2015/11/16 のログ
■ヴィクトール > (捨て身の一撃は庇い手を潰し、肉を抉った一撃。手応えはあったものの、骨をへし折って切り裂いた時の独特の感触がなかったからこそ、それに気づいた。後ろへと転がった女は見るも無残な格好、そして顔を歪ませ怒りくる様に、満足気に笑っていた)
いいねぇ、ガキ臭い感じが取れて一人前だな。
(余裕ぶるように笑っているが、急所を外したとはいえ、痛いものは痛い。気を抜けば壊れてしまいそうな、命を削りあう殺し合いの楽しさが、痛みを強引に抑えこんでいく。そんな中、水を差す矢の襲来に、再び黒が爆ぜるように広がる。激昂する怒りの感情が、それこそ凡人が見れば人外と思わせるほどの男の周りの空気を歪ませ、燃え盛るような黒を刀身から伸ばしていく)
邪魔をすんじゃねぇぞ! この三下のクソカスがぁぁぁっ!! 雁首揃えて死ねぇぁっ!!
(大剣を前へ突き出すと、憤怒と殺意が瘴気の塊となって具現化し放たれる。狙うは彼女の部下と、哀れにも連れてこられた村人。心臓や頭部を狙って無遠慮に殺そうと飛来する瘴気の固まりは、直径1mはあろう大きさだ)
…まだ殺りたりねぇだろ、テメェもよぉ…?
(喉の奥で押し殺したような笑い声をあげながら、彼女へと視線を向ける。ギラついた瞳が未だに殺し合いを望む、狂った笑顔をみせていた)
■エウレリア > それまでは女剣士の心を乱す事のなかった男の言葉が、今はギリリ…ッと痛いほどに娘の歯を食いしばらせる。
握る細刃の切っ先が、異様な怒りに小さく震え、赤熱の色を帯びた刀身が眩く輝き、陽炎に大気を揺らめかせ始める。
もちろん、怒りのままに突っ込む程、エウレリアは浅くない。
幼き日、そうした激昂が幾度少女を打ちのめしたか分からない。
再び踏み込むのは、溶鉄の怒りが極寒の冷徹さに冷やされ凍りついた後の事。
呼吸を整え、怒りを収めようとする女剣士と、ますます戦意を高める男との合間に数本の矢が突き立ったのはその時だった。
油断なく地を転がって矢を避け、裂帛の声音と共に男が放った瘴気による斬撃は、とっさに樹上に飛び上がってやり過ごした御者の背後で、無数の村人達をただの肉塊へと変貌させる。
弓師としての腕前の高さを買われてエウレリアの伴を任される事の多い御者も、樹上にて動きを止めて、続く射撃を行うことが出来なくなる。
異性よりも同性を好むエウレリアが、寵愛する少女ではなくこの男を伴うのは、単にその娘に他の用を申し付けていたという理由もあるが、その腕前に負う所も大きい。
弓を主武器として用いる御者は、正面から戦えば手もなくエウレリアに屈服させられてしまうものの、後背から相手を牽制するように放つ射撃は恐ろしく有効に作用する。
致命を免れたとは言え黒衣の戦士も浅からぬ傷を負ったはず。
その状況で、手負いによって狂気を増した女剣士と、手練の弓兵を同時に相手取る事は流石に荷が重い事だろう。
にも関わらず、黒衣の戦士は、鉾を収める機を投げ捨てようとしている。
エウレリアとはまた異なる、常軌を逸したバトルフリークと言えた。
もちろん、エウレリアとてこのまま手打ちにするつもりなどあるはずはない。
師を殺して以来、かすり傷以上の傷をつけられた事も無ければ、美しい着衣を汚された事も、そして何よりも完璧な術理を持った剣筋を歪まされた事など一度もなかったのだ。
眼前の野良犬に、それほどまでの屈辱を与えられ、黙って許せる訳がない。
しかし同時に、恐ろしく冷えた頭の中で、ここが決定的な事態に至る前の最後の分岐点であることも分かっていた。
「お前、相当狂っていますわね……。このまま続ける事が、どういった事態を招くか、本当に理解していますの?」
女剣士からの最後通牒が、異様なまでに冷え冷えと響く。
