2016/11/26 のログ
ノーガルト > (耳に自信があるかどうかと聞かれると、あると答えられる。
そこそこ通る耳なら、数メートル程度の距離の声は聞き漏らすことはない。
もっとも、それ以上に小さかったら話は別だが。)

「………。」

(ノーガルトは、目の前のノイアの言葉を聞き漏らすまいと、腕を組みじっと視線を合わせていた。
曰く、この近くの村で襲撃があったらしく、逸れに関しての情報が欲しいという事。
頭の中で近くの村と言う場所を考えるも、ここから近くの村といえば、あの村しかない。)

「その村、というのは伝説の剣を奉っているという村のことか?」

(その情報ならば、確かに持っていると頷いた。)

「…その村を襲った盗賊団なら、今頃閻魔に許しでも請うているんじゃないか?」

(軽く笑い飛ばしながら、黒い外套の中に手を突っ込む。
此処に入っているのは、最近始めた煙草のケース。
それを一本、口に咥えて、火をともした。)

「その盗賊団は、俺が滞在しているときに襲ってきたものでな。村長の頼みと、オレの安全のために切り捨てさせてもらった。」

ノイア > 『物には言いようがあるでしょう、そんなだから人形って言われるのよ?
ごめんなさいね?素敵なお兄さんとそちらの…二人、でいいのかしら
この子馬鹿なのよ。気を悪くしないで頂戴。
私達は少し近くの村を探しているだけだから』

艶やかだけれど情け容赦ない内容の声が辺りに微かに響く。

「…そのうわさが流れている村であっている。伝説の剣とかいうものが本当かは知らないけれど。
本当なら村長は運がよかった事になるけれど詳しい話を聞きたい。あと馬鹿は余計」

それを無視するように目の前の男に告げるもつい抗議してしまう。
一応救援に対する足止めという可能性もあるけれど…

(確かに軽い盗賊団なら切り捨てられそうな印象はある)

もとより半分自業自得なうえに今から駆け付けた程度で救えることもないだろう。
ならここで真偽を確かめたほうが後々楽と判断し、煙草をくわえた男の風上に周り、ちょこんと腰かけた。

ノーガルト > 『……その声…間違いない。ティルフィング…だな?』
『だよな、だよな!うわぁ、久しぶりじゃねぇか!オレだよ、ガラディンだ!』

(確かに、剣の声は聞こえた。そして、その剣こそ。
探している『5本の影の剣』の一つ、”呪剣ティルフィング”だと、ダインもディンも確信したようだ。
3本目の兄弟が、まさかこんなにあっさりと見つかるとは思ってもいなかった。)

「伝説の剣というものの真偽はわからん。だが、ダインが言うには魔剣の類であるのは間違いない。あと…別に気にしないから問題ない。うちにも、騒がしいだけの馬鹿がいるからな…。」

(久しぶりの兄弟である剣に会えたことで、はしゃぐディンをよそに、ノーガルトはため息をついた。
嬉しいのはわかるが、耳元で騒ぐのは本当にやめて欲しいところだ。)

「詳しい話といってもな…、オレは探していた魔剣かどうかを確かめるべく、その村を訪れた。それを見せてもらったときに、盗賊が襲ってきたというだけだ。」

(死体に関しては、ダインがきっちり処理をしてしまったため、残ってはいないだろう。
村に関してだが、また襲ってくるかもしれないという事で、村ごと移転することを進めた。
幸い、小さな村だったのでそこまで難しくはないだろうと、ノーガルトは判断したためだ。)

ノイア > 『どこかで会ったことのあるような…と思えばずいぶん元気な二人じゃなぁぃ
どこか遺跡の奥深くにでも投げ込まれてたの?最近うわさを聞かなかったけれど』

何だか妙に盛り上がっている不思議な会話をよそにこちらも会話を進めていく。
楽しそうで何より。

「…盗賊側の人数規模と生存者数は?村人の方の被害はどれくらいだった?
…まぁこういうものは人を引き寄せるから襲撃犯に魔剣使いがいてもおかしくはなかった。
そういった人物は見たか?」

その話を聞きメモしていく。
少なくとも矛盾点はない。
それにあんな噂が流れているのだから場所を移さないなんて自殺願望。

「…なら私が行かなくても大丈夫そう」

そう判断する。

ノーガルト > 『…オレはずっとノル…ノーガルトの元にいた。ディンは、森の奥深くで静かに眠っていたさ。…そういうお前こそ、どうだったんだ?』

(久方ぶりの魔剣。兄弟の話はしばらく続くだろう。
ノーガルト自身、例え兄弟が見つかったとしても、手に入れるという考えはない。)

