2023/03/13 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からベルさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にヴェルニールさんが現れました。
■ヴェルニール > 先々週あたりにちらついていたのが雪の果てだろうか。
駆け足でやってきた春の足音が聞こえて、ふと思い立ち。
郊外へと出てみる口実を自分に与える為に、ギルドに顔を出してそれらしく薬草採取の依頼などを受けてみたのだが。
特段差し迫って懐具合に困っている、という訳ではなく、序でのようなもの。
常に一定の募集はあるような、期限もあって無いに等しい類の依頼で求められている薬草を籠にひと盛りほど摘み終えれば、まだ陽が傾く前の頃合い。
木々に色付く、白色に紅色の丸い花弁はすっかり満開を越えていて。
ふわり、と肌をくすぐる柔らかな風に髪をかきあげる。
暖かくなって春雨に薫る土のにおいとふくよかな甘い香りに目を細めて、
木陰に腰を下ろして携えてきた弦楽器を弾き始める。
「…暖かくなると、彼らも動きやすいんでしょうかねぇ…。」
動物に混じって、周囲にちらほらと魔物らしい気配は漂っているが、特段凶暴な種ではないので気に留めず。
正確には、暖かくなってヒトの動きが活発になっているから、という処もあるのかも知れない。
身体の前に立てたセロの弓をまっすぐにひき、古めかしくも春の訪れを感じさせるような音色を奏でて。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にクレイプニルスさんが現れました。
■クレイプニルス > 雪の降る季節も終わりに近づき、駆け足、と言って良いのだろうか、春の気配も感じるようになってきた。
こういう日は、野に出るのがいい。貴族として居たくもない屋敷にいるなんてもっての他だ。
ギルドで簡単に、魔獣討伐のクエストを受け。喜びヶ原へと。
といっても、このクエストが目的なわけではない。春の兆しの出始めた、世界を見るのが目的だ。
まあ、片目でしか見られないのだが。
喜びヶ原に到着すれば、街中では感じられない、春、というものが、花に、木々に感じられるのが楽しい。
「やっぱ、これくらいの時期が一番気持ちいよなぁ……ま、秋も捨てがたいけど」
そう呟きながら取り出したのは、獣を追い立てるために使われる笛。だが、今日使うのはそのためではなく。
ゆっくりと、やはり笛は笛なので、音楽を奏でる。
~~~♪ ~~~♪
ふと、耳に、笛ではない音色を感じる、どうやら、先客がいたようだ。
丁度いい、軽くセッションして、挨拶しようか。そう思い。
その春の訪れを奏でる、古い音楽に合わせるよう。
新しい季節が来た喜びを感じられる。そんな音楽を吹きながら、近づいて行って……
■ヴェルニール > 薬草籠を傍らに、仕事をし終えた体ではあるが、街道に独り目的もなく佇んでいればそれはそれで怪しく見えるだろうから。
…まあ、仮に目的なくふらついていたとて、誰が咎める訳でもなし構わないのだけれど。
今日の目的はどちらかといえば、気儘なピクニックの延長線上。
郊外に出れば春の気配に心も常より弾み、酒場や街の広場で披露する機会の方が多い弦楽器も緑に囲まれた中では、違った響きにも聞こえるもので。
音を楽しんでいれば、いつの間にか、遠くから聞こえてくる笛の拍子。
所謂犬笛だとか、獣笛と呼ばれる物だろう。
ヒトには聞き取りづらい音も混じっている故に、余計に耳が拾いやすい。
…が、勿論獣を追っているような響きではなく。
その音色が、セロの旋律と重なるようになれば、くすり、と笑みを落として。
気配と共に楽士が近づいてくるまで、そのまま弾き続ける。
「…おや。陽気に呼ばれておいでですか。」
暫く前から見えていた彼の姿に、視線をちらり、と送った後。
適度な距離で足が止まれば、改めて顔を上げ、笑みを落として。
■クレイプニルス > 音楽を奏でるための笛ではないが、一応これでも、笛の楽器としての吹き方は「貴族のたしなみ」という奴で習っている。
なので、相手の楽器ときちんとセッションすることができた。
そうしつつ、そのセロ弾きの相手を見つければ、適度な距離を保ちつつ。
「ええ。段々、春の香りがしてきましたからね、こういう時は、楽器を奏でるに限る……んですが、俺の手持ちの楽器と言ったら、これくらいなので」
陽気に呼ばれたかという問いには、そう答えて、獣笛を示しつつ。
適度な距離を取るのは、まあ、安全策。どちらかと言えば、相手に対しての。自分はいわば粗暴な冒険者。少し距離があったほうが、安心だろうと言うもの。
相手の笑みには、すっと胸に手を当て。こちらも片目に笑みを浮かべて返答。
「俺はクレイプニルスっていいます。見ての通り、冒険者」
そう挨拶しつつ。
「……良い音楽でしたね。俺は聞いたことのない音楽でした」
まあ、冒険者が音楽など知ってるのかと言われればそれまでだが、これでも、色々音楽は聞かされている身分も持っているのだ。
だが、そんな自分も知らない雰囲気の音楽……古い時代のだろうか?
