2020/10/05 のログ
ソティ > 王都マグメールへと続く街道。
月明かりのみが照らす街道を歩くのは一人の少女。
微風に腰まで伸びる白銀の髪を、ふわふわとした緩やかなドレスの裾を靡かせる。
両手で髪と同じ白銀の鞘に収まった大剣を大切そうに抱えながら先を進む

本来ならば、こんな時間なら次の日に備えて休息を取っている頃合だろう。
だが、それをそう必要としない為にこうして歩き続けていられるのだ。
傍から見れば、余程目的地に向かう事を急いでいるように見えるかもしれない。

ソティ > 少女の一人旅、一見すれば危険なものと言えよう。
しかし、見た目とは裏腹にそこいらの魔物程度ならば対応出来る腕は持っている。
それに最悪敗れそうになろうとも最終手段もあるのだから、本人としては不安は無いのだ。

一度足を止めて、進む先に見える光景へと目を向ける。
向かうべき場所は王都マグメール。
まず何かをするにおいて、ここに来るのが一番と聞いた街だ。
とは言っても、今のところは目的という目的は決まってない。
ただ望むのなら、この剣を扱わせるに値する人達が見付かると良いな、程度のもの。
小さく笑みを零せば、抱えている剣をそっと撫でた。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にエイガー・クロードさんが現れました。
エイガー・クロード > そんな少女の前に、王国の騎士や傭兵らしき者が数名ほどいた
みれば、ここを通る馬車や旅人に声をかけていた
どうやら警備等を兼ねた検閲を行っているようだった

しかし一部の騎士や傭兵はサボり気味で、しっかりやっている者は一人だけだ
遠回りして国に向かうことはできないだろう
そうこうしているうちに検閲が粗方終わり、まだ少し離れた少女へと目が向かう

そして唯一仕事をしていたと思われる騎士がそちらに向かってくる
見れば、すぐに男とわかるものの一瞬女性と見紛ってしまう程度には美しい化粧をしていた

「ごきげんようお嬢さん。王国へ向かっているのよね?」

優しそうな声と笑みを浮かべる。声も低く、男性に違いないだろう。

ソティ > あれは、何?
まず頭に浮かんだのは、そんな疑問だった。
検問といえば、村や街に入る時にあるものだと思っている。
だから、こんな場所にそんなものがあるとは思ってない。
そうなれば、思い付くのは誰かが勝手に道を塞いでいるというもの。
少女にとって、それらを行っている騎士や傭兵がどこの者達であろうと関係はないのだ。
向けていた視線は、僅かに訝しげなものへと変っていた。
ただ突っ立っていれば、自分に気付くのは当然といえるもので。
近付く騎士へと、その視線が向けられる。

「そう…だけど、何?」

僅かな警戒の気配を見せるように、ぎゅっと剣を抱き締める。
男性が化粧をしている、そうした事に違和感は持っていないらしい。
少女からすれば、この道を塞いでいる一人が来たとの認識が強いからだ。

エイガー・クロード > 「最近物騒だからね。街には入る前の時点から旅の人や商人の荷物を軽く調べてるの。
といっても壊したりとかしないから安心して」

警戒されていることに気づき、ある程度距離はそのままに止まる。
無闇に不安を煽るつもりはないし、怖がらせるのも本意ではない。

「失礼。私はマグメール王国の騎士の一人、エイガー・クロードよ。
普段ならここでこんなことはしてないんだけどね…。
いちおう入国目的と荷物検査だけは軽くする必要があるけど…」

ちらり、と今度は逆に言うことを聞いてくれるか不安そうに王国の騎士を名乗った男は少女を見つめる

ソティ > 「ゾス村…前の時は、無かった…よ?
色々、あったって…聞いた、けど、そこには、無いの?」

男性の言葉に警戒の色は抜けない。
物騒だから街に入る前に調べている、それは分かった。
だけど、なんで大きな街の前にはあって小さな村の前には無いのか。
そんな疑問を逆にぶつけてしまうのだ。
男性がそれを決めた訳ではないのだけど、それを知らないこそ生まれる疑問だろう。

もっとも、男性が次いで伝える言葉に考え込んでしまう。
マグメールの騎士と名乗った、それを完全に信じている訳ではないのだが。
考え込んだ理由はそこではなく、入国目的についてだった。

「目的…目的…まだ、決まって、ない。
行ってから、考える、つもりだった、から。
荷物、検査は…これだけ、だから、持ってるの」

目的がないのに、目的を聞かれても困る、とりあえずはそれを伝えて。
荷物検査については、持っているのは剣だけだから、調べるも何も無いのだ。
抱えていた剣を示すように手で撫でて、そう続けた。
ただ、下手な事をしようものなら、進まず戻る事も頭に置いておいて。

エイガー・クロード > 「ゾス村…あぁ、そっちから来たのね。
……私が謝っても仕方ないけれども、ごめんなさい。そこまで、今は手を回すことはできないの」

申し訳なさそうに頭を目線と頭を下げる。
ゾス村の方ではそれなりの騎士や傭兵が今はいるが、確かにそんなことは行われていない。
それをしようとする者もいない、真面目な者はあそこでは嫌われてしまうのが現状だった。
本来ならあそこにもやるべきことをしていないのが、今の王国の状況を表している…かもしれない。

