2021/06/24 のログ
■ネメシス > 「う~~ん、今日の依頼は割と簡単だったわね。
やっぱり二人も居ると勝手が違うわ。」
ミントグリーンの髪の冒険者のすぐ隣を歩く黒い鎧の冒険者。
ギルドではティシフォネと名乗っているが、実態はとある貴族の借の姿である。
腰にはロングソード、背中にはイチイの弓と装備もまずまずだ。
「これから真っすぐギルドに戻って報告だったかしら。
えっと…名前は確かなんだったっけ。
あ、私はティシフォネね。」
依頼を受ける時に一度お互い自己紹介をしたが帰り道になって急に名前が出てこなくなる。
ティシフォネは照れ隠しに頬を指で掻いては笑ってごまかす。
■エデン > 「二人居たから、簡単だったんですよ?
私一人だったら、こうはいきません。
今回の依頼、同行して貰って助かりました」
隣を歩く今回の依頼の相方、ティシフォネと名乗っていた女性。
彼女の言葉に、いつものニコニコ笑顔でそう答える。
実際に、一人だったら簡単にはいかなかった筈だ。
「そうですね、後は報告で終わりです。
特に急ぎの依頼だった訳でもないですし、のんびりと景色を眺めて帰るのも、ありだと思いますよ?
あ、私の名前はエデンです。
どこかしらでよく使われている名前だし、逆に覚え難いかもしれませんね」
コロコロと笑い、そんな彼女を責める訳でなく、改めて名乗る。
頬を掻き笑って誤魔化す彼女の、その横顔を見詰めながら。
■ネメシス > 「それは私もよ。
貴女が半分引き受けてくれただけで凄く助かったわ。」
こちらもにっこりと笑みを浮かべ、互いの功績を褒めたたえる。
ティシフォネから見て今日の相方は非常にやりやすかった。
剣も魔法も卒がなく、どんな場面でもこなせる汎用性は冒険者としても戦士としても非常に魅力的。
思わず心の中で舌なめずりをするほどに。
「そうだったかしら?
それなら少し休んでいかない?
ほら、あそこに丁度身がなっているし。」
指さした先にあるのは一本の樹木。
梨の実が複数なっており、そのうちの幾つかは今にも食べごろそうな色合いになっていた。
樹の近くには丁度並んで座れるような石もあり、休憩するには良さそうだ。
「え、良いでしょエデン。」
見つめられると僅かに視線を逸らす。
今更名前を聞きなおしたことをだいぶ恥じていた。
エデンが良いと言うのなら、率先して木に登り、実を落とす役を買ってでるだろう。
■エデン > 「うぅん、そうですね。
なら、お互いに頑張った、と言う事で」
少し思案するような仕草をした後、ポンッと両手を合わせてそう纏め。
どうですか?と問う様に、小首を傾げてみせるのだった。
こうして、お互いに楽しい会話を続ける事。
彼女が心の内に何かを思うように、こちらも又、何か思うところはあるのだが。
「あら、美味しそう。
そうですね、こうして見付けられたのも何かの導き。
せっかくですし、頂いてしまいましょうか?」
指を差す先に目を向ければ、そこに見えたのは樹木。
実が生っているのを見てそれを理解すれば、頷いてみせるのだ。
彼女が考える通りに、休憩にも良さそうだし。
「……?えぇ、そうしましょ?」
向けた瞳に、視線を逸らす彼女。
不思議そうに首を傾げたまま、賛同する。
彼女が実を落とす役を買って出てくれば、こちらは拾う役に。
もっとも、そうでないと、服装から少し困った事になっていただろうし。
■ネメシス > 「なら、それで。
報酬も山分けなら後腐れないものね。」
うんうんと首を縦に振り、嬉しそうに頷いていた。
冒険者の括りを外しても相当誠実な印象の相手に初対面ながら気を許しつつあった。
まさか向こうもこちらを値踏みしているなどとは露知らず。
「でしょ。時期にはちょっと早い気もするけど、
こんなに熟してるのなら大丈夫でしょう。」
エデンの承諾を得るや否や樹に登り、合図をしてから一つ一つ果実を落とす。
ちょっと欲張り合計4つ落とした。
相手が受け取れたことを確認してからするすると樹から降りる。
「今日はまだ一度も使ってないナイフがあるからこれで皮を捲る?
