2015/10/18 のログ
ソード > (のんびりとした足取りに見えて、意外に男の進行スピードは速い。
淀みなく一定のペースで、ずんずん進んでいく。
時折、行商人や旅人追い越したりしながら歩みを進める。
時間が時間だけあって、すれ違い者に出会う事は今のところほとんどないのだけれど。
もう少し前までなら、王都から街道沿いに村に帰ろ途中、などという感じの者とすれ違ったりもしていたが、西日そのものが山際に沈み切る頃にはそうした者もいなくなってしまった。
今や、陽光の残滓が西の空をわずかに紺碧に染めるのみ。
東天には既に月が昇り、夜の帳が広がっていた。)

―――うん?

(そこでふと、男が首を傾げる。
なんだか、妙な感じがする。匂いとか気配とか痕跡とか、そういう確かなものではなく、本当になんとなく。
剣呑な感じとでもいうか、あるいは楽しそうな感じとでもいうか。
こんなに王都に程近い場所で感じる事は少ないものだが。
とは言え、今何があるという訳でもない。
男は気にせず歩を進めていた。
また、首を傾げる事になる。
進行方向。街道の脇に人影が見えた。よく見てみると、女である。しかもシルエットからして、あきらかに旅装などではなく、ドレス姿だ。
首を傾げながらもそのまま歩いて行けば、当然彼女との距離は詰まる事となる。)

―――おーい、姉さん。ンなとこで何やってんだい?

(ほどほどのところで、声をかけた。)

シェリル > (日が完全に落ちてしまえば、街道をゆくような者といえば人目を忍ぶ者か夜を徹するような急ぎの者か。
どちらにせよ少数派だろうし、ここで網を張るのも潮時かと人気が減る時刻に入り立ち去るかどうかの判断に迷い始めたところで新しい人影を見つけ)
ああ、助かりました。
賊に襲われまして、連れに置いていかれたところですので。
時刻も時刻ですから、どうしようかと。
(声をかけられて、困ってますとばかりに表情を曇らせ首を傾げて見せながら、相手の様子を観察し。先の商人達よりは期待値は高く見積もれそうだと、評価を下す。
逃げ出した商人たちが身を軽くするために投げ出した荷物なども、夜目が効くなら街道の先に見えるだろう。それが見えれば、何かがあったくらいには察せるはずで。
場違いとえば場違いな格好の自分に、さてどう反応するかと胸を躍らせながらも、猫をかぶって心細げな表情と目線を送り)

ソード > (足を止める。
声をかけた相手を見つめながら、答えが返って来るのをそうして待つも、返事はすぐだった。)

はァん?賊ね。
ああ、あれがその連れの荷物かい。

(相手の言葉に一つ頷いてから視線を、路上に投げ出された荷物へと向けた。
そしてまた、視線を女の方へと戻して目を細めるようにして笑う。)

俺ぁ見ての通りに冒険者でな。ちょうど、王都まで行くトコだ。
何なら送ってってやるぜ。ついでだから、報酬はいらん。

(先ほどまでの、どこかツマらなさそうだった様子から一転して、随分と上機嫌で愉しそうに言葉を返す。
表情も、明確な笑顔に転じていた。
このあからさまに怪しい女の発言を、信じたのか、信じていないのか。
男は彼女の返事を待った。)

シェリル > あら、それは助かります。
ご一緒させて頂けるのなら、夜道を一人で歩くより安心ですから。
(安心したとばかりに、ほうっと息を吐き。不安げな表情を安堵の笑みへと変える。
そうやって、表情と態度を演じる裏側で先の商人たちよりも期待値を高く見れるのは確実と見定め。
ご一緒させていただきますと、男の方へと歩み寄りながら男の体つきを眺め。魔法で戦うタイプではないだろうと推測。
ならば、何を仕掛けよう。
先ほどのスケルトンぐらいじゃ足りないだろう。単純に数を増やすか、いやそれよりも格をあげるか。
わくわくと期待に胸を躍らせながら、とりあえずこれくらいならと人喰いオーガを試金石に定め。さて、どこらへんで仕掛けるかとタイミングと場所を見計らう)

ソード > おう。まぁ、少ないとは言え賊も出るしな。
姉さんみたいな別嬪なら、攫われて売り飛ばされるなり輪姦されるなり、まぁ何にせよロクな事にゃなんねェだろな。

(安心したような態度。向けられてくる言葉に返したのは、何とも無遠慮で、ある意味配慮の欠片もない言葉である。言葉面だけ取れば、脅しているようにも聞こえるが。
この状況で聞けば、また別だろう。
歩み寄って来る相手。傍らまで来れば小さく頷いて、「そんじゃあ行くか」と男は彼女に背を向けるように歩き出した。)

―――ところでよう。
そのツレってのは、どんな荷を持ってたんだい?

(歩き出す。自然体だ。それまでと何も変わる事はない。過剰に周囲を警戒している様子はないし、敵意だの害意だの悪意だの、殺気だの覇気だの闘気だの、そうしたものをまき散らす事もない。ただ、歩いている。
しかし、油断もまたない。
その様は戦場にいる時のようであり、しかし戦場特有の張りつめた空気はない。
とにかく自然体であった。
そんな様で歩き出しながら、男は女に問いかけた。)

シェリル > ええ、まあ……それで、ひとりで道を行くのもと悩んでいたのですが。
(自分をさらって売り飛ばすのも、輪姦するのもそこらの賊では苦労するでしょうけどと内心で苦笑しつつ、男の言葉に怯えたように身を震わせ。
背を向けた男の一歩後をついていくように、その背中を追いかけはじめるその最初の一歩で召喚を仕込む。
これで、距離が離れてから湧き出したオーガが自分たちの背後から襲撃を仕掛けてくる形になるだろう)
それは、大した荷物ではないとか言って中身は見せてもらってないので……
(ぱっと見には緊張している様子もない男に、修羅場には慣れてる口かと評価しながらわからりませんとばかりに首を小さく左右に振る。
実際、荷物に興味が無く気にもしていなかったから知らないのは事実。
何も知らないというのは不自然かもしれないと、危惧するも大きな問題ではないだろう。
背後に湧き出した2m近い筋肉質の亜人が、棍棒を片手に牙を剥き出し追いかけてくるのだから。
距離は百はあるだろう。反応する時間は十分にあるはず。
さて、どんな反応を見せてくれるのかと期待に目を凝らし)

ソード > あそこで立ってても、同じようなもんだとは思うけどな。

(はっはっは、と快活に笑いながら言葉を返す。
結局あんなところに一人で放り出された時点で、相当に危険なのだ。まぁ、山賊街道などではないだけマシなのだろうが、そもそもそちらには普通は近付くまい。
無論、今傍らにいるこの女性に適応されるかは知らないが。)

そうかい?興味があったんだけどな。
姉さんみたいな別嬪を放ってまで賊が追いかける荷、なんてのは。

(相手から返って来た言葉には、残念そうに肩を竦めながら嘯く。
そんな調子で、男は気にせず歩く。
それは、後方に大柄な鬼人が現出しても変わらない。まるで気付いていないかのように、のそのそと暢気に変わらず歩いている。
結局、男がその存在に反応を示したのは、それがほとんど肉薄したようなタイミングであった。
そんな距離まで来れば、別段男でなくても、足音だの息遣いだの雄叫びだので、子供でも気付くだろうけれども。
男は、肩越しにチラッとそちらを振り返ってから、傍らの女に視線を移して。)

お友達かい?

