2017/04/29 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 寂れた遺跡」にルーテシアさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 寂れた遺跡」にカインさんが現れました。
■ルーテシア > 一応これでも、村という小さなコミュニティの中とはいえ、頭はそれなりだ。
計算だってできるし、字も読めるし、書けもする。無学なへっぽこ若造という訳ではない。
しかし、経験不足をカバーできるわけではないから、危なっかしさは常に付きまとっている。
腕前も、運に頼らず倒せるのは群れから逸れたゴブリンや、偶然現れたスライム程度。
集団戦になど慣れていないし、野犬にすら苦労する。冒険者見習いとしてはこれ以上ない見本かもしれない。
「ん、魔物かぁ……ゴブリンとかスライムしか倒したことないし、ゴブリンも群れは無理だからなぁ。
えーと、父様から教わった剣と、昔狩人さんに教えてもらった弓が使えるかな?
あと、魔法もちょっぴり使えるけど、攻撃は無理かも。お水綺麗にしたりは出来るけども、ね」
自分の出来る事は包み隠さず話し、分析は経験豊富な彼に任せる。
先達には素直に従い、教えを乞うのが正しい姿だと、簡単な作法は学んでいる。
それも、騎士とシスターという、比較的教養が必要な身分にあった両親の薫陶のお陰だった。
それ故か、四角く切った古布を束ねた簡易メモ帳に黒鉛棒でメモを刻みながら、彼の話を頭に入れる。
「ん、ぅ……その、母様は色んな事知ってて、沢山教えてくれたから、ね。
うぅ、それでも、その……は、恥ずかしいのだけども……あぅ。」
母親の職業上、性的な事柄は無言の禁忌となっている。教育も、一般的な知識のみだ。
無論、思春期特有の興味と友人達の話で若干耳年増になっているが、実際の経験値はないに等しい。
彼の一歩には羞恥で気づかず、腰を抱かれて初めて理解し、狼狽える間に唇が重なる。
ちゅ、とリップノイズが響き、少女に接吻の実感を伝える。彼の唇が何味かも、緊張しきって分からない。
やがて距離が離れると、少女は耳までを真っ赤に染め上げながら、どこか怒ったように。
「い、いきなり、その、キスとか、びっくりしたんだけどっ!?
まぁ、その……さっき、そういうの許すって言ったけど、もう少し、その、タイミングとか!
むぅ、ま、まぁ、うん。ちゃんと先払いはしたからねっ!ちゃんといろいろ教えてよ?」
頭上に乗るのは、父親のように大きくしっかりした手のひらだ。
それだけで安堵が胸を満たし、嬉しくなってしまう。にやけを抑えるのが大変だ。
ちょっとばかり拗ねたかのように顔を背けて、しかし確かに彼への信頼を増しながら、奥へと歩く。
様々な感情に満たされた頭からは、警戒心などすっかり抜け落ちていた。
■カイン > 「剣と弓か。弓はそれなりに練習さえしておけば何とかなるが、
剣は度胸というよりもその場の勝負勘を培わなければならんからなあ」
相手の言葉に少しだけ考える仕草を見せる。人らしい生活や、
それから学んだ経験というのははっきり言って自分にはない物だ。
故にこそ、相手の境遇は想像する事すら難しいのが少々困るのだ。
「武器の扱いに関しては慣れるしかないからガンバレ、としか言いづらいがな。
特に剣は先達の事をよく見るといい。人が剣を振ってる時に何を動かしているのか、解ってくればそれを真似すれば上達していく物だ」
自分の実例を混ぜてそう言いながらも、真っ赤になった少女を先導するよう、
ゆっくりと歩き始める。それに合わせて生み出した炎もその後をついて遺跡の奥の方へと進み始める。
暗い遺跡の中に、甲高い足音が響き始めるのを聞きながら少女の恥じらう様子をさも楽し気に笑みながら眺め。
「この先何が見つかるかはわからないからな、まずはこうやって先に報酬を戴いておいた方が俺としては安心だ。
タイミングという意味では、最適だったと思うぞ?何せお前さんがこうやって怒ってる訳だからな、
反撃する余地がなかったという事だろう」
であればやり混めた側としては成功だ。反撃ともいえない反撃など、こちらにしては大した問題ではない。
どこ吹く風といった風情で相手の文句を受け流して喉を鳴らしながら、
奥を行く間に罠の残滓や魔物の痕跡などを見つけては罠の見分け方や魔物のいそうな場所や隠れ方、戦い方など己の知識を教授して行く。
冒険者というわけではないが、最低限の知識はあるのはそれこそ過ごしてきた年月の長さゆえだろうか。
■ルーテシア > 「ん、やっぱりそうなんだ。近づくと大変だから、弓で攻撃する事も多いし。
剣は、訓練だと色々学んだけど、実践は全然だから、まだ怖いなぁって」
ゴブリンに襲われた時は、死に物狂いだったから剣でもどうにかなった。
スライムを相手にした時は、ランタンの油と種火の魔法でなんとか倒した。
その程度の経験しかないものだから、知恵のある魔物に見つかればそれこそ恰好の獲物だ。
勉強する意欲はあるが、環境と先達がいない。もっとも危なっかしい状況に、少女は自ら足を突っ込んでいた。
「ん、病気とかじゃない限り、毎日ちゃんと訓練はしてるよ!
