2021/05/17 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にエルヴァルさんが現れました。
■エルヴァル >
王都から半日ほどの街道の辺り、側道に入ってしばらく進めば朽ちた宿がある。
その記憶に間違いはなかった。安堵の息をつきつつ木造の廃墟へ駆け込んだ。
屋根のある場所へ入った途端、それまでは豪雨の中で自棄になって気に留めていなかった不快感が身体に圧し掛かる。水分を含んだ服の重み、べっとりと肌に貼りつく布の感触。長い黒髪も密かに気に入ってはいるのだが、こうも濡れてしまえば話は別だ。
「まったく、鬱陶しい天気だな。妙なやつは住んじゃいない……か?」
この街道の宿が魔物に襲われ、廃墟となって久しい。
天井にも壁にも穴が空いて酷い有様だが、幸いなことに盗賊や獣の類は住み着いていないらしい。ただほの暗い屋内に、雨音が屋根を打つ音が鳴り響くのみ。
時刻は夕暮れ。
今日中に王都へ戻るつもりだったものの、時刻にも天候にも諦めざるを得ない。
男だったときと違い、この小さな少女の身では歩幅が違うのか、どうも移動が遅れがちだ。
今晩はここで夜を明かすことになるだろう。
念のため、まだミレー族の犬耳と尻尾は隠蔽魔法で隠しておく。同じことを考えて雨宿りに駆け込む者が居ないとも限らないし、あるいは既に先客が居るかもしれない。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にエレイさんが現れました。
■エレイ > 「──ふへぇーい……」
不意に、少女の耳に男のものと思しき声が届くだろうか。
そして程なく、視界にもその声の主──全身濡れ鼠の、金髪の男が姿を表す。
大型犬のようにぶるるっと頭を振って髪の水気をいくらか振り払うと、ハフ、と
大仰にため息を吐き出し。
「いやあ濡れた濡れた……おんや、先客が居たのかと驚き顔になる。やあやあ、キミも雨宿りかね?」
やがて男も先客の少女の姿を認めれば、軽く瞬きした後へらりと緩い笑みを浮かべながら
片手を上げつつそう声をかけ。