2019/11/14 のログ
ご案内:「ゾス村」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > 収穫が終わり、本来ならば静けさを取り戻すこの村で。
二人の少年が、木刀を持ってぶつかりあっている。
その剣筋は未熟ながら、それなりにきちんとした剣術になっている。
乱れはあるが、我武者羅ではない。ゴブリン一体を相手に確殺できる程強くはないが、絶望的ではない。
そんな、未熟な剣術をぶつけあう少年を、他三名の少年と、青い闘牛士服の男は見ていた。
一方の少年が、もう一人の持つ木刀の根元を強かに叩く。
その衝撃で、木刀が弾き飛ばされた――
「……そこまで!うん、最後の子達も合格だ」
と、此処で声を張る男。
それを聞いた二人の少年は、ホ、と息をついて、その場にへたり込む。
「それじゃ、俺が教えるのは此処まで。
後は、自分たちで腕を磨いてくれ。それじゃ、解散」
と言うと、少年たちは三三五五に散っていく。
恐らく、それぞれの家の手伝いがあるのだろう。
幾人かの子供はこちらに礼をしたが、そのあと急いで駆けて行った。
それと同時、今度は男の方が息をつく。
「終わったか」
一年前から、この村の子供たちに剣を教えていた。
最初の頃は短期間の予定だったのだが、思いの外『形になる』のに時間がかかってしまった。
教える子供達も、最初は十人以上だったのが、今や五人――自分からやめたものや、親からやめさせられた者も居る。
「でも、何はともあれ、これでこの村との繋がりも切れるな」
良いのか悪いのかは解らないが、しかし肩の荷が降りた気分だ。
広場に足を延ばして座り込み、しばし休憩を取る。
ズボンが土に汚れるが、まあそれは良かろう。
■クレス・ローベルク > 身体を休める為に、目を瞑り、今までを思い出す。
思い出とという程重要な記憶でもないが。
しかし、苦労したなあという苦労話としての記憶ではある。
「(最初は三か月ぐらいで見積もってたんだよなあ)」
それが、全く形になってなくて、泣く泣く一年計画に変更。
訓練の為の剣のフォームを図画にして纏めたら、ちょっとした冊子が出来上がったりした。
文字が使えれば薄くなったのだが――識字出来ない子供がほとんどだったので、残念ながらそれは無理だった。
「結局、赤字だよなあ、どう考えても」
力なく地面に寝そべる。
何というか、少年たちに剣を教えた達成感はあれど、その結果赤字では何をやっているのかという気にもなる。
そもそも、最初は口実を付けて女の子を犯そうみたいな趣味に走った下種な計画だったのに。
「俺の人生、何かこんな感じばっかだよな――」
得をしようとして損をするというか。
本末が転げ回っているというか。
単に、情に絆されているだけとも言うが……しかし、自分の感情は自分の感情として大事にしなければ。
少なくとも、致命的にならない限りは。
ご案内:「ゾス村」にヴァルブルガさんが現れました。
■ヴァルブルガ > とある王都から離れた町にある図書館の文献を調べに行った帰り道。
規模の小さな図書館にもかかわらず、魔術書や歴史書等様々な発見があった。
中には貴重に思える文献もあり、次はなぜこの町にこれだけの資料が残っているのか
が調査対象となった。とりあえずそれは次回に回すとして、王都への帰り道
宿泊させてもらえることになった村を散策している最中、村のひとではなさそうな
男性が寝そべっているのが見えた。何の気なしにそのわきを通ると、目が合いこんにちは、と
挨拶を投げかける。
顔に大きな傷のある女だ。造作はきつめだが、破顔してあいさつするその表情は柔和だ。
■クレス・ローベルク > 「ん……?」
どうせ村の人たちも暫くは広場には来ないだろうと、だらしなく寝そべっていたら、ふと、足音が聞こえた。
忍んでいる様でもないので、少なくとも悪意は無いだろうと見過ごしていたら、こちらに近づいていた。
視界に入った彼女の顔は、釣り目ではあるが表情自体に険はない。
「……っと、失礼。今起き上がる」