剣は先達を……ふむむ、何を動かしているか……ちょっぴり難しいけど、頑張る」
概念的な物は分かりにくいが、頭に入れておけばいつか理解できるはず。
教えて貰えば貰った分だけ、知識を吸い上げていく。少女の頭はさながらスポンジである。
少女は最初こそ前を歩いていたものの、直ぐに隊列は彼が前のものに変わる。
その方が安全だし、彼の後ろに居ても、熟れたトマトのように真っ赤な顔を見られなくて済むのだ。
揶揄われているような気分だが、不思議と居心地は悪くなかった。
「うぐぐ……もっとこう、甘い雰囲気でされるかと思ってたのに。
い、今更キスの一つや二つで変な声出したりしないけども!けども……!
反撃、しても無理だしっ……い、意地悪っ!」
ぷんすか、と怒った様子を全身で表現するが、それでも微笑ましいという程度。
さらりと受け流され、ゆっくりと奥へ進んでいく。最中に学ぶのは様々な知識だ。
その全てが実践的で、自分の身を守るために何よりも必要なことが分かる。
同時に、今までの自分が、如何に甘かったかも思い知らされる。
それでもへこたれないのは、少女の持って生まれた明るさのお陰かもしれない。
そうして進めば、より遺跡の深い所に足を踏み入れることになる。
空気もわずかに冷えて湿り気を帯びて、地下にいることを如実に伝えてくる。
彼に与えられた羞恥とはまた別の、冒険の興奮と緊張に由来する高揚を感じながら、暗い石の廊下を歩き続けた。
■カイン > 「それは賢い選択だな。特に独りだと。殺しきれる自信がないのであれば、
すぐに放り投げられる短弓の方が扱いとしては好ましいんだろうがな。
その内何とかなる、と言えるような話でもないが実践を踏むとなるとその機会を作るのは中々な」
手間というよりもそれこそめぐり合わせの問題になる。探そうと思って簡単に探せるようならば、
命を落としたりひどい目に会ったりする冒険者の数などかなり減っている事だろう。
少女の様子に少し肩を竦めながらも、顎に手を当て変わる空気に黙考し。
「要するに真似すればいいというだけだ、真似すればとりあえず形は出来る。
後は自分が同じことをしようとしたらどうすればいいか、が解る。
そして最終的に自分がしたい形にしていけるわけだ」
それにつなげられるかどうかは才覚次第である、とは野暮とばかりに言わないが。
後ろをちらりと一瞥すればいまだに赤さの引かない様子に再び肩を揺らしながら、
存外乙女な恨み節に思わず押し殺した笑いが漏れ。
「なんだ、口説いてほしかったのか?
あれで足りないとなると相当甘ったるい言葉をお好みと見える。
今年はいくつになるんだ?」
指折り数えて問いかけつつに、やがて辿り着く最深部と思しき行き止まりの広間。
なるほど、確かにそれほど深い遺跡でもない様子だし今まで渡り来た限り純然たる枯れた遺跡以外の何物でもない。だが、
「ここを探索した冒険者とやらは余程の新米か、そうでなければ
節穴であったのは間違いないな。なるほど、こういう仕掛けか。どこかに入り口はあるんだろうが――」
徐に壁の近くにやってくれば拳を腰だめに構え、石造りの壁に向かって思い切り叩き付けた。
轟音と共に岩が砕け、その向こうに更なる闇が見えるのを確認すれば少女を振り返り。
「良かったな、まだもう少し期待は持てそうだぞ」
にんまりと意地悪く笑ってそう声をかけた。
もっとも、人ならざる身の上だからこそ気付いた、などという程の事ではない。それこそ熟達した斥候であれば、
もっと簡単に割り出せる程度の仕掛けである。あからさまな空気の流れは注意していれば解る事であり、
また十中八九間違いなくそれを動かすための仕掛けもどこかに存在する。
だというのにそれを力技で突破したのだから、いう程キマった話でも無い。
■ルーテシア > 「ん、他の冒険者さん達に付いていくのも迷惑かけちゃうし、一人だと危ないし。
だから、ゴブリン一匹が相手でもすごくドキドキして、大変なんだ。
少しでも上手になりたいけど、実戦は全然別物だって、父様はいつも言ってたし」
騎士として剣を振るってきた父だからこその意見は、確かに肝に銘じられている。
しかし、同時に少しでも上達して、どこかのパーティに入れて貰える様になりたいのも事実だ。
なにせ、収入面が大きく変わる。馬小屋の片隅に積まれた、餌用の藁の寝床から抜け出せるのだ。
とはいえ、沢山のアドバイスを吸収しても、まだピンと来ていない部分が多々ある様子。
得心できない様子は、表情から確かに、理解できてしまうものだった。
「ん、真似して、覚えて、それから自分の、だね。ん、どっかで聞いたことあるなぁ。
……確か、守破離って言うんだっけ?最初は教えを守って、慣れたら型を破って、最後は自分のものを見つけに行くって。
昔、狩人のおじいちゃんが言っていたような気がしたようなしてないようなー、なんだけど!」
才能はそれなりだが、経験値が絶望的。そんなへっぽこ冒険者は、学ぶことの多さに目を輝かせていた。