(首を傾げながら、そんな問いかけを投げた。)

シェリル > まあ、外で夜を過ごす格好では無い事は確かですし。
ご一緒していただけで、助かりました。

(夜道の一人旅をしなくてすみましたと、浮かべる感謝の笑みは作りもの。
いや、都合よく通りかかってくれたと感謝自体はしていなくてもないが。)

さあ、それは……
そうまで別嬪さんと言われると、恥ずかしいですよ?

(これは怪しまれてるなと、急ごしらえの口実の不自然さにむしろ当然かと妥当な結果と結論づけつつ、恥ずかしがるような仕草で目をそらす。
いつ、背後からの襲撃に反応を見せるのかと男の様子を距離が詰まるにつれはらはらとしながら窺い。
ようやくというべき距離で、やっと反応を見せる様子に鈍いというよりは余裕なのだろうと、向けられた問いに確信し、見積もりが甘かったと評価を情報修正する)

いえ、お友達ではないですけど……余裕ですね。

(モンスターに怯える少女といった風情で、男とオーガ。両方から距離を取る形で一歩下がりながら、問いに応え。その言葉にあわせるように、オーガは振りかぶった棍棒を男の頭めがけて振り下ろす)

ソード > まぁ俺も、一人よりは姉さんみてぇなのが隣にいる方が愉しいから、構やしねぇさ。

(笑いながら頷いて、彼女の言葉に返した。
己の彼女への評価について彼女が恥じ入るような言動を返してくると、「いやいや」などと首を振って笑う。
そんな風にしてはいたものの、背後の魔物へと一瞥をやってしまえば、話題は一時そちらに移る。)

ふうん?
姉さんもな。

(余裕ですね、と。その言葉にはそんな言葉を返した。
確かに怯えた様子を見せてはいるが、悲鳴も上げないというのは反応が小さいように思えて。
ともあれ、そんな事を暢気に喋っていると、オーがが棍棒を振り下ろしてきているのが見えた。
男はさして興味もなさそうに、そちらから視線を外して彼女を見て。)

そんなに俺と遊びてぇなら、こんなまどろっこしい事すんなよ姉さん。

(そんな言葉を投げた。
一閃。
男の手には剣が握られている。先ほどまで左腰の鞘に納められていた鋼のブロードソードだ。
今やそれは引き抜かれ、男の右手に無造作に握られている。
傍らには、振り下ろした棍棒や腕ごと、腰の辺りで上下に両断されたオーガの亡骸。
言葉を放つ男の右半身は、返り血に濡れていた。
男は尚も、女を見たままで。)

シェリル > それはまた、女として喜んだ方がいいのかしら?

(女としてなのか、刺激物としてなのか。
どちらの意味で愉しんでいるのか、男の飄々とした態度からどちらとしてでも取れてしまい苦笑する。
あまりにも鮮やかに、秒殺を通り越して瞬殺を決めた男の言葉に怪しむどころか、確信しているレベルだったかと猫をかぶるの辞めてやれやれと首を振り)

それ、普通はそんな瞬殺できるハズじゃないんだけど。
ひょっとしなくても、最初から気づいていたの?
とりあえず、誘いには乗らないとね。

(演技力が足りなかったか、急ごしらえ過ぎて設定が不自然過ぎたか。
なんにせよ、バレているのなら仕方がない。
そして、状況に乗ってきて誘っているのだから応えてみなくては甲斐が無い。
わくわくとした気分で、愉悦の笑みを薄く浮かべて喚び出すのは格をあげてスケルトン。
ただし、その素体は頭だけでも人の胴ほどのサイズはあるドラゴンであり、その脅威度は人骨のスケルトンとは比べるまでもなく。
中位から上位くらいの魔族並みには危険なソレが、少女の足元から湧き出し男の胴体へと咢を開きくらいついていく。
いきなりオーガから格をあげたが、これでもきっと死ぬ事無く応えてくれる。そんな期待を抱き、結果を一瞬たりとも見逃すまいと男を見つめ)

ソード > あらゆる意味で喜んでくれて構わんぜ。

(はっはっは、と。快活というか、もはや莫迦っぽいレベルで楽しそうに笑って、苦笑する相手に応じた。
ともあれ、無造作に携えていた剣を肩に担ぎながら、相手の言葉に答えてゆく。)

ンな事言われてもな。邪魔なもん払っただけだ。
気付く?……ああ、うんにゃ。別に。ぶっちゃけどうでも良かった。

(さらりと、男はそんな言葉を返した。
先ほど叩っ斬ったオークと彼女が関係している、というのを確信したのは、彼女がオークを見た時の反応によってである。
だが、それ以外は男は言葉通りどうでもいいのだった。
何となく退屈をつぶせそうなファクター。
男にとって彼女はそういうものでしかなかったし、その可能性の一つとして彼女が敵性存在である、というのは想定していたが、深くそれを考えたり検証したりはしていない。「そうかもなぁー」程度である。
と、そうこうしていると、また彼女が何かを出し始めた。
そのシルエットは、己にはなじみ深いものだ。
当然、その場で見上げる事となる。そして悠長にそんな事をしていると、それが大顎を開いて喰らい付いてくる訳で。)

んで?次の出し物はなんだ?

(男は少し退屈したように彼女を見て問うた。
その瞬間にそこにあるのは、頭蓋骨の中央から背骨を縦に両断され、左右に割れた巨大な爬虫類の骨だけである。
男はまた、無造作に振り下ろした剣を肩に担いだ。
他人に使役されている程度のモブがそれだけで襲って来る程度では、結局何が出ても変わりはない。)

シェリル > それは、どうも。
格が低い方とはいえ、そこまで雑魚扱いすると苦労している冒険者の人たちとか泣くわよ。
しかし、まぁ……

(こちらの演技力とかそういう問題よりも、男が勘で生きてるような野性タイプらしいというところ。
この手の輩は、理屈を通り越して気づく時は気づくのが面倒といえば面倒。
しかも、行動力がともなうとさらにせっかくの小細工をした苦労が不意にされてしまう。
現に今、猫をかぶっていたことに対する徒労感を少しばかり感じて溜息が漏れている。)

……さすがに、これはちょっと意外。
ひょっとしなくても、人間辞めてる口か混ざり者といったところかしら。

(もう少し手間を食うだろうと思っていたところを、ざっくりと片付けられて表情が真顔になる。
並の相手なら、もうこう少し危機感を持った反応が返ってくるべきところであるはずなのにこの態度。
ならば、人の枠の外側に足を突っ込んでいる手合いかと目を細め。
こんどなドラゴンスケルトンが二体湧き出すと同時に、男の頭と脚を狙って左右から噛みついていき。
同時に、本人も背中から羽根を出して一振りし、加速。人間の枠を踏み切った速度で正面から男の腹部めがけて、右の拳を打ち込む。
単純計算で手数は三倍、どのように対応して見せるのかと注意を払いつつ)

ソード > それを平然と顎で使ってるお前さんが言うかい?