胸の内には煮え立つ怒りを抱えたまま、不意に起こる戦闘反射がビクッ、ビクンッと不穏な動きで細剣の先端を跳ねさせる。
■ヴィクトール > (邪魔するなと放った殺意の弾丸は村人だけを肉片にしてしまう。どうやら咄嗟に跳びのけた弓使いも、中々の手練のようだが…頭の中でひっそりと”兄貴なら避けながら俺の眉間撃ち抜いてんな”と、一層狂った射手を知っている分、動じることはない)
ん? やっぱお嬢様はイイもんもってんだな。火ぃつくのか、その剣。
(火を思わせる赤を宿した刃が見えると、にやりと笑いながら呟く。そんな殺しに向いた武器を持っていればまだまだ楽しめそうだと思うも、まだ戦うつもりかと言われれば、呆気にとられた顔をして、軽く首を傾けた)
何言ってんだテメェ……冗談にしちゃクソすぎんぞ
(津波の前に潮が引くのと同じ。轟々と音を立てる大津波の如く、怒りが顔を覗かせる。再び刀身を包むのは赤黒い魔力、それは闇と共に血の匂いが交じる狂った男の戦闘意欲を破壊に変えた尋常ではないものだ。血の香りが一層周辺に撒き散らされ、男は一歩、一歩と女の方へと歩き出す)
テメェが死ぬか俺が死ぬかしかねぇだろ、それとも股開いて命乞いするか? あ゛っ!? 言ってみろぁっ!!
(波が大地を飲み込むように、一気に怒りが吐き出される。バックドラフトを起こした炎のように黒の魔力が男の背後から吹き荒れ、消えていく。殺す、壊す、潰す…そんな破壊の意志が狂おしい程に込められた気配を放ちながら、血を滴らせ、戦闘狂の男が迫るだろう)
■エウレリア > 最後の問いかけに対し、男が放ったのは激昂の言葉と瘴気の爆風。
枯れ葉を舞い散らせ、土煙を吹き散らす暴風を、女貴族は双眸を閉ざし、金の長髪を大きく揺らしながら受け止めた。
再び開いた目が、狂気の紅瞳を男に向ける。
その美貌に刻まれるのは、傲岸な笑みではなく、冷え冷えとした無表情。
「――――ハ、お前にその気がないのなら、最早どうにもなりませんわね。よろしくてよ、どれほどに無様な事になろうとも、お前の命、終わらせますわ。」
男からの返答は、思っていた通りの物だった。
出会ったばかりのやり取りを考えれば、こうなることは決まりきっていたのだ。
呪うならば、最早この出会いそのものを呪うより他に無い。
つい先程の交錯とは真逆の状況。
貴族としての余裕も失い、完全に怒りに飲まれていたエウレリアは、今や驚く程に静かに佇んでいる。
対する男は、魔獣の猛りを具現化したような、グツグツと沸き立つ破壊衝動のままに距離を縮める。
棒立ちとも言える程に無防備な立ち姿を見せていた女剣士の肢体が、不意に意識を失ったかの如く揺らめいた。
そして――――倒れ伏したと思った瞬間、緋色が地を這う影の如く男に向かう。
携えた剣が、赤熱した航跡と炎の切れ端を宙に残す。
■ヴィクトール > (気取る余裕は口調だけ、どうあろうとも殺すと、怒りを押し込めた表情に、相変わらずに滾った戦闘意欲の瞳が見つめ返す。いつも通りの力じゃ足りない、もっともっと力がいる。この女が恐れおののき、剣を落とすぐらいの力でなければ、己が勝てども満足できない。底なしの欲望が大剣から片手を引き離すと、溢れかえった黒い魔力が全身を包む。人で無くなろうと構わない、どうあろうともねじ伏せる。強い意志で未来を描く、あの女に叩き込む一撃。そして…赤い軌道を確かめると同時にそれが姿を成す。表皮の様に黒い魔力が意志で縫い付けられ、人外の形相へと変貌させていくと、その腕は丸太のように太く禍々しい形状に変貌する。空いた手は大岩を包み込めそうなほど、魔力が縫い付けられ具現化し、鋭い爪が刀のように宿った凶器となる)
くたばるのは…てめぇだアマァッ!!
