2017/01/10 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にエアルナさんが現れました。
エアルナ > とある小さな宿場村。旅支度をした旅人や荷馬車の行きかう、そんな村の門の近くに…一台の頑丈な二頭立ての荷馬車が泊まり、出発を待っていた。馬を撫でているのは、旅のフード付きマントを羽織った女性。その傍に、白い大きな犬…に、見えるかもしれない狼が一頭行儀よく座り、周囲へ存在感を放っている。どうやら、誰かを待っている様子だった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にマティアスさんが現れました。
マティアス > それは丁度――この村に着いた時だった。

別の村より受けていた邪気祓いの依頼を達成し、一先ずは何処に行くかと思いながら王都に向かっていた。
その中継点の一つとするこの村で募集されていた依頼を見つけ、乗っかってみることにした。
特段急ぎの旅ではなく、偶には自分の足ではなく誰かの移動手段に便乗するのもまた一興。

そして何より――……。

「……ふむ。これはまた、変わっているものだね」

遠目に見かけたこの依頼人である。
手にした依頼の要項を纏めた紙とその貼りだし主、と思しい待ち人を交互に見遣ってフードの下に隠した首を傾げる。
奇異を覚える由縁は複数。見えるあの犬、否、狼の気配が尋常ではない点。
そして、微かな魔術師の勘が告げる、まだ言語にならぬむず痒い感覚。ともあれ、だ。

「失礼、この依頼を張り出された方で間違いないだろうかな? お嬢様」

被ったフードを脱ぎつつ、手に下げた頭陀袋と腰の剣を揺らしながら彼らの方に歩みって声をかけてみよう。
まずは、話かけてみないことには始まらない。

エアルナ > 「はい? あぁ、張り紙を見てくださった方ですね。ええ、私が荷馬車の護衛をお願いしたものです。エアルナ、と申します」

はじめまして、と初対面の相手にも丁寧に一礼する娘。

「王都へむかう旅の途中で、連れがひどい風邪に倒れまして…荷物の期限がありますので、やむなく護衛をお願いした次第です。少々、襲われる可能性もありますが…腕に覚えはおありですか?」

尋ねる娘の近くを朝の風が吹き抜ければ、ほのかに森の花の香りがして。ふぁさ、とフードが外れかけた…見えたのはまだ20程度の若い娘の顔。

マティアス > 「いかにも、ご覧の通りだね。
 ――エアルナさん、と。僕はマティアスという。見ての通りの者だよ。冒険者をしている」

丁寧に一礼されれば、こちらも相応に応えるべきであろう。
足元に荷物を置いたうえで己の胸元に手を当て、黒茶色のローブ姿が深々と一礼をしてみせる。
冒険者の風体は色々だが、魔術師のような装いに剣を帯びるというのはきっとあまり居ないかもしれない。
象徴とも言うべき杖ではなく、剣を恃みとするならば剣士か。だが、何れもこなす者もまた居るものだ。

「成る程ねぇ。それは大変だ。
 そのお連れ様の体調が気になるところだけど……雇っていただけるならば、相応の仕事はさせていただきますとも。
 
 騎士のように云うなら、この剣に懸けて――と。」

ぽんと腰の剣の柄を叩けば風が吹く。先刻感じた予感を裏付けるように何か、花の香が過る。
そして、見える娘の顔に微かに目を細める。見た目は己より下、といった具合か。

エアルナ > 「マティアス様、ですか。魔法と剣をお使いになる、のですか?」

返される礼を受けてから、その姿を見れば。少し変わった装備に、興味深く尋ねる。
彼女のほうは、旅支度だけで武器らしい武器は一見見えないが…傍にいる大きな白い狼が、十分抑止力になっているのだろう。
蒼い目を青年のほうに向け、ファ、と一つあくびをして見せた。

「連れは村の宿に預けてきました。護衛のほうは、相場に加えて危険手当を上乗せしてお払いするつもりです――よろしくお願いしますね。行く先は王都の館です」
それはまた近づいたときに、と言い添えて。娘はにこ、とほほ笑んだ。

「では、よろしければ、出発しましょうか?」

マティアス > 「ええ、多少ながら」

軽く撫でる柄や鍔の拵えは聊か古風だが、使い込まれた風情がそこにある。
見るものが見れば些少と謙遜する以上には、使う。
だが、少女にも見える女性の旅路にはそれ以上に、付き従う白狼の威が盾となろう。

(――恐らく、見た目通りではあるまいなぁ。)

間近で目にすれば、そんな感慨が過る。不埒な事は極力するまい。そう思う位には。

「では、契約成立ということだね。喜んで務めを果たさせていただきますとも」

とりあえず、その連れは後で追い付ける路銀程度は渡してあることだろう。
小遣い稼ぎとそれ以上の何かが望めるならば、言うことはない。
足元に置いた最低限の荷物を詰めたずた袋を拾い上げ、肩に担ごう。

「かしこまりました。時に、エアルナ様とでもお呼びした方がよろしいかな?」

ふと――出立にかかりつつ、そんな思考を素直に言葉に出す。
恐らくは相当に尊い生まれか、或いは実家と同等かそれ以上の家の出か。立ち振る舞いから思う。