(面白い冗談でも聞いたような貌で笑いながら、言葉を返した。否、実際面白い冗談でも聞いたつもりなのだろう。
そもそも、彼女の事を怪しんだ要素に関しては、いくらでもロジカルなものが挙げられはするが。結局のところ、男にとっては真実はどうでもよかったという事だ。たとえそれがどんなものであっても、退屈しのぎにさえなるなら、その詳細はどうでもいいのである。)

んー、とりあえず混ざりモンではあっけどな。
それってそんなに重要か?

(大雑把な言葉を返しながら、肩を竦めて見せる。
そうして、次の出し物を待っていると、今度は先ほどのものが二体。
そのまま左右から襲い掛かって来る双つの咢に対して、ツマらなさそうに目を細めながらため息をつこうとした。
ところで、正面から拳。真顔になった相手とは対照的に、ため息が引っ込み、口元に笑みが戻る。)

イイねぇ、そう来ねぇと!

(牙を剥くように笑う。楽しそうに。愉しそうに。
この男は、余裕だから笑う手合いではない。仮に己よりはるかに強大な相手と相対したとしても、笑いながら死ぬタイプである。
右に握った剣が一閃する。横一文字。
左右から襲い来る双つの顎が上下に両断される。
残るは正面からやって来る拳。
ここで男は初めて、その場から飛び退く事でこれを回避した。
彼女の拳が男の鎧の腹部に軽く触れる。)

いいねぇ。
やっぱ姉さんもやれるんじゃねェの。
その調子でどんどん行こうぜ。
まだまだ上ェあんだろ?出し惜しみはなしでいこうぜ?もうさんざん焦らしてくれたんだからよ。

(その場で再び剣を肩に担ぎ直しながら、言葉を向ける。
空いた方の左手を胸の前に軽く掲げて、掌を上に向けながらまるで手招きするような仕草。
男は、出会った時から変わらない。
敵意も害意も悪意も、殺気も覇気も闘気なく。
そして油断もなく、自然体でそこにいる。
食事をするように。眠るように。女を抱くように。死地に立って笑っている。)

シェリル > 立ち位置的に黒幕とかだから、わたしはいいの。
わたしにとっては、重要よ。
弱い人間が力を振り絞って戦うからこそ、価値と見ごたえがあるのに。
その様子じゃ、自分の血筋に葛藤している様子も無いし。

(使われる側でもなく、挑む側でもなく、使う側。
自分の立ち位置をそう語ってみせ。
人間が人外の血に苦悩している様子もないと、自分の趣味から外れると嘆きの息を深く吐き、やれやれと首を振る)

いや、まぁ……確かに上はあるわよ。あるけど……
今の一撃も、人間の領域を外してたというのに。

(こいつ、戦闘狂だ。本気を出していっても、単に悦ぶだけじゃなかろうかと、先の一撃を回避してみせた動きにまだ余裕がありそうだしと、渋い顔。
 基本的に物量で個を圧殺し磨り潰すスタイルの自分は、自分自身の戦闘技能を熱心に磨いてきたわけでもない。能力差を技術で埋めてくるとか、奥の手をまだ切ってないとかありそうだと、相手の底をどの程度に見積もるべきかとまずは考え)

直接攻撃に強いのなら、こういうのは?

(言葉とともに周囲の空中に無数の目玉が浮かび、衰弱の呪いを与える邪視の視線を一斉に向ける。
同時に、もはや魔族の本性を隠すことなく曝け出し。先ほどと同じように、正面から踏み込み、放つのは脇腹狙いの右の回し蹴り。先の動きから見て躱す事を想定に入れて、裾から伸ばした尻尾の先端が蹴り脚に続いて目つぶしを狙う追撃込み)

ソード > はぁん。最終的に倒されるポジションがお気に入りなのかい?
まぁ何にしても、俺は弱い人間じゃねぇし、チスジニカットウってやつもしてねぇから、ご期待には沿えんね。
ああでも、力ァ振り絞る事ならあんぜ。最近もそれで一戦やらかした。随分愉しかったぜ?

(楽しそうに言葉を返す男。
彼女が使う側であると言うのなら、やはり男は挑む側だ。
ただ、「こなす」ではなく「挑む」の水準に到達するハードルが高いだけである。
血についての懊悩など、男にとってはそれこそ無縁であった。そもそも自らが人間であるという種族への帰属意識すら曖昧な男である。
どうでもいいのだ。
何であったところで、己は己。
故に揺らぎなく、ただ笑って目の前の黒幕を同じ高さに見てたたずむ。)

よくわかんねぇな。
とりあえず全力出しときゃいいじゃねぇか。

(男は、心底怪訝そうに尋ねた。
男は、相手の実力の底など分からない。別に想像もしていなければ、推察もしていない。
漠然と、もっと強いだろう、と思っているだけだ。だからこそ、全力で来ればいいのに、と思う。その上で、必要であれば己だって全力を出すだろうに、と。
とにかく単純なのである。
こちらを探って、黒幕として最適なハードルを用意して楽しもうという彼女とは、目線が異なる。)

お?そいつぁヤベぇな。

(肌が泡立つ。
直後に現出するのは、無数の眼玉。
血の関係か、魔力等への耐性は決して弱くはない。むしろ強い。だがそれも、より上位の魔力でもって上まわれぬようなものではない。現に、先日魔法で痛い目を見た。
故に、彼女が呼び出した呪いの眼は方向性としては最適解だ。
だから。)

ほッ、と……!

(回避。まず避けるのは、彼女の攻撃ではなく、邪視の視線。
考えてみれば単純だ。あいての視線が自分を追うよりも早く、相手の視界の外へと消えてしまえば良いのだ。
通常であれば、目前に蹴りを右方へと裁いて、追撃の尾は上体を逸らして避けるのだろうが、無数の衰弱を同時に受ければ、それが敵うかは怪しい。
男の身体がブレる。
同時に、現状出しうる最高速度をもってその場を離脱。その離脱をもって蹴りと尻尾への回避として、幾許かの衰弱を受けながらも、周囲に浮かんだ無数の眼玉を残らず薙ぎ払う。
結果として、この一手でも彼女自身へと反撃する事は叶わなかったが。
少なくともこの一手は、必要に迫られて防御に徹さざるを得なかった、という形となる。
そのまま残心で、一足一刀にはやや遠い位置で彼女を見て剣を担ぎ直し。)

もしかして、俺が先に切り札を切ったら、おめぇさんも本気出してくれんのかい?

