2017/04/04 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にノーガルトさんが現れました。
ノーガルト > (ゆっくり、大きく息を吸い込んだ。
少し高めにか構えているのは長大な刀。

扱い方も少しずつ分かってきていた。
この刀はとにかくリーチが長い、そのことを意識して重さで振ること。
もともとこの刀はそれほど重くない、だが長さがある分振り回せば隙が生じる。
そのことも頭に入れて、ノーガルトは剣を構え、袈裟懸けに振り下ろした。)

「――――――はっ!」

(風呂下ろす際にする掛け声は癖なんかではない。
剣に対する呼吸、それを発声することでタイミングを計っている。

もちろん、実戦でそんなことができるようになるのは、相当な鍛錬が必要になる。
本当は、実戦で試したいと思うのだが…近頃手ごろな依頼がなかなか入ってこなかった。
怪我をして、休んでいる間に信用を無くしたとか、そういう意味ではない。
ただ、その手ごろな依頼を、最近はまだ未熟と言えそうな冒険者に譲るようにしていた。)

ノーガルト > (自分の実力を過信しているわけではない。
生活費のことを考えれば、どんな小さな依頼でも受けるべきだとは思っている。

しかし、ノーガルトの冒険者としての状態が、実はよろしくなかった。
本来、冒険者は複数人でパーティを組み、役割分担などしっかりと安全面が確保されている状態が多い。
ヒーラー、レンジャー、ファイターなど役割分担がしっかりされているほうが、依頼人も安心するのだ。

もちろん、宿としてもそういう風に生存率が高い冒険者のほうが安心できる。
依頼報酬の一部を徴収するシステムを取っているからこそ、高経歴な冒険者を育成したがる。)

「―――――ふっ、せぇっい!」

(では、この男の場合はどうか。
あまり集団行動が得意ではないノーガルトは、パーティを組んでいない。
故に、お世辞にも生存率が高いか、と言われると女将は首を横に振らざるを得ないだろう。
だからこそ、現在ノーガルトには依頼が回ってこないというほうが実は正しい。

一歩、後ろに軸足をずらしながらノーガルトは上半身をひねる。
無駄に力を入れず、最短でできる限りすきを少なく。
風を切り、空気を切り裂きながら横なぎに刀を振るった。)

ノーガルト > 「………ふぅぅ…。」

(ゆっくりと、息を吐きながら剣を下段まで下ろしていく。
自分の気配、それを消すこともまた戦闘技能として大事なこと。
それを学んだのが、なんと先日家族でいったキャンプでのことだった。

釣りをした、たったそれだけだと人は言うだろう。
だが、その釣りの際に気配を殺すことを、ノーガルトは学んだのだ。
相手に気配を察知されないこと、これは奇襲をかけるときに非常に役に立つ。
潜入捜査もできるようになれば、山賊退治などの依頼で役に立つだろう。

ノーガルトは、ゆっくりと刀を構える。
できる限り心を落ち着け、自分と周囲の気配を一体化させていく。
難しい技術だが、やらなければ上達も見込めない。)

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にエルツさんが現れました。
エルツ > (精神統一の邪魔をするかのように、風が良い匂いを運んでくる。肉の焼ける香ばしい匂い。香草を効かせてあるのかやたらに食欲が湧くような刺激的な匂いの元は、彼から見て風上。草原にあるまばらな灌木の影へとうまく隠れた野営地からだった)

「~~♪」

(ぱちりと爆ぜる火元を陣取る人影は、肉を焼く傍らでスープの準備に余念がない。ちょうどかき混ぜ、味見をしている最中だった)

ノーガルト > 「…………。」

(いざ、ここで気配をというところで…。

そういえば、今日の晩飯は何だったかな、と軽く考えてしまった。
その瞬間、精神統一が切れて…いい匂いにつられてそっちを向いてしまう。

人間の三大欲求の一つ、食欲。
それを刺激されてしまっては、さしものノーガルトと言えども。
その剣の切っ先がわずかに揺れる。
そして、その瞬間からいきなり覚える空腹。
これは完全に肉の焼ける匂いか、とそっちを振り向けば、ちょうど誰かがキャンプの真っ最中。
おのれ、と思い始めてしまえば、もう訓練に身が入ることなど無理だった。)

「………ええいっ。」

(これが、俗にいう飯テロというやつか。
ノーガルトは、その威力を今まさに肌で感じていた。)

エルツ > 「んー…お塩足りない」

(スープの味を確認して、岩塩を足してもう一口。今夜は草原にいた野兎が捕れたので、そっちを香草焼きにして。スープは刺激の強い肉の舌休めになるように薄味仕立てにした。とはいえ、数種類の干しキノコからじっくり出汁を取って、兎の解体時に出た骨も出汁として入れたので、薄味と言えど味わい深い一品となっている。具のほとんどは草原で摘んだ野草と湯で戻ったキノコだったが、肉もあるのだ。結構なボリュームの夕餉だろう)

「じゃ、あとは主食…パンをスープに浮かべるのと、小麦粉でクレープ焼くのと、どっちが…ぁ?」

(完成間近の食事に気を取られていたが、一応は冒険者の少女。草原で何かが近づいてくる物音を聞いて、脇に置いた丸盾を装着する。匂いは…お腹がすく匂いしかしないから、方角は風下からだろうとあたりをつけて、そちらを中心に警戒することに)

