2022/10/01 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にリーネさんが現れました。
■リーネ > 男が焚き火を眺めている最中。
がちゃん、と言う音が響き。
暫くしてからもう一度、ガチャン、と言う音が響く。
何度もがっちゃ、がっちゃ、がっちゃ、と鉄をきしむ音を響かせて。
しまいにはどんがらがっしゃん、と言う音までする始末。
男の言う面白いもんの一つでも飛び出したりしそうな気配がして。
■エレイ > 「──なぬ?」
不意に耳に届いた、この森の中に似つかわしくない種類の音に男は眉を持ち上げた。
少々間が空いたので気のせいか? と思いかけたところに更にもう一度同じ音。
男はぱちくりと瞬きをした後、のそりと立ち上がり。
「……なんだ急に鉄系の音鳴らしてきた。これはなんちゅうか本当に面白そうなのが来る展開か?」
更に間隔を狭めて鳴り響いてくる鉄の音。何やら派手な音まで聞こえてくれば、
もはや何事か把握できない状況にワクワク感さえ覚えつつ。
さて何が現れるのか、期待どおりに自分の退屈を紛らわせてくれる物なのか。
ともかく音の響く方に体を向けて待ち構える姿勢。
■リーネ > がさ、と草木を分けて転がってきたのは鉄の鳥かご。
鍵もかかっており、閉まっているそれの中。
空色の髪を流し、翡翠色の眼をした妖精が一匹。
「……。…………。………………」
がしゃん、と音を鳴らしてもう一転がり。
がしゃん、がしゃん、ともう一転がり。
「……。…………」
出れない、と言わんばかりに、翡翠色が男を見上げてきた。
鍵もかかってるし、頑丈そうな鳥かご、地面を転がした程度では確かに出られそうになくて。
■エレイ > 「なにっ」
やがて茂みの向こうから転がり出てきた物体──鉄製の鳥籠を目の当たりにして男は瞠目した。
しかも中に鳥ではない何かがいて、それが鳥籠を転がしているらしいことも解った。
更に転がされ続ける鳥籠に、男はおもむろに歩み寄ってしゃがみこみ。
やがて籠の何者か──妖精の少女の姿を認めると軽く驚いたような顔を見せ。
「……あれま、妖精チャンか。さては誰かに捕まって閉じ込められたかな? 籠ごと脱出してくるとは
大した根性だが……どれ、せっかくだから俺様が助けてやろう俺は優しいからな」
適当に事情を推察しながら、笑ってそう言いつつ鳥籠を拾い上げて垂直に立て直し。
少し離れていたまえ、と告げてから出入り口の部分に指をかけると、ぐいっと力任せに引っ張り、
バキッと音を立てて扉をこじ開けた……というよりは取っ払った。鍵も当然壊れた。
そしてその開放された出口から、彼女に出てくるよう促すように中を覗き込み。
■リーネ > 「……」
ばぎ、と言う鈍い音と共に取り払われた扉。
鍵? 無論壊れましたとも。
いいのだろうかこんな強引で、とも思いながらふよふよ、と羽を揺らしながら浮かび上がる。
「……ありがと……」
小さく声が響く。
体躯に見合った声音で、それが男にまで届くかはわからない。
ふよふよ、と浮かんだまま、男の目の前にまで飛び上がり。
さて、どうやってお礼をしようか、と悩みながら翡翠色が見つめる。
お礼は何がいいのだろう……と悩んだ末に娘は問いかけた。
「……お礼……何が、いいです、か?」
■エレイ > 「礼には及ばぬぇ。だが感謝の気持ちは素直に受け取るだろうな」
謝礼を述べる彼女の声は男にちゃんと聞こえていたらしく、ドヤ顔を披露しながらそんな返答を寄越す。
目の前にやってきた妖精の姿を、無遠慮にジロジロと眺め回しつつ。
「──ん、お礼? ハハハ、そんなん別に構わんぜよ大したことはしてねぇーしな。
キミが人間サイズだったら、もうちっと要求するものもあったのだが……」
続いて問いかけられた言葉に目を丸め。それからそんな気を使わなくていいとばかりに
眉下げて破顔しながら手をひらひら振ってみせ。
そして悪戯っぽく目を細めながら、ついでに一言付け足したり。