(我が身に残る衰弱の残滓を自覚しながら、彼女に問いかけた。
男は、彼女のように器用な戦術は持たない。
あくまで、超越的な身体能力での戦闘が主体だ。故に、先ほどのような搦め手に対しても、基本的にはその身体能力や武術での対応を迫られる。)

シェリル > 別に倒されたいわけじゃない。
だけど、目を奪うほどの魂の輝きを見せた相手に倒されるのなら――それはそれで、悪くないと思わない?
圧倒的力で敵を嬲り、擦り潰すような蹂躙劇も嫌いじゃないけど、どうにも単調になりがちね。

(圧倒的力を前にした絶望や悲哀や恐怖。それらを乗り越える者の方が、さらに希少であり価値があり、それ故に味わい深い。
弱き人間であるが故の葛藤や克服だからこそ意味があり価値があると思うのだけどと、訊ねるように首を傾げ。
この男に力を振り絞るような真似をさせる相手? と、それなり以上の強者を示唆する言葉に、世の中は物騒だと自分を棚に上げて眉を顰め)

世の中にはお約束や、様式美ってのもある事を学んで欲しいと思うわけなのだけど。

(最初から全力というのも、旅だった勇者の目の前にいきなり魔王が現れて叩き潰す大人げなさを感じるのは感性の違いなんだろうなぁ……と小さく肩を落とし)

なるほど、呪詛系や魔法系のほうが有効そうと。
そうね……切り札を切ってくるなら相応に応じるわよ。

(きっちり対応して見せた事から、弱いと言うより苦手という程度かもしれないけど有効と回避の様子から判断し。
問いかけに、興味深そうに男を眺めてから戦闘狂の毛があるようだし、切ると言うのなら本気で切り札を切ってくると考え、歓迎するように両手を広げて応じる)

ソード > 俺にはよくわからんな。どうも俺は、黒幕向きじゃないようだぜ。やっぱ。
けど、ギリギリの戦いが面白い、とは思うねぇ。

(少し目を細めるようにしながら、しかしやはり笑顔の形で言葉を返した。
彼女が、言うなれば観劇者的な、俯瞰の目線でいるのに対し、男は常に視点が己の主観にしかない。目線が低い。
そこにあるのは、「己」という存在を中心とした世界でしかない。
そこに中途半端に他者が交じってこない故に、常に挑む側なのだ。加えて、だからこそ葛藤もない。)

お約束通りにいくなら、やっぱ黒幕は倒されるんじゃねぇの?

(楽しそうに笑って返す言葉はそれである。
己を物語の一登場人物というかのような目線で、状況を俯瞰する彼女とは、やはりこの男の感性は別物と言えた。)

おー。そうだな。割とそうかも知れん。いわゆる呪詛ってぇ奴は多分苦手分野だ。
あいよ。それじゃあ、切るわ。
―――切るけどよ。

(言葉。終わる前には変化が訪れる。
溜めも、躊躇いも、何もなかった。
変化そのものもまた、瞬きをする程度の間に終わる。
彼女の言うお約束とか様式美には、やはり真向から喧嘩を売るかのように、男のその「変身」にはモーションもなけりゃ演出もなかった。
別段、そこにたたずむ男の在り方そのものにも、特に変化はない。
あくまで自然体だ。
しかし、明確にその姿は先ほどとは違った。
肌を覆う鋼の鱗。縦に開いた鋼色の瞳孔。そして、額に伸びる鋼の一本角。
とある生き物を彷彿とさせる姿。
即ち、竜だ。)

呪詛も魔法も、追いつかせてくれよ?

(男が、彼女の目前に現出する。
無論、魔法でも異能でもない。ただの移動、跳躍だ。
ただそれは、転移魔法と等価に速度で以て、両者の間合いを迫撃へと転じた。
既に男の剣は牙を剥いている。
踏み込んだ足は右足。
剣の軌道は逆袈裟斬り下ろし。彼女の右肩に向けて、右につかんだ剣が牙を剥いていた。)

シェリル > 互角の勝負という事?
そう簡単に命を懸けてまでする事じゃないと思うけど、趣味なら尊重しましょう。

(遊びを抜きに考えるのなら、勝負事というのは事が始まる前に決着がついているのが理想とされる。
だが、勝敗が分からないからこそ面白い。全力を出して挑むからこそ楽しいというのも、共感するかはともかく理解はできる。
ようするに、勝つ事よりも戦う事に意味を見出しているのだろうと)

黒幕を倒すにしても役者が問われるし、倒される側としても問いたいわね。
いや、だからと言って倒されたいわけじゃないけど。

(納得できるような流れが無ければ、駄作だと物語は叩かれる。
愉しめるのか、納得できるのかは割と大事と返し)

意外と素直に弱みを認めると思ったら……今のは、ひやっとしたわよ。

(男の変化を見て、竜種との混ざり者かと興味深く見ていたら言葉を置き去りにするような神速の踏み込みと振り下ろしが襲い掛かってきた。
本性を出していなければ、反応が間に合わなかっただろう速度域の一撃。
咄嗟のバックステップで回避したものの、切っ先がこの身に届いたのは確か。ドレスが切り裂かれて、隠されていた白い膚が見え。そこに一筋の朱線が走っている。
動きに支障が出るほどでは無いが、確かに傷を負っている。その傷を指先でなぞり、確かめながら真顔になり)

それじゃあ、返礼を。

(言葉とともに、頭上に百を超える数の目玉が出現し一斉にぎょろりと男へと衰弱の邪視を向け。
その動きにあわせて、もうひとつ枷を外した少女がお返しのように低い姿勢で踏み込み。装甲を纏い鋭利な凶器と化した指先を揃えた右の貫手を、槍の穂先のように斜め下からの角度で下腹部を狙い叩きこんでいく)

ソード > そうだな。互角ってのは面白いかねぇ。
あんまり細かく条件を意識した事ぁねぇけどな。尊重してくれんなら、ありがたく甘えるぜ?

