2015/10/25 のログ
■ヴィルヘルム > 【低い目線にあったティネが浮遊する様を視線が追いかける。マフラーに埋めた口の動きは対等な目線では隠れてしまう。
――どうにも特徴的な翅を持つ妖精である】
「威圧的に見せてしまっているなら非礼を詫びよう。だがこれが私の普段通り故、これ以上柔らかい言葉を探すのは困難を極める。
否、私達は血縁関係ではない。ただ種族が似ているのだ、系統が。」
【無論、こちらは幻の姿と違い本物で人間サイズ。眼と髪色の系統は非常に似ているがそれは単なる偶然だろう。
「私は死神とも恐れられる伝承の精霊種……の中にある妖精由来のデュラハンだ。気質、行動ルーチン。そのすべては妖精に帰結する類だ」
■ティネ > さほど敵意がないことはわかり、ティネの緊張も幾ばくか薄れる。
デュラハン、の名を聞いてああー、とわかったようなわからないような表情で頷いた。
「知ってる知ってる、死期が近い人が住んでる家の戸を叩いて余命を知らせに来るオバケでしょ。
へーっ、あれも妖精だったんだ……知らなかったなー」
アホ面を浮かべて妖精の自覚ゼロの台詞を吐き出すティネ。
どうやら羽妖精とデュラハンというのはルーツが近いところにあるらしい。初めて知った。
……そう、彼女は本物の妖精ではない。
まさか本物の妖精と出会うだなんて思わなかった。
それが知られてしまったらこの怖そうな自称デュラハンは腹を立てるのではないだろうか……
というかこの調子で妖精トークなど振られてしまったらすぐにボロが出てしまうのでは?
冷や汗が背筋を伝った。目が泳ぎ始める。
「へ、へ~死神か~かっこいいな~ボクってば四六時中そのへんフラフラしてるだけでさ~」
そんな憔悴に思考容量を割かれる中なんとか言葉を継ごうとしたらこのような適当な感じになってしまった。
バカにしているように見えてもしかたがないかもしれない。
■ヴィルヘルム > 「しかしこの伝承のデュラハンは知名度が低く通常のデュラハンよりも小型になることが多い」
【デュラハン豆知識を披露しながら肩を竦める。相手の気のない返事――っぽい何かに引っかかりを覚えた。
覚えただけで、問いかけるには材料が足りない。】
「ふむ。普段の妖精はふらふらしていて適度に悪戯をして過ごすだけだ。特に魔族侵攻後は随分と弱り果てた。」
【相手の生返事に対しては『それが普通』とばかりに頷いて同意した。いや実際、そこまで間違ってはいないのだ。
繕おうとしている内容自体が、既にそれっぽさを表している。
今のところこのデュラハンにとって、彼女は気質が微妙に違うがまぁ妖精であろう認識。
実のところ同族は苦手なのだが、相手はこちらをハブにしないものだから、つい近寄ってしまう。】
「……ところで貴様は私を蔑むなどはせぬのだな。人間や魔族に近しければ多少バッシングされたものだが。この数十年で変わったか」
■ティネ > 「あっそうなんだぁ」
よかったーセーフ……と大きく息を吐いて安堵のポーズを取りそうになったがこらえた。
続く、蔑まないのか、という言葉に、えっなんで? と首を反対側の方向にかしげる。
またしてもティネにとっては意味を図りかねる言葉だ。
ひょっとしてこれは踏み絵としての妖精トークで
間違えると吊るされるのだろうかとかちょっと思いつつも、
「え? 雰囲気はちょっとコワいけどそれだけじゃん。
だいいちボクはキミのことを全然知らないもーん。
ボクとこんなふーにおしゃべりしてくれる人なら、みんな好きだよ」
きょとんとした表情で素直に答えた。
人間とか魔族とか妖精とか、今のボクにはあんまり関係ないしー、と宙でくるくると回る。
ひょっとしたら人の余命ダイレクトに刈り取る系のデュラハンなのかもしれないが、
そうだとしても別に今自分の余命がスナイプされているわけではないし別にいいかなあ、
とのんきに思っていた。
■ヴィルヘルム > 「……?」
【体を今彼女が傾けた方向と逆に傾けた。無い首では傾けられんし、頭を動かしすぎるとポロっといってしまう。
踏み絵的サムシングな問いかけに関するアンサー。その言葉に続くには疑問を意識したが、躊躇いを感じることは無かった。
――まず思うたのは。】
「……はぁ」
【種族的に、どうしても嫌悪する部分は根付くものがある。犬猿の仲とでも云うように遺伝子から刻まれた苦手意識というものはあるもので。
己の目の先で回る妖精はどこまでも気侭、に見えた。】
「それもそう、か。いや、それなら良い。私のことを蔑まないのなら構わん」
