2021/09/22 のログ
ミシェル > 「そのまま働いてくれてもいいんだよ?」

ミシェルは悪戯気な笑みをルーミスに向ける。

「本当は王城内だから軽々しく人を入れちゃいけないんだろうけど、
まぁ王様も未だに決まらないぐらいだからなぁ…」

実績ある貴族の紹介なら特に誰も咎めないだろう。
図書館なんかも紹介してもいいかも、などと考えつつ。

「魔族ならいるかもね。ドリアードか、ラミアか、それかサキュバスか」

最後はいるとしたらふらりとテントに立ち寄ってもらいたいところだが。
しかしこちらから探したところでむなしいだけだろう。

「一人上げるなら…さっき上が付けようかって言ってた騎士の子が中々顔も身体もそそってね。
今更ながら連れてくればよかったかな…?」

まぁ、申し出を断ったのは自分なのだが。

ルーミス > 「流石に店放って副業に精を出してちゃまずいだろ」

此方もまた、冗談めかすような笑みと声をミシェルに向けた。
給金は恐らく王宮内の方が良いのだろうが…

「魔族も敵国の民も、好き勝手出入りし放題だからなあの国。
かろうじて王国軍は機能しているみたいだが…」

それもいつまで続くものか。
そんな話はさておき、紹介してくれるというのであれば有難く与ろう。

サキュバスがもしこのテントに立ち寄るようなことがあれば、
むしろ此方から二人がかりで襲い掛かるだろう。
淫魔にもそう簡単に負けそうにない組み合わせだった。

「へぇ……連れてきてくれりゃ、今日はさぞかし素敵な夜だったろうに。
残念なことしたなぁ」

ミシェル > 「国境も閉ざせないのが機能しているうちに入るかどうかは検討の余地があるねぇ…。
冒険者や傭兵なんかはむしろ稼ぎ時みたいだけど」

ミシェルも国の貴族故、この国に不安が無いわけではない。
だが、同時に自分は何だかんだで切り抜けられるだろうという根拠の無い楽観も持っていた。

「ただまぁ、二人なら君のことを見つける前にその場にテントを張っただろうから、
今夜こうして話すことも無かったかもしれない。
一人が寂しかったからこうして誰かを探してルーミスを見つけたんだよ」

別に一人でキャンプ出来ないということは無いが、
誰かと一緒にいた方が安心は安心なので、
いつも一人のキャンプの時は他の人間を探すことにしていたのだ。

ルーミス > 「ま、町兵としてはそこそこ働いてくれてるんじゃないか?
……いや、そうでもないか」

ついこの間、裏路地に女を連れ込む男の兵士達を見た記憶が蘇る。
世も末とばかり溜息を吐いた。
もっとも自分は貴族でも何でもない平民だから、自分が第一なのだが。

「一端の口説き文句みたいだな、ミシェル。
まぁ、こうして久々に逢えたのは私だって嬉しいが」

可笑しそうに声を震わせながら揶揄う。
胡坐をかいて座っていた体勢から、ごろんと上体を仰向けに倒してミシェルの隣に寝転がった。

ミシェル > 「やる気のある真面目な人間ほどタナールかハテグに行くからね…。
街に残ってるのなんかどうしようもない連中だよ」

ミシェルは苦笑する。乱暴狼藉を働く衛兵をボコボコにしたことも無いでもない。

「顔が良いとどんな言葉も口説き文句に聞こえてしまうのかな?
僕も罪な女だね…」

こちらも笑い返す。
自然にルーミスのテントにお邪魔する流れになってしまったが、
幸い広さは十分なので、このまま一緒に寝てしまおうかなどと考えつつ。

「今夜はここで世話になってもいいかい?
駄目ならしくしく泣きながら隣に自分のテントを建てるけど」

ルーミス > 「まぁ、まともな兵士といえば大抵は対魔族の兵団に配属されるだろうな」

王都を守っている兵士など、自分の命が惜しい連中が多いのだろう。
それは偏見であると自覚してはいても、これまでの言動を考えるとそう思わざるを得ない。

「どことなく、そういう台詞を言い慣れてそうな雰囲気が漂ってるってのもあるな?」

広さは十分だ。二人どころか、四人五人が押し寄せても何とか寝泊りできる。

「勿論いいぜ。流石にこの状況で追い出すほど私も鬼じゃない」

ミシェル > 「そうしてどんどん捕らえられるなり死ぬなり…ままならないねぇ。
僕もいつまでのんびりしていられるやら…」

ミシェルとて戦局が悪化すれば駆り出されるかもわからない。
今はまだ研究に専念していられるが、たまにこういう調査任務を与えられたり、前線で戦ったりもするのだ。
それが常態化するのは、できれば勘弁してほしい。

「……まぁ、学生の頃から女の子口説いては…いるね」

苦笑いしながら、頭をかく。
あの頃の放蕩っぷりは今より酷いかもしれないと自分でも思う。

「それはありがたいね。お礼に片付ける時は是非手伝わせてもらうよ」

ルーミス > 「結局タナールも取ったり取られたり、で膠着状態だからな。
……いつになったら終わるのやら、だ」

とはいえ、そういうことを気にするのは兵士の、または王国軍の役目。
自分のような錬金術師は市井で慎ましやかに暮らすのが似合っているのだろう。

「……だろうな」

大体想像通りだったことに笑って肩を落とす。
その放蕩ぶりをこの目で見られなかったことは残念だ。

「あぁ、頼む。どうせだから王都までは一緒に帰るか」

一人より二人だ。
そう言いながら共に眠りに落ちていく。
翌日は約束通り一緒にテントを片付け、準備を整え、共に王都へと戻っていった筈──

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からミシェルさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からルーミスさんが去りました。