2017/05/21 のログ
レタチテ > 口程に物を言い、示す眼差しは遠く平原の彼方、今しがた走り抜けてきた場所へと向けられる。
追従するように言葉を発し泥のように澱ませるダリル殿に私は多分、これ以上ない渋面を向けた事だろう。

「……なに、きっと何処かに行ってしまっているだろう。
それでギルドに報告をし、情報料を頂きめでたしめでたし……と行きたいものだが。」

森の中で野営。は出来るだけ避けたいと口にしよう。私の弓は長大であるだけに
木々に阻まれては無用の長物でしかなく、端的に云えば足手まといでしかないからだ。

「それに存外アレのおかげで野盗の類も失せているやもしれん。一つ案内を頼まれてくれないか?」

立ち上がり、もう一度ダリル殿の肩に手を置こう。旅は道連れ世は情け、袖振り合うもなんとやらだと。
…彼がその言葉を知らないなら、道すがら教えつつ行くやもしれない。

ダリル > 視線と濁した言葉で言いたいことを判ってくれたか渋面を見せるレタチテさんに視線を戻し。

「案外見当違いを探している可能性は無きに非もあらずか。
少なくとも昨日にはアレの討伐の依頼はなかった、大丈夫だと思いたいな」

食糧はあと数日分あるので野営に反しては問題はない。
ただ日が暮れる前にという言葉と初見という事に野営という選択は選ばずに腰を上げて。

「あれを見て逃げない野盗はいないだろうな。こちらは王都に戻る予定だったんだ。この際王都までの案内をつけよう」

肩に手を置くレタチテさんを見て、言っている言葉の意味は分からないがきっと同行することを指すのだろうと。
序とばかりに王都までの案内を名乗り出れば警戒をしながら先に森を出て平原に。
魔猪に遭遇することなく街道まで出る事が出来れば道すがらに先ほどの言葉の意味を聞くはずで…

レタチテ > 「おや、それは運が良い。であればきっと道中も安全に違いない。ダリル殿が善良な御仁で助かった。」

かくして同道の道中となり、日も暮れかけた頃にはきっと王都の門にも届こうか。
尤もギルドに辿りついた所で待っているのは報告関係の雑務であって、漸く休めたのは日が落ちきった後の事だったけれど。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からレタチテさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からダリルさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にリンさんが現れました。
リン > 夜に響く吠え声。
弦楽器を構えた藍色の少年の周囲を取り囲むのは、腹をすかせて涎を垂らす獰猛な野犬ども。
演奏の訓練のできそうな無人の場所を求めていたら、この有様だ。
しかしどうという顔もしない。この程度は半ば慣れていた。

構えた弓を弾くと、この世ならざる音階の旋律が響く。
ただそれだけで囲む野犬たちは、全てが悶絶し泡を吹いて倒れ伏していた。
この程度の野生生物なら、《アクリス》を奏でることで対処できる。
この魔楽器には、音を聴いたものの精神を狂わせる作用があった。

「犬をどうこうする趣味はないんだけどな」

ため息。

リン > 確かに《アクリス》の力はすごい。
すごいが、自分のすごさではない。
思わずいい気になって見えないマントをはためかせてしまいそうになるが、
そうなれば自分は本格的に人間として終わりに近づいてしまうだろう、と思う。
闇のアイテムを頻繁に悪用する人間が、物語で良い結末を迎えられた試しなど無いのだ。

「こいつらどうしようかな……」

あえてとどめを刺して始末する気にもならない。
ひょっとしたら何かの遺恨になるかもしれないし、後からここに誰かが来たら
不審に思うかもしれないが、それはその時考えることとしよう。
慎重な足取りで、倒れた犬たちの囲いから外に出ようとする。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にサンゾウさんが現れました。
サンゾウ > 木の陰から突然、手を叩く音がする。
その音は少しずつだが大きくなっていき、木の陰に隠れていた男が姿を現す。