勿論、先ほどの接吻に対する感情はもうないはず――ない、はず。いや、たぶんある。
「……く、口説いてとは言ってないよっ!?ただ、その、本とかで読むと、素敵だなって。
貸本屋さんが宿屋に来るたびに楽しみにしてるんだから!お小遣い減っちゃうけど。
ん、今年で十五。とりあえず一人前……の卵には認められる年齢だから、子供扱いはだめ、だよ?」
そうは言っても、その気性や性質は子供そのものだ。快活で、無邪気で、落ち着きがない。
結局毎回子供扱いされて、その度に頬を膨らませるのは秘密だ。
やがてたどり着く最深部。中心には、何かが乗っていたような台がある。
その上にあった筈のものは当然存在せず、ただ、冷たい石があるばかりだ。
「あぅ、やっぱりお宝なかったね……って、えと、どういうこと?
仕掛けって……え、ちょ、何する気!?壁なんて叩いたら、手を痛めちゃうよ!?」
目の前で、彼の握り拳が壁を打ち抜く。小気味良い衝撃の音と、重量感のある鳴動が響く。
轟音と砂煙の後に現れたのは、石壁に隠されていた隠し通路。その彼方はまた深い闇だ。
冒険譚を読んだ時と寸分たがわない展開に、期待と興奮が胸を満たす。
心臓などすでに早鐘のようで、先ほどまでの落胆が嘘のように高揚していた。
「す、凄いねぇ……通路があるのも気づかなかったけど、その、い、一撃だったね。
世の中って広いんだなぁって、つくづく思うんだけども……うん、凄いや」
自分も熟達していけば、素手で石壁を打ち抜くに匹敵する何かを身に着けられるのだろうか。
まだまだ甘い、子供のような期待を胸に秘めながら、未踏の廊下へと進んでいこう。
彼の後を追うように、ゆっくりと、確かな足取りで。
■カイン > 「そこはもう少し熱意をもってお願いしてみる事だな、
根気よくやれば一組二組くらいはやってくれる奇特な人間がいるかもしれん。
ゴブリンどもでもコボルトどもでも、単体でうろちょろしてるような場所があるならそれはそれでよい鍛錬になるだろうが」
何とも適当な事を軽い調子で言い返しながらも、そもそもそういった輩と
ロクに戦ったことが無い身の上としては半ば以上想像でしかものを語れない。
何せそういった輩に傅かれる立場だった訳で、連中が何を普段しているかなど全く興味がなかったのだ。
「そういう事だ、こればかりは実感の問題だからな。言われてどうというのも難しかろうよ。
なる様にしかならないんだし、自分で考えながらやっていけばいい」
そこまで無事でいられるかどうかまでは保証はできないが、一歩一歩踏みしめていくしか道はない。
それは自分自身も感じている事であるからか、やけに実感のこもった声でしみじみと漏らし。
「恋物語など、俺は読んだことが無いのでどんな内容なのかは知らんがな。
女を口説く事は良くやってはいるが、それはそれでお前さんの求める物じゃあないと思うが。
とりあえず子ども扱いされたくないのなら、もう少しスタイルが良くなることだな」
それでは子供と大差が無いと軽く言いながらも出来上がった通路の様子を確かめるように、ゆっくりと足を踏み入れていく。
今までのピクニック気分とは違うのは、やはりここから先がおそらく未探索であるという確信があるからだ。
どうやら避難経路というよりも隠し部屋といった様子のその通路の中、
元は住民の居住スペースだったのだろう石室の中を探索し壊れた家具やら、
住人の成れの果てと思われる亡骸などから幾らかの金貨や装飾品を頂戴してゆく。
それなりの成果と言っていい内容に頭の中で金銭を換算しながらも、
最奥と思しき部屋までたどりつけば部屋の奥に安置されていたのは、
一振りの長剣と思しき道具とその隣の箱。その手前には明らかに何かがありそうな溝が設えられてる様子に、
思わず考え込む。どこからどう見てもお宝にしか見えないものではあるが、
円形の部屋の中に他に何もない所を見れば何らかの仕掛けがあるのは一目瞭然だった。
その時、周囲を伺うばかりになったせいで少女から完全に意識が外れてしまう。
道具に向かって近づこうとしても制止が効かないだろう程度には。
■ルーテシア > 「し、したよ?してみたよ?報酬はそんなにいらないからって。
だけど、ちゃんとしたパーティは人足りてるし、お宝目当てだと分け前少なくなるからダメで。
あとは、その……私の事厭らしい目で見てくる人とかしかいなかったから、うぅ」
人の好いパーティほど人気ですぐに埋まってしまうし、お宝が目当てならば人数は増やしたがらない。
結果として少女を入れてくれそうな集団は、何とかして少女を誑し込んでやろうと企む輩達位だ。
あるいは友人等がいれば別なのかもしれないが、鄙びた小さな村出身の少女に、伝手などはない。
これから、彼の言う奇特な人間に出会えればいいなぁ、とは思うが、そもそも酒場が苦手となりつつあったりする。
「ん、それじゃ、今は沢山見学させてもらおうかな。じっくり見ちゃうよ!