【勿論、彼女をスナイプする目的も首に鎌をかける気も起こさない。死期が及ぶには程遠いのだから。
――嬉しさで体が震えてきた。】
「――感謝する、妖精の」
【ゆっくりゆっくり躊躇いを見せる手先。伸ばしきったところで、ティネへと掌を向けた。】
■ティネ > 「???」
デュラハンの言葉の意味は結局わからずじまいだった。
純粋な妖精ではないからかティネは目の前の存在に対して
ちょっとコワイかもな程度の感覚を抱くことはできなかった。
「妖精の、じゃなくてボクのことはティネって呼んでよー。
そっちのお名前も教えて、うるわしきデュラハンのキミ!」
くったくのない笑みを浮かべ、差し伸べられた手に全身でぎゅっと抱きつくようにした。
こうしてこんなかっこいい存在に感謝されて、この姿も悪くないな、と珍しく思った。
……かすかな罪悪感はあれど。
■ヴィルヘルム > 「……ではティネ。」
【名を反芻し、呼び返した。いっちょまえに麗しの、などと言葉を伝うとは。
妖精の癖に生意気だぞ。自分も妖精だけれど。
デュラハンは妖精であり、死の使いであり、鎧をまとう風貌から騎士にも見える。
彼女が手に抱きつく様を見遣りながら、瞑目して腰を落とした。】
「ヴィルヘルム。呼びづらければ如何様に省略しても構わん」
【忠義を尽くすわけではないが、礼儀を以って正しく接するべきと判断したのだ。】
■ティネ > 「わーっ、よろしくねー、ヴィル!」
早速馴れ馴れしく省略して呼んだ。
腰を落とすその姿勢に、まるで騎士に傅かれる姫のような気分になって
もう少し気分がよくなったので、指のうち一本に口づけをした。
あれ? これは騎士がするほうだったっけ?
「無作法でごめんねー。
同じ大きさだったらちゃんと手を握ったりできたんだけど」
さっきの幻の練習は、要するにそういうのが目的だった。
暫しの間愛おしげにヴィルヘルムの手に身体をすりつけていたが、
そのうち離れるだろう。
■ヴィルヘルム > 「よろしく頼む」
【自我の強い己は極力妖精らしい行動を封じ、大衆に合わせて動く。彼女から指先への口付けにやんわりと眼が開いた。
騎士が行うほうであるものの、やられたからにはやらぬ理由も無い。】
「気にする必要はあるまい。幾分かやりやすいだろうが、私自身はさほど気にはならん。
先の幻術の類が己の意思で動かせるのなら申し分ないが、自由には動かせないならばそれもまた。
……我が手の内であれば幻を見せるのは容易かろうが」
【彼女が手先から離れるまで、己はじっとティネを眺めていた。穴が開くほど見つめていた。紅眼の瞳が細まった。
こちらを再び見ることがあれば――ほんの一瞬、周りの景色が花が咲き乱れる花園へと変化したように見えるだろうか。
フラッシュのように白と景色が入れ替わり、映し出す背景、姿形が巡る様が見えるだろう。】
■ティネ > 紅の瞳どうしがぶつかる。
必要以上にマジマジと見つめられているのを感じて、
ドギマギして顔を赤らめたその次の瞬間、風景が変わる。
何の変哲もない退屈な木立が、薫るばかりにまばゆい花園へと。
ただ一瞬の間だったが、まさしく幻想的な光景だった。
「とっても素敵……」
口に手を覆う。感動に目を潤ませた。
思わず飛ぶことを忘れ、へろへろと地面に墜落しかけるぐらいだった。
「えへへ、ありがと……!」
空中でくるりと前転して、もう一回ヴィルヘルムの指に抱きつく。
今度は感謝を表すために。
■ヴィルヘルム > 「……そうか」
【この景色は見聞きした風景を僅かに具現した程度の幻。紅眼が映した風景をそのまま映し出していた。
幻想的な世界は死後の世界にすら幻視するほど美しく壮大な光景となった。
――対人問わず、対軍レベルまでであればこの程度の幻を作ることは出来る。ポテンシャルがあるのなら対人くらいはすぐできるのではないか。
もっともそれは妖精ならの話で、その実妖精でない彼女はどこまで擬似となるかは分からん。】
「そうか」
【再び紡ぐ抑揚の無い威圧的な言葉。指先へと抱きつく彼女を、少々押しやるようにうりうりと指先で弄んだ。
弄り甲斐はありそうだが、同族(推定)に弱いものいじめはする気にもならん。】
「もし幻が完成できたのなら再び見てみたいものだ。騎士として、先人として、友として。あらゆる寵愛を与えてやろう」
■ティネ > 「やーん」
威圧感のある言葉も、今はそんなに怖くない。
しばし楽しそうに弄ばれてから、ふわ、と再び宙に浮かぶ。
「寵愛? ふふ、なんだかすてきな響き!
