をぐりぐり回しながら愚痴を投げる。
相手からすればいきなり面倒なものなのかもしれないけど、特に話題もなければしょうがない、と半ば開き直っている節すらある。
■ティリア > …おっと。御免ね?普通にお客様なのか。
何ていうか君は…そう、君は。大半の客とは違ってみえたから。
(だから、同類或いは同職かもしれない、そう思ったのだ。
醜く肥え太っただけの者達とも違う。
威を喰らいそれを嵩に来た者達とも違う。
傅く全てを支配して当然と考える者達とも、矢張り違う。
…後は。僕と、俺と。そんな自身を示す呼び方も、丁寧な貴族達とは、ズレていると思えたからか。
小さく口元を綻ばせ。魔具による撮影を一旦止めた上で、改めて。
彼女の方へ、顔と…グラスを掲げた手を向けようか。)
包みは派手な方が良い、ってね。
肝心なのは、その派手さに紛れて、裏や奥で何が行われているか、な訳で。
さっきみたいな乱痴気騒ぎだけなら兎も角。
(先だっての奴隷達を用いたショーを思いだし。膨らませた頬が若干、朱に染まった。
通り掛かったメイドに、新しいグラスを二つ受け取って。
その一方を彼女へと差し出す、手慣れた仕草。)
…にしても。ちょっと意外、かも。
……ダンナ、さん。居るんだ…?
(まだ、充分若い娘なのだろうに。旦那、イコール伴侶だとすれば。
思わず小首を傾げるようにして。)
■エシル・アルトワーズ > 「まったくだ。こういうのって大概裏では口に言えないようなことをしてたり企んでたりするもんだ。
おんなじ騒ぐならお祭りの方がよっぽどいい。
見ろよアレ、口は笑ってもみんな目をギラ付かせてやがる」
グラスを受けとる。すん、と鼻を鳴らしてみるもアルコールのにおいはしない。恐らくは気を利かせてくれたのだろうか。
そのまま一口。くい、と呷る。葡萄の果汁だが、しかしさっぱりとした口当たりは飲み口が軽く、見た目ほどの重さを感じない。
――早い話が、旨い。
そう思い、口を衝き掛けたころ。ティリアが不思議そうにこちらを見ている。
「まぁそう思うわな。勝手に見初められて、そのまま…な。
まあ今はそれなりに幸せにしてるから文句もないが、たまーにアイツの考えていることがさっぱり分からなくなっちまう。掴みどころがなさ過ぎるんだよ。
強引でやりたい様にするくせに妙に面倒見がいいし。
淡白で軽薄にみえるけど独占欲が人一倍強くて甘えん坊だったり。
俺じゃなけりゃ務まんねぇぜまったく」
相手の疑問はその通り。自分でも驚いたのだから無理のない話でもある。
首もとの首輪――デザインがデザインで見るものによってはチョーカーのようにも見えるだろうか、黒革のベルトに十字架の刻印が施されたスカイブルーの鐘を提げた、それ――を指差しながら、呆れたような、それでいてどこか嬉しそうな笑いを向ける。
まあ正直、その生活が楽しいのだけれども、と付け足してにひひと笑う。