「兄ちゃん、随分と強いみたいやな。 こんだけの数の狼を一瞬で仕留めるなんて簡単やないで。」
方言丸出しの男は、少年に声をかけると周囲で伸びている狼に目をやり。

「ところで兄ちゃん、こいつらに留めはささんでええのんか? 頭が良い奴居ったら兄ちゃんのことまた狙ってくると思うで?」

リン > 「うわ」

突然届く拍手と声に肩を震わせて、その方向を向く。
《アクリス》の効果範囲外に隠れていたのだろうか。

「……運が良かっただけさ」

物憂げに長い髪を指で漉いて、倒れた獣を跨ぎ越す。
正体の分からない男と胡散臭さを感じる方言に、若干警戒する様子を見せる。
トドメを刺さないのか、という指摘には痛いところを突かれたように目を伏せた。

「そうしたほうがいいかもしれないけど、
 ぼく、生き物を殺すの苦手なんだよね……」

サンゾウ > 「なんや、そんなに驚くなよ。 わしこう見えても繊細やからな。 傷つくで。」
笑いながらその場で仰け反って見せる男。

「強い奴は皆そういうこと言い寄るな。 運だけで仕留めれるわけないやろ。 まあ、どないしたかは聴かんけどな。」
視線を伏せる少年に対し、あけすけにしゃべり続ける。
とはいえ、少年にとって触れて欲しくないであろう所には言及せず。

「まあ、兄ちゃんまだ若そうやしな。 確かにこんな幼気な動物たちを殺すのもどうかと思うわな。 よっしゃ、俺も今日は殺生せんとくわ。」
胸の前で両手を組んで、得意げな顔をする。

「ま、それはともかくやな。 兄ちゃんはこの辺の人か?」

リン > 「あんたのことなんか知らないよ。
 誰もいないと思ったところに誰か居たら、誰だって驚くでしょ」

大して傷ついてるわけでもなさそうな男に、呆れた様子でいやいやと掌を振る。
すでに《アクリス》はケースに仕舞い込んでありはするが、それを使ったということは類推可能だろう。

「慈愛に満ちてるってわけでもないけどね。感触が嫌いなだけで。
 ん、まあ、そうだけど。
 そういうあんたはよそからの旅人?」

言いながら男の傍を通り過ぎて、彼が隠れていた樹に寄りかかって小休止しようとする。

サンゾウ > 「今時の子は冷たいなあ。 ほんま、世知辛いで。」
両手を左右に広げ、溜息交じりに首を左右に振る。
何かしらの道具を使ったであろうことは推測しているが、男は別段それを気にしていない。 こんな所に一人でいるような者が何の備えもない方が珍しいから。

「なんや、偉い冷めたことばっか言い寄るやないか。
感触って言うけどトドメ差すときは刃物でも使い寄るんか?」少年の言葉が気になり、首を傾げる。

「おう、わしが流れ者でな。 あっちこっちの国を渡り歩いとるんや。 この国は今来た所でな。 どこ行けばええのかもよーわからんのじゃ。 とりあえず、どっか泊まれそうなとこないか?」
木に寄りかかる少年の横顔を見つつ、尋ねる。

リン > 「今時って、せいぜい十年ぐらいしか違わないんじゃない?
 そんなこと言ってると精神がヨボヨボになるよ」

嘆息。面倒くさいやつに捕まってしまったな、とリンは思った。

「醒めてるっていうのはよく言われるなあ。自分ではそうは思わないけど。
 そりゃ使うよ。仕留めるならどう見ても起き上がる余地がない方法でやらないとだめじゃん?」

《アクリス》は相手を衰弱させるには向いているが完全に命を奪うのには向いていない。
泊まれそうなところ、と聞いて王都のあるであろう方角に目を向ける。
歩くとなると少しかかりそうだ。

「少なくともこの辺には宿屋はやってないね……近くに村落があるなんて話も聞かないな。
 王都への行き先はわかる?」

ぽりぽりと首筋を指で掻いて質問に答える。

サンゾウ > 「しゃーないやんけ。 実際わしはホントはヨボヨボで歯も抜け取って当たり前の歳なんやからな。 …おいおい兄ちゃん、ちょっと素直すぎやで。」
息を吐く少年の横顔に、にやけるような表情を見せる男。