「……まああせっかくだから名前ぐらいは聞いておこうかのぅ。
ちなみに俺は謙虚な冒険者で旅人のエレイというんだが呼ぶときは気軽にさん付けで良い」
それから、彼女の名を訊ねつつ自らも珍妙な自己紹介を繰り出し。
■リーネ > 「……ん。リーネ……エレイ、さん」
名を問われれば、自身の名を返して。
人間サイズだったら? と言われ首を傾げてから。
何か要求でもあったのだろうか、と思いながら。
「……ぁ。……じゃあ、これ」
と言えば、羽をぱたぱた、とさせて。
光の粉のようなものが舞い散り始めて。
冒険者ならば聞き覚えもあろう。
妖精の粉と呼ばれる素材が今目の前で蛍めいて舞い散っている。
「……お礼に、なる、です?」
貴重らしい、と聞いているリーネはその蛍めいた光を両手にのせて差し出した。
■エレイ > 「リーネちゃんだな、よろしくだぜ。ってゆーか、なんでキミこんなモンに入れられてたワケ?」
教えてもらった名前を反芻するように口にしながら、笑顔でビシッとサムズアップ。
首を傾げる彼女に、まあ男の下卑た意図など伝える必要もないだろうと特に何も言わず、
話題を変えるように、壊した鳥籠を持ち上げながら事情を訊ねてみて。
「──お? ……ほうこれは妖精の粉だな。そうだなせっかくだから頂いておこう
感謝の気持は素直に受け取ると言ったばかりだしな。サンキューだぜリーネちゃん」
不意に羽をはためかせる様子に眉を持ち上げれば、輝く鱗粉が舞い上がる様子に声を漏らし。
どうにかお礼をしてこようとする彼女にへらりと笑うと、差し出されたそれを受け取りながら
指先で軽く彼女の頭をくいくいと撫でて。
■リーネ > 「……ん……外で寝てたら……捕まってそのまま」
そしてどこかに売られそうになった。
が、商人の荷物から跳ねたところをさらに押し込んで飛び出したものはいいものの、出られずに転がっていたらしい。
そう。一日中。
それ故に。
くぅ、と小さく娘のお腹が鳴るのも致し方なく。
お腹の音に顔を赤らめてから、ふよふよ、と地面に着地する。
飛ぶのも力を使うから温存するために。
「……ん……」
指先で撫でられればくすぐったそうにして。
■エレイ > 「あー……なるほどなという顔になる。妖精を勝手に捕まえる恥知らずが悪いのは
大前提として、寝る場所はもう少し考えたほうがエエかもしれんなあ」
事情を聞けば苦笑を漏らしつつ。
彼女からか細い腹の虫の音が聞こえてくると、キョトンとした後くっくと小さく笑って。
「……あんだけ頑張れば腹も減ってしまうのは仕方のないことだった。しゃあねえな、
何かキミにおごってやろう。と言っても妖精に何を食わせたらいいのかというのはサッパリだが……
リーネちゃんは何か欲しいものはありますかねぇ?」
着地した彼女の赤い顔を眺めながら楽しげにそんなことを訊いて。
旅の中で妖精という存在とは何度か遭遇したが、まあ色々いるものなので何を与えたらいいのか、というのは考えどころであった。
魚とかは食わないだろうなあ、なんて焚き火の方をちらっと見遣ってから、
とりあえず本人に要求を問うてみることにして。
■リーネ > 「……なんでも、大丈夫……です」
食べられるものはなにか、と聞かれれば、お魚でも大丈夫。
そう、視線をやった男に答えながら。
「……寝る場所……」
妖精もいてもいい宿なんてものは早々多くはないようで。
野宿しているのもそういう理由でもあって。
「……」
一番いいものは、要求するには憚られるもの。
だから、それは言わずに、焚き火の方の魚をもう一度ちらっと見て。
■エレイ > 「そう? じゃあまあとりあえず俺の飯を分けてやるとしようかのぅ。ちょいと失礼して、と……」
なんでもいい、との返答に笑うと、とりあえず焚き火の方へ戻るべく彼女の体を
断りを入れてからひょい、と両手で持ち上げ。
「ウム、こう人目につきにくいトコとか……安全そうなトコにねぐらを作るべきだと思った。
今日のところは俺のテントに泊めてやろう迷惑でなきゃあだが」
