2017/11/11 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にエレノアさんが現れました。
■エレノア > 要塞内は慌ただしい雰囲気に包まれていた。
つい先程まで、小さな戦闘行為があったのだ。
その程度であれば日常茶飯事であり、こうもなる事は少ない。
だが今夜は違った。
敵側の傭兵部隊。その隊長を捕らえたのだ。
その素性については何処ぞの貴族の私生児だの、さる商家の次男坊だの、様々な憶測が飛び交ってハッキリとはしない。
だが、少なくともそれなりに価値のある人質という事は確からしい。
この後、尋問に始まり、身代金の設定。
そして明日の朝には敵側に金額が伝えられる事だろう。
女は、物見台から一人、要塞に戻って来る戦列を眺めていた。
「意気揚々とは、この事か。」
いつまでも歓声を上げ続けているわけではないが、それでも皆、松明を振り回して喜びを表現していた。
また、人間よりも優れた夜目が、彼らの浮ついた表情を捉えていた。
彼らにとっては大金星だろう。
特別報酬なんて物まで出るかもしれないからだ。
ご案内:「ハテグの主戦場」にクロステスさんが現れました。
■クロステス > (小規模な戦闘、其の知らせを受けて慌しくなった砦の中で
本来薬剤を届けるだけの用事であった自分が、暫し留まる事となってしまった。
確かに、もし負傷者などが出た場合には、其れなりの対処が必要だろう
致し方なし、其の騒ぎが治まるまでは見届けようと、砦の中をうろついていた物の
最終的に、どうやら此方側は在る程度無事に済んだらしい。
騒がしさを増す砦の中を避け、何気なく上に、上にと歩みを進めれば
気付けば、物見台だろう場所まで上がって来てしまっていた。)
―――――……おや、立ち入り禁止だったかな?
(何処かから、勝ち鬨の声と歓声が聞こえる。
其れだけの成果を挙げたのだと言う事は感じ取れたが
生憎ながら、今の自分には戦果と言う物は無関係だ
はて、どうやって上がって来ただろうかと、迷子めいた様相で辺りを見回していれば
きっと、女も其の気配には気付けるだろうか)。
■エレノア > 今晩の任務が要塞の警邏でなく周辺の巡回であれば、今頃あの戦列を埋めていたのは自らの傭兵部隊だったに違いない。
と、羨ましく思わなくもない。
多少の損害はあれど、あの戦列の主たる部隊よりは精強だと自負しているのだから。
まさか彼らに先を越されるとは、という思いもある。
いや、仕方ない事だろう。と諦めに入ったところで、背後からの人の気配。
振り返るのと声を掛けられるのは、ほぼ同時と言ったところか。
「部外者は例外なく、な。――ふむ、何処かで会ったか?」
物見台は拠点防衛に於いて軽んじられる事はない。
つまり、関係者以外立ち入り禁止であって然るものだ。
追い出すか、と考えたところで、ふと首を傾げるのだ。
何か、覚えがある。
■クロステス > (確か、此処は立ち入ると咎められる類の場所だった気がしなくも無い
普段ならば誰かしらが通路を通せんぼしていた気がするのだが
この騒ぎの時分で、一時的に居なくなってしまったのかも知れない
部外者といえば部外者であり、関係者と言えば関係者で在る気もする己の立場は
今の所は「外部からの医療従事者」的な扱いになって居る筈
其のあたりの寛容さ加減は、砦を実効支配している集団の裁量次第だろうけれど
――さて、声を掛けた相手が振り返るなら。
既視感を感じるような物言いに、一寸瞳を瞬かせ。)
……うーん、如何だったろうね?
在ると言われれば在る様な気もするし、無いと言われれば無い様な気も…。
……、…あっうん、無関係だよ無関係、キノセイダヨー。
(顔見知り、と呼べる人間は多くはないが、少なくも無い。
其れこそ一期一会レベルの邂逅だったなら、此れまでに幾つも在った筈だ
だから、如何だろうね、何てはぐらかす様に、へらりと笑って見せたのだけれど
――相手の、其の特徴的な頬傷に視線が留まり、おや?と僅か首を傾げてから
くるりと視線逸らして、カタコトめいた言葉で否定の音色を紡いで見せようか
――思い出した。
何処ぞの門番として名の知れた部隊に、副官だかで居た筈だ。
尋問用の薬品やらを開発して届けた際に、確か一度彼女自身が取り合った事が在る。
思えば、アレが自分の最後の仕事だった様な気もするが…兎も角
何でこんな処に居るんだ、なんて)。
■エレノア > 問えば、何とも歯切れの悪い答えが返ってきた。
とはいえ、鼠が身一つで入り込める程の防衛力ではないのだから、少なくとも侵入者というわけではないのだろう。
それでも怪しくないわけでは無いのがミソだ。
おもむろに弓と矢を持てば、その切っ先を相手に向けた。
勿論、誤射や暴発をさせるわけにはいかないので、弦を引くような事はしないが。
「要領を得ない奴め。とりあえずは薬師か何かと言ったところか?