「なんつーかな。 兄ちゃんからは感情の動きみたいのがあんま感じれんからな。 まあ、今時の子にはそういうのも多いってのはよー聞いてるからわしはなんとも思わんけどな。 そうなんか、そりゃ兄ちゃんも大変そうやな。 いっその事魔法でも覚えたらどうや? 殺すのもだいぶ楽になるぞ。 まあ、わしが通りかかった時はわしになんぼかくれたら代わりに殺したるわ。 こう見えてもわし、ケンカは強いぞ。」ドヤ顔でペラペラと喋りながら、右手で拳を作る。どうやら荒事の類は好きなようだ。
そして、少年が視線の先をとある方向に向けると、男もそちらの方へと向いて。

「そうか、この辺は宿やっとらんのか。 困ったのう。 まあ、行き方は全くわからんけどどうにかなるやろ。 兄ちゃんありがとな。 俺は ブスジマ サンゾウ や。 なんか用事ある時は呼んでくれや。 大概のことはやったるで。」
言い終わると、少年に背を向け、示された方へと歩き出す。
去り際に後ろ手を振って。

 

リン > 「えーそうなの? 開き直らないでよねまったく。
 見た目は若くて中身はヨボヨボなんて、羨ましいんだかそうでもないんだか」

本当はヨボヨボ、という言葉にあまりピンとは来なかったが、
見た目と実年齢が一致しないというのはたまにある話だ。
それにしてもよく喋る男である。

「……なんとも思ってないなら口に出さないでほしいもんだけど。
 金取るのー? そこは無償でなんとかしてほしかったな~」

好き勝手まくしたてられたので、こちらも適当に勝手なことを口にする。
悪い男ではないというのはリンにもわかるが、この手の手合はどうにも鬱陶しく感じられて苦手であった。

「大丈夫かな……?
 ぼくはリンでいい。じゃあね、サンゾウさん」

自分はその場に腰を下ろして、去りゆく男に別れの言葉を言った。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からサンゾウさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からリンさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にカルニーツォさんが現れました。
カルニーツォ > 木々がうっそうと茂る森の中。僅かな木々の枝の隙間から差し込む月の光のみが地面を照らす。巨木の根が地面全体を覆い尽くし、真っ直ぐに進むことも難しい。そんな中、木の根にびっしりと生えた苔に足を取られ、時折転びながらも明かりも付けずに歩いている男が一人。時折歩みを止めると、地面に這いつくばるように姿勢を低くし、辺りをゆっくりと見回す。

「フゥム。ここにもありませんか...もうこのあたりには残っていないのですかね?」

大きな溜息をつき、肩を落とすも、ブルリと頭を振ってまた歩み始める。

男が探しているのは特殊なヒカリゴケ。普段はどう見てもごく普通の苔にしか見えないが、満月の夜にのみ、金色の淡い光を放つ苔。特殊な魔法薬の原料となるそれを採集に来ものの、何時間経っても一向に見つけることが出来ずにいた

「ほんの200年ほど前はこのあたりに捨てるほど生えていたんですけどねぇ...」

見た目こそさほど変わったようにない森の中、ヒカリゴケのみが消えてしまったことに愚痴を言いつつさらに奥へと進んでいく

カルニーツォ > 「やれやれ、少し休みますか...」

何度も転び続けた故に、いつの間にか服には泥やら苔やらがそこかしこに付着して、湿り気で重くなってきている。腰を拳でたたき、大きく伸びをすると手近な木の根へ腰掛け、身体を幹に預ける。マントの中から皮袋の水筒をとりだし、中に入っている薄めたワインで喉を潤す。

「ふぅ...ようやく一息付けましたね」

顔を上げれば、枝の隙間から銀色の満月が覗いているのが見える。そのままぼんやりと月を眺めているうちに、ふと空腹に気づく。ベルトのケースの一つから、昼食の残りの硬くなったパンと食べかけのチーズを取り出すと、口にする。

石のように硬くなったパンもチーズといっしょに噛んでいるうちに段々と柔らかくなっていく。味わうというよりも栄養を取るためだけのように、月を見上げながら、ただ機械的に口を動かし続ける

カルニーツォ > 「さて、もう少し探してみますか」

最後の一口を飲み込むと、ゆっくりと立ち上がり、ほこりを払う。そしてそのまま森の奥へと歩を進めていく。いつしか黒いマントが闇に溶けていく。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からカルニーツォさんが去りました。