2022/06/13 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にベルナデッタさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にセリアさんが現れました。
ベルナデッタ > メグメールの自然地帯。その奥深く。
ちょっとした崖の上に、司祭服の女が三人立っている。
彼女達は後ろからやってきた人影に気付くと、にこやかな笑みを向けた。

「初めまして、ライブル旅団の皆様。こちらの要請に応えていただき感謝します。
私、異端審問官のベルナデッタと申します」

その女達のうち、一番年長であろう異端審問官、ベルナデッタがそう声をかける。
彼女は片手剣で、傍らの他二人の異端審問官はそれぞれメイスとハルバードで武装していた。

「そして今回の目標となっている魔族の拠点というのが、あそこです」

ベルナデッタは、崖の下に視線を向ける。
そこには、自然地帯には似つかわしくない、貴族の邸宅のような屋敷が建っていた。
よく見れば、そこには禍々しい魔族のシンボルや旗で彩られている。
国内に潜伏する魔族達の、拠点の一つだ。

「本来なら結界で見えず、たどり着けずとなっているのですが、
私達がその結界の破壊に成功し、こうして場所が明らかとなりました。
しかし、内部には複数の魔族、無数の魔物がおり私達のみでは攻め落とせそうにありません」

そこで貴女方に協力を頼みました、とベルナデッタは語る。
実際には、主教の上層部からの依頼という形になっているであろう。
この国の騎士であれば、従わないわけにはいかないだろう。

「本格的な戦闘は貴女方騎士のほうがお得意でしょうから、
指揮は任せましたよ?」

そう、ベルナデッタはにこやかに微笑む。

セリア > 自然地帯のやや奥まった所。切り立つ崖の上に立つ三人の女を目指し、
武装した騎士が十人ほど歩いてくる。
思いのほか年若な審問官の中でも、自分とさして歳が変わらなそうなベルナデッタを見遣るセリア。

「初めまして。魔族討伐の助力要請を受けて来たんだけど……貴女たちがそうね?
私はセリア。この旅団の団長を務めているわ」

にこやかに挨拶を交わす彼女の名を復唱して覚えながら、此方もまた一礼して自己紹介を交わす。
此方の装備は刃のみならず魔法をも防ぐ鎧と、腰に下げた片手剣。
軽装鎧ではあるが、十分な衝撃に耐えうる特製だ。

指差された崖下、邸宅のような屋敷に視線を落とす。
成る程、シンボルや旗を見れば一目で魔族の巣窟であるとわかる。
納得したように首肯し、ベルナデッタの説明に耳傾ける。

「任せて。……こういう荒事はうちの十八番よ」

魔族討伐を担当する王国騎士団は幾つもあるが、その中でもうちは腕利きであろうと自負するセリア。
実際、今回は中でも特に腕利きを見込んで連れてきている。
上からは十分に警戒して臨めと指示を受けていたから、念を入れてきたのだ。

「それじゃ、行きましょうか。
うちの隊士を前に。ベルナデッタ、貴女は私の傍で。他2人は後列でいいわ」

てきぱきと指示を出し、共に魔族の拠点に向けて歩き出そう。

ベルナデッタ > 崖を下り、しばらく歩けば石積みの塀が見えてくる。
明らかに魔族の拠点を囲っており、そちらにも所々魔族のシンボルが刻まれている。
そして、正門に出ればその周りに倒れる粗雑な鎧を着たオークが二人と、
地面に散らばる割れた宝石のようなもの、そしてそれがはめ込まれていたであろうくぼみが見えるだろう。

「アレが結界でした。我々の手で破壊済みです」

旅団の騎士や部下の異端審問官と共に、ベルナデッタは門に近寄る。
そして、中を覗き見る。

「ご覧の通り、屋敷まで隠れられそうな場所はありません。
正面から行けば十中八九敵の迎撃があるでしょう」

門から入る庭も、いかにも貴族の手入れされた庭といった様子。
所々植木や彫像があるのみで、見晴らしは良い。
そして、邸宅の様子は少々騒がしかった。おそらく、結界を破壊したのがバレている。

