2023/03/21 のログ
ヴァン > 「……山賊退治でも良かったんだが。まずは簡単なのから慣れておかないとな」

一人呟くと、刀の鞘を軽く撫でた。装飾なのか、鞘には黒い布が巻かれている。
この刀を拾った時、オーガを二太刀で斬り伏せた男にはゴブリンで勘を取り戻す必要などなさそうだったが、
閉所・対複数戦闘としてこの場を選んだようだ。よく見るとゴブリンの躯には味方の傷によるものも見て取れる。

「異国では、この害獣のみを専門に狩る者がいるそうだ。詳しくは知らないが、一流のハンターなんだろう。
ゴブリン退治は駆け出し冒険者の仕事と相場が決まっているが、労力の割に旨味はないからなんだよな……」

延々と呟く。声をあげることで、周囲に己の存在を知らせている。
戦闘か逃走か交渉か。無視することなどできやしない。
それがない、ということは――つまり、そういうことなのだろう。

ヴァン > 部屋の隅に鎖で繋がれ、腕を縛られたものを発見する。生体反応はない。
かつてゴブリンだったもの。他の巣から攫ってきたのだろう。異種族の男からしても眉を顰める姿だった。

「…………」

首からさげた聖印を掴み、目を閉じ祈った。
ゴブリンは邪悪な種族だが、彼等とて望んで生まれた訳ではない。
安らかな世界に旅立てることを神に――存在しない神に祈る。
とはいえ、墓標を立ててやるほど暇人でもない。

しばし後、男は洞窟から出ると入口を爆破して崩落させた。この跡が発見されるのはいつの日か――。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/洞窟」からヴァンさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──夜。

森の中のちょっとした広場になっている場所で、焚き火をしている金髪の男が一人。
焚き火の上で鍋に火を掛け、スープらしきものを調理している様子。

その傍らには、銀色のテントが一つ張られている。
テントの金属質な銀色の表面は、焚き火の光を反射して周囲を明るく照らしており、
遠くからでもかなり目立つだろう。

やがてそのテントの出入り口から、のそりと人影が姿を表す。
それを受け、男はゆるりと首を向けて笑みを浮かべ。

「──おや、お目覚めですかな?」

なんて、気安く声をかけた。
そこにいたのは男に最初から同行していた者か、あるいは道すがらに男に救助などされたりした誰かか──。