だるそうに立ち上がり、一度彼女から数歩離れて服についた土埃を払う。
土がついたのは背中なので、首尾よくとは行かなかったが、何とか払って。
「こんばんは。悪いね、ちょっと一仕事終わって休憩中だったんだ。
君は――村の人じゃないな。旅行者さんかい?」
と聞いてみる。
一応、村の人の特徴はうろ覚えだが、流石に顔に傷があってトレンチコートという特徴があれば覚えているだろう。
別に、わざわざ呼び止める必要もなかったが、折角の美人との接点だ。
少しは有効活用したい所だった。
■ヴァルブルガ > 「あぁ、いえいえ、わざわざすみません。お邪魔するつもりはなかったのですが」
わざわざ立ち上がって身繕いをするクレスに、逆に申し訳なくなって謝るヴァルブルガ
「ええ、そんなところです。王都に戻るとちゅなのですが今日泊めてもらえることになって。」
暇を持て余していたので散策していたのだ、とほほ笑む。
「あなたは……冒険者さん、でしょうか?」
この辺りは犯罪が多い、というわけではないが戦乱に巻き込まれることも多い
不安定な地域だと聞く。
もしかしたら用心棒とかそういった類の仕事もあるのだろうか、と尋ねてみて。
ご案内:「ゾス村」からヴァルブルガさんが去りました。
ご案内:「ゾス村」にヴァルブルガさんが現れました。
■クレス・ローベルク > 謝罪に対しては「いやいや構わないさ」と軽くいなす。
どちらかといえば、男の方が話したかったのだし、これについては本当に構わないのだ。
とはいえ、変に遠慮合戦になっても何なので、さっくりと切り上げ、
「ああ、ダイラス方面から戻って来た人なのか。
うん、本業はダイラスの……闘技場の剣闘士だけど、冒険者でもある。
子供たちに剣を教える仕事を、今日までやってたんだ」
と、ばつの悪そうに説明する。
別に、犯罪を犯している訳ではないとはいえ、あの悪名高き闘技場の剣闘士であるというプロフィールは、女性と仲良くなるには不向きなものだ。
経験則で最初にばらした方が、人間関係が面倒にならないから今言っているが……しかし、それで引かれる事も少なくはない。
「っと、失礼。差し支えなければ、名前を教えてもらっても良いかな。
俺は、クレス・ローベルク。職業は、さっき話した通り」
■ヴァルブルガ > 「ああ、ダイラスからも離れた小さな町です。ほとんど村と変わらないような。」
古い図書館があって、そこの調査に行っていたんです。説明して。
「ああ、剣闘士さんなんですか、華やかな仕事ですよね」
ダイラスがどういう街かということは知ってはいるが、それでもまず出るのは
勇壮なイメージで。見目のいい目の前の男性ならきっと泥臭いものではなく
猛牛や魔獣相手のようなイメージなのだろう、と勝手に考えて。
「ああ、ヴァルブルガ・ファウストと申します。こちらの国に間借りさせてもらって
この国の様々な文献などを調査するのが仕事というか……まぁ閑職ですよ、負傷退役した
軍人なので」
義手を見せてのんびりした様子で籠手の様なそれをたたくと、中身が空洞なのが分かる軽い音が響く。
「のどかでいいところですけど、ちょっと静かすぎますね。子供たちは元気でしたが。
普段はどうして過ごしているんですか?」
■クレス・ローベルク > 「あはは、そう言ってもらえると嬉しいよ。
人によっては露骨に嫌な顔をされる職業だからね」
反応から、実態は知らないんだろうな、とは思うが。
しかし、好かれるなら、好かれるに越したことは無い。
実際、"今の所"、彼女を犯そうとは考えていないのだから、嫌われる筋合いはないし、そうするとしても、だ。
「ああ、貴族、っていうか騎士だったのか。
文献調査か。俺も本はかなり読むから解るけど、結構大変な仕事だよねえ……」
頭脳労働の上に、場合によっては長期の旅行が必要な仕事だ。
学問的には決して疎かには出来ないが、仕事にしたいと思う者は少数派だろう。功績が得られにくいのも相まって、だ。
「まぁ、もう収穫の時期は過ぎちゃったからね。今は冬ごもりの準備中だろうし――っと、俺の事かい?