「……まぁ、正面から行くしかなさそうですが、よろしいですか?セリア団長」

セリア > 片道はさほど時間もかからなかった。
魔族の拠点を囲うような形の塀を辿り、ぐるりと正面までやってくる。
倒れるオーク二体の粗雑な鎧を一瞥して、魔族はともかくこの館の魔物はそこまで手ごわいわけではなさそうだと察する。
散らばる宝石に目を落とした。どうやら彼女達もまた、相当な腕利きであるらしい。

「手間が省けたわ、ありがとう」

自分も魔法が使えるゆえに結界を破ることは難しくないのだが、
今は時間短縮となったことに感謝してセリアは頷く。

そして、中を覗き見れば少々落ち着かない敷地内。
魔族の言葉はあいにくと理解しづらくわからないが、結界を破壊したことがバレているのであれば
相応の心地で臨まなくてはなと脳裏を過った。

「……そうね。正面から行きましょう。…それじゃ、二人一組を作って。
1人で戦えばそれだけ隙や死角も大きくなる。決して離れないように。
…ベルナデッタは、私と組みましょう。いいわね?」

そう誘い掛け、腰からゆっくり剣を引き抜く。準備万端だと彼女へ示すように。

ベルナデッタ > 「分かりました。できればあの二人にも腕利きを付けてくだされば」

ベルナデッタは、後ろの異端審問官二人を見やる。
部下であり、ようやく見習い卒業といったところの新人でもある。
実力はあるが、それでも二人だけで行動されるより経験ある騎士と組ませたほうがいいだろう。

「それでは突入します。神々と共に!」

ベルナデッタも愛用の剣を抜き、騎士達とともに門から敷地内に入り込む。
魔族の屋敷からも、わらわらと軍勢が姿を現す。
鎧と槍を身に纏ったオークを隊長格に、武器だけ持ったゴブリンやインプが雄叫びを上げる。
まだ魔物ばかりで、魔族は姿を現さない。
おそらくはあの屋敷内にいるのだろう。
お互い全力で走り寄れば、戦闘開始だ。

セリア > 「わかったわ。それじゃあ…」

ベルナデッタの要請を受け、組み合わせを少し変えるよう指示を出す。
2人の新人審問官には、セリアに劣らぬ程の腕を持つ女性騎士と経験豊富なベテランの騎士がそれぞれついた。
もとよりこちら側には一人も死人を出さないつもりで編成しているのだ。

突入の合図を受け、一斉に正門から敷地内へ。
堰を切ったように続々と現れるゴブリン達を切り伏せ、魔法を用いて吹き飛ばし、
皆が通れる道を作っていく。

セリアは得意の土魔法を使ってオークやゴブリンの平衡感覚を乱し、
自分のみならず他の仲間が戦いやすいよう場を支配していく。

「あらかた片付いたら屋敷内に入りましょう」

そうベルナデッタに声掛け、眼前に迫るオークを一太刀、二太刀で鎧を断ち、深く傷つけていく。

ベルナデッタ > 人間達と魔物達の戦いが始まる。
次々と襲い来るゴブリンやインプ達。
だが、魔族の配下といえ王国の野生のものと変わりはない。
むしろ、自分達本来の戦い方が出来ない分弱体とすら言える。
更にはセリアの土魔法の効果で、その足取りはふらついている。

「えぇ、そうしましょう。しかし数だけは多いですね」

ベルナデッタは近寄るゴブリンを次々と斬り捨てていく。
彼女の細剣は鎧の相手には少々分が悪く、また魔法も使えない。
鎧や武器を持ったオークの相手はセリアに任せ、自身は数の多いゴブリンの相手に専念することにした。
二人の新米も、メイスを持つ方は神聖魔法を唱えベテラン騎士をサポートし、
ハルバードを持つ方は女性騎士と共に斬り込んでいた。

