2020/06/28 のログ
ご案内:「ゾス村 酒場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > 久しぶりに様子を見に来た村は、雨に濡れた後の寒気のような緊張感に包まれていた。
アスピダ攻略の為に逗留している兵士や冒険者が、度々騒ぎや略奪まがいの徴用を起こすのだと。
そして、それを目撃したのが、小さな酒場のカウンターで飲んでいたときのことだった。
「(勘弁してくれよ……)」
酒場の主人の一人娘、という少女が、先程から大柄な騎士の酌をさせられている。
まあ、それぐらいならやや過剰なサービスといった所だが、先程から騎士の手が度々尻や胸をなでている。
少女の方はといえば、それに抵抗できずに恐怖に引きつった様な笑みを浮かべるだけである。
「(まあ、そりゃ無茶はできないよな。
こいつ一人に目を付けられるならまだしも、逆恨みで権力を振り翳したりしないとも限らない……っていうか、するだろうしな)」
果ては連座で罰を受けるか、あるいは私刑か。そんな所だろう。
とはいえ。このままでは、行き着く所まで行ってしまいそうな雰囲気である。
彼の従士がその脇に立ってはいるが……止める気配が無いどころか、寧ろ妨害しようとする奴が居ないか監視している風まであるし。
「(最悪、割って入ってもいいけど……)」
個人的には、此処で見捨てるのも寝付きが悪い。
此処の主人には一時期、世話になった事もある。
だが、此処で割って入って、後で報復を受けても面倒である。
さて、どうするか……と男は思案を巡らせる。
ご案内:「ゾス村 酒場」にソラムさんが現れました。
■ソラム > 「.......何やってるの?」
じっと大柄の騎士を睨み、そう言う。
酒場を訪れていた彼女はどちらかと言えば余り割って入ることを遠慮していた。
だが少女の尻や胸を触り始めた時から、徐々に不快に感じ始め、注意換気兼警告としてそう騎士に声をかけた。
■クレス・ローベルク > 『何だ、てめえ……』
少女の問いに真っ先に反応したのは、騎士ではなく従者の方。
それを手で制し、騎士の方は余裕の笑みで答えた。
背に大剣を背負っているとはいえ、見た目は少女。
それで侮ってしまうのだから、彼の実戦経験の薄さは推して知るべしだが。
『私は騎士クリストファー。ご覧の通り、店主と彼女の好意でこうして一夜、酒を頂いているのだが……。
さて、そこなお嬢さんも如何かな?』
あくまでも、徴用ではなく自主的に行っている事だと言う男。
どうやら、口の回りだけは達者なようだが……。
■ソラム > バスターソードを抜こうと柄に右手をかけたが、止める、どのみち実力行使になるだろうからだ。
「......そっちの子は嫌がっているけど?」
少女を見ながらそう言う。
口では平常を保ちながら、背中で丸めていた尻尾の力を少しずつ抜く。ジャリジャリと音を発しながら尻尾を伸ばし始める。
■クレス・ローベルク > 少女と騎士の間に、不穏な空気が立ち込める。
店内に居た客が、少しずつ逃げていくが、その中で男はじっと二人を見ていた。
「(……まあ、良いきっかけだな)」
一人であれば復讐が怖いが、この少女と二人なら、最悪でも村から逃げることはできよう。
そう考えた男は、そっと立ち上がり、手にしていたエールを構える。
その間にも、男と少女の会話は進む。
静かだが率直な物言いで、問い詰める少女に対し、眉をぴくりと動かし、
『ふむ……これは聞き捨てならないな。つまり、君は私がこの少女に対し、無理に……』
と言葉を続けようとしたが、できなかった。
何処からか飛んできたエールの木製ジョッキが、彼の頭を強かに強打したからである。
