2020/03/29 のログ
エレイ > やがて焚き火の光も消え、森は夜の静寂に包まれ──
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からエレイさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にリムリアさんが現れました。
リムリア > ようやく暖かさも感じられるようになってきた春先
普段はギルドの受付業務をしている少女は、久しぶりに薬草採取の依頼を受けて、王都近くの森へとやって来ていた。

「暖かくなって、いろいろ芽が出てきてるね。」

少し前の寒々とした光景とは打って変わって、森の中にも緑が戻ってきていた。
足元に生えた野草はもちろんのこと、茂みの木々にも新しい葉が見られ。
ちらほらと花が咲いているものの見つけられる。

「お弁当を持って、お花見とかも良いよねー…」

森の中はさすがに危険だけれど、街道近くなら安全だろう。
確か川べりには春に花を咲かせる並木があったはず。
ひとつ問題があるとするなら、誰と行くかということくらい。

そんなのんきなことを考えながら、森の小道を進んでいき。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にアルヴィンさんが現れました。
アルヴィン > 森の中から、気配が届いてくる。金属製の鎧が鳴るそれは、本来であれば涼やかな音と、そういってよかったろう。けれど、木々の枝葉や下生えに擦れ、ともすればなんとも珍妙な音色を奏で立てもする。
「…っ、と。よ…、っ、む?」
その金属音に耳をすませば、そんな声も届いてくる。どうやら、森の中をそのような装備で進むことに、声と鎧の主は苦労しているものらしい。時折混じるそんな声と、そして鎧の鳴る音とは、次第に森の小道に近づいて…そして。
「…ああ、ようやく抜けた…」
森の木々の間から抜け出た騎士は、呑気にそんなことをのたもうては、それはそれは晴れ晴れと木々の切れ目の空を見上げたのだった。
白い鎧に竜と獅子の紋章が浮き彫られた盾。剣は左の腰間に佩かれているが…なんと、右手にはようやく血が渇き始めた獅子の生首のようなものを提げている、という、呑気な様子とは裏腹な、一見しただけではほとんどの者を驚かせかねぬような、そんな姿のこの騎士は、鎧にも金色の髪にも、そしてマントの上に背負ったバックパックにも、木々の枝葉の欠片をつけて、それはそれは盛大に森を迷ったことを示しており…。

リムリア > 森の奥のほうから聞こえてくる音は、獣の遠吠えなどよりもよほど異質なもの。
その場に立ち止まり、静かに耳を澄ませてみると、どうやら相手はひとりらしい。
冒険者かなとも思うけれど、この辺りの森にフルプレートの重装備で来るような依頼があるとも考えにくく。
どうやらこちらの方へと近づいてきているようなので、その場を動かずに様子を窺うことにして。

「こんに――――きゃっ…!?」

森の茂みから出てきたのは、立派な白い鎧に身を包んだ騎士様だった。
どう見ても国に仕えていそうな武具を身に着けた相手が、どうしてこんな森に居るのかは分からないけれど。
失礼のないように挨拶をしようとしたところで、その手に持っていた生首が目に入った。

まさかそんな物騒なものを持ち歩いているとは思わない。
血の滴るそれの、ネコ科特有の目と目が合ってしまう。
自分ひとりで遭遇したならば、まず餌になってしまうような大物に短い悲鳴が漏れて。

アルヴィン > 呑気に森の迷路の無事なる脱出を果たした騎士は、森の小道の先客を、己が何故驚かせたかを、どうやら失念していたものらしい。小さく響いたその悲鳴に、ぱちくりと蒼い瞳を瞬かせたのち…己が右手に提げているものにその蒼い眼を落とし、慌てたようにそれを背後に隠して見せるが、まあ、遅きに失したのは否めない。
「こ、これはご無礼を…」
慌てて頭を下げるその様子。
そして、困ったように口許を掻く仕草。
そのあたりで、娘にはもしかすると心当たりがあったかもしれぬ。
最近王都のギルドに登録したという、異国からの遍歴の騎士がいるということを。
そしてまた、王都近くの平原に、キマイラが現れたという緊急依頼を、たった一人で受けたという無謀な騎士がいた、という話も。
どうやら、娘の眼の前で、娘を驚かせてしまったことに困っている騎士は、その噂の主であるらしく…。
「や、これは驚かせてしまい申し訳ない。討伐依頼を果たした証を持参せよ、という依頼を受けていて…」
これはその証なのだ、と。騎士は言い訳にしては随分とゆったり口にする。
どうやら、キマイラの三つ首のうちのひとつ、獅子の生首であるらしく。

リムリア > 「あ、……いえ、こっちこそ悲鳴を上げちゃって、ごめんなさい。」

相手が騎士様でなくとも、出会い頭に悲鳴を上げられたら敵わないだろう。
いくら生首を手にしていたとしても、だ。
さすがに街中でそんな相手に遭遇したならば、衛兵の詰所に駆け込んではいるけれど、
残念ながらここは森の中。獅子の1頭くらいはいるかもしれない。

「えと……討伐? 討伐って、それ……キマイラですか!?」

ぺこっと頭を下げていると、相手の口から告げられた弁明。
獅子の討伐なんて依頼はギルドでは聞いたこともない。
あるとすれば、この森を抜けた先の平原で危険なキマイラが見つかったというもの。
それにしたって、まずは調査隊が先行していたはず。
騎士の身体の後ろへと隠されたそれを改めて覗き込み。

