2018/02/11 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林地帯」にシトリーさんが現れました。
■シトリー > 「・・・・・・迷った」
鳥の声もほとんど聞こえないような森の奥で一人途方に暮れた表情で立ち尽くし。
山から意気揚々と下りてきたはいいものの、どうやら自分が封印されている間に大きく自然をはじめ地形がかなり変わっているようだ。
「おっかしいな……この辺街道だったと思うんだけど」
考え込むように偶然見つけた小川のそばにある岩に腰掛け。
川の水で足首までを洗いながら揉み解しつつ、どこで道が変わったのか考えを巡らせて。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林地帯」にスナさんが現れました。
■スナ > ガササッ……と木々や下生えを掻き分けて、少年が川辺へと現れる。
草染め色の厚手の上下に身を包み、手には小ぶりの手斧。
背負ったバックパックには手頃なサイズに切られた木材が十数本と詰められ、少年の歩みに合わせてカラカラと鳴る。
パッと見はどう見ても薪集め。実際は木工用の素材集めだけれど。
喉の渇きを癒やしに小川へと出てきたスナだが、そこで流れに素足を浸す女性の姿に気がつく。
すたすたと足早に近づき、声をかける。
「………む。こんなところで女性が一人とは珍しいの。何をしておる」
シルエットはどうみても少年だが、その喉から発せられた声はとても低い。
眠たげに伏せた瞼の後ろから、銀色の瞳が注意深く女性を見定める。
頭頂部にはやや丸みを帯びながらも高く伸びた耳が揺れる。そしてお尻からはフカフカの尻尾が3本伸びている。
少なくとも人間には見えないだろう。
■シトリー > 「ん?子供……じゃなさそうだね、妖狐?まだ全滅してなかったんだ」
別段飢え死にするわけでもないし、のんびり歩いて探そうかと思っていたころ。
草をかき分ける音とともに現れた少年のような姿をした相手に首を傾げ、少し思い出すように考えた後小さくつぶやき。
「ん~、久しぶりに山から下りてきたら道に迷っちゃってさ」
森の中に武装もくそもない女性と幼い様子の相手の組み合わせはどう考えても違和感しかないが、本人はどこ吹く風といった様子で。
体を回して相手と正対すれば体を倒して相手と視線を合わせ。
「君はどうしたの?お母さんとはぐれた系かな?」
■スナ > 「ほう………」
尻尾が3本見えているとはいえ、この国の大半の者はスナの獣の相を見てミレー族だと判断するだろう。
目の前の女性はそうは言わず、妖狐であると即座に見抜いた。スナは思わず唇を丸め、感嘆の声を漏らす。
「……いや待て。妖狐だと見抜いたなら、なぜ俺が迷子だと決めつけるのじゃ。母親などとっくの昔に死んどるわ。
この装いを見んかい。どうみても木材集めの木こりじゃろが」
スナは使い込まれた様子の色濃い手斧を掲げ、肩をすくめる。
表情は憮然としているが、しかし女性に対し過剰な警戒心は見せていない。
「……ふぅん、『久しぶりに』ねぇ。
つかぬことを聞くが、お嬢さん。お主はどのくらいぶりに山を降りてきたんかぇ?」
スナはゆっくりと斧を下ろしつつ、低いながらも聞き取りやすい発音で問いかける。
「言いたくなかったり分からなかったりするなら黙っててもええが。
迷ってるということは、行きたいところがあるのかぇ。俺で良ければ案内するぞぃ」
■シトリー > 「えぇー私の知ってる妖狐ってもっと威厳とかそういうのあったし、子供がお風呂の焚き木でも集めてるのかとおもってさ」
憮然と抗議の言葉を言う相手に対してからかうような口調で言い返し。
相手の質問を受ければ眉を寄せて肘を膝の上に置いて頬杖を突き。
「ん~、正直わかんないんだよねぇ、ずっと閉じ込められて寝てたし。
確かこの辺にミレー族の村があったと思うんだけど」
視線を相手からそらし、周囲を見渡しながらかつて存在し、人間のミレー族狩りで滅亡した村の姿を探し。
■スナ > 「カカカッ……! 威厳か、そりゃなるほどだ!