戻ったらいっぱい考えて、強くなるんだ。えへへ、嬉しいなぁ……♪」
少女の機嫌は鰻登りで、落ち込むことなど知らないかの様子。
隠し通路を探検するというロマンに、すっかり浮足立っているのだ。
それでも、彼が警戒してくれるおかげで、少女は何の危害もなく、奥までたどり着けるのだろう。
それは、彼の注意が逸れた時に無防備になることの裏返しだが、そのようなことを考えすらしなかった。
「んー、こう、さ、綺麗なお星様が見える湖の畔で、星を見て寝そべっているところに手を握られて、とか!
なんて、そうだよね。読まないとわからないよねー……ん、私もそんな気がする。
うぐっ、す、スタイルは今後絶対に素敵ナイスバディになれるんだから!きっと!たぶん!」
ただし、少女の母親はほっそりとしたスレンダーな体系で、しかも童顔である。
そんな母を娶った父が、幼女趣味かと思われたのだから、希望など、ない。絶対に。
軽口を叩きながらの道中は、少しの後に終わりを告げる。
拾われた金貨や装飾品は、報酬の一部ということで、懐に収めても不満はない。
そして最奥、僅かに広くなった円形の部屋の中央に、剣と箱が置かれていた。
見た瞬間に、剣は彼にあげて、箱の中身は自分のものにしよう、などと皮算用。
見つけたお宝にすっかり気を良くした少女は、警戒心のけの字すらなく、溝を踏み越えて箱の前へ。
「んっ、そっちの剣はお兄さんにあげるから、私はこれを――」
貰うね?と言いつつ箱に手をかけたその瞬間、かちり、と何かが動く音。
そこで初めて、自分の軽率な行動に気が付くが、時すでに遅しというもので。
結果として何が起こるか、箱を見ている少女にはわからない。
確認できるのは、おそらく周囲を探っていた彼だけだった。
■カイン > 「ならばもう少し頑張らなければな。ま、今回の事で時間的な猶予は出来ただろう?
それなりの額だ、遊んで暮らせるとは言わないがそれなりに楽は出来るだろうさ」
今回の収支を計算したうえでの一言を加えながらも、
確かに少女の純朴そうな様子では海千山千の曲者ぞろいの冒険者や傭兵との渡りは難しいだろうと思いいたる。
最も、男にした所で少女を疚しい目で見ている人間の一人には違いないのだが。
「男はそういうシチュエーションを好むかというと、
正直あんまり好まない気がするけどな。人によるが冒険者連中に、
そういうのを期待するのはやめておくことだな」
相手をだれにするかは知らないがと喉を鳴らしていいかえすものの、
少女の強がりに思わず声を上げて笑い飛ばす。確かに未来に希望を持つことは良い事ではあるが――
「それならば、揉んでもらう相手でも探すのだな。そうすれば発育が良くなるらしいぞ?――いや、待て!」
次いで出てくるのはそんな下世話な言葉であった。
暫く周辺を観察していれば、右側の壁に亀裂があり、そして空気が動いてない事から恐らくは
通路ではなく何かが納められているのだろうという事が解る。反対側にも何かある様子とはあたりをつけながら、
さてどちらを調べた物かと考えた刹那。少女が箱の方へと近づいた瞬間、足元の溝から青い粘液状のものが噴出し、少女を絡め取る。
それとほぼ同時、右側に格納されていたものが冷気と共に重々しい地響きを響かせて解放された。
「――なるほど、ここはそういう儀式の場か。
ここの元の住人は随分と趣味が悪かったらしい」
げんなりとした表情で少女を一瞥した後、現れた巨大な影。大きな狼に向き直る。
食欲と性欲に血走ったその瞳を見ながら腰の剣を引き抜いて構えを取れば、
改めて少女に向けてきやすい調子で声をかけ。
「とりあえず死にはしないだろうから暫く耐えろ。
そうしたら助けてやる、何。体中いじくり回されるだけでそいつには殺されんよ」
ここは要するに儀式で用いる決闘場なのだろう。その景品が、奥の得物というわけだ。
少女を捉えたスライムには見覚えがある。性的な快楽を与える事に特化した捕縛用の趣味の悪い人工生物だ。
呪術で縛り、儀式用に飼いならしたこの狼に餌を与える時に用いていたものだろう。
あるいは、少女のような不用意な罰当たりの為の罠として。設えられたものに違いない。
「護衛の仕事はしなくて済むと思ったんだがな」
愚痴を言いながらも、飛びかかって来た狼の爪を剣で迎撃し重々しい音が室内に響き渡る。
■ルーテシア > 「そ、だね。きっと良い人にも会えるだろうし、頑張ってみるよ!