(愉しそうに笑いながら男は告げた。
しかし男は、勝つか負けるかわからない、などとは微塵も思っていなさそうであった。
勝つ。
その自信が全身全霊から滲み出続けている。覚悟や推察ではなく、もはや自負でもない。自分は勝つ、という事が不動の真理であるとして、そこにいる。
無論、客観的に根拠などないのだ。現実は負けるかも知れない。
しかし、男は少なくとも微塵もそんな事は思っていない。
その上で、油断はやはりない。)

何かいろいろ考える事があって難しそうだな。
相手が自分より強けりゃ、負けるだけだろ。

(どこまでも単純な言葉を彼女に返した。
頭が悪い、というよりも、頭を使っていないという風情。
まったく別のベクトルに思考を割いている、とでも言えばいいのか。)

別に、本当の事だからな。
隠したって構やしねぇが、晒したって構やしねぇよ。

(振りぬいた剣を肩に担ぎ直しながら、「そりゃどうも」と笑った。
既に彼女が、先ほどまでとは異なる有様となっているのを上機嫌に見つめながら。
ここでの追撃はなく、彼女の出方を待つ形。
挨拶をしたのだから、挨拶をされるのが礼儀だ。

次の瞬間には、来た。
一瞬で顕現する衰弱の邪視。その数は先ほどの比ではない。
半竜化によって魔法防御も上がっているが、さりとて相手の動きも段違いに上がっている。それらの衰弱を喰らってしまっては、手傷どころでは済まない可能性も十分にある。
だから、やることは結局先ほどと同じだ。
彼女が、その尋常ならざる身体能力と魔導の技、呪詛にってこの身に対するのに対し、男が頼みとするのは身体能力とそして武技のみ。
その二つで以て、すべて向こうに回して見せよう。)

ッ!!

(まずは速度。反射、反応、音、光、世界。そんなものでは追いつかない、そういう速度が必要である。
だから、それを出す。
一歩を踏む。
邪視とは、邪視だ。
見る事によって効果を発揮しているのだろう。
先ほどと同じだ。では、見られるよりも早く動けばいい。ただし、視界の外に出る必要はない。
たとえ視界の中にいようと、空中を漂うすべての眼が視覚情報としての己を捉えるよりも早く動き続ければいいのだ。
当たり前のように、全身が悲鳴を上げる。半竜化していようと、そんなバカみたいな速度を質量のあるヒトガタがやって、負担がない訳がないのだから。
自らの動きだけで、鋼の鱗が大気との摩擦で弾け飛ぶ。
しかし男は一向に気にしない。
笑みのままに、彼女の槍の右腕に相対する。
踏み込む脚は右足。彼女の左方向へと抜けて行くように、左足で踏切り、そのまま右足で体を斜め前方へ跳ね飛ばす。
この速度で動いていれば、当然普段ほど細かい身体の制動はできない。
自分の周囲で空気が爆ぜるのを感じながら、そのまま抜けていく。速度によって爆ぜた外套と鎧、そして竜鋼の下、むき出しになっら地肌を彼女の右腕が掠めてゆく。左脇腹に生まれる裂傷。
気にしてはいられない。血が滴となって飛び、地に落ちるよりも早く、男は目的の場所にて左足で制止する。彼女の左斜め後方、三歩の間合い。
しかしやはり身体の制動がうまくいききらず、目論見よりも一歩遠くに降り立つ事になった。地面が爆ぜるように凹む。
これで挨拶の応酬は終わり。
男は左足が地面を踏み抜くよりも先に、右足で地面を踏んだ。
身体が前へ。そのまま右の剣を横一文字に閃かせる。明らかに性能の限界を超えて悲鳴を上げる安物の鋼剣。しかしそれでも、その鋼の刃は健気に彼女の胸の高さの空間を断裂し、彼女の身に迫った。)

シェリル > ふぅん?
互角の勝負にこだわりってわけでもなしね。

(負けを意識していない。勝とうという意志すらなく、勝つと信じてるように見える。
ここまでくると、これはこれでそそる。
力でねじ伏せ、敗北を味あわせたらどんな顔をするのだろうか見てみたい。
そこに絶望や恐怖は無いだろうが、悔しがるのだろうか。
嗜虐心が刺激されるが、そこまでいくのは面倒どころではなさそうだと理性が抑える)

正面から正直にぶつかるだけなら、それは真理ね。
そこをいかに覆してくるかが見どころだと思うのだけど。
これ、割と真面目な忠告だけど、少しは駆け引きっての覚えたら?

(正面切っての力のぶつかり合い、それ以外の場面で足を取られるのが目に浮かび親切心でかけた言葉には裏は無い。
下手すれば、闘争の舞台での駆け引きどころか、その外側で刺されたり毒でも飲まされたりしそうとも思ったが、それももったいないと惜しむくらいには思い入れたくらいか)

あ゛っ…つぅ……!
まったく、呆れた……そこまで動けるのね。

(あの数の邪視がまともに効果を現すより先に置いていく動き。
そのうえで、曲がりなりにも本気を出した自分の一撃をしっかりと避けてみせ、反撃まで叩きこんでくるとは。
手ごたえは浅いし、攻撃動作で身体が流れたところへの痛かった。
反撃を知覚し、攻撃動作そのままに身をよじり、体を投げ出したものの刃が肉を裂いていくのを味わい、思わず声が出てしまう。
咄嗟に庇いに回した左腕に深く大きく走る傷が、だらだらと血を垂れ流す。
身を投げ出し、距離を取って姿勢を立て直し、男の方へと向き直りながら、やはり純粋に戦闘の技術や勘所を評価するなら相手の方が上だろうと認める。
もし、このまま自分を打ち倒したなら、自分を殺すのかどうするのか。そんな事をちらりと思う程度には、負けを意識したことに小さく笑い。
相手の顔を記憶にとどめるように、顔を見つめ)

たまには、こう直接ぶつかり合うのも悪くはないけど、今日はここまでにしておくわ。
殺し合いがしたいわけじゃないし、ね。

(不死性の発露か、傷口を抑えた手の下で出血は既に治まっている。
そして、有効性を確かめた目玉の群れによる邪視が再び。
だが、先ほどまでと違い今度は攻撃の補助ではなく、逃げる間を稼ぐための牽制。
邪視が男に向けられると同時に、少女の背で羽根が大気を打ち据え空へと運ぶ。
ご丁寧にドッペルゲンガーの類か、単純な幻術か。その姿は夜空でみっつに別れて王都や別の方角へと、それぞれが飛び去って行く)

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からシェリルさんが去りました。
ソード > 愉しけりゃいいんさ。

(至極単純だった。
まるで子供のような言葉である。
相手の思惑など知ってか知らずか、男はただそこに変わらずあるだけで。)

覆された時点で、そいつのが弱いんじゃねぇか。
搦め手だろうが、権力だろうが、だまし討ちだろうが、別に何だったとしても負けるのはそいつより弱かっただけってぇ事だ。
運がどうのとか、地力がどうのとか言うなぁ、ただの戯言だな。
カケヒキねぇ?