俺は庶民派の狐なんでの、たしかに威厳とやらは見えぬだろうな。童の手伝いに見えたか……!
いや、致し方なし! ククッ。……ま、まぁ、違うとだけ言っておくぞ。最終的にどう思うかは勝手じゃが」
スナは怪しげに口角を引き上げて不器用な笑みを作り、肩をゆすり、詰まった笑い声を上げる。
その背に揺すられて、背嚢に詰められた木材たちもガラガラと鳴り響く。
「……ふむ、ミレーの村な。
俺も最近この国に入ったんで、地理のことはさっぱりだが……まぁ、俺の知る限りでこの当たりに村はないぞ。
街道まで下れば宿場町はいくらでもあるが、ミレーが大勢いる村はないな。
……というか、彼らはそう易易と見つけられないよう《結界》を組んで村を守ってると聞くがの。
あっても見つけられない、近づけない、ってだけかもしれんがの」
ミレーの村を探してる、という発言には、顎を弄りながらスナも思案し、知っている知識を語る。
「閉じ込められて寝てたとは。……こういう聞き方もアレじゃが、お主、何者じゃ?」
顎を弄る指を止め、キッと切れるような視線を向けつつ、声を改めて問う。
■シトリー > 「え、そうなの?前に見たときはそんなことなかったんだけどな」
どうも話を行く限りでは自分の知っているミレー族を取り巻く状況ではないようだ。
これは魔族側にせよ人間側にせよ早く大きな町に出てみないと、と考えていれば相手の質問を受ければ思い出したように顔を上げて。
「ん~、まぁ、起きてた時は魔界に領地持ってたよ。
戦場で殺されついでに兵士を少し殺したり、子供たちと戦争ごっこしてたら勇者とか何とか言う人に剣を腹に刺されちゃってさ。
ひどくない?女の子の腹に魔力のこもった剣をぶっ刺すとかさ、すごく気持ち……んん、痛かったんだからさ」
睨みつけるような目線にも軽く肩をすくめるだけで答え。
おそらく管理するホムンクルスがいなくなったことで廃墟となっているであろう屋敷のことを思い出し。
「あ~管理してたみんな死んじゃってるだろうなぁ……また作らないと」
■スナ > 「ふぅむ………」
目の前の女性が事も無げに話す、常識と照らし合わせればブッ飛んでると言わざるを得ない内容。
それをスナは長い狐耳で捉え、真剣な面持ちで吟味する。
「なるほどの。いま聞いた話だけが元になるが、俺なりに整理してみようか。
まず、お主は魔族。剣を腹に刺されてどっかに閉じ込められ、眠りこけておったと。
……で、『前に見た時は』というたが、この国の獣神族……いや、ミレーの風当たりは約200年前を境にガラッと悪くなっとる。
ナルラート王とやらの仕業での。この辺は俺もぼんやりとだが覚えとるし、勉強もしなおした。
つぅことは、お主が封印されたというのはそれより前になるということかの?」
剣を刺されて気持ちよかった、と言いかけた部分は華麗にスルーしつつ。
相手はほぼ間違いなく魔族なのだが、その旨を口にしてもスナには狼狽の様子はない。
「……まぁ、百聞は一見にしかず、お主の目で実際にこの国の実情を見て回るとええ。
南蛮の地も、200年前とは明らかに様相が異なる。ま、じゃから俺はあえてコッチに住むことを選んだがの。
アイオーンとやらの加護が薄まってから、魔族もこの国の中で活動しやすかろう」
言いつつ、スナは親指で河の下流の方を指す。そっちの方に街道や街があるという示唆だ。
「………っと、すまぬな。自己紹介がまだじゃった。俺はスナ、お前さんの言うとおりの狐じゃ」