寝床について考えている様子の彼女に軽いアドバイスめいたことを言いつつ、
とりあえず今宵は自らのテントに招待することを提案し。
「──さ、食いたまえ。ちょっと熱いぞよ」
焚き火の前まで戻ってきて腰を下ろすと、彼女を自らの肩の上に座らせ。
程よく焼き上がった魚からひとつまみぶんの身をむしり取り、彼女の手元に差し出し渡そうと。
■リーネ > 持ち上げられ、肩にのせてもらえば、そこにちょこん、と座り。
「……ん、ありがと、です……」
人間のひとつまみ分であっても妖精の体にはだいぶ大きい。
それを両手で受け取りながら頬張り。
もぐもぐ、と食べながら体内で魔力に分解していき。
妖精の羽の輝きも取り戻されていく。
そして、今日のところはテントに泊めてもらえると聞き、頷いて返して。
「……安全そうなところが確保できて、安心した、です」
よかった、と安堵のため息を漏らしながら。
男と二人、夜空の下でお魚をもぐもぐとしながら。
■エレイ > 肩の上で彼女が食べる様子を横目に眺めつつ、自分も残りの魚をもっしゃもっしゃとかっ喰らってゆく。
少しずつ元気を取り戻しているのが羽の輝きから見て取れれば目を細めつつ。
「ウム、お前全力で安心して良いぞ。……俺はどちかというと女好きタイプなので、リーネちゃんがもし人間サイズ
だったらちくと安心とはいかなかったかもしれねぇーがな、ヒヒ」
安堵する彼女にまたドヤ顔をしつつ大きく頷いてみせ。
また悪戯心が鎌首をもたげたか、そんなことをのたまいながらちょんちょん、と
彼女の腰のあたりを指先でつついてみたりして。
■リーネ > 「……一応、入りはする……ですけど」
腰を突っつかれ、魚を口に含んだまま言って。
この身体はそういう特性なので、と言う。
行為は出来なくはないのだ。出来なくは。
「……する、しないは、任せる、です」
興味がないのならないで別にいいし、あるのならあるでも構わない。
精液は魔力に優れたものなので取り込むにもいいし。
そんな事を言葉少なく語りながらまた、お魚を口に含んで魔力に分解する。
羽の光がそれに伴って強くなっていき。
■リーネ > そうして男との二人の夜を過ごしたのだとか。
その後、街への帰り道を同行したとか。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からリーネさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からエレイさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/森」にスミデーさんが現れました。
■スミデー > (森の中、恐らくは木こりが休憩用にと拓いたと思われる木々が切られて広場になっている場所で、魔物の採取にとやってきていて昼が近いことが太陽の位置から推測されて昼休憩を取っていた。
側には大型のオオカミの魔物、木の上にはハーピー、そして地中にはワーム系の魔物を潜ませておき、警護を固めた状態で火を熾して焚火をし、近くの川で捕まえた魚を十数匹木の串に刺して焼いている)
「なかなか魔物に出会わないな……まだ森の浅いところだからもうちょっと奥に行かないと駄目か。
まぁ、急ぐ旅でもないしのんびり行くか。
それにしても、最近は人とあんまり出会わないな……こういう人気のないところを巡ってるから仕方ないと言えば仕方ないか」
(自分の屋敷で休む時以外は、魔物採取の為の探索で人の余りいないところを移動しているため、余り人に遭遇しないのは仕方ないことで。
偶に町へ行くことはあるものの、最近はその頻度も減っている為、人と出会わないなと呟く。
すると横にいたオオカミが慰めるようにすりすりとしてくるのを、よしよしと頭を撫でたり顎をくすぐったりとじゃらしている)
■スミデー > (しばらくして魚が焼けて、それを召喚魔たちと分け合って食べて。