「盗賊団の規模と、村の被害は――――。」

(ノーガルトは、質問に的確に答えていく。
滞在期間はそれほど長くはなかった。盗賊の数は、小さい村だったという事で、小規模だった。
おそらく斥候、と言う見方も出来るが、所詮少人数、ダインの能力を使えば、相手に出来ないはずがなかった。
もっとも、その能力のことまでは話すことはない。
村の被害もまったくなく、魔剣を持っている人物はいなかった。
だが、もしその集団の大本、そこに魔剣を持つものがいるならば、また話が違ってくる。
再び襲われても、さすがにもう護りきれる保障はどこにもない。
勿論、長期滞在を願われたが、ノーガルトも其処までお人よしではない。
だから、結局村の願いを聞き届けず、今日の昼ごろに村を出たところだった。
その後、村は場所を移すために準備し始めたはずだが、今頃はもぬけの殻だろうか。)

「…そういうお前は、何者だ?見たところ冒険者のようにも見えるが。」

(盗賊団の追って、というわけではなさそうだ。
そうでなければ、詳細を聞かずに村へと直行していたはず。)

ノイア > 『こっちはこの子に拾われるまでじめじめした所でずっと解析よぉ。すっごく暇だったわぁ…』

ふとその時のことを思い出し目が陰を帯びるけれど元々無表情。
もしかしたら気が付かないかもしれない。

「…護衛もいない村に少規模の盗賊団。
…どちらも哀れすぎてなんというべきかよくわからない」

話を聞き終えると綴りをやめ鞄へとしまう。
伝説の剣なんて大層なものがあると漏らした村も村だけれど
そんな場所に少人数で攻め込むなんてよっぽどお金に困っていたか…考えなしだったのだろう。
代金は高くついたけれどそれをかわいそうには微塵も感じない。
…そもそも彼女の本来の仕事は”村を救うこと”ではない。

「…私?白薔薇騎士団所属の者。軍人と適当に判断してくれていい。
現場に間に合わなかった事は国の盾としては申し訳なく思うけれど
…弁明したところでどうにもならない。
謝礼ならいくらか預かってきているけれど村を救ったというのならあなたが受け取る権利がある」

懐からゴルドが入った袋を取り出す。
村人の親族を名乗る男から預かったものだけれど、彼に渡したほうがいいだろう。

ノーガルト > 『…ノイアと呼んでいた、その娘か…。どうやら、お前も契約者が見つかっていたようだな…。』

(表情の変化、ノーガルトはそれを見落としていた。
空に向かって白い煙を吐き出し、再びそれを口に咥える。)

「村人の大半は老人だったからな。戦えるものがいないならば、少人数でも問題なかろう。」

(あの村に、闘えるような人間はいなかった。
過疎が進み、老人ばかりの村に少人数でも、盗賊が襲い掛かってきたらどうなるかは、説明するまでもない。
ただ、その盗賊にとって不運だったのは、その日たまたまノーガルトがいた、という事だ。
それに、あの剣は間違いなく魔剣だった。という事は、少なくともまとまった金が手に入る。
それを狙うのは、ある意味盗賊としては、正しい行いだろう。)

「白薔薇…騎士団という事は、お前は騎士か。あの街の騎士は、まともな人間がいないと思っていたが…。」

(依頼で動いたという事は、まだマシな騎士という事になる。
数日、王都で過ごしただけだが騎士の腐敗がすさまじいことは、ノーガルトの目にもありありと浮かんでいた。
唯一、機能しているといえば対魔族最強と詠われている第七師団。
そして、第九師団副団長の私有地とかいう場所の2つのみ、残りは賄賂と癒着に塗れていた。
再び、白い煙を吐き出しながら、煙草の火を靴の裏でふみ消す。
差し出された袋、それをノーガルトは受け取った。
金のためにやったわけじゃないが、差し出されたものは素直に受け取る性格だ。)

「……金のためにやったわけじゃないが、ありがたく頂戴しておこう…。」

ノイア > 『まぁこの子は仮…だけどねぇ』

村の大半は老人だったそう。
おおかた村を離れた若者が自慢がてらに話してしまったのだろう。
少なくとも変な人物の手に渡らなくてよかった。

「普通護衛を想定しておくべき。魔剣をなめすぎた代価が命。
あれは大体がそういう代物。
それはさておき国民の命を救ってくれてありがとう。騎士として感謝を」

無表情ながら騎士として優雅に一礼する。
白薔薇に属するものとして、騎士としては最低限の誇りは保っておきたい。

「…ここまでは騎士としての仕事。ここからは私個人の独り言」

ぼそりとつぶやく。

「魔剣使いは最近物騒。
…実際それ目当ての襲撃事件も増えてきた。
それに比例するようにそういったものを持つものも増えてきた。
危険だから国の統治下におくべきなんて話やそれを私兵の武器に求める貴族も多い。
特に意識を汚染しかねないようなものは…危険視されていると同時に期待されている。
持ち主を使い捨てれば戦争用の武器として便利だから」