おぉ、そんなにいっぱい分けてくれるの?えへへ、嬉しいなぁ」
大方一週間分の食費(ただし、食堂に一番安いメニューで)位を貰おうとしていた少女は、目を丸くしながら、満面の笑みを浮かべる。
駆け引きが出来ない代わりに自衛に長けた少女は、厭らしい視線を感じたらすぐに逃げるようにしている。
彼を見ても逃げなかったのは、その視線が厭らしくないものだったから――少なくとも少女にはそう思えたからだった。
「ん、やっぱりそうなんだ。前も、馬小屋の隅っこで読んでたら、酔っ払いに馬鹿にされちゃってさ。
そんなもの読むくらいだったら、俺の目の前で服でも脱いで見せろー、とかいうから蹴っ飛ばしちゃった」
ぷんすか。思い出しただけで俄かに腹が立つ。
だからその分足取りは早く、彼の制止は間に合わない。
仕掛けの作動音ののち、少女の四肢に絡みついてくるのは弾力のある透き通った青い粘液だ。
ぶよぶよとした触腕状の粘液が少女を剣の元に引き寄せ、両手首を後ろ手に纏めて、刃の側面に縛り付けてしまう。
腕を動かそうにも、縛りつけた部分だけは氷の様に硬化してしまい、僅かな動きも出来ないほど。
拘束が完了すると、次いで足元に飛び散った分が集まり、ぶよっとした大きな塊に変わった。
少女一人なら飲み込んでしまえそうな、青いスライム。
それが、少女の足を沼地に踏み込んだかのように重くして、同時に開かせ、楚々とした淡いピンクの下着を露わにさせる。
「ひゃうっ!?な、なに、これっ!?や、やめっ――ひぅんっ!?
こ、れっ、私の腕、しばられっ――ひひゃっ♪ぱ、パンツの中に、入ってっ!?」
自然界のスライムが捕食しようとするのとは随分と違う、雌を嬲ろうとする蠢き。
それは、ここを作った主の趣味が相当に悪かったのだろう。間違いない。
足元に溜まったスライムは、まるで少女が腰かける椅子のように体を支えて、軽々と足を宙に浮かせる。
やがて少女は、狼の魔物に足を広げて、それこそ子作りに誘うかのような体勢を強いられる。
「うぇっ、そ、その魔物っ……き、気を付けて、ねっ?
わ、私のこと、気にしなくて、いい、からっ!」
怖い、が、己の不手際で彼に怪我をさせてはいけない。
恐怖をかみ殺して叫ぶと、スライムの魔手に捕らわれ、腰が取り込まれるかのように沈んでいく。
じゅぶ、ぬぷ。腰と股座、それから太腿が粘液の湖に沈むような重さを纏う。
そして、粘液は下着だけを器用に千切り取ると、無毛の局部を包み込む。
しかしそれはまだ、前準備の段階。この後に迫る責め苦など、少女は想像すらできなかった。
■カイン > 「別に俺は金に困ってる訳じゃないからな。取り分って言ってもそんなに貰う気もない」
他の物を貰う目算がある、というのは黙っておく。少女の事を口八丁で丸め込めそう、
という事を考える程度には男は善人とはいいがたいのだ。少女の様子に自然笑いがこみあげるも、
その後に己の思った通りの結末を迎えて少女が捕食される様子に少しだけ呆れた顔である。
とはいえ、気丈な応援を聞けば手を一度だけ振って返し。
「そんな事言ってる余裕があったら大丈夫だな。全く、俺より自分のことを心配しろ…よっ!」
狼の巨大な爪の一撃を横に流していなし、勢いをそのままに狼の右側に体を抜ければそのまま刃で腹部を切りつける。
力比べで負ける気はないが、生憎と手にした剣はそれに耐えられるほど上等な物ではないのだ。
血の匂いをまき散らしながら更に怒り狂った眼差しを向け、回頭する狼が後ろ脚の一撃を放つのを見計らい、更に後退し壁際まで下がる。
挑発されたと取ったのだろう狼は勢いのままに男に向かって突っ込んでくる。あわや壁と狼の板挟み、という一瞬のスキに身を翻し、
