2016/04/26 のログ
■テルヴェ > 10分ほど経って。
ひとしきり全身の汗や垢は流れたようだが、なおも水面に頭だけを浮かべたまま、ぼんやりと焚き火の方を眺めて沐浴を続けているテルヴェ。
流されないように足を付きつつも、体重の多くを水に預け、全身を休めながらまんじりともしていない……ように見えるが。
「………んっ……ふ……ぅ…」
時折、体温を奪われて真っ白になった顔が紅をさし、うっすらと目を閉じてか細い嬌声を上げるテルヴェ。
透き通った水の流れの下で、彼の両手は股間に添えられていた。握られているのは、幼い体つきにしてはやや大きめに見える陰茎。
テルヴェも男の子である。刺激に乏しい徒歩の旅路において、心休まった瞬間にふと「ヌキ」たくなることだってあるものだ。
「くぅ……ん……」
周りに誰も居ないことは先刻承知だが、それでも野外で大声を上げて快感を訴えるほど破廉恥な性格でもない。
冷たい水の中、両手に包まれてもっちりと膨らみを増す肉棒だけが熱を帯びている。
それを半ば機械的に扱き、発生する快感を腹の中に溜めながら、僅かに口の端から漏れそうになる嬌声を噛み殺す。
■テルヴェ > 冷水の中での自慰、いかに超早漏のテルヴェといえど、処理には時間がかかる。
やがて、冷えきったお腹の中から熱いわだかまりが込み上げてくるのを感じ、テルヴェはぎゅっと目を閉じて両手の動きに力を込める。
「……くふ………っあ!」
びゅ、ぶびゅ、ぴゅるるっ。
清水の中へ、三回に分けて包茎の鈴口から白濁が噴かれ、マシュマロめいた塊に丸まって流れに乗る。
放出の快感に思わず水底から足を離してしまい、精液とともにテルヴェも流されそうになるが、慌てて踏ん張ると白濁塊だけが糸を引きながら下流へ流されていき、やがて見えなくなった。
はふぅ、と熱のこもった息をひとつ吐くと、一瞬火照りを覚えた全身が一気に冷えていくのを感じる。
普段、他者に責められてテルヴェが見せる早漏っぷり・大量射精っぷりとは、印象を異にする自慰光景である。
さすがに普段からの自慰行為までもが止めどない大量射精になってしまっては、体力も持たないし、処理にも困る。
そのためテルヴェは、自ら抜くときはつとめて機械的に処理するように心がけている。
えっちな記憶は掘り起こせば何十何百とあるが、そういった物も想起しないようにしている。そうやって何年も過ごしてきたので、慣れたものだ。
そして、そういった妄想に至りづらい屋外、とくに自然の中での自慰をテルヴェは好む。これもまたひとつの変態性癖といえようか……。
「……はふぅ、すっきり……」
射精に伴う倦怠感と、いよいよ冷えきってきた全身に脚をふらつかせながらも、どこか満足気に見える表情を浮かべながら、テルヴェは長い水浴びを終えて岸辺に上がった。
陰茎はなおも太さを保っているが、萎え始めている。そのやや上、臍の下に刻まれた赤黒い淫紋も、とくに活性化しているようには見えない。
荷物から手ぬぐいを取り出して軽く洗ったのち、それで全身を手早く拭うと、湿った肌が乾くのも待たずに布服を元通りに羽織る。
どうせ焚き火に当たっていればじきに乾く。さすがに裸のままで火に当たり続けるような真似はしたくないが……。
■テルヴェ > 薪を集めて作った焚き火ではない。じきに火も小さくなり、下に敷いた小枝の炭化したモノが端々に赤熱を残しながらパチパチ鳴る程度に収まった。
水浴びでしとどに濡れた全身もすでに乾ききっているが、それでもさすがに夜が深まってくると夜風は冷え込んでくる。
「……ふあぁぁ……。ん、もう寝ようかな……明日早めに歩き出せば、明後日昼過ぎには王都に……」
革鎧や革靴の手入れもそこそこに、テルヴェはあくびをひとつ。
くすぶる残り火はそのままに、いそいそと一人用テントへと潜り込んでいく。
魔族に刻まれた腹部の紋様によって、人並み外れた体力を与えられたテルヴェだが、疲れないというわけではない。
長時間の運動で筋肉に乳酸は貯まるし、なにより精神的な疲弊は補完しないので、冒険中といえど規則正しく睡眠をとることは欠かせない。
「おやすみぃ……」
ゴツゴツとした河原の砂利も気に留めず、テルヴェはすぐに寝入ってしまった。