「もしかしなくても、おひとりで倒しちゃったんですね……
 凄いというかなんというか……それよりどうして、こんな森の中に?」

確かに王都への最短距離とは言え、街道だってあるのに、こんな森の中に入ってくる意味が分からずに首を傾げて見せ。

アルヴィン > 「いやいや。いきなりこのようなものを持った者が現れたのだ、驚かれたのも無理はない」
これは、こちらの方が不躾であったと。騎士は困ったように天を仰いだ。ようやく戴くことができた青い春の空。先刻まで、騎士の頭上は緑の天蓋に覆われて、空など見上げることはできなかったのだ。
そして、騎士はその視線をまた娘へと向けると、ゆっくりとひとつ頷いてみせる。
「いや、なんとも不甲斐ない。ギルドにも早く腕を認めてもらわねばならぬと、功を急いてしまった。討伐隊や調査隊が編成されているのもしらずに依頼を受けたはよいのだが…」
平原で不意打ちに近い状態で遭遇され、そのまま戦いに持ち込んだはよいものの。
劣勢と見たキマイラが逃亡を図ったのだという。
幸い、蝙蝠のような黒い翼は早い段階で深刻な損傷を与えておいたので、飛んで逃げられるということこそになかったものの。
喜びヶ原の平原を突っ切られ、森の中に逃げられたのを、なんとか苦労して倒したのだと、騎士は溜息交じりに告げたのだった。
「…いやもう、大変であったのはその後で…」
実はもう、半日以上こうしてキマイラの首を提げ、森の中を歩き回っていたのだと。
「…ようやく森を抜け、貴女に出会って、それはそれはほっとしたのだ。いや、面目ない…。無様なところをお見せした」
と、騎士はまたも困ったように天を仰ぎ…。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からリムリアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からアルヴィンさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にレフェーリアさんが現れました。
レフェーリア > ――……っ…はぁふ…ぅぅ……(日中の気温は降り積もっていた雪を着実に溶かしているもので、睡眠時にも厚手の毛布が必要でなくなっていた今日この頃。街中まで赴けば浴場が用意されているどころか、簡潔な素泊まりの宿であったとしても願えば手桶に張られた湯か何かを大抵の場合は恵んでくれるだろう……川には雪解け水が一斉に流れ込んでおり、未だ冬を想起させる程の水温の冷たさを持っている。そんな中に彼女は近くの枝にローブと荷物を引っ掛けて、丸裸のまま浸かって身を清めていて。)

ふぅぅ……あぁ……(時折声を溢れさせながら小さく身体を震わせ、水温に晒された胸元には大粒の胸元の突起がこれでもかと存在を主張してしまってすらいる。そこまでやってでも身を清めている理由は、何処か本能的なもの――この自然の中に眠っている何かに捧げたがっているかの様に、水温の冷たさとは裏腹に身体の奥底は仄かな火照りを帯び始めていた。)

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からレフェーリアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にリムリアさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にアルヴィンさんが現れました。
リムリア > 見た感じ若くは見えるのだけれど、その語り口調はまさしく堅物の騎士といった感じのもの。
そんな口調での説明を聞いてみれば、ギルドで聞いた噂は本当だったのかと頭を抱えてしまう。

キマイラと言えば、普通ならパーティーを組んで当たる討伐対象
時には騎士団が派遣されることもあるレベル。
それをソロで受けたというのだから、よほど腕に自信があるか、はたまた自殺志望者か。
少女が聞いたのはそんな噂だった。

―――どうやらその真相は前者だったようだけれど。

「何にしても、大きな怪我とかもないようで何よりです。
 王都に戻られるなら……ご一緒しましょうか?」

キマイラと言えば毒のブレスも吐く厄介な相手。
けれど見たところ大きな怪我もない様子。
ただ道には不案内なのかもしれないと、お節介ながらに申し出てみた。

アルヴィン > ギルドで依頼を受けた際にも、気は確かかと問われたが。
騎士にはきちんと勝算があった。…結果的に、いろいろと不測の事態が重なって、魔獣そのものではなく森で迷子になるという、なんとも間の抜けた、それでいて一歩間違えばそれこそ救いようのない失態を犯してしまったが。
…しかも、それを見られたのがギルドの受付嬢であるということを、幸か不幸かこの騎士はまだ気づいていないのだけれど。
「まことにそれは痛み入る…。
 御用は、もうお済だろうか?」
もし何やら用事があるのなら、王都へと戻るのはそれを済まされてからでよい、と騎士は告げる。それこそ、何かお手伝いはあるまいか、とも告げるのだが…キマイラの獅子の首を提げたままに、どんな手伝いをするつもりなのかは、少しばかり疑問の沸くところだ。
とまれ…。
「…よい教訓になった。やはり、パーティは組むものだなあ。きっとドルイドやレンジャーの心得がある方がご一緒であれば、迷子などという醜態は晒さなかったろう…」
そう告げて。
騎士は娘に、ご厚意誠に感謝すると、簡素ではあるがしっかりと典範にのっとった騎士の礼をしてみせる。