私で良かったらやるけど。」
腰に差しておいた短剣を取り出して。
問題なければ岩に腰掛け、梨の皮を捲り始めるだろうか。
「そういえば、エデンはどうして冒険者をしているの?」
折角できた休憩時間だ。まずは何気ない話から相手の事を知るとしよう。
■エデン > 「もちろん、それは当然の配分。
それは違えちゃいけない事だしね?」
誠実である行動は、人と共に生きて学んだ事。
同時に自分を守る為の術でもあるし、相手と接する為の手法にもなる。
嬉しそうに頷く彼女を見詰めながら、そう常々浮かべる思いを馳せて。
「ちょっとくらい早くても、きっと美味しいわ。
あっと…」
早速実を取るのにどうするかと、聞こうとする間も無く。
彼女はあっさりと樹木へと登って行ってしまう。
意図を察すれば樹木の下へ、落とす果実を受け取っていって。
降りて来る彼女に、お疲れ様、と労いの言葉を向ける。
「あ、それじゃあ、それもお願いしちゃおうかな?」
申し出を断る理由もなし、ナイフを取り出す彼女に皮剥きも任せる方向に。
自分も適当な岩を選んで腰掛けた。
「どうして…どうしてかしら?
やっぱり、色んな場所を巡るのに冒険者って良さそうだし。
色んな事をしている内に、色んな人に会えそうだから?
私、オトモダチがたくさん欲しいから」
彼女の質問に、少し考えた後。
屈託の無い笑顔を浮かべれば。
とりあえず、いつも答えるような当たり障りのない回答と。
最後に、自分の素直な考えを答えた。
■ネメシス > 「うんうん、冒険者らしくて良い動機だと思うわ。
私も似た様な理由で冒険者してるもの。
あ、出来たわよ。」
とりあえず、梨を一つ丸裸に剥いたものをエデンへ差し出す。
今度は自分用に一つナイフで皮を剥ぐ。
冒険者をしているうちに身に付いたのか、手つきは慣れていて無駄がなかった。
出来上がった梨を自らも口に咥え。
甘みだけでなく喉も適度に潤う梨はちょっとした休憩で食べるには適していた。
皿なんかはないので手づかみだし、種なんかはその場に置いていくことになってしまうが。
「でも友達が欲しいからって珍しいわね。
そりゃあ仕事仲間から仲良くなるってのはありそうだけど。
貴女みたいに真面目な冒険者なら幾らでも友達ができそうに見えるけど。
たくさんってどれくらい?」
梨のおいしさに満面の笑みを浮かべながら、エデンの話に耳を傾むける。
最後の言葉がちょっとだけ気になったので軽い気持ちで食いついた。
岩の上で隣り合って腰掛けているだけあり、自然と互いの距離は近い。
■エデン > 「冒険者って、色んな理由でなってる人がいるでしょう?
私の知らないような理由でなってる人とか、興味あるし。
冒険者だけじゃない、もっと色んな人に会いたいし、お話したいわ?
……あ、ありがとう」
同じような理由、それに共感を抱きながら。
ナイフを扱う彼女の手元、改めて彼女を見詰める。
丁度そのタイミングか、剥き終わった自分の分の果実が差し出されれば。
お礼と一緒に、両手を伸ばし果実を受け取る。
そのまま口に咥えて一口噛めば、果実に味が口に広がって。
こうして、直接手掴みで食べるのも悪くはないな、とか思いながら食を進めてゆくのだ。
「オトモダチってね、どれだけ居ても、良いものでしょう?
だから私はね、どこに居てもオトモダチに会えるように、たくさん作るのよ?
……ティシフォネさん、貴方も、そんなオトモダチになってくれると、嬉しいわ?」
どんな時でも、誰に対しても、言葉を交わす時は相手の目を見て話すようにしている。
能力の為でもあるのだけれど、こうした会話の姿勢も誠実さを相手に見せるものとなるのを知っているからだ。
後は、純粋にこうして会話をするのも楽しいから、なんてのもあるけれど。
まるで誘うかのように、誘われるかのように、近い距離にいる彼女を見詰め、そう伝えれば。
小さく笑い目を細めるのだった。
■ネメシス > 「それって単に好奇心旺盛ってだけじゃないのね。
人が好きってことなのかしら?
もう一個あるから食べたいなら早めに言ってね。」
依頼の帰り道でこうやってのんびりと果物を食べながら会話を楽しむのも久しぶりだった。
食べた果実が思いのほか美味しかったこともあり、とっても充実していた。
こちらは早くも梨を一つ食べ終えてしまい、二つ目の皮を剥いている。
「う~ん、そうかも知れないわね。
でもその言い方って数さえ居れば、みたいに取られないかしら。
あ、私は貴女の考えを否定する気はないんだけどね。
…そうねえ、お友達になるのはいいんだけど具体的にどう変わるの?
