2015/11/23 のログ
ルーキ > 「……ま。いつも通り。いつも通りに過ごせば良いことか……」

小さく呟けば、木の幹にその身を預けた。
緩やかな挙措、空を見上げて暫し休息の時。
木々の呼吸を感じながら、王都に戻るのはまだ少し先のこととなる―――

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からルーキさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にサタンさんが現れました。
サタン > 既に日は沈み辺りは闇が支配している。
街道を行き交う者も無く、時折風に揺られ奏でられる草木の音色位のもの。

街道沿いにとある豪商と数人の部下兼護衛が乗って居た馬車が一台。
それを牽く馬は既に何処かへと走り去り、横転した車とその周囲には数分前までは数人の”人間だった”物。
殆どは腰から上の無い成人男性の死体であり、膝を突いて朽ちた物もいれば、そのまま倒れた物も。
とりあえず、辺りには夥しい血液の海が出来て居た。

ティルヒアの都より戻った後に、自らが見聞き感じた噂の龍の件も含め、魔王の領地では現在南海へと出陣する部隊の編成中。
既に必要な指示は従者へと伝えてあるのだから、あとは彼が自らの主が満足行く様に準備するだろう。

それまでの時間は、何時もどおり…とは言え、少し久々な裏家業。
正直なんの恨みであったかは忘れたが、とりあえず
獲物の豪商は胴体が爆ぜ、崩れ落ちる下半身と、頭部はその頭蓋を男の掌と指先は鞠でも持つように掴んでいた。

「――…つまらん仕事であるのだなぁ…。」

豪商の護衛役に付いていたのはそれなりに名の通った傭兵集団であったようだが、人や唯の魔物相手ならばともかく、この男ではどう転んでも生き延びる術は無かった。

頭蓋を掴む指先から力を抜き、ゴトッと鈍い音ともに
恐怖に歪んだ表情のまま死した男の首が地に転がる。
興味も無い様子で、男は上着の内ポケットに仕舞ってある葉巻を1本取り出せば、指先に火を灯し燻らせ始めた。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にイルミさんが現れました。
イルミ > 「あぁもう、早く帰らないと……どうしていつもこう遅くなるんだろ……」

黒い三角帽子とマントという、暗い夜の街道に紛れるような格好に身を包んだまま走る。今日も王都で買い物をしていたのだけれど、限られた予算で何を買うか、じっくり考えすぎてすっかり遅くなってしまった。夜目は利くし、暗いことそのものは大した問題ではない。ただ、暗くなれば夜盗や魔物に出くわす危険は増すし、第一家に帰りついた後寝るのが遅くなる。明日は朝早くから森に入って花を摘む予定だったのに、ちゃんと起きられるかどうか……。

「……何、このにおい……っ!?」

色々と考えながら走っていたせいか、すぐ近くに来るまで気づけなかった。漂ってくるのは、濃密な鉄のような匂い。それが大量に流された人間の血のものとすぐにわからなかったのは、こんなに濃いにおいを嗅いだことはなかったから、そして、その中に魔族の……多分、自分なんかでは戦いのようなものすら出来ないだろう、高位の魔族の匂いを感じたからだった。逃げるでも隠れるでもなく、呆然としてその場に立ち尽くす。

サタン > 本来、仕事を終えたのならさっさと戻るのが常だ。
今回の場合ならば、このまま放置しておけば夜中か早朝にはこの惨状を目にした者が何らかのリアクションを起すはず。
多少は野犬の餌にでもなるだろうが、念のためにと
残しておいた男の頭には、自らのドス黒い評して構わない色を持つ魔力の残滓位は残しておいた。
良い意味でも悪い意味でも、王都ではそれなりに顔も知られている商人の素性は恐らく直に割れ様との心算で。

ただ、男は正直暇を持て余していた。
適当にこの惨状の傍居れば、もしかしたら冒険者なり傭兵なり王国の騎士なりにでも見つかったかも知れない。
最近悪い魔王らしい事も聊か忘れ気味な魔王は、大事の前故に派手な事は出来ないが、適当な肩慣らしという闘争をしたかった。

故に、この現場を見てしまったであろう女の存在。血の匂いを感じ、そして自らの力も感じ取ったらしい相手の声色が女であると判断をした。
立ち尽くす様の相手に対し、燻らせた葉巻咥えたままゆるりと男の真紅の双眸は向いた。

「――…ふむ…。見てしまったというなら相応に考えなければならぬが、どうしたものだろうな?女よ。」

近づくでも無く、構えるでも無くただ死骸の前に佇み、三角帽子にマントに身を包み闇に紛れるような
姿の相手へと、向けられる双眸はしっかりとその姿を捉え、問いの言葉を発した。

イルミ > 「……ひっ」

こちらを見据える真っ赤な眼を真っ向から見てしまい、脚が震えそうになるのを必死にこらえるが、顔から血の気が引くのはどうしようもない。怖い、と思ったのは相手が男だからではない。今更そんなところに恐怖を感じているような余裕はなかった。匂いを嗅ぐまでもなく、相手は明らかに高位の魔族。なりそこないの淫魔風情では、立ち向かうことはもちろん、逃げることもできないだろうことはすぐにわかった。なら、何とか話し合うしか……もとい、命乞いをするしかない。もしかしたら、わざわざ自分一人を殺すために労力を割かないという選択をしてくれないとも限らない。しかし、

「あっ、ぁ、あの、わっ、わたし……邪魔、する気は……えっと、その……」

人間の男性とすらまともに話せない口が魔王を相手に気の利いたことなど言えるはずもなく、しどろもどろになりながら一歩後ろに下がるしか出来なかった。震える手が被り直そうとしたマントを取り落とし、その下のワンピースドレス姿が露わになる。