私の記憶にあるにせよ何にせよ、直ちに立ち去る事をお勧めしよう。
手が早いのが、私の欠点でな。」
あからさまな敵意、というわけではない。
ただ単に、自身に与えられた任務を全うしているだけの事だ。
要塞の防衛。
問答無用で攻撃を仕掛けるわけではないが、それでも警告はした。
従わない場合、今度は弦を引き、それでも尚居座るようであれば、今度こそ矢を放つのだ。
其処に、躊躇は一切ない。
■クロステス > (弓を番えられれば、合わせてひょい、と両手を掲げて見せた
視線は逸らしたままだけれど、一応無抵抗は示してみる心算
彼女が既に、彼の時と異なる立場である事を知らぬからこそ
軍属連中と出くわすのが厄介、と思っているのが原因なのだが)
―――……あー、あー、まぁホラ落ち着いて、一介の薬師だからね?
と言うか、一応こっちに薬とか卸しに来ただけだから、敵じゃないよォ。
(撃たれては困るとばかりに、本当なら視線を合わせたい所なのだが
正体バレるのが懸念で相手の方を向けていないから、怪しさは残るだろう
――ゆっくり、ゆっくりと、あわよくば部屋の中へと踏み込んでいた脚を
また部屋の入り口辺りまで後退させようとするけれど
強硬手段での逃走も視野に入れて、そっと、袖口まで麻痺毒の棘蔓を這い登らせた)
■エレノア > 相手が無抵抗の姿勢を見せようとも、弓矢を下ろす事はない。
一歩、また一歩と相手が下がるに合わせて此方は前進する。
追い詰める様に、追い出す様に。
「敵であるか、そうでないか。そんな事はどうでも良い。
此処に立ち入るに正当な理由があるか、そうでないか。
それだけだ。それに……。」
矢継ぎ早に言葉を放ちながら、女の手元からは小さくキリキリという音がなった。
少しずつ、弓の弦を引き絞っているのだ。
未だに相手の素性が分からぬ以上、警告2つ目、といったところであろう。
「それに随分と挙動不審ではないか。まさか、向こうの間諜ではないだろうな?
どうした、何故目を合わさん。」
言葉を続けた。
尤も、仮に間諜だとすればいよいよもって相手がこんな所に侵入する理由は無いのだが。
物見台を標的にする間諜など聞いたことがない。
それに、視線が合わない様子にも疑問を覚えるのだ。
疚しい事がないのならば……と。
■クロステス > (追い出されているのか、其れとも追い詰められているのか
何れにしても、自分が色々と不味い状況になって居るのは確かと思えた
弓を引き絞る音が、警告を通り越して詰問の様に聞こえるなら
相手の想定とは別の方向で追い詰められている気分になる
まだ、視線は合わさない。 ちらりと、一瞬だけ横目で相手を見やったけれど)
はは、いやいや、ちょっと迷子になっただけなんだよねぇ…。
って、いやいやいやまさかソンナ。 そーゆーお仕事は前線の人に任せ…あっ、今の無しで。
(うっかり口が若干滑った。
…滑ったというよりは、軍属だった頃の物言いが出たと言うべきか
何れにしても、ただの薬師では無い、とは感付かれてしまうやも知れない
自分が元居た所に女が足を進めれば、其処に独特な花の香りが混ざるだろうか
香水にも似た其れは、けれど、調合される香りにしては甘さの強いモノで)
-――おっ…と、と…?