頭からエールを被った男より先に、取り巻きの従士が剣を抜いた。
『てめぇ、この女ッ!』
実際にはソラムは何もしていないのだが、どうやら彼女とジョッキを投げた男は仲間だと思われたらしい。
騎士の方も、最初は訳が解らないといった様だったが、直ぐに気を取り直し剣を抜く。
男の方に走っていく従士を横目に、騎士の男はソラムに対し、
『これ程の侮辱を受けて許す訳にはいかない。相応の目にあってもらおう』
そう言うと、相手の返事も聞かず、斬りかかってきた。
殺すつもりは無いようで、手足を斬って動けなくする目算のようだが……。
■ソラム > 「.....何もやってないけど...まぁ、いいや」
回りが逃げるなか素直にそう言うと一気に力を抜き回転する。
銀鱗に覆われた尻尾が鞭のように舞い、男の剣の腹に当て、スパンと切断する。刃は回りながら天井近くまで宙に放られ、落ちてくる。目の前に落ちてきた刃に向け右足で回し蹴りを繰り出す。高速で弾丸と化した刃は男の頬を少しだけ裂き、轟音と共に壁に突き立つ。
■クレス・ローベルク > 『な、ひぃっ……!?』
持っていた剣が突如として切断された挙げ句、その刃が自らの頬を掠める。
深くは刺さらないまでも、それなりの痛みを感じたはずだが、それよりも深い恐怖の色が、その眼には刻まれていた。
尻もちを付き、動けなくなる騎士。尤も、漏らさなかっただけ上出来と言えるだろうが……
「割って入ったつもりだったんだけど、要らなかったかもしれないな」
その後ろから、男が話しかけてくる。
その後ろでは、先程の従士が気を失っていた。
鼻が変にひしゃげている所を見ると、どうやら思い切り顔面を殴り飛ばされたらしい。
『な、お、覚えてろ……!』
捨て台詞を吐き、騎士の方は逃げていく。
このまま追いかければ始末なり、そうでなくても何らかの落とし前を付ける事も出来るだろうが、それをするかはソラム次第である。
■ソラム > 「......片付いた、ね」
追いかけるつもりは更々無いようで、カウンターの席に座り、コップに入っていた残りの水を飲む。
尻尾はそのまま席の横から垂れ下がり、時折チロチロと先端付近だけが動いている。
■クレス・ローベルク > さて、と。どうしたものかと考える男。
一応、これで静かに酒を飲めそうだが……とはいえ。
此処までの実力を見せられ、興味も湧いた。
それに何より、見た目も可憐な少女だ。お近づきに成らない手はないだろう。
「や、さっきは凄かったね。隣、良いかい?」
と、彼女が座る隣の席の椅子を引いて問いかける。
■ソラム > 「....別に、普通じゃないの?」
チラリと男を見ながら頷き、承諾してそう言う。
彼女にとっては準備運動にもならないものだったが、基本的なことはできたなと心のなかでそう思った。
■クレス・ローベルク > ありがとう、と言って、彼女の隣に座る。
表情からは解らないが、承諾してくれたということは少なくとも悪感情は持たれていないのだろう。
「いやあ、あの尻尾での斬撃とか、すごく格好良かったよ。それに、身体能力も凄いし……龍人さんかな?」
と、言った所で、まだ自分の名前を名乗っていないことを忘れていた事に気付いた。
失敬失敬、と頭を掻いて言ってから、
「俺の名前は、クレス・ローベルク。君の名前は?」
■ソラム > 「......ソラム。よろしく」
軽く自己紹介を済ますと、改めて水を貰い、キンキンに冷えたコップを両手で持つ。
■クレス・ローベルク > 「ソラムちゃんね。よろしく」
と言って、ソラムに水を与えた店員に注文する。
エールと、摘みとしてフライドポテトを頼んで、ふと彼女が水しか飲んでいない事に気づいた。
「そういえば、ソラムちゃんは何も頼まないのかい?