楽しみにしててね!」
にかと笑う。
随分と直接的に好意を表現してしまって、今更ながらちょっとはずかしくなる。
居心地の悪くない手だった。油断していたら、いつまでもこの手の中にいてしまいそうであった。
それじゃあ、と別れを告げて、へろへろと蛇行しながら木立の奥へと消えていく。
幻の術の練習よりも先に、飛び方を練習したほうがよい気がする。
その後もどこかで終日練習を続けたが、
接地判定がうまく行かず木や地面や岩に幻をめりこませるだけで終わったのは
わりとどうでもいい話である。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からティネさんが去りました。
■ヴィルヘルム > 「その実素敵なものになると良いものだ。
……あぁ、ではな。また会おうとしよう」
【蛇行する軌跡を追って暫し頭を動かしていたものの、彼女の姿が見えなくなる前に背を向けた。
黒馬に跨り、手綱を握り締める。】
「悪くない時間だったが、長居しすぎた」
【は、と吐いた吐息とともに言葉を混ぜて、再び蹄の音を響かせて街道のはずれ道を駆け始めた。】
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からヴィルヘルムさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 地下図書院」にルシエラさんが現れました。
■ルシエラ > 廃れた巨大図書館、その一角に少女は佇んでいた。
その手には何枚かの紙、それに目を通しているように見える。
「あー…えーっと…こっちであってると思うんだけどねー?」
目を通している紙には何やら地図みたいなものが描かれていた。
そして、その横にいくつかの文字。
地図の方はしっかりとした描き込みに対し、文字はどう見ても適当に書き殴った感がある。
何をしにきたのか?と問われれば、今回は冒険者としてちゃんと依頼を受けてきたのだ。
結構深い場所にある書物、それを持ってきて欲しい。
内容だけを聞けばなんか簡単に思えたのだが…
「………あっれー?何か違うよ・う・なー…?」
適当に進む、地図を見る、更に進む、また見る。
はふー…溜息をついて足を止めた。
普段適当に歩いてるからか、こうして決まった道を進むのが苦手らしい。
■ルシエラ > 地図に視線を落としながら、まだまだ進む。
と、その進んでいる先に大きな扉、それを左右に挟むように巨大な石像が佇んでいた。
「おー?もしかしてこれかなー?」
閉じられた扉の前までやってくれば、こんこんっ、と軽く叩く。
…それに反応して左右の石像の瞳に赤い光が灯るが、扉を見詰めている少女は全く気付いてない。
再び地図へと視線を通し、書き込みを確認する。
「ふんふん…この先にあるけど、門番が居る、と。
門番は入ろうとする者に反応して襲い掛かって………ん?」
言葉にして内容を呟くが、そこまで読み上げ…ふと首を傾げた。
すでに2体の石像は動いており、その拳が勢いよく少女へと振り下ろされる。
■ルシエラ > 「………おおっ!?」
どごんっ!と硬い物がぶつかり合う鈍い音が遺跡内に響いた。
寸でのところでその拳を飛び退いて避けたか、居た場所よりも後方にとんっ、と着地する。
その間に扉を後ろに隠すように石像は動き、扉の前を完全に塞いでしまう。
ただ、そこから少女へと向かってくる動きは見られない。
「おお、怖い怖い…とりあえず、これを壊して進めって事かねー?」
面倒そうにぼやきながら、一歩前に…と、何かを感じてくるりと振り返る。
その視線が向いた先には…その石像よりもサイズは小さい、だが、金属製と思われる表面に包まれた姿…どうやらゴーレムのようだ、しかも3体。
■ルシエラ > 「いやー…まいったまいった、今日は作り物に大人気みたいだねー?」
とんとんっと床を足の爪先で小突き、近付いてくるゴーレムを眺めていつものようにのんびりとした風に呟く。
うん、この類のものは見覚えがある…が、それは敵としてでなく、設置される光景を眺めていた記憶だ。
まさか対峙する事になるとは、とか思っているも、ゴーレムは待ってくれる事はない。
目の前まで近付いた一体目が拳を横殴りに振ってきた。
「まったく、仕方ないよねー…のめすしかないかー」
勢いはありそうだ、だが遅い。
とんっ、と床を蹴って身を躍らせ、その下を通り過ぎるようとするゴーレムの腕をもう一度蹴る。
高く舞い上がった少女は振り切った腕を戻そうとするタイミングに合わせ、壁を蹴って勢いよく突っ込み…ごっ!と胸部辺りを蹴り付けた。
…その勢いを利用して距離を置いた位置に着地をする。
ゴーレムは…微動だにしていない。
「…あっれー?」
さすがは金属の塊か、どうやら大したダメージになってないようか?