今でも大事な仕事仲間ではあるとは思ってるんだけど。
妙なことをさせようと思っているのなら断るわよ?」
これまで色んな手合いと会ってきたからか、ティシフォネは機器察知が常人より養われていた。
あるいは生まれに携わった異国の神の影響により本能的に違和感を覚えたか。
妙に視線を重ねてくる様子が気になり、梨に目を向けたりと時々視線を外していた。
それでも流れる力の影響を完全に避けることはできず。
知らず知らずと警戒心が薄れていただろう。
尤も、元より自らの懐に飛び込んでくる相手は基本的に受け入れる性質。
誠実で人柄も良さそうなエデンに慕われて拒む訳もない。
ただ、彼女の言い草にどことなく違和感を覚えたので問いかけた。
■エデン > 「あんまり深く考えた事はなかったのだけど。
貴方がそう思うなら、そうなのかもしれないわね。
あ、待って、もうちょっと」
依頼内容にもよるのだけれど、こちらは逆にのんびりとする機会が多かった。
こうして、いつも相手が居る時は言葉を交わし、関係性を深めてゆく。
その少しずつ変わっていく経過を眺めているのも、好んでいるからで。
そんなところで二個目を剥いている彼女に気付けば。
ちょっと慌てたように、そう答えるのだ。
自分の分の梨は、まだもう数口分残っていた。
「考え方の違いって誰にでもあるものだから、気にしないわ?
そう取れるかもしれないけど、私にとっては大事な事だもの。
人と人との絆って、数ある程に素晴らしいと思わない?
オトモダチになったら、何か変わってしまうのかしら…むしろ、それは私が聞きたいかしら?
今まで通り、私は私、貴女は貴女。
今の私達でも、そう思ってくれるなら、とても嬉しい事だわ?」
言葉って難しいものよね、そう伝えながら。
勘の鋭い彼女、だけど、その調子は変わらない。
なぜならば、自身の根底の考えや行動は間違ったものではないと、純真たる信念として持っているからだ。
だから、考え様によっては本当に恐ろしい。
気持ちの揺らぎは分からない、自分では相手が力に浸食された度合いは分からないのだ。
だから、いつものように接する、その態度に変化は一切ない。
その問い掛けに、自分を大事な仲間と言ってくれた彼女の言葉は嬉しく。
心の底から喜んでいるような、そんな笑顔で答えるのだった。
■ネメシス > 「なんだか不思議ね。
ちょっと独特な価値観を感じるわ。
慌てないでいいわ、食べ終えたら言ってね。」
二つ目の梨を頬張りながら話を続ける。
相手の話ぶりにはなんだか俯瞰的と言うか、まるで他人事のように帰って来たので瞬いた。
無論それで悪感情が芽生えるようなことは決してないが。
慌てる様子に目を細めては、自らの梨を食べ続ける。
見た目は同い年程度だが、見てて可愛かった。
「まあ、仲間は大いに越したことは無いと思うけど。
考え方がまるで違う場合でも貴女はお友達になれるの?」
いつしか自分の分の梨を食べ終え、視線を外したりしつつエデンに耳を傾けて。
考え方が違っても友達にしていくような言い分に首を傾げた。
違和感は膨らむばかりだし、問いかけても何ら曲げない様子はなんだか敬虔な教会の信者でも
見ているようだった。
顎に手をやり、口をへの字に曲げて暫く唸る。
が、直ぐに口を開き。
「まあいいわ。貴女が望むのならお友達になるわ。
その代わり変な不意打ちとかはなしよ?
何かして欲しい時はちゃんと相談すること、いいわね?」
視線が合わさった時に感じる違和感については何故か言及できなかった。
既に魔力による影響が及び始めているのだろう。
ただ、エデンの言う"お友達"と言った発言などに妙な意味合いを感じたので
最低限の釘は刺しておいた。
それが意味があるかどうかは定かではないが。
■エデン > 「どこか違う考え方を持てば、それは相手にとって不思議な考え方ともなるものだから。
きっと、それじゃないかしら?
相手はそう考えているんだ、その程度の認識で大丈夫だと思うわ?
変に難しく考えたら、疲れちゃうもの。
……ん、次、大丈夫」
自分の言葉に瞬き不思議だと言う彼女へと、そう諭すように伝えれば。
安心させるように、その笑みは柔らかにものになる。
二口、三口、齧り付いて。
それでやっと一個目を食べ終えたのだろう、そう言うのだが。
その姿は、明らかにちょっと慌てた感じではあったようで。
「そうした時は、私は大丈夫だけど、相手の人がそれで良いのか難しいかもしれない。
だからこそ、お話は大事なの。
何度か話していけば、少しずつでも、歩み寄れるかもしれないでしょう?」
誠実であり、人と分かり合おうとする人の良い人。
言葉だけを聞けばそう思えるかもしれないものだが、その判断は相手がするもの。
何か考えているように唸る彼女、それをゆっくりと待っていて。
「ありがとう、これからもよろしくね?