良ければ奢るけど……」
■ソラム > 「...ソラムでいい」
そう言うと首を横に振り、何も頼まないと言う意思を示す。
■クレス・ローベルク > 「ふうん……?」
と、首を捻る。
特に悩みもせずに断ったという事は、金が無いとかではなく、純粋に要らないのだろうと判断する。
要らないものを押し付ける趣味もないが、さりとて仲良くなりたいのは本音であるので、
「ソラムちゃんはどうして此処に?俺は、前に仕事で戦いを教えた子供達の様子見だけども」
と、再び会話を続けることにする。
■ソラム > 「.....私は、此処に来た理由は特にはない」
そう言うと水を口に含み、飲み込む。
尻尾は相変わらず先端だけチロチロと揺れているだけだった。
■クレス・ローベルク > 「ふうん、結構、あっちこっち行くのが好きなのかな。
俺もまあ、似たようなものだけど」
ちなみに、ちゃん付けをやめないのは、別に意地悪とかではなく、単純に年下に対する癖の様なものである。
強く言われればやめるが、そうでないなら、特に気にせず続けるだろう。
「ああ、そうだ。俺は剣闘士なんだけどさ、君はダイラスの闘技場って知ってるかい?」
と、敢えて自分の話をしてみる事にした。
自分語りをする様ではあるが、自分の事を一切話さない人間と会話するのも、かえって警戒心が募るだろうという考えだ。
「君みたいな子が闘技場に出てくれると盛り上がるんだけど……興味あったりとか、しない?」
■ソラム > 「ダイラスの..闘技場.」
少し考え込むと、
「...興味は....ある」
そうポツリと言う。
■クレス・ローベルク > 「(好感触……!?)」
意外である。
今まで、割と色々な人を誘ってみたが断られることの方が多かった。
彼女に話を振ったのは、あくまでも話の枕のつもりだったのだが。
しかし、だとしたら少し踏み込んでみても良いかも知れない。
「お、ほんと?それは俺にとっては渡りに船だ。
実は、今度俺がやる筈だった試合が、対戦相手の都合でキャンセルされてね……。
もし良ければ、代わりとして出場してみてくれない?」
※そんな試合はないです。
だが、上司にかけあって、彼女と自分の試合を組む事はできる。
では、なぜそんな嘘をわざわざついたかと言うと……
「(見た目も性格も、凄いストライク……!
どうせ闘技場に勧誘するなら、少しぐらい良い目を見ても、良いよね?)」
という、割と最低な動機だったりする。
■ソラム > 「代わり....?」
少しいぶかしんだ彼女だったが、
「.....別に構わないけど」
そう承諾する。
■クレス・ローベルク > 「本当?それは本当良かった。正直、もう出られる出場者が居なくて、困ってたんだ。ありがとう……!」
と、勢いあまって手を取って、握る……という演技でボディタッチを図る。
身体に触れるのはまあ、試合でのお楽しみだが、これぐらいは良いだろう。
「ああ、そうだ。折角だから、今日は一緒に泊まらないかい?
あの連中が手下引き連れて来るかもしれないしさ。そうなったら、一人より二人のほうが、戦いやすいだろ?」
と誘ってみる。
■ソラム > 「......//..別に」
少しだけ顔を赤くしてそう言う。
「..泊まるのは...文句はないけど」
そう言って誘いを承諾する。
■クレス・ローベルク > 今まで全く無反応だった顔に、紅が差した。
「(お、この反応、男にはあまり慣れてないかな?)」
これはついている。そう思い、男は席を立つ。
宿は既に取ってあるので、後はそこに向かうだけ。
今日はあくまで何もするつもりはないが、狭い宿である。
着替えや湯浴みの際、不可抗力を装って下着や裸を見たりする約得にはありつけるかもしれない。
「それじゃ、行こうか。店主、お勘定」
そう言って、男は少女とともに、酒場を後にするのだった。
ご案内:「ゾス村 酒場」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「ゾス村 酒場」からソラムさんが去りました。