(男が返したのはそんな言葉だった。どんな要因であったにしても、負けた以上はその瞬間は負けた方が弱かっただけの事である、と。
駆け引き、という言葉には小首を傾げた。イマイチ、ぴんと来なかったようである。)

今のでキまんなかったのに、そう言われっと微妙だぜ。
やっぱあの辺が厄介だな。

(剣を振り抜いた勢いのまま跳躍して、轟音を立てつつ風を巻き、地を蹴って浮遊する眼玉のいくらかを薙ぎ払ってから地に降り立つ。無茶な高速移動によって、体中から血を吹いているような状態だ。新調したばかりの着衣や鎧も既にボロボロである。
やや浅かった手応え。完璧な一撃ではなかったとは言え、近接を専門としないものに近接で後れをとってしまった形になる。
悔しい、と言うよりも、さてどうすればいいかね、などという眼をしながらそれでも笑って、彼女の言葉に応じた。後半は、邪視の邪眼たちへ一瞥をやりつつのもの。
剣を担ぐ。
さて、そそる女だ。強靭な女だ。
俄然、やる気がみなぎって来た。戦闘によって昂っている故に今は陰に隠れているが、半竜化によって性衝動も相応に昂っている。
さぁ、て、と再度の一撃に移ろうとしたところで、またもや邪視がくる。)

―――って、おぅい!?そりゃねェんじゃねェのか!?

(さぁ、ここからだ、と、まずは邪眼の始末に入ろうとしたところで、彼女が打った手は退却。
思わず素っ頓狂な声で抗議の言葉が漏れた。
そのまま邪眼を一掃するも、既にその時には件の少女は空の上。
男に、空飛ぶ相手を追う術はない。
そういう意味では、大気圏の上あたりからひたすら狙撃され続ける、などというのは男にとっては苦手分野なのかも知れない。
ともあれ、念入りに分裂までされてしまえば、追うにも一苦労だ。
結局その背を見送るしかできず、大きくため息をつく。)

何でい何でい……。
どうしてくれんだよ、この昂ぶり。

(打って変わって、酷く不機嫌そうな様子で嘯く。
ひとまず、この自分では解けない半竜化が解けるのを待たねばならないが。
男は非常に億劫そうに、途中で地面に放り出した革袋を手にして、街道を外れて、向こうに見える森の方へと跳躍する。
騒ぎを聞きつけて騎士団だ何だが来るかも知れない。
あまり気にしないが、最近派手に暴れすぎたのは事実だ。
面倒くせぇなぁ、などと嘯きながら、男はほとぼりが冷めるまでの間、暗い夜の森にて時間をつぶすのであった。)

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からソードさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にヨゾラさんが現れました。
ヨゾラ > (昼間。その日は、割と熱い気候だった。
諸外国やら異世界やら、何分そう言ったものと縁深いが故に、
こうして、異形の中の異形の、形も心も歪んだ化け物は、ふらっと寄った。
街道の中でも、取り分け人通りが少ない場所で、建造物に凭れかかっている。

この世界には、似つかわしくない「着物」という物を羽織っているのと、
分かる者には分かる、異質な気配。別段それを隠すわけでも、逆にひけらかすわけでもなく。

なんてない散歩だ。その辺の下級の魔物に化けて、適当に冒険者の財布を取り上げたりだとか、
腹が減ったら醜い人間の肉を喰らって、壊したくなったら美しい人間の肉を貫く。
割と、欲求に事欠かない場所だと思っていたが―――。)

暇ね。

(―――割と、そうでもないらしい。
結局あっちこっち遊び歩くが、最終的に出てくる言葉は「暇」か「飽きた」か「つまらない」か「面倒くさい」のどれかだ。
永い生命を持つ者は、皆大体こうなのだろうか。)

ヨゾラ > (ゆったりと、悠長に。凭れかかった背を退ける。
歩くのが面倒になってきた。)

…はぁ、何か面白い事、無いかしらね。

(すれ違い、行違う旅人や冒険者に混じって、
人知れず、大して目立たぬままにさっさと街の道から消失した。)

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からヨゾラさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアルバトロスさんが現れました。
アルバトロス > (夜の街道を歩く鎧姿の男が独り。明かりと言えば、空に浮かぶ月の光だけで照明などという便利なものは存在しなかった。だが、男にとっては最低限道が見えればそれでいいようで、鎧の金属音を響かせながら歩を進めていた。今は、王都からゾス村へと通じる道を歩いているところだ)

「………。」

(何処に行けば、満たされる感覚を得ることができるのか。男の頭の中はそれくらいしか考えることがなかった。戦場か秘境か、次に目指す目的地を決めようとしていた。)

アルバトロス > (考えを纏めようとしていると、前方脇の茂みから複数の男達が行く手を塞ぐように飛び出してきた。背後も同様に男が数人飛び出して周りを囲うように立ちふさがる。何と言うことは無い。ただの賊だった。装備している全身鎧から、それなりに良い身分に居るのだろうと思ったのだろう。ニタニタと笑いながら、有り金と鎧を置いていけと命令してくる)

「………賊を斬ったところで、何かが変わるわけでもないがな。」

(剣と盾を構えると、ゆっくりと目の前の男へと近づいていく。人数差を考えて負けるはずが無いと思っているらしい賊の男は、へらへらと笑った後、踏み込んだ男の剣で正面から斬りつけられて倒れた。状況を理解した賊の仲間が、激怒して一斉に襲いかかっていく)

アルバトロス > (数分後、賊たちの声は聞こえなくなった。街道の真ん中に立った鎧姿の男の周りで、全員斬り殺されている光景があった。刃に滴る血を振り払い、剣を納める。完全な圧勝であったが、男には何の気持ちの変化もなかった。勝利したという喜びも、人を殺したという罪悪感も、何も無かった。)

「………。」

(襲いかかってきたから斬り殺しただけのこと。言うなれば、噛みついてきた虫を殺した程度の認識だった。賊たちの死体をそのままにして歩きだす。片付けや供養などしなくても、そこらへんの野生動物が貪って綺麗にしてくれるだろうからと思ってのことだった)