(振り下ろした大きな手は、掻き爪の様に広がり、一気に落とされる。剣を振るう腕ごと、その胴体ごと、掴んで化け物の膂力で地面へ叩きつけようとするだろう。守りなぞ一切考えない、破壊のみを考えた迎撃だ)
■エウレリア > 急速に近づく男の体躯が、その気配を変えた。
禍々しさを滲ませつつも、人の姿を保っていた存在が、全身を包み込む黒によって完全な魔へと変貌する。
想像などしようもない変貌なれど、エウレリアの動きに淀みはない。
「――――――ヒュ……ッ!」
地に伏せるような極端な低姿勢が、そのままころんと地に転がるように細身を翻し―――ピゥッと銀剣を振るった。
持ち上げた男の―――黒色の魔人の腕の根本へ向けた一閃は、冗談の様に距離を外した物。
しかし、赤熱した切っ先からジャウッと伸びた閃光が、白熱の軌跡で空間を薙ぐ。
剣の先から迸った閃光を、そのまま真横へと滑らせたのだ。
守りを考えぬ一撃への遠距離からのカウンターは、いともあっさり彼の腕を切り飛ばすかもしれない。
たとえそうなったとしても、最早エウレリアは油断しない。
側面へと転がった肢体は、閃光による斬撃を撃ち放った直後、トトトンッと軽妙に地を蹴って彼の周囲を回りつつ、温度の消えた紅瞳で相手の動きを見つめ続ける。
■ヴィクトール > (叩き潰そうとした腕は空振り、転がった女が放った一閃が予想通り腕を切り落とし、宙に舞うが…問題はそこからだ。腕を包む黒い表皮から蜘蛛の糸のように無数に伸びると、肩口へと繋がり、血を滴らせながらつなぎ合わせていく。糸が肉を裂く度に溢れる赤、そして強引に結び付けられた腕は何事もなかったように大剣に掌を添える)
……
(ぎろりと金色の瞳が彼女を睨むと、切っ先を地面に突き立てる。魔力が地を伝い、再び引きぬかれた剣の先には、この夜闇で生まれた影を全て引剥したような真っ黒な刃が伸びていき、長さは5mに及ぶ。それを胸元目掛けて踏み込みながら薙ぐのだが、ただ射程を伸ばしただけではない、剣の軌道からは真っ黒な腕が無数に生まれ、女に向かって一斉に伸びていくだろう。しゃがむなり、跳躍するなり…避ければ避けた瞬間が隙にもなり得る。その一瞬で彼女を亡者の手で取り押さえようとする)
■エウレリア > 男の全身にまとわり付いた瘴気の黒も、流石に魔法剣の閃光を捻じ曲げる事は叶わぬらしい。
とは言え、両断した腕が瞬く間に繋ぎ止められ、問題なく大剣を掴む様にはむしろ乾いた笑みさえ浮かんでくる。
事、ここに至れば、単純な消耗戦となることだろう。
閃光の斬撃を放つ己の精神が尽きるのが先か、常識はずれの肉弾戦を展開する怪人の"魔"が尽きるのが先か。
"閃光"を使い慣れていないエウレリアが、その戦いに勝てる可能性は低いと言わざるを得まい。
己が敗北を喫する相手は、己以上の剣名を轟かせる強者か、魔族の王とも呼べる深淵の存在か―――等と考えていたものだが、よもや斯様な相手にこれ程の苦戦を強いられるとは。
あれ程常識はずれの力をどのような経緯で得たのか、そしてこれ程の暴力を持つ相手の名が聞こえて来ないのはいかなる理由なのか、疑問は多い。
ともあれ、これほど無様な戦いぶりを見せ、それでも勝てぬというのであればいっそ清々しいとさえ言える。
女剣士の美貌を歪ませたのは、これまで娘が一度たりとも浮かべた事のなかった、自虐と諦観の笑み。
彼の手にした大剣が、大地に突き立てられた後に更に信じがたい変貌を遂げる。
一体どれほどの魔力を有しているのが、底がまるで見えて来ない。
それでも、エウレリアの身体は半ば自動的に動く。
巨剣の横薙ぎに対してまずは縦に一閃。巨剣の刀身そのものの両断を狙う。
そして飛び上がって斬撃線から肢体を外しながらの第二閃。
巨剣の刀身と平行して空間を無いだ白光は、伸び来る無数の腕を悉く切り飛ばすだろう。
が、先ほど魔人が見せたような再生力を発揮されては、生えた腕を幾本飛ばそうと意味は無かろう。
■ヴィクトール > (大剣を両断しようとする刃が黒を押しやりながら鉄に食い込んでいく、獲物に響く破壊の振動。しかし、剣を更に強く握りしめ、一瞬、相棒を睨んだ。何情けないことをしていやがると、相手がお上品な剣だろうが関係ない。お前は全てを叩き伏せる力の相棒、その死すら許さんと、黒き意志が大剣に食い込む。ギャリギャリと耳障りな音を立てながら刃を押し返すと、完全に黒は剣と定着した。黒曜石の様に澄み切った黒、重たく一層の鋭さを増す刃。抗うための進化を己の意志で武器に起こしたのだ)
ガキっていったのは撤回だ、てめぇは…いい餌だぜぇっ!!