「空にも気を付けて!」

ベルナデッタは空中から金切り声を上げながら蝙蝠めいて飛びかかってきたインプを見て声を張る。
土魔法は空を飛ぶ彼らには効果が無いようだ。
ベルナデッタは鉤爪を剥き出して襲い掛かってきた一体を細剣で突き刺し、もう一体に投げつける。
そして、次々と迫りくるインプを切り捨てていく。
魔法が使えない分、その剣の腕前は騎士にも負けないだろう。

セリア > 数こそ揃えているとはいえ、所詮は烏合の衆。
対魔族・魔物で経験を積んできた騎士団の敵ではなかった。
ベテラン騎士は魔法こそ使えないものの、的確な判断力と瞬発力をもって魔法を唱える審問官を守りつつ戦っている。
一方、女性騎士はかの審問官とウマが合うのか率先して切り込み死屍累々の状況を作っていた。

「よくこれだけ集めたものね。……軍隊でも作って王都に攻め込むつもりだったのかしら」

そんな予想を口にしながらオークの鎧を切り裂き、剣を突き刺して息の根を止める。
上方から迫りくるインプに、気を付けて、とベルナデッタから声が上がるや否や、
セリアは剣をオークの死体から素早く引き抜いて迎撃した。

「着実に数も減ってきてるわ!もう少し…」

騎士にも負けじと魔物を屠るベルナデッタにセリアは感心する。
着実に屋敷へ至る道を切り開いていく一同。

やがてゴブリンやインプは無勢を悟ったのか身を翻し、屋敷に向かって走っていく。
セリアはベルナデッタを促し、その後を追おうと足を踏み出した。

ベルナデッタ > 「内部に召喚門(ポータル)でもあるのでしょう。
こちらから攻め込めてよかったですね」

この位置なら王都に攻め込めずとも、タナール砦周辺部隊への補給を脅かし、
また他の大都市を攻め落とす事も可能となる。
敵の準備が整っていれば、確実に王国の危機となっていただろう。

「敵も引き始めています!このまま突入しましょう!」

整っていた庭園は魔物の死屍累々といった有様と化していた。
あちこちが戦闘により破壊され、炎上している。
だが、元々不自然な代物、惜しくもなんともない。

一行は屋敷にたどり着き、その内部へと突入していく。
ベルナデッタとセリアは他の騎士達と共に正面の扉を叩き壊して侵入し、
他の騎士達や異端審問官は窓を割ってそこから上がり込む。

「中には魔族がいることでしょう。気を付けて」

邸宅によくある豪華なロビーに、迎撃のオーク達が集まっている。
そして早速、それを指揮する魔族らしき姿。
筋骨隆々の身体に角の生えた、恐らくデーモン種であろう。
燃え盛る魔法剣を振りかざしながら、大声で指示を飛ばしている。

セリア > 「貴女達がこの屋敷に気づき、結界を破壊してくれたお陰ね」

敵も思いのほか姑息なことを考えるものだ。
こそこそとこういった計画を進めていたであろうその手腕に呆れつつ、セリアは剣を振るう。

庭園はすっかり血みどろ、辺りに魔物の死体が転がっている。
幸い全員に大した傷もなく切り抜けることが出来た。
問題は屋敷の中──剣を一度振るって刀身に付着した血を落とし、正面の扉をたたき壊して中へ。

「魔族はなるべくなら二組以上で挑むこと!
オークにも油断は禁物よ。魔法を使えるなら惜しみなく使いなさい!」

部下達にそう指示を飛ばし、セリアはオークへ向かっていく。
身に着けている防具を切り裂きながら、魔族が立っている場所を確認。
どうやら然程離れていない箇所で指示を飛ばしているらしい。

セリアは素早く片手を振るった。
すると下の地面が床を突き破って盛り上がり、ムチのようにしなってデーモン種の魔族へ迫りかかる。

ベルナデッタ > 屋敷のあちこちで魔法の爆発音と、剣戟の音が響く。
鎧も身に付けぬゴブリン達は早々に斃れ、
魔族の軍勢はより強いオークが中心となっている。
粗末とはいえ鎧と、武器を身に着けている。油断はできない。