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にグラフィーナさんが現れました。
グラフィーナ > (夜の街道は人通りが少ないとはいえ、全くないわけではない。件の盗賊もそういった連中を狙って出没しているわけで。月明かりに照らされ、落ち着いた足取りで大股に、でもゆっくりと独特のペースで歩く大女は、ずた袋に入れた収集した素材を抱え直して空を見上げ)そういや、この辺「出る」つってたな。準備はしといた方がいいかねぇ(もう片方の手に提げた大斧を担ぎ直しながら、歩いて行く。やがて、向かいから黒い男が通りがかって…女は会釈をして通り過ぎようとしたが…)おい、随分と血の匂いがするけどよ(男から漂ってきた、今し方流れたばかりに感じる血の匂いに、思わず声をかける。)善良な市民としちゃ、通報した方がいい事態だったりすんのかい?(一定の距離を保ったまま。この距離であれば男の善悪は知れぬものの、男が何をしても対応できる、という自信がみてとれるかもしれない。)
アルバトロス > ………。(次の行き先は決めた。ならば後は其処へと歩き続けるだけだった。鎧にこびりついた返り血を拭わないまま、街道を歩いていると今度は前方から長身の女が歩いてくる。袋を持っていることから、恐らく何か調達しに行ってきていたのだろうと推測した。そして、あの巨大な斧。恐らくは危険な場所に出向いてきたのだろうとも考えた。)…それがどうかしたか。(血の匂いがすると声をかけてきた女へと、言葉を返す。そんな事は無い、と言わないのは少なからず心当たりがあるからという意志の表れでもあって。)賊を斬り殺した、それだけだ。通報するのならば好きにすれば良い。 …それと(一定の距離を保ったままの女へと向き直り、血に濡れた剣と盾を構える。)お前は強いのか?(それだけ問いかけると、真っ直ぐ前進して女へと斬りかかった。)
グラフィーナ > この道は盗賊が出ると聞いてよ。盗賊側なら、身を守るためにぶちのめさにゃならねぇし、そうじゃねぇなら、剣をそのままにしてちゃ、剣が痛むだろうって気になったんだよ。(斬り殺した、という相手に、一つ頷き)そいつぁ、この道が平和に一歩近づいた、っつーことだからよ、しがない通行人としちゃ、感謝の一つもするべきだろ?(などと、言葉を交わす間も、男の気配に油断ならない物を感じれば、男が剣を構えるのとほぼ同時に、素材を入れたずた袋を、道脇に放って、どちゃりと重い音をたてる。身軽になった女は、両手斧の太い柄を両手でしっかり支えて少し身体を前傾させ)さぁねぇ、本職じゃ、ねぇからな…っ!(そういって、十分な距離のまま、斧を無造作に振り上げる。振り上げた斧は、一度女の背に隠されれば…次の瞬間、身体をぐるん、と反転させ、右下から左上に、巨大な質量をもった斧が振り上げられる。その振り上げた勢いそのままに、女は身体をさらに回転させてまるで竜巻のように連続で斧の分厚い刃が男に迫って…)
アルバトロス > …剣が痛む、か。(今所持している鋼の剣は、長い間使いこんでいるから少々痛みが進んでいる。それに加えて、男は碌に手入れをしない。剣の寿命も縮まるというものだった。が、折れたのなら別の剣を使えば良いという考えの男はどうでも良さそうにしていて)平和か………感謝されるつもりはない。襲ってきたから殺しただけの話だ。(平和、という単語に少し沈黙を挟んだ後、賊を討伐したことに関しては成り行きだと答える。そして、賊のことよりも、今は女へと興味が移っていた)………ッ! むぅ…!!(巨大な斧が振り上げられる。威圧感のあるソレが、女の背に隠された瞬間、振り下ろされるのではなく振り上げられた。上へ構えていた盾を戻す暇などなく、斧の一撃を受ける。黒の鎧の上半身部分が大きく割れ、兜もはじけ飛んだ。)…先ほどの賊よりは歯ごたえがあるようだ。(顔を覆う黒い髪と、傷だらけの上半身が露わになる。だが、臆することはなく、再び女へと剣を突き出していく)
グラフィーナ > 替えの道具が常に手に入るわけじゃねぇだろ。剣士にとっちゃ剣は命をかける道具だろうが(ちったぁ気にしろよ、とどうでも良さそうな相手に苦笑して)素直に感謝は受け取っとけよ。されて減るもんじゃねぇだろ(そんな会話は戦闘が始まるまで。黒い鎧の相手を睨めつける女の瞳は炎のように激情に揺らめき)そりゃ、そこらの盗賊と一緒にされるのは流石に業腹だけどよ…ッ!私は別に戦闘狂じゃあねぇんだよ!(斧が再び女の身体に隠れた瞬間に突き出された刃。それを身体の脇に抱え込むようにして受けようと。流石に狙い通りにはいかずに、切り裂かれる脇腹からの血が革鎧を赤く濡らす。ぐぅ、と苦痛の声をあげながらも、ぐ、っとその剣を、腕ごと抱え込むように。そして、ぐぐ、っと身体を反らせば)う…らあ!!!(そのまま、男に強烈な頭突きをたたき込もうと)
アルバトロス > …どれだけ命を預ける剣を大事にしようと、死ぬ時は死ぬ。それだけの話だろう。(我が子のように剣を手入れしたところで、結局死ぬ時は呆気なく死ぬものだと、苦笑する女へと抑揚の無い声で答える。)感謝されたからと言って、満たされるということもない。無意味だ、俺にとってはな。(感謝の言葉も、自分を満たすものにはならない。そう答える男の瞳には、何の感情も宿っていないようだった。)お前が何者か、どういう性格かなどはどうでも良い。俺を満たせるだけの何かを持っているかどうかだ。(突き出した剣の刃は女の脇腹を切り裂く。だが、その刃を腕で抱え込まれてしまうと引き戻せずに、女からの頭突きをまともに食らうことになり)ぐ、ッ…!(ぐらり、と身体がよろけると、髪の間から赤と黒の瞳が垣間見えるかもしれない。剣は使えないと分かれば、柄を握る手を離し)おぉおおおお!!(そのまま女の顔を殴りつけようと拳を振るった)
グラフィーナ > 価値観の違いだな。大事な時に剣が折れて半身不随になる冒険者がどれだけいるとおもってんだよ(死ぬときゃ死ぬが、その死ぬときが訪れる可能性が減るんだよ、と持論を展開し)平行線だな。価値あるものを知らねぇから、満たされねぇんだよ。つまらねぇだろ、そんな人生は(何のために生きてんだよ、といいながら、がっしりと筋肉のついた腕で刃を固定し、頭突きによろめく相手を激情こもった瞳で見下ろして)はっ、生きてる熱がたりねぇ、っつーんなら、私が教えてやんよ!(がん、っと殴られた顔、ぺっと切れた唇から血の混じった唾液を吐き捨ててから、両手の拳を君で、頭上から男の肩口にたたきつけ…!)
アルバトロス > 知らん。他の奴らのことを気にしても俺には何の意味も無い。 …価値あるもの…それは何だ。価値のあるものというのは、どういうものを言う。(他の冒険者が死のうが、半身不随になろうが知ったことではない。持論を展開する女へと返答すれば、気になった単語に関して問いかける。価値のあるものとは一体何なのか。それを知ることで自分の望みに近づけるような気がしたからだった。)あぁ、教えてもらおう。その生きてる熱に関してもな。 ………ぎっ、ぐぅううう!!(両手を組んでの叩き付けを肩口に受けると、まるで鈍器で殴られたような痛みが襲う。だが、やられてばかりではないと、最後に盾を思い切り女へ叩きつけようと振るった。そして、そのまま男は動きを止めた。)