生物と違い反応が見難い、実際はどうなのか分からないが。
■ルシエラ > 「まあ、続けてれば倒せるんじゃないかなー?」
ぐりんぐりんっと肩を回し、構えをとる。
今蹴り付けた1体、そしてその左右からもう2体が近付いてくる。
…だから、君等は遅すぎるんだよ。
心の中で呟きながら、その小さな体は右方向へと地面を這うように突っ込んでいく。
考えて行動する相手ではなく、その攻撃パターンはそこまで複雑ではない。
襲い掛かる拳を、踏み潰そうとする足を、余裕を持って紙一重で避ける。
が、こちらの攻撃も効いてるかどうかも分からない。
胴体を蹴り付け、頭部に踵落としを叩き込み、着地から足払いを打ち付ける。
…うん、なんていうか…仰け反りもしやしない。
また後ろへと飛び退き距離を開いた、さて、どうしようか?
■ルシエラ > 「勘の鋭そうなのが居ると困るから、あんましやりたくないんだけどねー…しゃーないよねー?」
はふん、まったく本当に困ったものだ、といった感じに深々と溜息をつく少女。
だらりと肩の力を抜いて両手を下げ、視線を少し下げるように頭を傾ける。
…ぞわり、周りに誰かが居るのならば、強烈な悪寒が駆け抜けるだろう。
ゆらりと揺れる少女の体から薄黒いオーラが湧き上がった。
「うん、君等程度なら…もう終わったよ」
呟き顔を上げる少女の真紅の瞳は爛々とした輝きを放っている。
そして、もう一度だけその体がゆらりと揺らぐ。
次の瞬間、少女の姿がその場から消えると同時に…
どごぉんっ!
石像が地面を叩き付けた音とは比べ物にならない轟音が響き、ゴーレムの内1体が扉で佇んでいた石像を巻き込み、扉ごと破壊して部屋の奥へと消えていった。
■ルシエラ > ふっ飛んでいったゴーレムが居た場所に、代わりに着地をする少女。
ぎちり、拳を力強く握り込めば、再びその姿は消えてしまう。
次に宙を舞う2体目のゴーレムは、もう1体居た石像をまた巻き込むような形になり、壁に減り込んでしまった。
ゴーレムと壁に挟まれた石像は砕け散り、ゴーレムは胸元の中央に深々と凹んだ跡からヒビが走り…ごしゃあっ、と地面に落ちる。
そして3体目、だんっ!と地面を思いっきり蹴って跳びあがると、その拳を頭上から脳天部分に叩き込む。
めごっ…ゴーレムの頭部が胴体の中へと押し込まれるようになり、ぐらりとその図体が揺れ…どおんっと倒れこんだ。
くるくると宙を回り、すたんっ、と着地。
その時にはすでに体を覆っていた薄黒いオーラは消え去っていた。
■ルシエラ > 「あっはっはっ、やっぱりちょっと力を出すとこうだねー?」
ぐっぱっぐっぱっと拳を握って開いてしながら、さっそくと壊れてしまった扉を抜けて奥の室内へと入っていく。
そこまで広い部屋ではないようだ、これなら探すのもそう難しくはない…と、そう考えながら更にその室内の奥へと進む。
進んだ先にはさっきふっ飛ばしたゴーレムと石像、入り口辺りで壊れたのと同じ状況になっている。
それはどうでも良い、と視線をぐるっと見回してそれらしい書物は?と探すが、その視線がぴたりと止まる。
その位置は…今見えていたゴーレムと石像の残骸の下、なんか箱っぽいものが潰されていた。
■ルシエラ > 「………えーっと…」
あ、なんかこれ…嫌な雰囲気がしない?とか思った。
ゆっくりとした足取りで側へと寄り、屈み込む。
壊れた箱の残骸をぱっぱと手で退けると、そこには潰された事によって薄さを増した書物。
ぐっと掴んで引っ張ろうとする…うん、潰されてて抜けない。
手を下に差し込み、持ち上げようとする…うん、重くて持ち上がらない。
長い長い沈黙が、元々静かだった遺跡内を覆っていた。
■ルシエラ > それから、また更に沈黙が続いた後、少女は先ほどの紙を手に取った。
袋からペンを取り出し、その紙を近くにあったテーブルへと置く。