「もし、貴女が良ければ、隣良いですか?一人もいいですが、二人の方が安全性も。楽しさも……ね」
なんて、最近は見た目や声だけでは性別が判断できないことも、たまにあるので。
相手を女性と扱っていいのか思案しつつも、まあ、違ったら謝ればいいかと。
こういうちょっとしたしぐさに、育ちの良さが出てしまうのは、まだ修行不足なのだろう。
■ヴェルニール > 道具も使いようによっては立派な楽器。
実用目的以外でも、旋律として奏でた上でこちらが先に弾いている音に併せる事ができるのだから、嗜み以上に彼の腕も良いのだろう。
敢えて笛が奏でる高音に合わせるような弓を深くした弾き方に変える事もなく、かといって試しているような素振りはなく。
弾き方はそのままに、重なる音を楽しみ。
そうしていれば自然に旋律が馴染んでいくのも心地よい響きで。
「…ふふ。楽士どのは随分と風雅でいらっしゃるようで。
春が芽吹く頃になると、鮮やかな色に惹かれて暗がりから出てきたくなるものです。」
弦楽器を一旦脇へとずらして、傍らの樹に立てかければ空間を作り。
冒険者、と名乗る割には流麗な挨拶におや、と思うものの。
ほんの僅か、相手の目に触れるかどうかといった程度、片眉を持ち上げるだけに留める。
「これはご丁寧に。
私はヴェルニール、と申します。
見ての通り…ではありませんかね。気儘な空の下、楽器を弾いたりしております者で。」
一度立ち上がれば、腰を折って同じように礼を返し。
片手でどうぞ、と促しつつも座りなおす。
服装は男装…とも呼べそうなものだが、特段に性別を偽る目的はなく。
顔立ちに加えて、声は元から女性にしてはそう高くない部類。
何も説明せずとも、防衛策として――と大概の者は思うだろう。
実の処は単純に気分の問題だったりもするが、態々明かす事ではない。
「お気に召したなら嬉しいですよ。
――出典ははて、私も何であったのかは忘れて仕舞いましたが。」
それよりも、聞いたことのない音楽に初見で合わせられるという処に軽く感動を覚えながら。
■クレイプニルス > 「あはは。これでも、兵士とは別の意味で命のやり取りをする職業ですからね。こういう、季節の移り変わりを「綺麗だ」と思える心くらい、残しておきたいものです」
風雅と言われれば、いや、そこまではと言いつつも。
貴族に産まれて数少ないいい事の、教養や、季節への興味ができるほどの余裕が、こういう形で実を結ぶとは。
「ヴェルニールさん……ですか。なるほど。という事は、貴方の方が楽士ではないですか?」
そうふと疑問を浮かべつつも、隣に座っていいという事なら。と、隣へ座って。
近づけばわかったが、相手はきちんと女性の様だ。だが、性別感の薄い衣類を着ているというということは、まあ。言葉にするとアレだが。襲われないための防衛策だろう……と思う一方。
「でも、春先……動物だけではなく、魔獣なども活発になります。俺は戦える腕はありますが……王都外でソロで音楽を奏でるのは、些かリスキーでは?」
音楽に惹かれたのが、俺だったからよかったものの、音に反応する魔獣だったら……?