グラフィーナ > 価値あるものは、驚きだ。知らないものを知ることさ。私は鍛冶屋だが、世の中には知らない技法、知らない素材が沢山ある。そいつを知って、己のものとして、そいつで守れるものがあるのなら、そいつは、私にとって、価値あるもの、なんだよ!(興味が無い、という相手に、がん!と頭突きを見舞い、至近距離でその瞳を睨めつけながら)己の内に熱が足りねぇなら、まずは探せよ。つまらねぇ、なんて言うのは、てめぇはこの世の全てを知ってるとでもいうつもりか、ええ!?(ガン、ッとたたきつけられた盾を受けて、女は、うしろにたたらを踏んで後退する。繰り返した頭突きと、たたきつけられた盾に、額は赤く腫れ、切れて鼻筋に沿って血が流れている。殴り合いの間に口に溜まった血を吐き捨てながら、相手をじっと見て…)てめぇ、名前は?(私の名前はグラフィーナ、王都で鍛冶屋やってる、と今更ながらに名乗って見せて)
アルバトロス > 知らないものを知る…(少しだけ乱れた呼吸をしながら、ゆらりと身体を立てなおす。拳を叩き付けられた肩口はまだ痛みがひどく、碌に剣を握れなさそうだった。全身を覆う鎧も上半身部分が壊れてしまい、もう鎧としては使えないだろう。だが、特に気にすることなく、女が言った言葉を繰り返すように口にした。)………アルバトロス。探して、見つかるものなのか。(女の問いかけに静かに答える。顔を覆う前髪の隙間から、両の瞳で女を見据えた。そのままで、女へと再度問いかける)
グラフィーナ > そうだ。そいつはなんだっていいんだよ。美味いものを知りたい、でもいいし、極端な話、知ることそのものが目的になることだってあらぁ。学者連中はまさにそれが目的だろうよ。(乱れた髪をかき上げ、荒く呼吸を整えながら)何だっていいが、探し続けることが、大事なんだよ(見つかるものかどうか、じゃねぇよ、「見つける」んだよ、とまっすぐに向けられる視線を、揺らぐこと無い、自信に満ちた瞳で、こちらもまっすぐに見返そう。)何に熱を注いで良いかわからねぇ、っつーなら廻りに相談しろよ。てめぇの知らねぇ、「面白いもの」は世の中に満ちてんだぜ(痛ぇな、と殴られて切れた口元を気にしながら、いきなり襲いかかられてなお、暗いところのない笑みを、にぃ、と男に返し)
アルバトロス > ………そういう、ものか。(女の言葉に理解が追いついていないという表情を浮かべる。今までの放浪で、何かを知るためという目的を掲げたことは無かった。未知なるものへの探求という目的と、その達成がどのようなものを自分へ与えてくれるか、男は興味を持った。)徒労に終わりそうなことだが…今の俺には、丁度良いのかもしれないな。(理由もなく各地を放浪して意味も無く剣を振るうだけよりも、何かを探している方が良いような気がした。元々、当ての無い放浪なのだから。)…そうか。ならば俺も、探してみるとしよう…(地面に落ちた剣を拾い鞘へと収める。鎧の破片を、念のために拾って適当な袋へと詰め込んで)
グラフィーナ > 分かってねぇ顔してんなぁ(どーすっかな、と髪をかき上げたまま頭を掻いて)徒労に終わった、と思うのは、それ以上探そうとしてねぇからだよ。調べたことが、次の知識へのとっかかりになるかもしれねぇだろ。全てを貪欲に吸収してもしきれないのが、世の中ってもんだぜ(探してみよう、という相手に、安堵したような吐息を、ふぅ、と吐いて)まぁ、また何か迷ったら私の店にでも顔だしなよ(興味ひくものあるかもしれねぇぜ、と片付けはじめる相手に、こちらも地面に放った素材の入った袋を拾い上げ。その中に雑然とつっこまれていた店のチラシを、ほれ、と相手につきだして)
アルバトロス > 今まで、そういう時間の使い方をしてこなかったからな………そうか。何か一つでも見つけられれば、無駄ではないということか。(今までの自分には無かった考えに触れて、僅かにだが行動理念にも変化が生じ始めたらしい。片付けが終わったところに女からビラを差し出されれば、そのまま受け取る。王都にある鍛冶屋のビラ、女が経営している店のものだった。)…どちらにせよ、王都へと一度戻る。鎧も壊れてしまったからな。 …お前に依頼するのも良いか。(剣と鎧、両方の手入れなどを任せてみるのも悪くないと思ったらしい。女へと話しかけながら)…それと知りたいことがある。(無造作に女へと近づいていき、そのまま抱き寄せようとして)お前を抱いたら、どうなるのか…な。
グラフィーナ > そいつは勿体ないぜ。そのつもりになったら、時間なんざ、いくらあったってたりねぇんだよ(ビラを受け取る相手に、からからと快活に笑って)ああ、だったら先に店に来いよ。壊れたのには私に責任もあるしな(多少乱暴に扱っても大丈夫なくらい、鍛えといてやるよ、と笑いながら、並んで歩きだそうと…したところで。)ああ!?(予想外に、唐突に抱き寄せられれば、驚いた、というよりは不審げな表情を浮かべて…)おいおい、早速知りてぇ事があるのはいいけどよ…そいつは、ちぃと、物好きに過ぎねぇか?(苦笑しながら、男に殴られ、男に頭突きをして、少しあざとなったその顔をしめしてみせて…)こんな状態じゃあ、立つものも立たねぇだろ
アルバトロス > (生きるための強さのみを追い求めてきた男には、有意義な時間の使い方というものはいまいち理解していない。女の言葉を聞いた今でも、実戦できるかどうかという所だった。ただ、駄目元でやってみるつもりではいる様子で。 女が剣と鎧について了承してくれれば、少し安堵したように息を吐いた。) …どうした?(抱き寄せた女が不審げな顔になる。そして、先ほどの戦闘で怪我をした顔を示してくる。だが、男は特に気にする様子は無い。)別に気にしてはいないが…手当くらいはした方がいいか。(少し考えた後、やはり先に手当てをするべきだという結論に至った。抱き寄せた手を離して、そのまま歩きだして)
グラフィーナ > どうした…?じゃねぇだろ。気にしろよ(私だって女なんだぞ、女心分かれよ、などと言いながら、腕の中で不満げな顔になり)水のあるところな。血が気持ち悪いんだよ(もう名前もしらねぇ相手じゃねぇし、別にいいけど、まずは身体を清めさせろ、と主張して、男の後をついていこう)
アルバトロス > …生憎だが、今まで理解しようとしたことがない。が…それも探してみるとしようか。(探して見つかるかも分からないものではあるが、目的の一つに含めることにした。)水場か。 …分かった。(女の言葉を聞けば、一先ず水場へと移動を始める。その後、どうなったかは二人だけの知るところだった)
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からグラフィーナさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からアルバトロスさんが去りました。