「そう、じゃあ単に旅人なのね。…荷物はその剣だけ…えっ?」

思わず、といった風に顔をあげる。不思議そうな顔をしていた。
立派な剣を持っているが、目の前の少女はそれを扱うには些か体躯が小さい。
鍛えられてるのかと言えば、そのようには見えない。
荷物が剣だけというのなら、冒険者や旅人としても少し疑問が残る。

「……よく剣一本の一人旅でまぁ…無事だったわね」

しばらく間を置いた後、そう言った。

「まぁ、荷物は本当にそれだけみたいだし、問題はなさそうね。
ごめんなさい、足を止めちゃって」

ソティ > 男性の言葉を聞いて、その申し訳なさそうな態度を見て、僅かにあった警戒は緩まる。
その言葉は本質であり、偽りでないのは理解したからだ。

「そう…うん、そうなんだ…分かった、仕方無い、ね」

だから、小さく頷きながらそう返す。
顔を上げて不思議そうな表情を浮かべる男性。
続けての言葉に何となく言いたい事が分かって。

「大丈夫…ちゃんと、使える、から…剣」

確かに腕のある相手から見れば少女は弱く見えるだろう。
その手の指先を見れば鍛錬の跡も見られず、肉付きも決して良い方ではないのだし。
そうした体質である事を知らなければそんなものである。

「ううん、良いの、通っていいのなら。
それじゃ…行くね」

通行許可を得れば、その横を通り過ぎて行こうとするのだが。
少し過ぎたところで、ぴたりと足を止めて振り返る。

「エイガー…言うのと、聞くの、忘れてた。
私、ソティ、剣を守る者…後、王都、まで、どれくらい?」

言葉を向ける相手へと目を向けて、それだけを伝える。
それは、相手だけ名乗って自分は名乗ってなかった事を思い出すようなもので。
後は王都までどれくらい掛かるかを聞くものだった。

エイガー・クロード > 「仕方ない、で済ませるわけにはいかないんだけど…。
ごめんなさい、今は王国も王国でいっぱいいっぱいなの」

毎日行われる貴族や王族間の政争は段々と激化していっている
その飛び火は平民にまで及んでいる始末だ
そんな中で周辺の村に手を及ぼすことは早々起きないだろうこと
それを憂いているのは、表情から察せられるだろう

「そうなのね。まぁ見た目と力が反比例することはよくあるからいいけれども」

体躯が小さいといえど自分より筋力があるものも確かにいる
目の前の少女もそのタイプなのだろうかと疑問を持ちながらも自分を納得させた

「えぇ、いちおう道中気を付けてね」

そう言いながら微笑みを浮かべて手を振るが、振り向かれて小首をかしげる

「ソティちゃんね。ありがとう。
ここからなら徒歩で国までは夕方頃には着くはずよ」

礼儀に礼儀を返してくれたことが嬉しいのか、その微笑みが少し輝いた

ソティ > 「王国、いっぱいいっぱい…そう、なんだ…?」

だから、村にまで手が回らない。
大きな国でも今はそんな風になっているのかと、そう思う。

疑問に思い追求をされたところで、少女にはこれ以上の説明は難しい。
納得するのはある意味で正解だったといえようか。
思い出したような言葉と問い掛けに、しっかりと男性は答えてくれる。
ここまでの遣り取りで、この男性においての疑念は晴れていた。
微笑む男性に向けて、小首を傾げながら。

「ありが、とう…それじゃあ、行くね。
…また、いずれ」

王国の騎士なら、王都に留まればいずれ会う事もあるかもしれない。
それも念頭に踏まえての言葉を添えて、少女は検問を後にするのだった。

男性の言葉通りなら、王都までは後もう少し。
頑張ろうと。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からソティさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からエイガー・クロードさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にコノハさんが現れました。
コノハ > 王都マグメールへと続く街道を月明かりの中で歩く。
この辺りではあまり見ない東の国の服装に黒く長い髪を揺らして。
灯りの類は手にはなく、それでも足取りに迷いはなく街道を歩く。

「馬車代を節約したのは間違いでした…。それに街も宿場も見えてきませんよ」

何処から歩いているのかは判らないが暗い周囲に先に続く街道に切れ目は見えず。
しかも月明かり以外の灯りもなく不安を煽る状況。
そんな状況でも文句と後悔が口から零れる辺りまだ余裕がある様子。
一通り愚痴を終えれば一度足を止めて大きく息を吸うと気合を入れるように腕を突き上げ。
あと少し歩いて何も見つからなければどこかで野宿をしよう。
そう決めて街道を歩くのを再開する。

コノハ > そうしてしばらく歩き続けるがついにはその日の街への到着は諦め。
街道を反れて野営に向く場所を探していく…。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からコノハさんが去りました。