男に一歩近づき見上げながら淡々と言葉を紡いでいく。

「特に飲まれるような人が評判を落とすネタを提供するには事欠かない
魔王を称するものも増えてきた。大義名分は揃いつつある。
何時火が付くかはわからないけれど…この国は戦火に燻っている
だからこそ、火種(吞まれた物)は早々に刈り取らなければならない」

瞳に底知れない光を宿しながら相手の瞳をのぞき込む。
碧眼の奥にドロリと何か濁ったものが流れるようなそんな印象すら受けるかもしれない。
それは魔を狩る物の瞳。

「…貴方は飲まれたりは…しないよね?」

無感情の、けれど底冷えする声で問いかけた

ノーガルト > 『…仮……?という事は、お前の能力は扱えないという事なのか?』

(魔剣たちの話は、あまり耳に入れていなかった。
護衛を想定しておくもの、といってもあの村の状況ではそれも難しいだろう。
本当ならば王都に保管してもらったほうがいいのだが、村に伝わる伝説の剣。
それを、そう簡単に王都に寄贈することも出来ずに困っている、というのが村人の本音)

「感謝されるようなことでもないし、本当にただの偶然だ。そもそも、最近こういうことに巻き込まれすぎてて、お払いでもしようかと思っていたところだしな。」

(礼を言われても、ノーガルトはただ右手を上に向けて、うんざりとしたような声をあげるだけだ。
だが、其処から変わる少女?の雰囲気に、ノーガルトは再び煙草に手を伸ばす。)

「………。違うな、本当に物騒なのは魔剣「使い」じゃない。魔剣「使われ」のほうだ。」

(ふっと、少しだけ笑みを浮かべ、ノーガルトは答えた。
確かに魔剣は危険なものだが、それ以上に便利なものでもある。
ノーガルトのように、魔法を一切仕えないものでも、魔剣の力を使えば魔法を使えるようになる。
ダインの能力や、ディンの能力のこともある。
だが、便利だからと使い続ければ、それは自分自身や、周りすらも巻き込んでしっぺ返しを喰らうことにも繋がる。
ノーガルトは、それら力に溺れたものを、皮肉を込めて魔剣使われと呼んでいた。)

「………なるほどな、ごもっともだ。」

(呑まれた者は、放置しておけば戦火を巻き起こす。
その意見には同意するし、この国にはいろいろな戦火の火種が、常にくすぶり続けている。
魔族との戦いしかり、北の大国シェンヤンしかり。
それを刈り取る、そしてその意思を示す言葉、瞳。
ノーガルトは、その右手を掴み、つるし上げるように覗き込みながら、顔を近づけた。)

「………呑まれている様な顔に見えるか?」

(深い、血のように赤い瞳。
真っ向から、ノイアの碧眼を見据えた。)

ノイア > 『うーん…相性はすごくいいのよ?けどねぇ…
けどなんというか…どう説明したものかしら』

片手を掴み上げられるように引き寄せられ、視線が交錯する。
まるで染め上げたような赤い瞳と濁ったような青色の瞳が至近距離で見つめ合う。

「…そう」

数秒後瞳がその裏に込めた力を抜いた。
それは相手が拍子抜けするほどあっさりと引いていく。
理由は”魔剣使われ”という言葉は彼女にとってもとてもしっくりとくる言葉だったから。
少なくともただ道具に振り回されることもないだろう。
仮にそうなってもきっと戻ってこられる。
そう判断して。

「失礼な問いかけをした。聞くまでもない質問だった」

その距離のままのんびりと言葉を返していく。
その様は騎士というより年相応の娘…といった印象すらある

「飲まれていれば今頃そのあたりで暴れまわっているだろうし…
少なくとも力しかない獣には見えない」

彼女なりの好印象の示し方だったりもする。

ノーガルト > 『…いや、無理に説明する必要はない……。お前がそこにいるなら、其れでいい。ノルにも言ったが、俺は何も5本全て傍においてほしいわけじゃない。』

(相性がいいと言う言葉に、ダインはどこか納得したようだった。
見つめあう赤と青、それらが不意に離れる。)

「…いや、構わん。俺自身も、最初はダインに手を焼いたからな。」

(こいつさえあればなんでも出来る。そう思っていた時期が、ノーガルトにもあった。
体を鍛えず、ダイン――魔剣ダーインスレイブの力に溺れて、それを振り回すだけの獣。
それを改めて、まだ10年やそのあたりしかしていない。
まだまだ、自分も未熟なのだからと、毎日言い聞かせている。
勿論、免罪符としてじゃない。魔剣の主として、だ。)

