2016/04/26 のログ
エアーティ > 「……!」

只ならぬ気配を感じ、エアーティは外に飛び出す。
いつの間にやらいたのだろうか。
この場には似合わないような、絶世のプロポーションを持つ、真紅の髪の褐色美女がそこにはいた。
エアーティはこの美女が放つ只ならぬ力に、生まれて初めて圧倒される。
相対するだけで汗が滲み、全身に緊張が走る…。

「へえ… 思わぬ拾いモンか、こりゃ」

軽口を叩いてみせるエアーティ。
しかし肉体は、微かに震えていた。
…歓喜で。

魔王レヴィアタン > 飛び出してきた筋骨隆々の女を見て、興味深そうに瞳を細めるのも束の間。
品定めするように、その肢体を眺め回す。不躾にも。

「……なるほど、なるほど。ただの散歩のつもりだったけど……」

余裕綽々とした素振りで、唇が逆さまに弧を描いた。
どこか満足を得たような表情。

「…面白いものを見つけちゃったねェ」

エアーティ > 「ハッ、そうかい。気に入ってくれて光栄だなァ あァ?」

エアーティはボロボロの手斧を目の前の美女に突き出し、
真っ直ぐ眼を見据えて言い放つ。

「気に入りついでだ。お前、人間じゃねぇだろ? あたしさぁ…人間、やめたいんだよね。お前の力…くれよ」

斧を持つ手に力が籠り、柄にビシビシと皹が入っていく。
マトモに戦えば、無傷では済まないだろう。
全力を出した所で、この女に届くのだろうか?

魔王レヴィアタン > こうして見ると、彼女は長身だ。
突き出された手斧を見て笑いながら、ゆっくりと背を伸ばしていく。その光景からも、己が人間じゃないことは知れただろうか。

「くれよ、って言われておいそれと渡すわけにもいかないねェ。はは、威勢のいいコトだ」

彼女の全力は知らない。
仮にも魔王の冠を戴く女に戦いを挑むこと自体、蛮勇と呼ぶべきかもしれず。

エアーティ > 「ヘッ やはりそうかい。期待なんかしてなかったよ」

そういうと手斧を目の前の女…レヴィアタン目掛けブン投げる。
手斧は空を切り裂きながら、レヴィアタンの胸に突き刺さるコースを描き翔んで行く。

「なら… 力ずくて喰ってやるよ…! オオォオオオッ!!!」

エアーティは体内に渦巻く魔力を解放する。
膨大な量の魔力は黒くオーラとなってエアーティの肉体を包み、全身の筋肉がミキミキと音を立てて膨張していく。

「グガガガァアァッ…!! まだ…まだだぁあっっ!!」

限界まで力を強めた所で、さらに魔力の放出量を高める。
何層にも覆われたエアーティの鋼の様な肉体はさらに強まっていく…。

「グォオオオォオオオオオオッッ!!!」

獣の如き咆哮を上げ、赤黒いオーラに包まれたエアーティは、目の前の魔王を喰らうべく拳を振り上げ、殴りかかる…

魔王レヴィアタン > ぶん投げられた手斧。
正確なコースを描き、飛んでくるそれを何ももっていない片手で弾き落とした。

「……面白い力だね。ふふ、いいねいいねェ」

楽しそうに笑ってみせた。彼女の並外れた力、変貌ぶりを目にして尚。
赤黒いオーラに身を包み、鋼のような肉体でもって殴りかかってくる女。
冷静にそれを見届けながら――片手を翳した。

瞬間、布のような防壁が張り巡らされる。
どんな攻撃であれ、どれほどの攻撃であれ。全ての攻撃を通さないヴェールが出来上がる。
振り上げた拳は、その壁を打ち破ることは出来ない。

エアーティ > 「!?」

拳がヴェールに激突し、大爆発が起こる。
マトモに喰らえば飛竜の鱗すら突き破る拳を持ってさえも、レヴィアタンの張るヴェールの前では無力で。

「ガァアアアアァアアッッ!!」

エアーティは拳の乱打をヴェールに叩きこんでいく。
ヴェールには傷一つつく気配が無いが、幾度となく起こる爆発により周囲の地面が巻き上げられ、塵が辺りを包み始める…

魔王レヴィアタン > ヴェールと拳が打ち合ったことにより起こる大爆発に、一瞬眉をひそめた。
続け様に叩き込まれる乱打、巻き起こる砂煙や舞い上がる塵に口角が吊り上がり――