ひと時休憩を取ってから広場を出発し、森の更に奥へと向かい歩いていった)
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/森」からスミデーさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯のどこかにある洞窟」にソティさんが現れました。
■ソティ > 日の光も届かない洞窟の奥。
先を見通す為の灯り1つ持たない人影が暗い洞窟内を進んでいた。
暗闇でも見通せるのか、他に何か方法があるのか。
蹴躓く事なく歩く様子は、誰かが見ればそう思える程にしっかりとしたもので。
「…………」
その人影は言葉1つ発する事なく歩み続ける。
身丈は小柄な部類で、何か長い物を両手で抱えている様に見えるか。
今のところは周囲を気にする様子もなく、目的がはっきりとしているのか真っ直ぐに歩いており。
暫く歩いていた後、不意にその足を止めた。
見えているのならば、この洞窟の奥のどこか、行き止まりらしい場所だと分かるだろう。
そこに目的の物があるのか、その人影は壁の前まで歩み寄る。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯のどこかにある洞窟」にエルビーさんが現れました。
■ソティ > 壁を手で触れて何かを確かめる。
何かを象っているかの様に壁を撫ぜ、その手を離し。
抱えていた長い物の先を握り締めた。
それは鞘に収まった剣、握ったのはその柄、握りの部分。
スラリと剣を鞘から抜けば正眼に構える。
剣の抜かれた鞘は手から離れ、その傍らにフワリと浮かんでいて。
「……こうして…こう」
そんな呟きと共に構えた剣が振るわれる。
壁に向かい、一振り、二振り、三振り。
その切っ先は壁を斬っているのだろう。
普通、そんな風に壁へと剣で斬り付けたなら弾かれるなりするのだろうから。
そして数度斬った後に、ゆっくりと鞘へと収めた。
■エルビー > 「はぁ~~~、すっごいのぉ~~~。」
自然地帯にあるという珍しい鉱石を探しに来ていたが、目的のモノとは違うものを目撃する。
薄着の小柄な少女が洞窟の奥へと歩いていたのだが、不似合いなほど大きな剣を持っている。
それをどうするのかと思っていたが、なんと洞窟の壁を剣で斬っている。
余はあまり物騒な場面は好まないのだが、これには感動した。
だから、思わず口から声が漏れてしまう。
漏れた後で慌てて手で口を塞ぎ、岩陰に屈んだ。
頼む、仮に見つけてもあまり怒らない人であってくれ…。
■ソティ > 鞘へと収めた剣は、そのままで宙に浮いていて。
そして背後から聞こえたであろう誰かの声には、無反応だった。
上がったのが感嘆の声だからか、その対象が自分であっても気にしていない様子なのもあるし。
それから続いて声を掛けたのならば反応したのかもしれないが。
口を塞ぎ岩陰に隠れた様な行動をしたからでもある。
そんな背後に居る誰かが見ているのだろうが、それを隠す様な事もせずに。
コンコンッと斬ったであろう壁を数回ノック。
すると、ガラガラと壁の一部が崩れ落ちた。
そんな崩れ落ちた壁の残骸の中へと手を突っ込むと、そこから取り出されたのは子供の拳大の大きさの宝石の原石。
彼女の目的はそれだったのだ。
■エルビー > ううん、向こうは余の存在に気づいていながらあえてスルーしているようだ。
本来は喜ぶべき場面なのだろうが、なんだかちょっと寂しいような。
それにしても、向こうは動きに無駄がないな。
壁をノックするのも早いと言うか、まるで何かがあるのを気づいているかのような。
おぉぉぉ、なるほど。 このために剣で傷を入れていたのか。
で、手にしたのは…。
「あぁぁぁ~~~!?」
余はここで大声を出してしまう。
何を隠そう、余が探していたのが向こうが手にしている原石だからである。
「おぉぉぉぉ、お主。
その石をどうするつもりなのだ。」
余は岩陰から飛び出し、少女に向かって声を掛ける。