狼が岩壁に激突するように仕向ければ動きの止まった刹那に狙い澄ました男の斬撃が狼の首に両断する寸前まで食い込み、そこで突然男が柄から手を離して後退する。
「――おっと、危ない危ない。おい嬢ちゃん、生きてるか?」
男が一瞬前までいた場所を薙ぎ払う爪の一撃を繰り出した後、ようっと生気を失う狼。
同時に遺跡の仕掛けによるものだろう、一瞬で狼の姿が消えて失せたかと思えば甲高い音を立てて男の剣だけがそこに残った。
幸運な事に失わずに済んだ剣を回収しながら、未だスライムに捕まって悶える少女の様子を楽し気に眺め始め。
「何だ。中々色っぽい声と仕草もできるじゃないか。俺が食われなくてよかったな、
そうなったら多分あの狼はお前さんを犯してその後に食ったろうさ」
性欲と食欲を異常に増幅させた獣を操る呪術は聞いたことがあった。となれば、
こんな悪趣味な仕掛けは餌を逃がしにくくするための工夫なのだろう。
媚薬作用のあるソレ前に少女がどのような反応を見せるのか、悪戯心を交えながら解除装置であるだろう、
反対側の岩壁を調べ始める。その動きが非常に緩やかで、時折少女の様子を楽し気に眺めているのは隠そうともしていない。
■ルーテシア > 彼がすっかり善人だと思っている少女は、疑う事無く背を預け、無二の信頼を置いている。
だから、剣を振るい、狼を討ち、己の身を助けてくれるはずだと、混じり気無く思っていた。
だから耐える、我慢する。そう心に決めるが、罠として仕掛けられたスライムが、そう甘い訳がない。
「ん、ひっ、んぁっ♪や、めてっ、変な声、でちゃ――ふぅうっ♪
ん、ぁ、うぁ、ぁあっ、にゃ、にか、おなかに、注がれてっ!?」
スライム椅子の中に透けて見える、透き通った何らかの液体。それが、己の股座へと流れて消えていく。
代わりに感じるのは、少女の局部に存在する穴、その全てにサラサラした液体を注がれる感覚。
粘液は尿道も、秘所も、尻穴も関係なく滑り込み、細いカテーテルの様なチューブを形成する。
液状故に隙間から入り込んだ粘液は、チューブを子宮口に癒着させつつも、純潔は一切傷つけない。
そして、液体――狼との行為に発情出来る程の強力な媚薬と麻痺毒の混合液を流し込み、栓のように凝固して。
急激な膨張感と震える少女だが、スライムの作り出した液体は驚異の速度で吸収され、少女の理性を炙った。
「ひ、ぃんっ♪や、っ、おなか、いっぱいに、な、っちゃっ――ふ、ぁぅっ♪
ひひゅっ、ん、そ、こぉっ、だめっ、だ、めぇっ♪つま、む、にゃ、ぁ、ぁあっ♪」
媚薬の注入が終わると、粘液は少女の最も敏感な部分――陰核の根元を絞り、小さな豆を磨き始める。
摘み上げられ、擦られ、捏ねられ、引き伸ばされる。その度に足が艶めかしくビクつき、嬌声が零れた。
幼い頃に幾度か経験し、しかし親に見つかって窘められた自慰をはるかに上回る快楽。
少女には自分の体を見る余裕などないが、彼には、小さいながらぷっくりうれた陰核を、肉棒さながらに激しく扱かれている姿が見えるだろう。
「く、ひっ……ぶ、じで、よかった、けど、さっ、これ、どうにか、してほしい、なっ。
は、ひぃっ♪う、腕、がっちり、固められちゃって、てぇっ――んぃいいっ♪」
びくびく、がく、びく。元々敏感体質の少女は、媚薬の熱で簡単に絶頂してしまうほどになっていて。
彼が罠を外すまでの間、少女は散々に鳴き続けることになる。
或いはスライムが扉の仕掛けだけだとしたら、彼がどうにかしてくれるまで、延々玩弄されることになるだろう。
■カイン > 向き直ってみれば少女を捉える罠の装置は存外に簡単な仕掛けだった。