『書物は時間が経ちすぎてて手にした途端崩れ去りました』
ペンを走らせた部分にはそう書き殴られていた。
これでよし、と頷くと、その紙を筒状に丸め、懐へとしまう。
書物が持ち運び出来ない状態だったもんね、仕方ないよね?
そんな理由にして事を終える予定だ。
■ルシエラ > 「…さて、帰ろうかねー」
くるりと踵を返すと、ひらりひらりと手を振って部屋を後にする。
何はともあれ、少女の冒険者生活は始まったばかりなのだ。
失敗を悔やむな、前を向いて進め、明日は明日の風が吹く。
…あれ?なんかおかしい?
そのまま岐路につき、最初の依頼は失敗という結果に終わったのであった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 地下図書院」からルシエラさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/河原」にソードさんが現れました。
■ソード > (気が向いたというのが主な理由か。
遺跡で見つけたアレコレを売り払ってできた金。
いつものように、酒に飯に女に宿、で使い切るつもりであった。
あったが、何となく意気投合した露店の主人から何故か勢いで釣竿を購入したのが発端。
折角竿があるのだから、と、こうして釣りに出かけてきたのである。
海も近いのだから、海釣りにすればよさそうなものであるのに、わざわざこうして平原まで出て来て河釣りである。
しかも。)
―――おうおう、見事な月が出たもんだ。
(夜釣りである。
空には、男の言葉通り見事な月が浮かんでいる。円月というには、やや欠けるものの、見事には違いない。
河川に突き出すようにして鎮座している巨大な岩に腰掛け、数メートル下の水面に釣り糸を垂らす。
少し離れた場所には、パチパチとたき火が燃えていた。
恐ろしく暢気で、恐ろしく平和な自由人の姿がそこにあった。)
■ソード > (釣りなどいつぶりであるか。
旅に出て冒険者になったような頃合いに、他の冒険者から教わったのである。
とは言え、ただ魚を獲るだけなら、もっと効率の良い方法がたくさんある。
であるから、この釣りという行為は娯楽性が強い。
まぁ、網で獲った魚よりも釣った魚の方が美味いとは言うが。
暫し月を見上げた後、視線を水面へと移す。浮きが動く様子はない。
ただ、河の流れに従ってゆらゆら揺れるのみ。)
まぁ、気長にいくか。
(釣り始めてから既に一時間以上経過しているが、釣果は未だゼロだ。
当然と言えば当然で、素人が適当にエサをつけて釣り糸を垂らしているだけなのだ。
そうそう釣れるものではあるまい。
とはいえ、絶対に釣れないという事もない。
男は懐から酒の入った小瓶を取り出して、軽く中身を煽る。
月、酒、夜釣り。
道楽ここに極まる。
ここに美女でもいれば完璧、か。)
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/河原」にロトさんが現れました。
■ロト > (宵闇城キルフリートより外出後、何処で儀式をやろうかとあっちにウロウロ こっちにウロウロ。
気付けば大分町を離れ、平原へと辿り着いてしまい、本を脇に抱えて普通に歩いてとぼとぼ歩く。
仕舞には河原までたどり着いてしまった、釣り道具は持っていないが、手には禁呪が綴られた危ない魔術本が一冊。
それを開くか開くまいが、一先ず能力で その本は異次元収納へ仕舞った)
「月は仰ぎ見ても 心は揺らぎません…」
(夜目は利く方だ、此処からでも巨大な岩に腰掛けている人影が見えなくもない、視線を下へと向ければ、たき火が燃えている、
間違いない どちらにしろ それは誰かが居る、と言う事に。
そうして近づいてゆけば 気付かれるだろう どうだろう?)