と言っても、声は震えているし、動揺が目に付くだろう。
■ソティ > 目的の物は手に入ったし、後はこの洞窟を出るだけ。
浮いていた剣を改めて胸元に抱えてから、出口へと向かおうと一歩踏み出した、その時。
腰に引っ掛けた小袋に入れようとした原石に、その誰かが反応を見せたみたいだ。
隠れたり出て来たり忙しい、との印象を抱くも。
手にしたままの原石の事だろう、それを示す様な言葉に小さく首を傾げた。
向ける眼がジッと出て来た相手を見詰める。
それは相手がどんな相手なのかを見定める為に向けられているものだろうか、と思わせるもので。
少しの間黙って見詰め続けていた後に。
「……売る…お金がないと、不便みたいだから」
動揺している相手とは真逆に、抑揚の無い声で彼へとそう返した。
■エルビー > あわわわ……。
不意に飛び出してしまった。
だが向こうはこっちを観察するだけ。
短くて長い時間が流れた後、目的は金だと口にする。
「なるほど! お金が目的なのか。
ならば余に売ってはくれんか?
ゴルドはちゃんと用意してある。
ちなみに幾らで売る予定だ?
金額にもよるが希望価格で買い取れる…と思う。」
随分と落ち着いた相手だ。
悪意を向けられるよりはいいのだが、なんだか勝手が分からない。
とりあえず、余は石の買取を提案することに。
この石は余が所有しているマジックアイテムの部品に丁度良い。
買い取ること自体は問題がない。
問題があるとすると、向こうの売値と、向こうがそもそも余を信用するかであるが。
■ソティ > どうやら、お互いに目的が噛み合っているらしい。
売る為に原石を手に入れた自分からすれば、買い取ってくれるのならば手間が省ける。
「……買い取るなら、問題無い…と、思う。
いくら………いくら…?
…よく分からないし、任せる」
彼の提案には乗ると、それを伝える事はするのだが。
売ろうとする金額を聞かれると、逆に自分も聞く形になってしまう。
こうした宝石や金属の原石は売れる事は知っているが、それだけで相場等には全く疎い。
だからこそか、信用出来る出来ないに関わらず買い取れるのならば、との考えで収まってしまうのだった。
■エルビー > 「ふむ…。」
素直に売ってくれるようだ。
だが、生憎向こうは相場と言うものを知らないらしい。
「そうだなあ…。この大きさでこの種類となると
2000ゴルドはするのだが。
それよりお主、一人で活動しているのか。
相場を知らない様なら買い手は都合がいい金額で買い取ってしまうぞ。
お主、そういった経験はないか?」
石を買い取るのは確定したとして、気になるのはこの少女だ。
剣のことと言い、なんだか浮世離れしている。
それはいいがこの感じでは少し心配になるな。
■ソティ > 彼が教えてくれる相場、その値段を聞いて考える。
人の中で暮らし、変に思われない程度の生活感。
それを感じさせる程度の手持ちがあれば良いのだから、その値段で十分だろう、と。
しかし、話はそれで終わりではなかった。
彼の質問を頭の中で反芻し。
「……私達は、私達…貴方も、1人…何か、おかしい…?
…難しい事は、よく分からないけど…前の宝石も、売ってお金にして、宿代とかになった。
だから…大丈夫……?」
自分からすれば一人といった考え方はないのだが、誰かから見たら一人とされてしまう。
それは経験している為に理解出来るのだが、それを不思議に思っているのなら、彼も一人みたいだからおかしい。
そんな純粋な考え方をそのまま伝えながらも、次の質問にも素直に答える。
相場を知る立場からすれば、その宝石がどんな値段の付けられ方をしたのかが気になるかもしれないが。
彼女の大雑把な説明では正しいかどうかの判断は難しいだろう。
■エルビー > 「とりあえず、先に渡しておくぞ。」
話の途中だが、余は2000ゴルドを少女に手渡す。
ちゃんと皮袋に入れた状態でだ。
「私達…私達と言うのはその剣も一人換算ということか?