変な不意打ち?大事な仲間に、オトモダチに、そんなのしないでしょう?変なティシフォネさん。
でも、それに答えて貴女が安心出来るなら、答えるわ?
何かして欲しい時は、ちゃんと相談、ね?」
オトモダチになる事の承諾を得られ、満面の笑みを浮かべるも。
次の言葉に、口元を手で隠す様にしながらクスクスと可笑しそうに笑い答える。
彼女の勘は、今だ正しいものだ。
エデンの言うオトモダチは、彼女の考えるお友達とは違う。
言葉での約束は確かに交わすも、こちらが行動を起こすその時にまで、彼女がしっかりと自身を認識し切っているかどうか。
■ネメシス > 「それだけじゃないような気がするんだけどね。
…そんなに慌てて食べなくても大丈夫なのに。
喉に詰まらせると大変よ?」
どことなく納得できなかったが、難しく考えると本当に疲れそうだったので
これ以上は掘り下げなかった。
慌てて梨を口に入れている様に小鼻を震わせると、
ナイフを動かし皮を捲る。
最後の一つをエデンに差し出すと、果汁で汚れたナイフを仕舞う。
「まあ、お話は大事かもね。
でも世の中話したところでお互い譲れないことも多々あるわよ?」
誠実なんだけど何か違うのよね。
ティシフォネは何とも言いようのない微妙な表情をし、
栗色の瞳をエデンに向けた。
「どうだかね。
私の杞憂で終わればいいんだけど、貴女やっぱり何かありそうなのよね。
ま、貴女が約束を守ってくれるのなら今後もお友達でいましょう。」
言いくるめられたのか、化かされているのか。
結局正体不明の違和感をずっと抱き続けてしまう。
そして何度エデンの顔を見ても答えは出てこない。
この日はエデンが食べ終わるのを待ってから真っすぐギルドに戻り、
報酬を受け取ったことだろう。
エデンの言うオトモダチの本当の意味を知るのはもう少し先のことであろうか。
■エデン > 納得は出来ないままであるも、ここでこの話題は止める彼女。
確かに続ければ疲れが溜まる一方だったのだから、正しい判断と言えるだろう。
「いいえ、待たせては悪いですし。
私は大丈夫ですから。
……はい、ありがとう御座います」
残り一個の梨を受け取り、ナイフを仕舞う彼女を余所に、こちらは食べ始める。
食べ終わるには、まだまだ時間が掛かりそうだ。
「それはそれで、仕方無いでしょうね。
私に大事なところがあるように、相手にだって、きっと大事なところがあるんだから。
そこに少し距離を置いても、それが理由でオトモダチになれない、なんてないわ?」
少し梨を食べ進めるのに集中をしているも、彼女がこちらを見詰めれば、こちらもそれを見詰め返してニコッと笑う。
微妙な表情を浮かべる彼女だからこそ、それによって少しだけ侵食の度合いが理解出来た訳だが。
だからと言って焦る事はない、ゆっくりと、ゆっくりと進めて行けば良いのだから。
「うぅん、疑うのは保身の為に悪くはない事だけど。
それで気疲れして、油断を招いてしまったら困ってしまうわ?
ほら、笑顔笑顔、そんな難しい顔ばっかりしていたら、可愛い顔が台無しよ?」
結局は彼女の疑念は晴らされる事も無く。
それを杞憂で済ませるか、済ませず続けるかは彼女が選ぶ道だろう。
そんな彼女を、少し心配そうに見詰め続けるのであった。
食べ終えるのに、やはり時間は掛けてしまうだろう。
申し訳無さそうにしながらも、その後は素直にギルドへと戻って報酬を得る。
また一緒に出来たらお願いね?なんて言葉を掛けながら、宿に戻って今日は休むのだった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からネメシスさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からエデンさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にエレイさんが現れました。
■エレイ > 「~♪」
夜。
森の奥のちょっとした広場になった場所で、ピーヒョロロとヘタクソな口笛を奏でつつ
焚き火をしている金髪の男が一人。
パチパチと音を立てる焚き火の側には、串を通された魚が2、3匹立てられ炙られていて。
その焼き上がりを待ちながら、頬杖突いて暇そうな目で燃え盛る焚き火をボケーッと眺めている。
「本当は肉が良かったのだが……ちょうどいい獲物が居なかった以上は仕方がないという顔になる」
口笛の合間にポツリ、そんな事を独りごちる。
何が出てくるか判ったものではない森の奥にあって、男は緊張感の欠片も纏っていない。
焚き火だの口笛だの焼き魚だの、自分の存在を周囲に露骨にアピールしている状態にも関わらずである。
むしろなんか面白いモンの一つでも飛び出して来たりせんかなぁ、と期待してすらいたりもする。