ハッキリ言ってしまえばオンかオフかしかない。なるほど、少女の動かしてしまったスイッチはコレをオンにするものだったらしい。
とはいえ厳重に施錠されたそれを操作できるようにするにはそれなり程度の時間がかかるのは確かでもあった。
その間、聞かされ続けるのは少女の嬌声だ。男を知らぬからこそか、艶っぽさが足りない様に感じる反面、
それは男の欲情をなお煽るものに違いない。ようやっと装置の解除にまでたどりつけば、
何とか装置を解除し少女の元に向かう。と、程なく愛撫をやめてするすると巣穴であるらしい溝へと戻り始めたスライムから、
少女の体を抱え上げれば徐に軽く唇を重ね。
「さて、それじゃあ残りの報酬を貰おうかね。可愛い声を聞いてたら我慢できなくなったんでな」
上機嫌に言い放ちそのまま太ももに指を這わせればスカートを伝ってお尻へと指を伝わせ、
下着を外しながら菊門へ指を這わせればゆっくりと人差し指を押し込んでゆく。
剣の安置されている段差に腰を乗せれば、少女を膝の上に載せる格好を作り、
ドレスをたくし上げて川鎧の下から少女の胸を緩く揉む。当然格好が格好だけに、
下腹部にすっかり固くなったモノが当たるのも各隙が無いようだ。
■ルーテシア > かちり。壁面の仕掛けを外すと、スライムは帰還を諭されたかのようにずるりと戻っていく。
しかし、それは同時に、少女の中に入り込んでいた粘液が引きずり出されることを意味していて。
ず、ずず、と確かな弾力を帯びた液体が、生み出されるかのように零れ落ちていく。
「んんぃ、ひ、ふぁ、ぁぁああぁっ♪で、ちゃ、ぁ、ひ、ぃんっ♪ん、んぅううっ♪」
青く透き通った粘液は、三つの穴をそれぞれにこすりあげてから抜けていく。
それは、綺麗な見た目ではあるものの、感覚としては疑似的な排泄に他ならない。
三つの穴全てが、僅かに奥が見られそうなほどに広がり、普通の娘が抱く快楽とは異なる、アブノーマルな悦楽を刻まれる。
全ての粗相を終えた頃には、肩で息をしながら尻餅をつく、蕩けた雌になっていた。
注ぎ込まれた痺れ薬の効用か、腰が砕けて立てずに、そばに来た彼の体に縋りつく。
抱き上げられ、唇が重なる。先ほどよりも深いキスは、しかし発情した少女には甘い。
自分から拙く求めてしまうと、二人の間を銀の糸が繋ぎ、落ちた。
「う、ぁ……は、初めてだけ、、だめ、だから、ね?
それ以外は、その……お腹、熱くて、ふわふわ、してっ……
ん、ふぅっ……そ、こっ、きたにゃ、ぁ、ひぅぅうっ♪」
発育途中の少女の体は、柔らかな弾力と甘い匂いを纏い、男の手に従って鳴く。
本来は不浄の穴に差し込まれる指。先ほどスライムに清められ、代わりに媚薬漬けにされた粘膜は、圧迫感以上の快楽に震えた。
乗せられる膝の上。包み込まれるような感覚に、緊張が解けて震えが走って。
恐怖と発情で高まった鼓動が、彼の膝の上で解放され、思慕へと変わる。
鎧の下の胸元は、湧き上がる熱による発汗でしっとり濡れ、頂きはつんと立ち上がり、硬さを帯びていた。
腰の上、彼の分身たる硬さを尻に感じながら、余裕などないまま、本来は出すための穴を拡げられていく。
■カイン > 少女の体を柔らかく抱き留めて、唇を重ねれば、
それだけで少女の体がどれだけの熱を持っているのかが大体わかる。
手の内にある小さな体を優しく抱き留めたまま、直に触れた旨の先端を先程のスライムがしていたのとは違い強く撮んで捻り回し、
少女の求めに応じるように、一度唇が離れたのを再度重ね、
舌を絡めた深いキスにまで発展させれば、求められただけ奥まで苛めて見せる。
「ああ、俺は約束は守る男だ。だからこうして他の場所で済ませようとしてるんだろう?