(強敵に抗う、乗り越える、屈しない。その意志力が本来の魔法の効果を変化させるほどの強くし、男の意思に応える。二撃目に切り裂かれる腕達、瘴気の靄と共に消えていくところへ、猛スピードへ迫ろうと地面をける。そして、斜めに振りぬかれる大剣は荒々しい力を研磨された刃のように鋭くし、彼女の太刀筋を思わせる速さで振りぬかれる。男が今、彼女の強敵となったのは、彼女を潰そうと意志を固め、力に変化させていったからこその結果だ)
■エウレリア > エウレリアの強さは、天からの贈り物としか言いようのない、桁外れの天稟による物だ。
並の剣士が血の滲むような努力をして、数えきれない程の死線を潜り、それでも至ることの出来ない地平にあっけなく降り立つ圧倒的な才能。
そこに数多の死を積み上げて得た力は不平等の極みとも言える代物だ。
しかし、ただの男が、ただの魔族女を殺して血肉を取り込み手に入れた力は、そんな女剣士の力をも超えてしまった。
彼が元々ただの男ではなく、取り込まれた女がただの魔族でなかったのならば、エウレリアもまだ救われたのかも知れないが、どちらにせよ、彼の力の背景を知らぬ貴族娘にとっては意味の無い事である。
今や膂力だけでなく、その剣閃の速さすらエウレリアに並んだ魔人。
桁外れの強さを有してはいても、やれる事に限度のある女剣士に最早勝ち目は無い。
(あぁ……これはもう、本当にどうしようもない……。)
薙ぎ払いの一撃を避けた跳躍が再び地を踏む前に、重さ数トンはあろうかという巨剣が翻って放つ袈裟落とし。
娘の細身をあっさりと両断するという結果を歪めたのは、女剣士の身に染み付いた反射による無意識の動き。
巨剣の軌道に斜めに差し込む魔法剣。
強引とも言える受け流しが、黒鉄の圧倒的な重量ではなく、宙に浮いたままの娘の体躯の位置をずらした。
結果その生命が絶たれる事は防がれた物の、下方へと向けられた剣圧のベクトルは女剣士の体躯を大地に叩きつけて意識を消し飛ばした。
次いで地面を爆裂させた巨大剣の衝撃が、華奢な細身を跳ね飛ばして地面に転がす。
爆砕時に飛び散った地塊に打たれた肢体はところどころに赤黒い痣を浮かべ、折られ、切られた左腕は未だ緩やかに鮮血を溢れさせている。
完全に意識を失いぐったりと地面に横たわる表情は、狂える双眸を閉ざして、強者たる女剣士を無力な娘へと変貌させていた。
たとえどのように介入しようと、無為に屍を晒す事になると早々に見切りをつけた御者の気配は既になく、半狂乱に怯える軍馬達の嘶きが響くばかり。
この後のエウレリアの運命は、完全に黒色の魔人に委ねられる形となったのだった―――。
■ヴィクトール > (やっと届いた一撃、直撃にこそ至らなかったが、地面へ叩きつけ、吹き飛ばし、意識を奪う。着地とも言えぬ無様な転がり方で地面に落ちた男は、剣を突き立てて立ち上がる)
……うぉぁぁぁぁぁっ!!
(叩き伏せた、その勝利の美酒に雄叫びを上げて背をのけぞらせる。しかしそんな雄々しい事をしていられるほど、体は余裕が無い。異形の姿が砕けて消えていくと、本来の姿が顕になるのだが…この常軌を逸した力は、彼が彼女を殺すという強い意志があってこそなるもので、その結果、意志がなくなれば反動が戻ってくる。ビクンと体が跳ねると、膝から崩れ落ち)
ぐべぁ…っ…!