そうだな…余が言いたいのは。 余なら宝石の金額などを把握できているから、
冒険の仲間にどうかなと思ったわけだ。」
どうやら、剣は彼女の仲間なのか?
思わぬ言葉に余は驚き、ますます興味をひかれる。
それとこの少女は思った通り世間ずれなどはしていないようだ。
これでは騙し取るのも容易いだろう。
余の方で何かしてあげることができるのならしてあげたいのだが。
■ソティ > 「……なら、これ」
2000ゴルドを渡しておく、と言う。
それが入っているらしい皮袋を手渡されたなら、自分も手にしていた原石を彼に渡すのだ。
因みに中身をしっかり確認している様子は見られないだろう。
「……?…私は、この子だから…ただ、それだけ。
冒険…旅人だから、冒険者…とは、違う…けど…?
…それに…仲間、とかは、よく分からないし…
私は…使われてこその、私だから…」
難しい考え方は少々苦手なところがあるのだろう。
彼の質問に対する彼女の答え方で、そうしたところが目に映るところもあるだろうし。
その答えからは、少し窺い知れないような部分も見え隠れしているのかもしれないか。
ただ、好奇心の持ち主ならば気になるのは仕方無いだろうし、心配をさせるのも間違いはない。
自分の事を隠す気もないのもあれば、確かに世間からズレているのは会話を重ねる程に理解出来るのだから。
■エルビー > 「おお、頂いておこう。
やはり余の見立て通りだな。
それにしてもよく見つけたな。」
両手で石を受け取り、すぐに魔法で収納する。
この石の素晴らしさは近くで見ていただけでもう分かっていた。
「あれかな。 君はその剣とセットとか、そういうことかな?
もしそうだとしたら、主を探している最中なのか?
それとももう特定の主は居て、今日はたまたま一人だとか?
いやいや、これは余の推測だ。
間違っているのなら早めに指摘してくれよ?」
少女と持っている剣を見て、なんとなくそんな気がしてきた。
それならば少女の言葉の意味も理解できる。
外れていた場合、とんでもなく恥ずかしいことになるが。
何にせよ気になる子である。
それにいい子そうだ。
■ソティ > 「…………?」
宝石にしても鉱石にしても、自分からすれば見付けるのは難しい事ではない。
だからなのだろう、彼の言葉に不思議そうに首を傾げるのだが。
少し考えた後に何か理解か納得をしたのか。
「…こういうのは…感じるから、分かる。
この近くに…後1つ……離れて、もう1つ…ここには、後、それくらい」
と、そう答えてみせるのだ。
「…せっと…?…よく、分からないけど…私と、この子の事…?
主……特定の、持ち主…?…も、別に探しては、いないけど…
必要な時に…必要なだけ……私は、この子は…力を貸すの…それだけ」
彼の考える、自分と剣が同一の存在との予想に間違いはないだろう。
特定の持ち主という存在を持たない自由さを持っているのだと、そこまでは届いていなかったみたいだが。
その答えを聞けば、大体は理解出来るだろう。
ただ、そんな予想を外して何が恥ずかしいのか、との理解は出来ないみたいではあるものの。
間違っていたなら正せば良いのに、と思っているのまでは口にはしなかったみたいだ。
■エルビー > 「おぉぉぉ!?
凄いな君。 感知能力があるのだな!?
で、それらは君らなら取れるわけだな。
報酬を上乗せするので是非とも取ってくれないか。」
余は興奮して声を張り上げてしまった。
凄い。 凄いぞ。
この子は間違いなく凄い。
余一人なら精々さっきの一個で満足して帰る所だった。
「なるほど……。
では余と仕事仲間になるのはどうだ?