■ソード > (釣果のない者を、坊主という。
月に坊主では出来すぎている気もするが。
くだらない事を考えながら酒を煽り、釣り糸を垂らす。
それでも、接近してくる気配にはキチンと気付く事ができた。)
―――お?
(視線を巡らせる。まっすぐと、彷徨わせる事なくその視線はやって来た女へと固定された。
まさか、こんな時間こんな処に女が現れるとは、というのが正常な感想であろうか。
ただ男は、その姿を見止めると、からりと笑顔を浮かべた。)
よう姉さん。
お月見かい?
(片手を挙げながらそんな言葉を投げて寄越した。)
■ロト > (此処で 儀式? いけないけない。
こんな素敵な月が見える平原で あんな危ない儀式をやったら瘴気塗れになる。
危ないのと後の片づけが非常に難しくなるのとで妙な考えは深淵の闇に沈めた。
気配?隠してもいないし、気づかれても然程問題にもならない、そんな器用な事少し無理。)
「ごきげんよう」
(岩の上にいるどなたかは、此方を見ている。
淑女の様な ドレスのスカート部分を両手で摘みお辞儀をしてみせた。お辞儀の後はまた ゆっくりと着実に岩の下へと歩み寄って見上げよう。)
月見も兼ねました、散策ですわ?
(散策と言うか気づいた此処に居ました的な含み。
初対面だと思うので、いつもの古臭い喋りではなく年相応の丁寧な口調と振る舞いを持って対応したい。
視線は 彼の手元を見た、あれは釣り具。)
貴方様は、夜釣りで御座いますか?
(ついっと右手で示すのは彼が持つ釣り竿)
■ソード > (釣り糸を垂らしたまま、彼女に視線を送る。
投げた言葉に、返って来る言葉。
ああ、と小さく頷いてから、一度視線を水面に戻して。)
いい塩梅で月が出てるもんなぁ。
と、ああ、夜釣りだな。今ントコは釣果ゼロなんだがねぇ。
(浮きを見つめながら、言葉を返していく。
釣果がゼロであっても、さほど気にしているという事はない。魚が欲しくてやっているというより、この釣り糸を垂らす行為が愉しいのだ。
と、そこで視線を再び彼女へと戻す。
向ける笑みは、愉し気で嬉し気な、子供のような笑み。)
どうだい姉さん。隣まで来ねぇかい。
回し飲みでよけりゃあ、酒もあんぜ。
(そんな軽い誘い文句。
ぶっちゃけ状況を鑑みれば……否、鑑みずとも、あんまりな誘いである。
初対面の女性に突然隣に座るように誘い、酒の回し飲みまで勧めているのだから。
しかし男は気にした様子もなく、さも名案だと言うような様子で彼女を見下ろす。)
■ロト > 月には 魔力が宿っておりましてよ?
その下で夜釣り、風流ですわね、と申したいですが、釣れて居りませんか…そうですか。
(語尾が萎んだのは、どれだけ釣っているのかは存ぜぬが、てっきり沢山とか程々に釣れている、というのを期待していた。
が、釣れていないと聞くと そうですかーと肩を落とす仕草を)
隣…では、一時のお邪魔を致しますわ。
酒ですか? 月を肴に一献。素敵ですね。
(面白いお誘い、のってみよう。
ふわりと浮遊か何かの魔法術式を無詠唱で行い、少し高いかもしれない巨大な岩の上にいる
男の傍に音もなく降りたとう。そして隣に腰を下し、酒の回し飲みの一杯くらいには預かろうという始末。)
…珍しいですわね、私 見た目が人でないのに。
(素朴な疑問を男へと質問として、首を傾げ、銀髪を横に流しながら聴いて見よう。)
■ソード > そうらしいな。俺にはイマイチよくわかんねぇけど、確かに月夜のが強くなる奴ってなぁいるな。逆もいるのかね?見た事ぁねぇんだが。
はははっ、まぁ釣りなんてなぁこうしてるのがいいんだよ。
(月に一瞥を。月は人の思惑など気にせず、ただそこで輝いている。
すぐに視線を相手に戻しながら、釣果に対するコメントには軽く声を挙げて笑いながら言葉を向ける。
負け惜しみとも取られかねない内容であるが、男は愉しそうに口にする。)
お、いいねぇ。ノリがいい姉さんは好きだぜ。
ほれ、ラムだけど大丈夫かい?