「……さ、さ。次は何をしてくれるんだい?」

そう呟く言葉の調子は如何にも楽しそうだ。
吼えるエアーティの耳に、そのつぶやきは届いたかどうか。

エアーティ > 「オォオオォオオオオォオオォッッ!!!」

巨体から繰り出される剛拳の乱打で、
レヴィアタンの視界を殆ど塞いでいく。

そして…エアーティは前方に跳んだ。

「グウゥウウウウオォオオォオオオオッッ!!」

本能的に、喰らったミレー族の体捌きを繰り出す。
レヴィアタンをヴェールごと飛び越して、後頭部目掛けて豪脚からの蹴りを叩き込む。
強まった膂力から繰り出される蹴りと、オーラによる強化が合わさり、いくら魔王とはいえど喰らえばダメージはあるだろう

魔王レヴィアタン > 視野が塞がれれば、女の吼え声が強く耳に響くようで。
片目を瞑ってその挙動を見極めんとした、その時。

「――― ……!」

飛び越され、巨体が頭上を舞う。
其方に意識を向けようとするより速く、豪脚が後頭部に叩き込まれた。
勢い、前方に身体が傾く。蹈鞴を踏むようにして、なんとか踏みとどまる。

「………っ、たた。―――やるじゃないか。見くびってたよ」

後頭部を撫でながらエアーティに向き直る魔王はしかし、傍目にはダメージなどほとんど受けていないように見える。

エアーティ > 「グゥウウウッッ!!」

不安定な態勢からとは言え、自身の蹴りをマトモに喰らい、ほぼ無傷でいた相手。
初めての事態に、エアーティに動揺が見える…が。

「グゥウウウォpォオォオオォオオオ…!!!」

ならば動けなくなるまで、自身の拳を叩き込んでやればよい。
エアーティは巨体に見合わぬ早業でレヴィアタンの周囲を跳ねるように動き、隙をつき拳を突き出す…!

魔王レヴィアタン > 言葉ではなく、吼え続ける女の姿を目にしながら一つ息を吐いた。
周囲を跳ね回り隙を窺う姿は、巨体に見合わず素早い。常人ならば目に留めることすら出来ないだろう。

拳が自身に向けて突き出された瞬間。
その一撃を受け止めるように、片手を翳す。
その掌に張られていた薄い壁は、ヴェールではなく"リフレクト"

放たれた強烈な、竜をも屠る一撃をそのままその身に返されたなら――どうなるだろうか。

エアーティ > エアーティの必殺の拳がリフレクトに触れた瞬間、エアーティの肉体が宙を舞った。

「!?!?!?」

まるで自分の拳を腹部に叩き込まれたような衝撃に、
エアーティはこの肉体で初めてダメージらしいダメージを受けていた。

エアーティの肉体は投げ出され、地面に頭から落とされる…。

「グ、グゥウウゥウッ… グ、グググ…クク…!!」

土煙の中からゆっくりと立ち上がるエアーティ。
腹部には殴打痕がはっきりと見て取れて、エアーティの口からは血が零れ落ちている。
しかしなおも闘志は折れてはおらず、紅く光る瞳でレヴィを見つめ、ニヤリと嗤う…

魔王レヴィアタン > 宙を舞い、地面に叩きつけられるエアーティの肉体を見届けながらリクレクトを消す。
そうそう立ち上がれないだろう――その予想は外れた。

「……ヒュー。驚いたねェ、ここまでとは」

折れない闘志の下、土煙の中身を起こす姿に感心するような声が一つ。
赤く光る瞳が己を捉えた。口角がゆっくりと持ち上がる。

「その強さに免じて、何かしてやりたいところだけどねェ……力が欲しいんだっけ?」

エアーティ > 「グググ… ソ、そうだ… 力が… 力が欲しい…!!」

魔王の呼びかけに、エアーティの理性が呼び起こされる。
いや、あるいは本能だろうか?