実のところ、テルヴェは野宿が大好きである。
宿に泊まるのは余計な出費も掛かるし、宿場町は人の集う場所である以上、予期せぬ誘惑に引っかかることもしばしばあった。
野宿ならそういう遭遇も少ない。なにより、自然の中でキャンプを張るのはなんとも「冒険者っぽい」感じがあって好きなのだ。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からテルヴェさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にエターナさんが現れました。
■エターナ > 駆けているつもりだった。走っているつもりだった。
だが、裸足の足は傷つき、実際にはのたのたと歩いているだけだった。
あまりにも惨い主人の元から逃げ出して三日。あてなどないが、少なくとも「喜び」の名を冠するこの道を行けば、まだましな世界が広がっているのではないかと一縷の希望を抱いていた。
「まち……まずは、まちにいって、それで、おうちを、見つけて……」
小さな呟きは、できるかどうかも分からない、この道の先でやりたいこと。それを自分に言い聞かせることで挫けそうな意志を奮い立たせていた。
■エターナ > 初夏の近付く頃とはいえ、夜気はいまだ冷たい。エターナの白い肌にときおり風が吹きつけ、震え上がらせる。足の裏は既に感覚がない。
「だめ……あしをとめちゃ、だめ……この先に、まちがあって、それで、おうちを……」
必死だった。今まで一度たりとも見たことのない平和で満ち足りた世界がこの先にあると信じることしかできなかった。
娘は、作り主に、絶望しきることを禁じられていた。
■エターナ > 「……あっ!」
小さく声をあげて、娘が転倒する。その足の裏には、尖った小石が突き刺さっていた。血が流れ出す。
「ぅ、く……」
痛みに涙を零しながらもぞもと身を起こし、小石を引き抜いた。娘はいかなる傷もいつかは回復する。だが、それには時間が必要だった。
■エターナ > 娘は、よろよろと立ち上がった。一歩を踏み出し……そのまま、また転んだ。白く長い髪が地べたに広がった。
もはや精神ではなく肉体の問題だった。力が全く入らない。
不死、という一見強大な力に対し――娘自身の能力は、あまりにひ弱だった。
「あ、ぅっ……だめ……おいつかれちゃう……」
恐怖と焦りに支配された声が漏れる。
■エターナ > 四つんばいになって、ずりずりと道の傍の樹に身を寄せる。纏った襤褸が更に擦り切れ泥に塗れたが、気にしている余裕もなかった。
樹の裏側に、時間をかけて回り込み、座り込む。幹に背を預けた。仮に追手が追いついたらこんなことでごまかせるとは到底思えないが、道の真ん中を行くよりはましだと思えた。
「はぁ……」
大きく息を吐く。限界だった。歩き続けることでもたせてきた意識が、途切れようとしている。
娘は、不死のホムンクルスだったが、睡魔も空腹も感じることができた。それを奪われたときの苦痛を感じ取れるように。
■エターナ > ……しかしこの瞬間だけは、それが救いに感じられた。
意識を失う……睡魔に身を委ねること。それは確実に、娘が感じられる数少ない快楽の1つであったからだ。たとえ、恐怖に怯える夜であったとしても。たとえ、ホムンクルスが夢を見ないとしても。
「だ、め……ねむったら……」
追手がいれば確実に追いつかれる。しかし、口ではそう言っていても、もはや娘の疲労は隠しようもなかった。うつらうつらとし始める。睡眠の快楽の入り口に立つ。
■エターナ > 眠っている間に見ない夢を、眠りに落ちる瞬間に垣間見る。
街へと辿り着き、最低限の平穏を得る夢を。
かすかな笑みとともに、意識は眠りに落ちている。
だが、娘も本当は気づいている。
たとえ生き延び、街についたとて、そこが楽園(パラダイス)とは限らないのだということを。
■エターナ > それでも今はそこに希望を灯すしかなかった。
娘に、絶望する機能は設定されていないのだから。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からエターナさんが去りました。