余は君の探知能力と剣の腕を必要としている。
それに余なら君の活動に必要な資金援助も出来るし、今みたいにお宝を買い取ることもできる。
余はエルビー・カルネテル。 王都の中に屋敷がある。 必要ならば屋敷に泊まっていってもいいぞ。」
余はもはや、興味どころではなかった。
本音を言えばこの子を身内に入れたいくらい。
だが、さきほどの返答で自由を謳歌してるとの事だった。
残念だが、それならば仕事仲間程度が妥当だろうか。
こういうのは相手が望む距離感が大事、と教わったことがあるからな。
■ソティ > 彼の反応に、思っていた通りだったのだという理解。
所謂感知能力というものは珍しいらしいのだと。
そして報酬自体には興味は無いのだが、さっきの宝石の原石はあればあるだけありあがたいようであるか。
そんな彼へと小さく頷いて返すのだった。
「……仕事、仲間…?
…今みたいに、探すのも、剣を使うのも…問題、無いのだけど…
剣、使っても…私は…殺めない……だから…剣の方は…期待、されても…困る…
貴方が……そうするなら…任せる…
買い取り、だけで……援助とか…は、他は…自分でも、出来るから…やるから、大丈夫…
…………私は、ソティ…」
答える内容が多い場合、何度も言葉を反芻する必要があるのか大変そうか。
少し考えるようにしてから答える、また少し考えて答える、の繰り返しを行う為に。
どうしても、その全てを答えようとして時間が掛かるようだった。
■エルビー > 「なるほど。 余は人を殺めるどころか傷つけることすら苦手なのでどうかと思っていたが。
そちらも無理ならそうだな…探知の能力で見つけた物を優先的に売りに来てもらえると助かる。
む、そうか。 ソティはあまり他人に干渉されるのが嫌いなのだな?
その剣と二人の旅を楽しんでいると言う訳か。」
余はソティが応え終わるのを待ってから口を開いた。
どうやら今この場でソティと仲良くなるのは難しいらしい。
それでも石の販売先として余の事を認識してもらえればいいだろう。
■ソティ > 「…無力化させるなら、大丈夫…だけど…
先に…手、出すのは…しない、決めてるから…
ちょっと、違う……出来る事は、自分で…したいだけ…
色々と…見てみたい、だけ…それだけ」
彼は殺める事どころか、攻撃をする事自体を嫌う傾向にあるらしい。
そう考えるなら、専守防衛としても後から手出しの出来る自分の方が少しは優位かとも考えられるか。
そして、干渉自体を嫌う訳ではなく。
自分のやりたい事をやっているだけなのだとも、彼へと伝えてから。
「……エルビー、次は…どうするの?
行くなら、すぐに行くし…何か…準備とか、あるなら…それからでも…大丈夫」
思い出したように、それを聞いておこう。
自分はどれだけ時間を掛けようとも何の問題もないのだが。
魔族である彼が同じとは限らないのだと。
■エルビー > 「余も基本的に自分から手を出すのは苦手だな。
できるとして精々拘束する程度か。
余の場合、加減を誤ると殺してしまいそうで怖いのだ。
だが、外で活動するとなると自衛位は必要だものな。
なるほどなるほど。 それなら余の手が必要なら言っておくれ。
余はソティの事が気に入ったし、喜んで協力するぞ。」
ソティは少しずつだが、自分の気持ちを正直に話してくれる。
温厚な性格のようで、余と気が合いそうな気がする。
「そうだな。 それなら折角だし、今からお願いしようか。
灯はつけて構わないか?」
余は手に小さな水晶を取り出した。
これは浮いて辺りを照らし出す優れものだ。
だが、ソティが嫌う場合使わなくても問題はない。
■ソティ > 戦いの上での立ち位置は互いに同じであると。
そして、何かしら必要があれば言えば良いと。
そうした話を続け、そうして決めていけば。
自分も頷き答えたりして話を続けていき。
「……分かった、そうする。
灯り…必要なら、大丈夫…私には、要らないだけだから…」
そして彼からも大丈夫である事を伝えられれば、早速と向かう事とする訳で。
灯りは必要不要なレベルなだけで、それを自分が嫌っている訳でもないと。