「そうだ、力だ!! 永遠に戦い続けられる力ッ! お前らみたいな魔王に匹敵するような力! オオォオオッ!! チカラ、チカラ、チカラァアッ!!」

エアーティは魂の底から轟き渡るような声をあげて、吼えた。
大気がビリビリと震える。

「オォオオオォオッ!! チカラを…よこせええぇえええっっ!!!!!」

全身を包むオーラを炎のように猛らせ、エアーティの感情が爆発的に昂ぶっていく…。

魔王レヴィアタン > 「……なるほどねェ。ま、お前さんの意思はよくわかった」

ビリビリと震える大気にも怯まずに、泰然と口元に微笑を浮かべたままで。

「全部あげるわけにはいかないけどね。……なら」

言うと片手を彼女の方へ突き出してひらひら、手招くように揺らす。

「あと一撃、アタシに当ててみなよ。そうしたら力、分けてやってもいい」

エアーティ > 「ガアァアアァアアッッ!!!!」

レヴィアタンの言葉が聞こえていたのかどうかは分からないが、
エアーティは再び咆哮をあげ、レヴィアタンに挑みかかる。

「グォオオオォオオオオォォオオッッ!!!!!」

エアーティの両拳が地面を叩き割ると、亀裂がレヴィアタン目掛け延びていく。
その直後にエアーティは飛翔、レヴィアタンを頭上から叩き潰すように拳を突き出し落下。

…さらに同時に、レヴィアタンの足元の亀裂から、エアーティの魔力の奔流が溢れ出し、地面を崩していく…

魔王レヴィアタン > 叩き割られる地面。亀裂が足元に及び、地面が崩れていく。
咆哮を上げながら落下してくる姿を見上げ、ぐらつく地に足を取られながらも後方に跳躍した。

「―――こんなもんかい」

叩き潰すような拳を避ける。
だがこれで終わるとは思っていない。次に何が来るのか、どんな攻撃がやってくるのか。
魔王はどことなく戦いを楽しんでいるようで。

エアーティ > 空中からの落下攻撃が避けられ、エアーティの質量は地面へ叩きつけられる。
そのまま地面に大穴を開け、地中へと潜り込んだ。
しばらく、地中を巨大な何かが掘り進むような音と振動が響き渡り、それはピタッと止まった。

「ガアアァアアアアアアアアア!!」

エアーティの豪腕が大地を割り、レヴィアタンの足元から、足首を捕らえようとする…!

魔王レヴィアタン > 叩きつけられた地面に巨大な穴が空く。
地面へと潜り込んだ巨体が、地中を掘り込む音を辺りに響かせる。

「……はっは」

小さく笑い声を漏らすと同時――剛腕は確かに己の足を捕えた。
勢い、バランスを崩して尻餅をその場に着く。

エアーティ > 「グゥウウ… 捕まえ…た…ぞ…!!!」

レヴィアタンを捕らえたまま、エアーティが地中から這い出てくる。
エアーティの豪腕はレヴィアタンの肉体を捕らえ、渾身の力を込め、決して離さない。

「オオォオオォ…!! チカラを…よこせ…!!」

エアーティの掌の紋章が光輝き始め、レヴィアタンのエネルギー吸収を開始する…。

「!!! グァアァオォオオォオオォオオオッッ!!!」

魔王の力がエアーティに流れ込み、その余りにも強すぎる力にエアーティが絶叫を上げる。
本来なら、人の身には抑えられないはずの力。

全身を内側から焼かれるような苦痛を受けながら、
エアーティはそれでも力を求める…

魔王レヴィアタン > 剛腕に捕らえられた細脚は、しかし傷ついた風では無い。
そして始まるエネルギー吸収。

確かに魔力を吸われている感覚はある。
だが――それ以上にダメージを受けているらしきエアーティの絶叫を間近で見やって、瞳を細め笑った。

「……やれやれ。お前さん、余程チカラが好きと見えるねェ」

魔王の有する魔力は膨大だ。少しくらい吸われようとどうということは無い。
ある程度のエネルギーがエアーティへと移行したところで――捕まえられている箇所にヴェールを薄く張った。吸収の流れが止まる。

「そこら辺にしときな。吸いすぎると壊れちまうよ」

ご案内:「ゾス村」からエアーティさんが去りました。
ご案内:「ゾス村」から魔王レヴィアタンさんが去りました。