普段は――仕事中の事は大体イメージはつくだろうから飛ばすとして、後は殆ど遊んでるかな。図書館行ったり、美術館行ったり、カジノ行ったり、後は娼館……っと、ごめん」
つい、口が滑った。
割と普段から行っているのもあるだろう。
仕事と全く関係が無いわけでもないし――何より、男がそれなりに好色であるのもある。
とはいえ、流石に女性との会話で話題に上げる事でもなかったと、軽く頭を下げて。
■ヴァルブルガ > 「まぁ嫌いではないですし、移動も一人なので気ままなものですけど……
目が疲れちゃいますね」
そういっておどけて瞳をこすって見せる。
「ああ、この村に泊まり込みで、というわけではないのですね。」
自分の勘違いに気付いてからから笑いながら、正直時間を持て余していたから
お会いできてよかったと笑う。
「え、いえいえ何も謝る事なんて……若い男の人なんですから、健康な証拠です。
私だって旅する身ですからいろいろありますし」
と屈託なく笑顔で返す。色々ある、というのも正直な話だ。それこそ色々。
でも女の一人旅、何もない女性というのも少ないんじゃないか、と陰ながら考えて。
■クレス・ローベルク > 「ん?ああ、普段はってそういう事か。
うん、大体月二ぐらいで通っての仕事だったんだ。
仕事の事もあるし――フォームさえしっかり覚えられれば、後の大部分は反復練習だからね。まあ、鍛えるのが仕事の軍人さんに、偉そうにひけちらかすような知識でもないけど」
最初にフォームを覚える時は二週間ぐらい付きっ切りだったが、その後は流石に付き合うのが難しくなった。
故に、毎日の特訓メニューを宿題にして、後は定期的に見て課題やアドバイスというのが、大体の流れだった。
「そう言ってくれると助かるよ。結構、命綱だからね。
って、やっぱ色々あるのか……まー、そりゃあるよね。この辺はそういうの多いし」
いや、しかし。口調や理知的な語り口はともかく、見た目はかなり切れ者のクール系といった趣だ。
その彼女の色々、というのは想像するとかなりクる物がある。
勿論、表に出すほど初心でもないが、
「でもまあ、そういう事なら、帰りぐらいは護衛しようか?
宿は……まだ取ってないけど、埋まってるって事はないだろうし」
一応、今日帰る予定ではあったが、明日は予備日として開けてある。
特に何のアクシデントもないであろう、彼女との護衛ぐらいになら、使っても何の問題もないだろうと。
■ヴァルブルガ > 「……もう元、ですよ」
元軍人、うん、こんなしゃべり口ならしっくりくる。
ヴァルブルガは心の中で自分のことをそう呼び表して、うんそうだ、と一人納得してくすくすと笑う。
「そうです、もちろんたくさんありますよ……山賊とかもたくさんいますし……」
それこそまわされたことだって一回や二回じゃない。なんて考えているとちょうど護衛
してくれるというありがたい申し出。
「それは大変ありがたいんですが……あまり持ち合わせもないですし……」
■クレス・ローベルク > 「ん?ああ、うん。元だけども」
と、くすくす笑う彼女に、首を傾げる。
そんなに面白い事を言った覚えはないのだが。
軍人、と呼び表したのは、見た目の印象からの何となくでしかなかったし。
とはいえ、笑ってくれるのは眼福だ。
こういう目つきの鋭い女性が笑うのは、見た目から可愛いお嬢様とは、また違うかわいらしさがある。
「まあ、その辺話したくないだろうからね……仕事上の事だから、同情するのも筋違いだろうけど」
男も、剣闘士である。
勿論、女性に比べればはるかにマシとはいえ、不本意な性的なあれこれが無かったわけではない。
故に、この手の話には同情的だ――負傷しての退役軍人ならば、男の対戦相手にならないだろうと言う事情もあるが。
「タダって訳にも行かないけど、それは追々で良いよ。
それに、そもそもそんなに距離が無い。