『まさかここまで攻め込んでくるとは…小癪な人間どもめ!』

上半身裸の、赤い肌と黒い曲がりくねった角を持ついかにもデーモンといった容姿の魔族の男。
その燃え盛る大剣でセリアの土のムチを切り裂き、焼き切ると、
二人の方を睨みつける。

『予定外だが生かしては帰さんぞ!!』

そして、剣を二人に向ければ、そこから放たれるのは巨大な炎魔法。
味方のオーク達すら巻き込みながら、二人の方に向かう!

「ッ!!私の後ろへ!」

セリアを庇うように前に出るベルナデッタ。そして、片手を炎に向け構える。
すると、彼女に触れた瞬間から巨大な炎はまるで最初から何も無かったかのように霧散していく。

「……神々の加護です。あらゆる魔法を消去できます」

すっかりデーモンの魔法を消滅させたベルナデッタは、セリアに向けニコリと微笑む。
そして、キッ、と視線を敵に向ける。

「わざわざ道を作ってくれました。一気に仕留めますよ!」

セリアと共に魔族に向け走り寄るだろう。

セリア > 辺りに目を向ける。やはり二人一組にしておいて正解だった。
1人でも騎士は十分太刀打ちできる程に鍛えてはいるが、それが複数となるとわからない。
現状敵方が数多い以上、背を守ることが出来る仲間がいる方がより円滑に戦闘を進められる。

土砂を固めてできた鞭を切り裂き、あまつさえ此方に炎魔法を撃ち出す魔族に瞠目した。
此方も同様の魔法をぶつけて返そうと片手を上げかけたが、
庇うように前に出るベルナデッタに驚いたよう目を丸くする。

「危ない!」

思わず出た声だったが、次の瞬間。炎魔法を片手で跡形もなく消し去るベルナデッタの力に一瞬言葉を忘れる。
振り向き、にっこりと笑顔を見せる彼女にセリアも思わず笑ってしまって。

「流石ね。借りが一つできたわ」

そして、魔族がわざわざ作ってくれた道を見て頷き、ベルナデッタと共に走り寄っていく。
距離を詰めれば果敢に飛びかかり、騎士団長の卓越した腕を以て魔族を切り伏せんとしながら。
勿論攻め一辺倒ではなく、守りの方にも気を配っている。

ベルナデッタ > 「いえいえ、主教の神々の思し召しですよ」

そう言いながら、次の一撃を繰り出す前に魔族のもとに駆け寄る。
女性にしては長身の二人でも、見上げるほどに高い、3メートルはあろうかというデーモン。
魔法では遅いと見たか、雄叫びを上げながら燃え盛る大剣を振り回して襲ってくる。

「脚を止めます、貴女はトドメを!」

セリアと剣を交えた隙をついて、ベルナデッタはその股下に滑り込む。
そして、魔族の太い片足に細剣を突き刺した。

『ぐうぉぉぉぉぉ!?』

魔族は叫び声を上げ、その姿勢が微かに崩れる。
こうなっては、セリアにとって討ち取るのは容易いだろう。


トドメを刺され、崩れ落ちた魔族を一瞥しながら立ち上がるベルナデッタ。
一階の他の廊下に目を向ければ、そちらでも幾人かの魔族が討ち取られ、
それ以上の数のオークが屠られているようだ。
騎士達に混じり、異端審問官の二人もこちらに笑顔を向ける。
それぞれ、肩にかけていたポーチが戦闘前よりも膨らんでいた。
戦闘と並行して情報収集を行っていたらしい。

だが、屋敷の奥の方から、未だに増援が駆けつけてきている。
魔法を使えるセリアなら、まだまだ魔族の気配を感じるだろう。

「敵の召喚門はもっと奥のようです。進みましょう」