他の場所だったら何してもいい、らしいからな」
暫く口の中を蹂躙しつくしたのち、ゆっくりと顔を反して相手の言葉をわざと曲解して耳元で囁きながら、
少女の先端が硬くなったのを良い事に指で強くひっかきながら、同時に尻穴に押し込まれた指を鉤型に曲げて柔らかな肉を引っ掻いていく。
指を前後に出し入れして刺激を加え続けながら、
初めてだという少女の体をスライムとはまた違う方向から翻弄してゆき。
■ルーテシア > 「んひっ、んぅ♪むねっ、揉まれるの、ピリピリ、してっ♪
にゃ、ふぁ、ぁ、ぁあっ♪お、なかっ、奥、あつくてっ、じんじん、してっ♪」
陰核も胸元も、その全てがじんじんと熱を持っており、火傷しそうなほどだ。
新雪の様に白かった肌も、殆どが桜色に染まり、振れれば病気と勘違いしそうな高熱が伝わる。
責められる胸元。先を摘ままれる度に痛気持ちよく、無意識に体を摺り寄せてしまう。
雌の本能が雄を求めてしまう。理性ではどうにもできない、人間の本能が、彼の存在に飢えていた。
啄む唇も激しく、舌を絡めて、離れてしまえばもっともっとと、舌を突き出しながらねだって。
口の端からははしたなく唾液の筋を零しながら、全てが甘く蕩けて行く。
「ん、むっ、んふぁ……あむ、ちゅっ――ぷ、ふぁっ♪ちがう、と、こっ♪
おし、りっ、かき回されてっ♪ん、ふぅうっ♪あ、ひぁっ、な、かっ、こすら、にゃい、でぇっ♪」
指が腸壁を引っ掛ける度に、背筋に甘い粟立ちを感じる。
徐々に教え込まれていく性感。小さな窄まりは形をそのままに、確かな開発を受け止めた。
痺れ薬で解れた穴は、指でかき回すたびに柔らかく広がり、全体をねっとりと締め付ける。
十分程度穿り続けていたならば、力が抜けて締まりも緩んだ、蕩けた肉粘膜を多分に見せつける淫らな穴が、彼の目の前に拡がりを見せることとなる。
■カイン > 「胸がいいのか?それとも、お尻がいいのか。どっちの方が弱いのか、
ちゃんと見極めてやらなきゃいかんな。苛め甲斐がある反応してくれるのはいいが」
どちらを強く攻めればいいのは重要な問題、と真面目ぶって変態じみた言葉を耳元で囁きながら、
少女の幼いとすら表現できる出来る体に欲情が止まらない。それは少女が発情しているというのが目に見えているからで、
体温の熱が、動きが己の体を求めているというのが目に見えているからだろう。
興奮のままに少女の尻から指を引き抜けば、ズボンの前を開け晒し硬くなったモノが外気に晒される。
そのまま少女の秘所を下着越しになぞり、菊門の入り口まで導かれた一物がその先端をぷつりと入り口に捉えれば、
ゆっくりと少女の体重に任せる形で肉棒を尻穴へと埋め込んでゆき。
「今日はアナルで我慢しておいてやるさ、マンコはちゃんと奥を弄らないでやるから、
それでとりあえず満足してくれよ?」
わざといやらしい言葉を耳元で囁きかけながら、つい先ほどまで菊門を抉っていた
指をそのまま秘所へと這わせれば下着を脇に剥ぎ取りがてら、
指をゆっくりとその中へと沈め込んでいった。やがて膜のあたりまで指が触れ合えば、傷つけないようになぞる様に
引っ掻きながらも親指で豆を弾いて丁寧に膣内を苛めて行く。それはまるで、
前と後ろに入っているものの大きさの差を知らしめるかのような動き。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 寂れた遺跡」からルーテシアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 寂れた遺跡」からカインさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にメンシス・パールさんが現れました。
■メンシス・パール > 風が平原に生える草を揺らし、その葉音と虫の鳴き声が聞こえる夜。
空を見上げると月が欠け、綺麗な三日月を象っている。
そんな場所に一人の男が生える雑草を踏みつぶして立ち尽くしていた。
「……」
僅かに夜を照らす月明りを日中の植物のように一心に受け、何かする訳でもなく、その場に立っていた。
いや、何もしていないと言われれば語弊があるかもしれない。
強いて言えば、彼は上空に浮かぶ月を眺めていた。
風によって揺れる衣服、乱れる髪。それらに一切の関心は持たず、まるで飼い主が帰ってくるのをドアを眺めながら待つ犬のように平原の中心で月を見上げていた。
■メンシス・パール > 「今日はあんまり回復しねぇな…」
見上げていた視線を落とし、そう一言。
自身の右手を見ながら風に煽られて髪が靡く。
何故だろうか、遠かった虫の鳴き声がうるさくなった気がする。そう考えれば、しゃがん足元の方へ視線を落とす。
「つっても、回復したかどうかなんて分かんねぇけど」
目に入ったのは求愛のために鳴き声を発するコウロギだった。
リーリーリーという鳴き声は遠巻きで聞く分には中々雰囲気があって良いのだが
こう…足の甲にまで乗り上げて鳴かれるのは流石に五月蠅い。
場所を気にせずに鳴き続けるコオロギへ向けて、人差し指を突き出す。
身動きを取ろうとしないコオロギへ向かってピリッと小さな破裂音と光を発し、雷が襲う。
瞬く間にコオロギは真っ黒に焼かれ、二度と鳴き声が発せない身体へと変わった。
■メンシス・パール > 黒焦げになったコオロギを見て、ため息交じりに足を振り、地面へ落とす。
何をやっているのか。こんな虫相手に力を使わなくても…と
自分の行いを再確認しながら頭を抱える。
乱れた服と髪型を正しながら、腕を回し、手をぐーぱーと動かす。
「まぁ、いいか。充電はこれくらいで十分だろ」
掌に小さな雷が絡み合うように踊る。
美しくも危険な死の光。紫色放つそれを握りつぶすようにして手を閉じれば、後ろを振り返って歩きだす。
「流石に冷えてきたし…今日はもう帰るか」
そう呟きながら、歩き始める。
草を踏みつけながら整備された道へと着けば、そのまま王都へと戻っていく。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からメンシス・パールさんが去りました。