(隣にやって来る彼女。男は満足そうに頷くと、視線を水面の浮きへと戻した。
音もなく、隣に腰を下ろす彼女に差し出すのは、先ほどまで自身が傾けていた小瓶だ。
茶色い小瓶の中身を満たすのは、男の言葉通りのラム酒。熟成年数も浅い、正直なところ安酒である。港湾都市では手に入りやすい酒だ。)
そうかい?珍しくねぇよ。
それに、姉さんには違いねぇ。月に酒に釣り、んでももってイイオンナだ。
他は些末事だろ。
(気負った様子もなく、からりと笑って、男は答えた。
怪しげな女が隣に来ても、辺に緊張する事も、警戒する事もない。男は彼女が見つけた時から変わらない。
まるで木石のように、そこにあって釣りをしている。笑っている。)
■ロト > 私は 月の光を浴びてもどうこう御座いませんわ。
満月に限りますと 人が 狼男に為ったりする、というのは耳にしますが…逆はどの様な方々が該当するのでしょう?
釣をしつつ 実際釣れましたのは お誘いという餌についてきた私と言う事で。
(月の光をやんわりと浴びているが 気が粗ぶったりはない。
釣というか餌はともかく 今男の横に居るのは自分。つまり釣りと称して釣れたのは。己と
くすくすと口に左手を添えて微笑みを浮かべる程度に見返し)
ラムですか…もっと強めでもいけますわよ。
(差し出された小瓶、回し飲み位どうとことはない。
差し出された瓶を受け取って 軽くジュースを飲む雰囲気で くいっと瓶を傾け一口喉を潤した、久方振りのラム酒だが 飲みやすい。
はふ、と息を零して、ついっと男へと小瓶を渡そうと差し出して)
でしたか、ならばよいのですが。
…イイ女と言われたのは 嬉しいですねぇ。
(少し照れた様な、そんな楽しそうな声を発す。
一時の夢心地のような場だ、たまにはこんな時を過ごすのも悪くはない。今はただ この時を楽したい。)
■ソード > そうかい?月が似合う美女だけどな。……うん?そういえば最近、お日様よりも月が似合う美女としか会ってねぇ気がするな。
ああ、そういうのもあるな。逆……さぁねぇ?俺も詳しかぁねぇからな。けど、お日様に弱ぇのがいるんだから、お月様に弱ぇのがいてもおかしかねぇだろ?
おう。何か上手い事言ったか?今。
まぁ、折角釣れたんだし、安酒を餌にしてもうちょい付き合ってもらうか。
(月光について。うぬん?と首を傾げたりしながら言葉を返していく。
釣れたのは自身であると、口にする彼女に一瞥をやっては、可笑しそうに少し声を漏らして笑ってから応じる。
月下、月影を伸ばしながら笑い合う。
片や釣り糸を垂らす冒険者。片や銀髪の美女。
不思議な絵面である。)
おおっと、豪気だ。
ただ残念な事に、今ぁそいつしか持ち合わせがねぇや。
(彼女がどうって事ない、とラムを煽ると、また嬉しそうに目を細める。
差し出された小瓶を受け取り、己も一口。
原酒である故、相応に強いが、男もまたジュースを飲むように軽く口にする。とは言え、ジュースのようにグビグビと喉を鳴らす事もない。
サトウキビの香りと、樽の甘い香りが胃から鼻孔へと抜ける。)
姉さんなら、よく言われるだろう。別嬪だ。
それとも一周回って、悪女とでも言われるかい?
(傍らで彼女が楽しそうにしていれば、男の機嫌も上向きになる。
共に酒を飲む美女が辛気臭い顔をしているよりも、その方がいいに決まっている。
酒は好きに飲みな、と小瓶を二人の間に置いて、視線を水面へ。
浮きは揺れない。
サァー、と夜風が平原を撫ぜる。
月光の降る音、星が瞬く音すら聞こえてきそうな夜だ。)