2022/06/12 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にツェアさんが現れました。
ツェア > キュッケケケケッケ!

鳥か獣か、奇怪な鳴き声ののちに
破裂音と共に森から魔獣のような影が打ちあがる。

それを追いかけるように飛び跳ねた人影がふわり、と森の中少し開けた場所に着地した。

「けけけ!」
少女のような姿の魔物は楽し気に笑い、新たな獲物を探すように周囲の気配を探るようなしぐさを見せた。

ツェア > 近くの木に手… 肩の細さに似合わぬ大きな獣状になった前足の爪をがりり、とあて
鼻先を伸ばして、くん、とあたりの匂いを嗅ぐような様子を見せる。

しばらくそうして、首をかしげると。
「逃げた。さっきの逃げた。
他にはいないか?」

木の幹から木の幹に触れつつ、その場を軽くぐるぐると回る。
匂いに敏感というわけでもなさそうで、ただうろうろとしているだけのようだった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にルプスさんが現れました。
ルプス > 流れの急な渓流の付近を通って歩いている時、フードの下に隠された狼の耳がぴくっと動く。

「────……」

捉えどころのない、茫洋とした瞳を真上に向けて、しばし。
水の流れる音にほとんどかき消されてしまったので、鳥の鳴き声か? 程度にしか思わなかった。
この自然地帯でいちいち、鳥獣の声を気にして足を止めていては街に辿り着くまで二晩はかかってしまう。

腰のマチェットを巧みに振るって、藪を祓いながら道なき道を進む。
森歩きは得意だ。狩人たちに比べても遜色のないペースで進んでおり、目算では、一時間二時間で街道に出るだろう。
──まさか森のただ中でうろうろしている存在が居るとは思わず、その存在からすると、藪を払う音とともに近付いて来る気配が感じ取れるだろう。

ツェア > しばらくただ無為にあたりを歩き回り
動くのに合わせてあたりの風の向きがゆらゆらと変化していた。

ぴく、とエルフのような長い耳の先端が揺れる。
唐突に顔を上げて、藪を払う音のほうに目を向ける。

「キュッケケ。なんの匂い、ニンゲン?」

にい、と口角をあげると腰羽を軽く羽ばたかせ、
魔力の風をまとって木の葉の繁る少し高い木の枝へと飛び乗った。
ふわり、ふわりと枝から枝を飛び移り、やってくるもののほうへと向かいながら。

ルプス > 人間に比べれば鋭敏な五感を持っているとはいえ、人間が主体となっている以上、野生の獣に比べれば劣る──
故に。

「………………っ」

事前にその存在の接近を察知することは、情報量が多い森の中では難しく。
少年からすると、突如、頭上に異形の存在が現れたように感じる。
普通の鳥獣であれば、息を呑むこともなかっただろう。
さしもの少年も、軽く眼を見開いて体を硬直させてしまう……

人──
ではない。
獣──
でもない。
様々な生物の特徴を身にそなえた存在は、間違いなく異形と言える。
時間にして、数秒には満たない短い時間だったが、少年は明らかな隙を晒してしまっていた。

ツェア > ひょい、ひょいと。
そのまま間近、一番近い枝まで飛び移り、
ひっかけた足―これも獣のものである―を支点にくるりと体を回転させた。

さかさまな顔に異貌の獣の前足を添えて目の前に飛び出し。

「ばあ!」

驚かすように、楽しそうに。少年に向かってそう少女のような獣のような、どちらでもないその生き物はそう叫ぶ。
続けて勢い早く立て続けに問いかけて。

「ニンゲンか?子供?でもケモノ?どっちだ、あれ?」

ルプス > まるで森は自分の庭、とでも言わんばかりの身軽さを発揮して、枝から枝に飛び移ると、
相手の体がぐるんっ、とその場でさかさまになる。
子供が公園の遊具の、鉄棒で遊ぶかのように。

「──!」

目の前に、相手の顔が現れる。
いないいないばあ、を不意打ちでされたようなあんばいで、少年の尻尾の毛が一瞬、ぶわっと逆立つ。
矢継ぎ早に繰り出される問いかけに、少年は目を白黒させた。
自分も大概人でも獣でもない存在だが、相手はより一層形容し難い存在である。
そんな相手からされる質問としては、中々皮肉が効いていると言えたかもしれない。

「い……いや、どっちでもない」

人間でも獣でもない、という意味だったが少々言葉足らずだったか。

ツェア > ツェアも幼体と思しき生き物に無碍なことをするほどでもなく。
危害を加えることも、触れることもなく
そのまま足を枝から放して羽を軽く整えるように動かし、すっと静かに地面に降り立つ。