(激痛、体中の違和感、そして限界を超えた動きは内蔵を痛ぶり、胃の内容物をぶちまけてしまう。汚れた口元をぬぐいつつ女を見やり、辺りを見渡す。あの弓使いはもう居ない、入るのは二人と馬だけ。よろりと立ち上がると、剣を肩に担ぎ、女の前へ。とどめを刺してこそ戦いが終わると、剣を振りかぶるが…、深くため息を零す)
…こんな状態で殺してもな。
(あの一撃で殺せなかった自分が未熟だと自嘲の笑みが浮かぶ、変化した大剣を鞘に納めると馬を一匹とっ捕まえ、意志の魔法で強引に従わせると女の傍らまで引っ張っていき、その体を馬の上へ乗せた。念のため、剣を奪い、手足には賞金首を捉えるための魔法封じも込められた強靭な手枷を、両手両足に二重につけるほどの徹底具合)
……とりあえず、兄貴の宿にいくか。
(あそこなら一番な安全だろうと思える。馬を駆り、男は女を伴って戦場とかした街道から去っていく。その後二人がどうなったかは知る由もない)
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からエウレリアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からヴィクトールさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にマーラ・パーピーヤスさんが現れました。
■マーラ・パーピーヤス > 確か、私は魔族の国に戻ろうとしてたはずなのですよ?
メグメールの街道、そこからすこし外れたところにある小川。
そこにちょうどある座るに程よい石の上に腰かけ、少女は溜息をついていた。
少し遠くを目を凝らして見る、そこにあるものは…どう見ても人間が治めているはずの王都が見えていた。
確か、九頭龍山脈の中を歩いてて…魔王の方にあって、そこからぷっつりと記憶が消えている。
気付いたら1人、こんな場所に寝転がっていたのだ。
■マーラ・パーピーヤス > ここがこの辺りだから、そうなると、ここからこう行くと…
視線を宙に向け、頭の中で地図を思い出しながら人差し指をちょいちょい動かしている。
つまりあれかな、私、逆方向にきてますですか?
山中を抜ければ、真っ直ぐにあっている道を進んでいればこんな街道ではなくて、タナール砦が見えているはずなのだ。
砦ではなく王都、何度思い返しても逆方向であった。
「は、はうぅ…あ、で、でも、街道に沿っていけば砦には辿り着けるのですね」
かくんっと肩を落とすも、道はちゃんと分かった。
この街道を進めば良いだけと理解すれば、ちょっとだけ安心したかもしれない。
■マーラ・パーピーヤス > それにしても…ふと王都へと視線を向けた時に感じた感覚に首を傾けた。
なんでだろう、なんだか妙に慌しい雰囲気を感じたような?
だから何かあるのか、とう訳でもないのだけど。
ともあれ、まず目的は魔族の国に戻る事。
そう決めて、すっと立ち上がるとそちらの方角へと体を向け…ぴたりと動きが止まる。
■マーラ・パーピーヤス > 目の前に見えたのは、小川の水を目的にきたのか1匹の魔物。
それに気付けば、またも胸を撫で下ろした。
「ご、ごゆっくり、なのですよ?」
にへら、と少々引きつった愛想笑いを浮かべてその場を立ち去る。
どうしても、ぼーっとしてしまうとちゃんと周りが見えなくなる。
気を付けないと、今のがもし人間だったら危なかったかもしれないのだし。
小川を離れ街道へ、大きく何度か深呼吸。
今度こそ間違えないように進まないと、そう思いながら道なりに歩き始めた。
■マーラ・パーピーヤス > さすがに今度は街道がある、これで間違えてしまったら…もう目も当てられない。
道を歩み、たまに街道を通る馬車とかを見かけると脇道に逃げ込んだり。
きっとこの調子なら無事にタナール砦まではいけるだろう。
今のタナール砦がどちらによって落とされているのかは分からないが。
そして、実は街道を進んでいくと分かれ道もあったりする。
この試練?を無事に少女が抜けていけたのか、それは誰も知らない。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からマーラ・パーピーヤスさんが去りました。