2018/10/20 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にジードさんが現れました。
■ジード > まれびとの道と呼ばれる街道に差し掛かって少しの場所。
如何にも怪しげな風体の旅人が大きなカバンを片手に街道を歩いていた。
時折カラン、と硬質な物が触れあうような音が手にしたカバンから誰もいない街道に響いていく。
「参った。思った以上に時間がかかる。
いい素材は手に入ったけど俺の体力と足じゃ割に合わないかもな」
ゾスの村から山賊街道へ、山中へ分け入っての薬の材料探しの帰り道。
出たのはかなり早い時間で実際に探していた時間も大したものではない。
だが旅慣れてるとは言い難い身の上には思った以上にキツい行程だった模様。
音を響かせることを気にした様子もなくまだ見えぬ王都の方を見る。
■ジード > 「馬や馬車でもあるなら違うか。いや、しかしそんな頻繁に使う訳でもないのにな」
買う財力がないわけではないがロクに走らせない馬を抱えるのも問題だ。
あまり走ることのない馬は病気になるなどという話も聞いたこともある。
元々薬のこと以外に頓着が薄い方なので面倒見切れる気もしない。
遠くに続く街道の先に目線をやって落胆したように肩を落としながらも
気を取り直す様にカバンを握り直して気合を入れて歩き始める。とはいえあまり長くは続かないが。
■ジード > 「――よし。今日の夜までにはせめて帰り着かないとだな。
食事がまともなもの取れないのが一番精神的に応える」
今のままだと保存食で確定である。
それだけは御免こうむると自分を鼓舞すると、
やはりあまり気乗りしない様子ではあったが街道を歩いていくのだった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からジードさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアトリさんが現れました。
■アトリ > 昼下がり、二頭立ての荷馬車がのどかな街道を進む。見るからに農夫といった風情の御者が時折振り返る荷台には、大雑把に積まれた藁束と、それを枕に寄りかかる小さな娘がひとり。
しかし眠っているのではない。片手に握った堅い粗末な黒パンを時折口元まで運んでは、さして旨くも無さそうにもそもそと小さく齧る。
「…………まだ着かないのね」
そう誰にともなく呟いて、嘆息―― そんな唇を塞ぐように、娘はまた一口パンを口元に運ぶ。
不機嫌そうなへの字に結んだ口を時折もごもごと動かしながら、暫し吹き抜ける風に揺れる木々や草のざわめきと、鳥の声に耳を傾け。
■アトリ > 横になって風景をぼんやり眺めているのにも飽きた。余り上等ではない荷馬車はしばし不規則に揺れ軋み、寝心地も褒められたるものではない。下手に寝転がっているよりも、半身を起こしたほうが後で身体が痛むことも少なかろうと判断すれば、のそのそと緩慢に身を起こす。……寝ながらの食事は行儀も悪い。尤もそれを見咎める者など居なかっただろうけれど。
「……日が暮れる前には着くといいけど」
手にしたパンをぶちぶちと千切る合間…… 御者の農夫に向けての皮肉のつもりだろうか。小さく唇を尖らせながらそう呟いて―― 農夫の男は恐縮そうに頭を掻くばかりだけれども。
■アトリ > 決して仏心を起こしたわけではない。粗末なパンが余りにも不味くて持て余してしまったものだから。
そう心の中で言い訳しながら、細かく千切ったパンくずを無造作に荷台の外へと放り投げる――
案の定、鳥たちがこぞって群がり、道しるべのようにばら撒かれたそれを次々と啄んでいくのを、目深に被るフードの下から見つめる物憂げな眼差し。
「…………向こうに着いたら、もう少し美味しいものを食べないと」
贅沢に溺れるのは論外だが、粗食に慣れ過ぎていても人生は乾いてしまう。
そんな自己の人生訓を胸に抱きながら呟く口調は、一心不乱にパンくずへとがっつく鳥どもを揶揄るようでもあった。