軽く中腰になって、じろじろと相手を見て。

「そうなのか?
どうした、こんなトコロで。迷子?」

問いかけながら
じろりじろりと、気配だけでなく今度はその目で、しっかりと相手の様子を確かめているようだった。

ルプス > 「………………」

すっとなめらかとさえ言える動作で降り立つ相手。
一体何がそんなに気になるのか、中腰になってじろじろ監察? してくる。
マチェットを握った手に力が籠もるが、それ以上はよしておく。
襲われたわけもないのに、得体が知れないからという理由で切りかかるほど血気盛んではない。
そんなことを言い出したら、自分だってよそから見れば得体の知れない存在だが。

「いや……迷子でも、ない」

じろじろという視線を肌で感じながら、今度は言葉を続けることにした。
ないないばかりでは、何のコミュニケーションにもならない。
相手がどういう存在か確かめる意味でも、今はコミュニケーションが必要だ──

「向こうで、果物をとってた。今はそれを持って家に帰る途中」

肩掛けバッグを叩いて見せる。一般的には食用として用いられるが、創造主に求められて送る品物のひとつだ。
創造主も、単に食べたいだけという可能性はあるが……。
家というのは宿のことだが、わかりやすい言葉を選び。

ツェア > 相手の武器を持つ手の動きに、そちらへ視線を向けて ぴく、と長耳の先がうごく。
武器っぽいのを持っているが、それほど重武装でもなさそうなその姿が 冒険者 なのかツェアには判断がつかないままに、
警戒するほどでもなく油断するほどでもなく、自然にそちらを見たまま。

「ふうん。
果物、たしかにあった。…ような。」

食事を必要とはしないツェアにその意味も価値もあまりよくわからない。
食べる、という行為の知識だけが刷り込まれている。ために実感もなく。
顎に前足を当てて、かるく首をかしげていた。

「迷子じゃないなら、きちんと家に帰れるな。
まっすぐ?」

相手がやってきたほうを見て。その薮の払われた様子に
反対側…帰るだろう方向へと無造作に前足、風の爪をふるう。

甲高い音とともに放たれる魔力の風が少し先まで、その下草を切り開いた。

ルプス > 首を傾げている様子をみると……
果物に関しては、あまり興味を持っていない。
とりあえず、主食は果物ではないと思われる。
となると獣か鳥か魚か……あるいは妖精たちのように大気中の魔力か。
大事なのは、人型の生物が主食ではさそうだ、という一点のみであるが。

まっすぐ──と、問われれば、

「大体」

こくりと首肯する。
相手のように森を縦横無尽に移動することは出来ないので、まっすぐであってもまっすぐ進むのは難しいが……
少なくとも、真っすぐ進めばいずれ間違いなく街道委は出る方向だ。

「…………!」

と、魔法を使った様子もないのに、無造作に、動作だけで風が起こり、
まるで進むべき道を示すかのごとく、下草が裂けた。
やっていることは精霊に近い。例えば炎の精霊であれば、念じるだけで何も無いところに火柱を起こすことも可能だ。
歳相応に、感心したような、はあーという吐息を漏らす。

ツェア > ニンゲンでも、獣でもないという。
結局相手が何だったのかはわからなかったが、混ざる気配がちょっと不思議に思っただけで
言われなければ実際に相手が何だったのか、までの興味は此度はなく。
まあ、知らない知識を言われたとしてもわからなかっただろう理由が強いが。

迷子でもなく、きちんと帰るのであれば
何かをする、という必要も感じられなかった。

「そうか。これで帰りやすい?」

問いかけるように、ただ応えを待たずに言うと
足のばねを生かして鋭く飛び上がり、あっという間に木の枝の上に。
そのまま、森の奥へと消えていく――

と見せかけて。姿が追えたならばくるりと迂回するようにして
再び頭上の枝に突然さかさまにぶら下がってくるだろうか。

「ばあ!」

わくわくしたように楽しそうに笑って、二番煎じの驚かせである。

ルプス > 帰りやすいか──
と、そう尋ねられると、わからないが、

「うん。ありがとう」

礼を言った。
実際に帰りやすいかより、して貰ったことのほうが重要だ。だから礼を言う。
相手のように、この森を自分の庭のように動き回ることは難しいが、なるべくまっすぐに行ってみよう。

返事をした時にはもう、現れた時と同じように気ままな様子で樹上の人になっている相手を見上げ、
マチェットを持っていないほうの手をひらひら振る。
実に奇妙な出会いだったな、としみじみしかけたところで、

「………………!」

再びの、ばあ!
少年の尻尾がぶわっと逆立った。
滅多にないことだが、どきどきと脈打つ心臓を押さえながら、少年は風に示された道を歩き始める。
腹が立つどころか、何だか笑ってしまうのは、不思議だった──

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からルプスさんが去りました。
ツェア > 「きゅっけけけけっけけ!」

相手の反応に、特徴的な声で楽しそうに笑って。
今度こそ、少女のような魔物は森の奥へと再び姿を消す。

そうしてまた、気まぐれに。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からツェアさんが去りました。