などと、少し、心配しつつ。
まあ、この人が十分強い可能性もあるが。
「ええ、良い旋律でした……音楽の内容もそうですが。弾き手の腕も。なので、合わせ易かったですよ」
自分が合わせられたのは。相手の音楽が合わせ易かったから。
合わせやすい旋律というのは、良い奏で手がいてこそ。
つまり……ヴェルニールさんの腕あってこそだ。
「獣笛ではなく、今度はちゃんとした楽器で合わせたいものです……まあ、冒険者なので。腕は手慰み程度ですがね」
そう、謙遜も込めた言葉を発してみようか
■ヴェルニール > 「ひとの世はいつも、常に四方に敵がおりますからねぇ…」
どうもお疲れ様でございます、などと。
まるで背広を着こんで小脇に革の鞄を携えた別の戦士を労うような口振りでしみじみと頷くも、目元が笑っているあたりは当人なりの軽口。
「移ろうものは儚くも美しいなどといった言もしかり。
…梅が落ちれば咲く花も楽しみですね。」
まだ蕾が膨らみ始めたばかりだが、花開くまでは数える程だろうか。
どこか遠い東方ではないが、この地であっても薄紅色が一面に広がる景色を目にすれば、浮かれて騒ぎ始める者もいるのだろう。
――春に限らず、色に狂っている者もまた多いのだが。
「そうですねぇ…楽士、でも構いませんが。
今の私は、森の中で偶然にも冒険者殿に出逢った、只のヴェルニール…とでもしておいて下さいな。」
その方が何だか運命的ではありませんか、と。
くすくすと肩を揺らして。
「…この周辺も気にはなっていたもので。
軽率でしたかね…?」
心配そうな面持ちを向けてくる紳士らしい素振りに、ぱちり、と瞳を瞬き。
下調べせずに来ているのは、単純に自分の腕に自信があるのか、森の浅いところなら、といった軽い気持ちなのかは伺えないだろう。
体躯からしても戦士の経験があるようにも見えないだろうし、魔獣でなくとも襲われれば――といった風に見えたとしてもおかしくない。
「それはどうも。
えぇ…改めての機会があれば是非。
貴方の音色も、もう少し聴いていたいものです。」
彼の雰囲気からして、笛以外にも貴族などと云われる類の人間が嗜む楽器は弾けそうだ、とは口にはせずに。
オルガンやバイオリンを弾く姿を想像して唇だけを持ち上げて。
■クレイプニルス > 「ええ、人として生まれた宿命……ですかね」
常に敵だらけと言われれば、実際そうなのでうんうんと頷いて。
移ろうものが儚く美しい。その言葉にも同意しつつ。
「ええ、俺はあまり木花に知識は深くないんですが……咲いて、落ちて、また咲いて……
その繰り返しは。なんだか、人生みたいですね。
あはは、タダのヴェルニールさん。ですか。良いですね。確かに。その方が身近に感じられます。」
運命的。なんて言葉を使われれば、やはりドキリとしてしまうのは男だからで。
下調べもせず、軽率にここに来たことに関しては。
「ふふ、次から。格安で護衛しますよ?
なんてね。まあ、一人で自然を見てみたい。それもわかるので。
咎めはしませんが…やはり、危ないですよ」
そして、再び獣笛を取り出し。
「では、再会を祈って。もう一度、合せましょうか。その後、王都まで護衛しますよ」
そう言って、二人。自然豊かな喜びヶ原で、笛とセロのデュエットがしばらく。奏でられたとか……
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からクレイプニルスさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からヴェルニールさんが去りました。