そう答えれば彼は灯りを付けるだろう。
自分は感覚で、彼は灯りを頼り、次の原石の元へと。
そしてもう1つの原石へと向かう事となるのだろうか。
■エルビー > 余は灯を灯し、ソティの後を付いて歩く。
お互い冒険などにおけるスタンスが同じなので、これはやりやすそうだ。
それにしても、このレベルの探知能力は凄いな。
余はこういう能力は人並みなので羨ましいとすら思える。
「どうだ? それ、一人で取れそうか?」
歩いて程なく、近くの石を見つけるだろう。
と言っても細かい場所が分からない余はソティの後ろから顔を覗かせることになるのだが。
ちなみにソティが剣を振るう姿を間近に見れるので、少々興奮気味だ。
■ソティ > 彼にはどう自分が見えるのかは分からないが。
自分はいつも通りの感覚を頼りに近寄って行くだけ。
そうすれば彼の目にも確かめられたのだろう、それが見付かる訳で。
「……?…周りを、斬り崩すだけ、だから…」
実際にはその通りに石壁を斬り刻む事は至難の業。
それは彼女の実力の高さを物語っているものか。
それとも手にした剣の能力の1つなのか。
どちらにしても自分と剣を1つの存在と言っているのだから同様とも言えるのかもしれない。
その手で剣を握り、収めていた鞘から抜いた。
今度の原石は壁から顔を覗かせているのもあってか、壁を触れて確かめる必要も無い。
ゆっくりと構えを取って、その原石の周囲へと刃を滑らせる。
さっきと同じ様に数度剣を振った後に、コンッとそれを小突いてみせれば。
ガラガラと周囲の壁が崩れ落ち、彼女の手には埋まっていた原石が収まっているのだった。
■エルビー > 「お、おぉぉ…。」
余も多少は剣を使えるので分かるが、簡単に真似できるような芸当ではない。
剣の性能も使い手の腕前もあるのだろうが、岩肌を綺麗に切り裂き、石を露出させる。
余は思わず両手で拍手をしていた。
今日はソティに丸々お任せとなる。
ソティの手には原石が。
最初の石より少し大きい。これは出力も申し分ないだろう。
「そうだな、これは3000ゴルドで買い取ろう。」
追加の代金分を皮袋に入れた状態でソティに手渡す。
代わりに石を受け取り、収納する。
「今日はこれくらいでいいかな。
この二つを加工してもらうだけで屋敷の者は忙しくなるだろうし。
さてソティ、これからどうする?
余は街に戻るが、良ければ送っていくぞ。」
■ソティ > 驚く彼とはやはり違い、彼女は表情1つ変えずにいた。
それが事も無げにそれを行っているのだと、そう彼には理解出来た事だろう。
次の原石も彼に買い取って貰い、代金を手に入れる。
思った以上の金銭だが収納場所には困ってはいないみたいで。
剣を鞘に収めながら、その皮袋も、その前に受け取った皮袋と同様に気付けば手元から消えていた。
収納手段があるならば剣も収納すれば楽だろうと思えるかもしれないが。
そうしないのは剣が一心同体とも思える言葉の裏付けとなっていると思えるか。
「……これから…マグメール、の王都…向かってるから…
お金…その為に、必要だったし…
…行くなら…私達も、行く…」
ここに来た目的が、そもそも次の場所へと向かう為でもあったのだ。
その目的も達したならば、向かうのには賛同し。
後は彼に任せる事となるのだろう。
■エルビー > 皮袋もゴルドもどこかに消える。
収納の魔法を使えるのだろう。
大物を発見することもある冒険者は皆保有している技術と聴くな。
「なるほど。
では余の魔法でひとっ飛びだ。」
灯を消してから、ソティと距離を詰める。
余が指を鳴らすと、次の瞬間王都マグメールの平民地区の中となる。
今日の冒険はここまでだ。
また会うことがあればいいなと思いつつ、余はソティの元から離れていく。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯のどこかにある洞窟」からエルビーさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯のどこかにある洞窟」からソティさんが去りました。