特に危険のない街道を歩く事も考えると、大体――相場の四割引きぐらいかな」
と値段を提示する。
勿論、無理強いはするつもりはないが、男としては彼女と同道できるだけでも、十分に良い休日の過ごし方と言える。
故に、多少計算を甘くして、誘ってみることにした。
■ヴァルブルガ > 「お酒でも入っていれば、お話ししてもいいんですけどね」
さすがにのどかな農村で昼間に、そして素面で進んでおしゃべりするような話ではない。
そんなことを考えながら、いくら、と相場よりかなり安い値段を提案してもらえれば
それは是非、と想像以上に安く提案してくれた相手にお願いをすることにして。
「貴族といってもお金があるわけでもないので助かります……」
(とりあえず前金として、と半額渡そう)
「出発は明日の予定ですがクレスさんも泊っていただけますか?」
■クレス・ローベルク > 「まあ、下手すれば子供が聞いてる可能性があるしねえ」
男が知覚する限りは居ないが、気を抜いている会話中だ。
見逃す、聞き逃す事はあり得るだろう。
まあ、聞かせても男としては問題ないのだが……下手な知恵を付けた子供が問題を起こしたら、責任を取れない。
ともあれ、前金は有難くいただく。
全て後払いでもいい気もするが、あまりサービスしすぎるのもそれはそれで胡散臭いだろう。
そもそも、男とて金が要らない訳ではない。
趣味に回す金は、幾らあっても足りないのだ。
「その辺は一応元貴族だからね。機微ぐらいは解るよ。
うん、勿論。君が泊まる宿を案内してもらえる?
ああ、でも『泊めてもらえる事になった』って事は、どこかのお家かな?」
だとしたら、迷惑をかける事になるかもしれないけど、と思案気に。
出来れば一緒に泊まっておきたい――心情的にも仕事的にも――が、それで彼女や、彼女の泊まる先に迷惑になるのも困る。
勿論、考えの行き過ぎであれば、喜んで泊まるつもりだが。
■ヴァルブルガ > 金銭の受け渡しが終わり、逆にほっとした気分になる。こういうことはなるべく早いうちに
済ませておくのが手だ。
「ええ、村長さんの家の納屋の二階がちょっとした部屋になっていて、ベッドぐらいは
あるので……何とか二人くらいは泊まれるかもしれません。村長さんもクレスさん
なら嫌とは言わないんじゃないでしょうか、知らない人ではないだろうし」
お酒までいただいて、と少しうれしそうに告げる。
■クレス・ローベルク > 成程、と男は頷く。
お酒まで貰っているという事は、それなりに良好な関係を築いているという事だ。
それに、男の依頼主も――
「ああ。というか、俺の依頼主が村長さんだったからね。
それならまあ、無理も聞いてくれるか」
男の方も、来たついでに簡単な依頼を非公式で受けたりもしている。
だから、かなり良好な関係と言えるだろう。
強いて言うなら、男女が同じ部屋に泊まるというのがネックだろうが――まあ、そもそもそういう事にならない様に依頼をする訳で。
仮にそうなったとしても、軽く小言なり揶揄なりを言われる程度だろう。
「OK。それじゃ、早速村長さんの家に行こうか。
そろそろ日も暮れるしね」
そう言うと、男は村長の家の方に歩き始める。
ヴァルブルガでもついて来やすいように歩幅を調整して。
■ヴァルブルガ > 「きっと大丈夫だと思いますよ」
それなりに近い距離間で歩きながら、あそこからの見晴らしは良かった、あそこの馬が立派
だったと村人たちと同じような目線で村を見て回りつつ村長の家に伺い、事情を話して
クレスさんも一緒に泊まることになるだろう。
その夜はお酒を共にしながら、暇を持て余していた問題が解決したことを喜びながら
過ごして……翌朝、ともにクレスと旅立つだろう。
ご案内:「ゾス村」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「ゾス村」からヴァルブルガさんが去りました。