ノーガルト > (さすがに、完全な空腹という訳ではなかった。
家族がいる以上、食事に関してはいつも任せっきりになっている。
ここに訓練していることは知らせているし、飯はすでに済ませてきた。

しかし、そのいい匂いというものは破壊力は絶大である。
たとえて言うなら、至近距離で火薬に引火し大爆発を起こす。
そんな威力がある場合もあるのだ。

幸い、前述のとおりノーガルトはすでに飯を済ませていた。
そのおかげで破壊力はそこまで高くはない、と思われるが。
しかし香草で焼いたウサギ肉、なんとも食欲をそそること、そそること。
思わず一切れよこせ、なんて言い出しかねない雰囲気の下、その大男は野営地を探していた。)

「くそっ……どこだ?一言文句を言わんと気が済まないぞ…。」
『……お前は、本当にいい意味でも悪い意味でも、正直だな…。』

(他人には聞こえない、ダインの突込みが入る。
匂いを頼りにするあたり、割と鼻が効くらしい。
確かにこれだけならば、ただ単にいい匂いがするからあたりを探しているというだけだろう。
その手に、抜身の長大な刀がある、という致命的な事実さえなければ。)

エルツ > (こっちは今から夕餉なのでお腹はとても空いている。空いているが、まずは周囲の安全を確保しなければ落ち着いて食べることは出来ない。丸盾をしっかり握り、腰の長剣をいつでも抜けるように準備しておく。足音からおそらく獣ではないと判断したせいで)

「って、この状況でこっちから不意打ちは無理だし…」

(まずは状況を把握したい。たき火はあるが夜の草原を照らすには心もとないので、空中へと光球を作り出して街灯替わりにした。おかげで、お互いに相手の様子をよく見る事が出来るだろう)

「……そこのお兄さん。ボクになにか用?」

(そして発見した相手。抜き身の剣を下げているが身をひそめる様子もない事から、こちらから声をかけることにした。一人を目立つ形に囮にした盗賊…という線もあるから、声を掛けながらも周囲の警戒は怠らず)

ノーガルト > 「……おっ?」

(その明かり、たとえ魔術の心得がないノーガルトであっても魔法の類であることはすぐに分かった。
相手は魔法を使える、そして草原で飯を食う。
なるほど、これはもしかしたらミレー族の可能性があるかと思い始めた。
そのほう、明かりで照らされたその人物…というより。
作りかけのウサギ肉の香草焼きとスープに目がいった。
匂いの原因はこれか…と。)

「ああ、用がある。」

(相手のことをうかがい知れば、剣を背中に収めた。
大振りではあるが軽いハバキリ、鞘に戻すには少しコツがいるものの、難なく収める。
付き合いは短いが、その扱いは徐々にわかり始めていた。)

「人が鍛錬している時に、こんないい匂いをまき散らされたら集中できないと、文句を言いに来たんだ。」

(良くも悪くも正直、その言葉はぴったりとあてはまる。
自覚しながらも、指をさすのはエルツが作りかけた香草焼き。
少しげんなりとした表情をしながら、ノーガルトは肩をすくめていた。)

エルツ > (魔法自体はほんの初歩。学校などでは一番最初に教えてもらえる難易度のものだ。耳飾りに仕込んだ幻術の魔法もあるので、ぱっと見は普通の人間にしか見えないだろう。丸盾と剣で武装した姿は初心者冒険者といった風情)

「…あー……うん、そっか。訓練中にこの匂いは、毒…だよね。やっぱり」

(そして彼の言い分には思わず目が泳ぐ。自分だってこんないい匂いがしたら、訓練なんてそっちのけになるに決まっているのだ。そもそも、旅先でも美味しい物をと工夫するくらいには、食いしん坊なのだ。
曖昧な笑みで夕餉と彼の顔。交互に見やりながら、言葉を探し)

「じゃあ、お詫びになるかわかんないけど…食べてく?味、気になるんじゃない?」

(匂いに惹かれてきたのなら、と提案を。訓練の邪魔には違いないから解決にはなっていないが…こっちも移動するわけにはいかない。そろそろ空腹が限界だ)

ノーガルト > (魔法に関しては、ダインが感知できる。
しかし、何も言ってこないということは、あまり弱い魔法には反応しないのだろう。
初歩中の、日常でも使えそうな魔法。
そっちに適性がありそうな人物に、今度進めてみようかとも考えた。
彼女なら喜んで学びそうだし、なにより自分よりも適性がある気がする。)

「ああ、毒も毒、猛毒だ。…飯を食っていなかったらもっと文句を言っていたがな。」

(とはいえ、この匂いだとさすがに腹の虫が刺激される。
美味しいものを食べたいという欲求は、確かに自分にもある。
特に近頃は、舌が肥えてしまったせいか保存食はほとんど食べているだけ、という感じになってしまっていた。
少しは料理をとやってみたが…結果は推して知るべし、というところだ。
もちろん、上手くいっているはずもないのは言うまでもない。)

「ああ、大いに気になるところだが……構わないのか?」

(決して、飯をたかりに出てきたわけではない。
ただ一言、訓練中にいい匂いをまき散らしたことに、文句を言うだけのつもりだった。
だが…お詫びと言われるとどうも断りにくい気がする。
食べていくか、との問いに香草焼きをもう一度見て…。)

「………少しだけもらっていこう。」

(……妥協しているのかしていないのか、結局食べ物の誘惑には勝てなかった。)