(そして、ふと。 背中が壁に触れる。
後ろを見ずに後退していたせいで、廊下に出られず、其の横の壁へと追い詰められる形となれば
文字通り後がない事を肩越しに振り返って確かめ、其れから
若干引き攣った笑みで女の方へと視線を向けて――一言だけ、呟こう。)
―――……見逃してくれると在り難いんだよねぇ…。
(漸く、まともに相手の方を見たなら。
はて、相手は思い出せるだろうか。
或いは、思い出せても逆に、此方の状況が悪くなる可能性も在るのだけれど)
■エレノア > 「ほう……。」
相手の言葉に、僅かな呟きと共に目を細めた。
今のは無しで、の、その前だ。
「前線に任せる?前線に任せると言ったな?やはり貴様は……。」
向こう側の人間か、と。その言葉が続くのだ。
よもや敵国の侵入を許してしまっているとは、この吉事に便乗して乗り込んできたのか、と思考するところ。
鼻に付くのは妙に甘い匂いだ。
それが気になり、スンスンと鼻を鳴らすように何度か匂いを嗅いだ。
紛れもなく、目の前の男から発されてるものなのだろう。
香水?だとしたら随分と甘ったるい匂いだ。女の側からしてみれば、男が身に着けるには些か趣味の悪い匂いと言った感想を。
だが、その思考すらも吹っ飛んでしまうのは、目が合った瞬間。
思い出した。
「――貴様ァ!」
かつて、会った事がある男だ。
それも、魔族の住まう領域で。つまり、つまりは。
自分の目の前に、こうも怪しく魔族が立っているという事は、追手か。
尤も、真実は想定外なのだろうが。つまり、相手も己も、魔族である事を公にしていないという事実。
だがそんな事は関係ないとばかりに、更に弦を引き絞るのだ。
今にも放たんと。
■クロステス > 面白いなんて事は無いんだけどなァ…、……あー、うん、やっぱり覚えてたかー。
(ですよねー、と微苦笑を零す。 当然だ、見逃す筈も無い。
こんな所に居る筈が無い相手なのだ、己にしてみれば彼女こそが
密偵であり、追っ手であるとしか思えないのだ
互いに互いへと疑念を向け、そして、彼女の敵意が一気に増したなら
其の叫びと共に、少しばかり肩を落として、それから。)
―――……こんな所で出会うとはね…僕も運が悪い。
キミには悪いけれど…少し、押し通させて貰うよ。
(――瞬間、彼女の番える弓の、其の射線上から身を翻し
白衣の袖口から伸ばした植物めいた蔓を三本、二本は其の両腕に絡み付かせる為に
もう一本は其の腹部辺りを目掛け、先端に針の様な細い棘を携える其れを放ち
狙うは麻痺毒の投与、其の効果は当たるか否か、そして注入出来た量次第
其れが叶わなければ、純粋な戦闘力で彼女に適うとも思えない――先制の一手)。
■エレノア > 半ば諦めた様な相手の言葉にも動じる事は無く、引き絞られた弦は最大限の力を溜め込んでいる。
これを離せば、相手の肩口辺りへと一直線だ。
直ぐに殺害するつもりはない。聞かねばならない事があるからこそ。
「言えッ!誰からの差し金だ――ッ!!」
彼を、魔族側からの追手であると判断した故の問いだった。
だが、言葉を放つと同じタイミングで、相手が動いた。
咄嗟に、矢を放とうとし。
「ぐッ……!」
熱くなりすぎた所為で、普段ではあり得ない失態。
相手の技を難なく受けてしまったのだ。
蔓が両腕に絡むと共に、制御を失った矢は明後日の方に飛んでしまう。
それは問題ではない。問題は、もう一本の蔓だ。
ただの蔓ではなく、先端の細い棘が不味かった。
鎧の隙間から侵入する棘が刺さり、その毒の注入を許してしまう。
「あっ……」
どれだけの注入を許したか。一度痙攣する様に全身を震わせたかと思えば、力なく両膝を付いた。
■クロステス > ――――……それは、こっちの台詞なんだけど、な…っ!
(乾坤一擲、外せば弓矢の餌食になるのは目に見えている
其のタイミングは恐らく僅かな差だった事だろう、肩に一撃貰う位は覚悟していたのだから
どさりと、床に飛び込むような形で放った蔓が、其の腕を戒め、鎧を通す
薬液を注入するに特化した針の先端が、肉へと突き刺さった微かな感触を覚えれば
番えられた矢が壁へと当たって弾かれ、女が其の動きを止めるまでを見守り
そして、其の内に床へと膝をついたのを確かめてから、ゆっくりと身体を起こす、か)
―――……ふぅ…危なかった、運が良かったね…。
……さて、本当だったら、さっさと逃げてしまった方が良いのだろうけれど。
(白衣に付いた埃を払い落としながら、ゆっくりと女の傍へと近づいて行く
両腕の拘束と、突き刺さった針は其の儘で、其の目前に、ゆっくりと屈み込んで)
―――……先ずは、折角逢えたのだし、ご挨拶をしないとだ。
それとも、其の必要も無いかな? 随分な嫌われようだったしね。
(――呟きながら、麻痺毒の注入を続ける。
少なくとも、其の四肢の動きが儘ならない程度と為るまで投与を為せば
両腕を戒める二本の蔓が揺れて、其の腕から弓を取り落とさせるだろう。
――ふと、開いたままだった物見台の入り口、其の扉を、袖口から伸ばしたもう一本の蔓で閉めれば。
下層で、戦果を挙げた事による騒ぎや、宴の気配が届く中
この場を人気から隔離して。)
そうだね。 ……何の目的が在って、こんな所に潜んで居たのか。
……まぁ、キミみたいな軍人は、そう簡単に教えてはくれないだろうけれど。
これが対等な質問じゃ無いって事は、判っているよね?
(そして――問いかける、其れは。
もし彼女の矢を受けていたら、逆に己が向けられただろう問い掛け。
刺さった儘の針が、相手にとって脅しであるという事を意識させながら
あくまで、声音は先刻よりものんびりとした音色で)。