「だったら、俺を刈り取るのは勘弁してもらえたという事か?」

(だとしたら非常にありがたい話だ。
ここで剣を交えるなどという事は、出来る限りしたくはない。
逸れに、相手はダインと同じ魔剣、うまく使えないのか、それとも能力自体を使わないのか。
それが未知数である以上、下手に戦えばどちらかがどうなるか、わかったものではない。
しかし、傍で見てみると、案外濁った青色というのも、綺麗なものだと思う自分がいたりもした。)

「(…いかん、勢いに任せて顔を近づけてしまったが…案外美人だったな…。)」

ノイア > 『あれで謝って尚且つ褒めてるつもりなのよ?言葉足らずにもほどがあるでしょう。
本当酷いと思わない?この子』

意図的にあちらの会話は無視。
聞かないふりが一番と既にだいぶ前から気が付いてはいたのだから。

「必要がないなら狩るつもりはない。
元々私は盗賊の手に渡った場合盗賊団ごと制圧する為に来た。
無為な戦いは好まない。獣でないなら私の敵ではない。」

相手は二本も魔剣を備えた相手だ。
簡単には制圧させてくれないだろう。
魔剣使いというのは往々にして面倒毎に巻き込まれやすいのだから
必然的に腕が立つものが多い。

「…ところで、腕を離してもらえると助かる。つま先立ちは疲れる」

無表情のまま見上げて言葉を続ける。
地味に足元がぷるぷるしている。
とっさに迎撃用の備えを強制解除したためこの距離で強化呪文を使うと怪我をさせてしまいかねない。
身長差がかなりあるのでどうしてもつま先立ちになってしまう。

ノーガルト > 『人間というのは面倒な生き物…いや、この娘の場合は人間ではなさそうだな…?』

(意図的に無視しているならば、そのほうがダインはいいのだろう。
無理に話に首を突っ込もうと思うような、野暮な剣ではない。)

「…それはよかった…。俺も、あまり無益な戦いは好まんのでな。」

(だが、どうもトラブルメイカーなのかそういう場面にはよく出くわす。
結果として、力を使わなければいけない場面に遭遇し、そして使う。
それを繰り返してしまっているあたり、結局は力に溺れていることになるのだろうか。
自問自答できるだけ、まだ飲まれていないといえるだろうか。
答えは、出せない。)

「……え?…ああ、すまん。」

(2メートル近い身長を持つ男が、小柄な少女?をつるし上げれば、必然的にそうなる。
既に限界だったのか、足を震わせているまでつるし上げてしまっていたか。
掴んでいた手を離し、ようやくノイアはしっかりと立つことが出来るようになる。)

ノイア > 『そうなのよぉ…この子ってば…』

「…ティル、その件は許可していない」

何事も無かったかのように地面に立ちながらやんわりと制止する。
震えていた足をなかったことにする辺りこれで意外と強情なのだろう。

「貴方が呑まれないなら獲物になることはない。
私も必要ないなら良心的な魔剣使いを斬りたくはない」

それが必要となる日がこない事を彼女は願っている。
それで狂ってしまった者を狩るのはそれを狩れる力のある者だけだ。
力あるものの義務であり、押し付けられる罪状でもある。
…だからこそ誰かがやらなくては行けない。
例え内心自身も道具が無ければ生きてすらいけない存在に過ぎないと自嘲しながらでも。

「…手間を取らせた。あの村の剣は今後保護観察という形にしておく。
私は王都に戻る。できればもう会うことがないことを願っている」

そう告げるとくるりと踵を返す。
話は以上と言わんばかりの態度で歩み去っていく。

…王都に戻るつもりが王都とは別の方角へ。

ノーガルト > 『………。』

(許可していない、と言う台詞を聞く限り、どうやら主導権は向こうにあるらしい。
ダインとしても、会えただけで良しとしておくつもりのようだった。)

「…良心的、か。そう思っておいてくれるならば、それでいい。」

(ノーガルトは、自分自身をそう思ってはいなかった。
魔剣を持っている以上、自分の力は常人の粋を超えている。
それを自覚しているからこそ、ノーがりゅとは必要以上に、人とかかわろうとはしない。
旅暮らしで、一箇所に留まらないのも、それが理由だった。
もう会う事がないことを。その言葉に、ノーガルトは少し苦笑いをした。
嫌われたか、それとも必要がないのか。
少なくとも、好印象を持たれた相手に言われるのは、少々傷つく…。)

『……ノル…あの娘………。』
「…言ってやるな、本人も気にしていたようだしな…。」

(王都への道ではない、別の道。
その方角へ歩いていく後姿を見送りながら、ノーガルトは最後の煙草に火をつけていた。)

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からノイアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からノーガルトさんが去りました。