2015/10/17 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にリィンさんが現れました。
■リィン > 喜びヶ原――メグメールと呼ばれる広大な平野を走る街道、通常「まれびとの道」をリィンは歩いていた。
「まれびとの道」というだけあり、旅行者や外国からの人間など様々な存在がこの道を歩いていた。
「……なんとか、なった……」
リィンはそんな街道の端を歩いていた、目指すは王都だ。
魔物と戦った後であり、服もぼろぼろである。
冒険者としてギルドで貰った依頼を何とかこなして、帰還の途に着いた。
回復魔術で体の傷などはないが、疲れが癒されているわけでもない。
馬車にでも乗ればよかったのだが、リィンにそんな金の余裕はなかった。
ただ、今回退治した魔物は、通常の冒険者にとってはかなり弱い部類のものではあったものの、ヤルダバオートの影響を受けたものであったらしい。
リィンの救世姫としての力がそれを感じ取った。
故に、リィンにとっては嬉しい結果でもあった。少しでも目的に近づけているからだ。
「でもこんなのじゃ全然だめ……」
剣を杖代わりにして、とぼとぼと歩く。
こんな依頼で手こずっているようでは、救世姫として世界を救うなど夢のまた夢だ。
それでも最近力を得るようになってきていた――それは奇妙にも、男などに凌辱された後にそうなるのであった。
■リィン > そのままリィンはとぼとぼと王都へと帰還した。
そして、その時気づく。
近頃、奇怪な気配が王都に蔓延していることに。
「……これは……?」
救世姫であるリィンにはそれが強く感じ取られる。
それはヤルダバオートの影響を示すもの。つまり、魔族が多く王都周辺にも現れているということであった。
しかし、リィンはまだそれには気づかない。
ただ、どこか嫌な気配を感じとりながら、王都の門をくぐった――
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からリィンさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にテルヴェさんが現れました。
■テルヴェ > 欠け始めた月が天頂に浮かぶ、真夜中の『まれびとの道』。
遠くにはぼんやりと王都の街並み、灯りが見える。こんな時間まで灯りが消えないのは、腐敗が着実に蔓延しつつある証左か。
街道を取り巻く風景は田園。王都の胃袋を支える基盤は、しかし今は殆どの作物は収穫を終え、藁を束ねて積むなど冬支度の様相。
テルヴェはふらふらと覚束ない足取りで、王都に向けて歩みを進めていた。
手頃なクエストがなかったため、再び小銭稼ぎに《無名遺跡》に挑んだテルヴェ。
しかしそこで不可視のスライム生物《ゼラチナスマター》の罠にかかり、捕らえられてしまった。
丸1日以上に渡って粘体の中に閉じ込められ、陵辱を受けたテルヴェ。
途中で別の冒険者が襲われ犯される光景をも無理やり見せつけられるなど、トラウマ級の経験に消耗しきっていた。
……しかし、テルヴェは死ななかった。死ねなかったと言うべきか。
粘体に顔を覆われ呼吸ができなくても、魔族に施された淫紋は絶え間なく生命力を供給し、代謝を補い続ける。
最終的には彼はゼラチナスマターの体内で『役割』を終え、捕らえられて1日後、解放された。
■テルヴェ > テルヴェが粘体に捕らえられてすぐ、彼のお尻に侵入してきた巨大な質量。
ゼラチナスマターの《コア》であった。妊婦のごとく膨張し、ときおり蠢く彼の腹部では、淫紋が煌々と輝きを放っていた。
そして解放される直前、彼の肛門から排出された《コア》は、十数個に分かれていた。増殖していたのだ。
……そう。かつて魔族がテルヴェに施した淫紋、その役割は淫魔のための食料生産だけではない。
彼は、魔物の《孵卵器(インキュベータ)》としての役割も与えられていたのだ。それは搾精以上に衝撃的な経験だったので、久しく忘れていたが。
半永久的に淫紋から供給される純粋な生命力が、彼の体内に寄生した魔物の卵や幼体に対し、力強い成長を促す。
無名遺跡に住まうゼラチナスマターは、雌以外は捕らえても溶かし殺してしまうことが多いものだが、テルヴェはその淫紋ゆえに命を救われた。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアイさんが現れました。
■テルヴェ > 「………はぁ……ッ。……はぁ……」
当然、魔物の苗床になるなど、常人にとっては死以上の恐怖とトラウマを伴うものである。テルヴェにとっても例外ではない。
……しかし、物心つく前から、言葉を身につける前から『魔物を産む』経験を幾度と無く強制されていたテルヴェにとって、それはどこか懐かしい感覚でもあった。
しばらくは浅層といえど遺跡のたぐいには近づくまい、そう心に決めるテルヴェであったが、その決心もいつまで続くかは疑問である。
淫紋ゆえ、肉体は一定以上に消耗することはない。どれだけ苦痛に満ちた経験を経たあとでも、脚は動く。
しかし精神は疲弊しきっていた。モンスターによる陵辱を抜きにしても、ダンジョンにひとりで丸1日閉じ込められるのは、そう簡単に慣れるものでもない。
■アイ > 「ずいぶと、ふらふらしておるのぅ。」
子供のような声。少し、風変わりなイントネーション。
声のする方に眼を向ければ、そこには一人の童女が、街道ぞいの岩にこしかけてにこやかに少年の姿を伺っていた。
黒い髪に真っ白なリボン。月を抱いた夜の空のようなコントラスト。
「おつかいの帰り、かえ?くたびれて、脚がえらい(しんどい、の意)のであろ。少し、安んで行くとええ。」
■テルヴェ > 「ふぇ………?」
往来のほとんどない、深夜の街道。
道端からふと声を掛けられれば、しかもそれが子供の声であれば、テルヴェは肩をびくっと竦ませながら音源の方を向く。
「……あ、こ、こんばんわ。ええ、おつかい……ちょっとした『冒険』の帰りでして。
休息も押して歩いてきたんで、疲れてるかもしれませんね……アハハ……」
立ち止まり、不器用な笑みを浮かべながら挨拶する少年。その造形は童顔だが、目の下の隈が月明かりの下で浮き彫りにされる。
「……あなた、こんな時間にこんな場所で何を?」
■アイ > 「そうかそうか、坊は『ぼうけん』にいっとったか。そりゃさぞつかれたであろ。」
岩の上で少し腰を浮かし、片側へと詰める。まだ秋口とはいえ、ずいぶんと薄着だ。
ぽん、ぽんと自分の隣を叩いて見せたのは、ここへお座りなさい、とでもいうのだろうか。
こんな時間に、何を。テルヴェがそう疑問に思うのも無理は無い。テルヴェ自身そうとう幼い姿だが、眼前の少女は輪をかけて幼く見える。
「ばばかぇ?ばばはの、ほれ。月を見ておったよ。」
すっと、月を指差し、また少年に眼をむけにこりと微笑んだ。
■テルヴェ > いかに淫紋の生命力賦活があるとはいえ、全く疲れを感じないわけではない。
思わぬ遭遇に足を止めてしまったのをきっかけに、脚全体が疲労でこわばる。つい、心中で舌打ちをしてしまう。
「急いでますから」と口に出しそうになるが、脚が重くなるのを感じれば、少女の誘いに素直にうなずき、道端の石にゆっくりと腰を下ろす。
「…………」
腰を掛ける動作の間、そして座ってからも、隣の少女の雰囲気が気になる。
冷え込み始めた時期にしては薄着だし、その衣装もこれまでテルヴェが見たどんなデザインとも異なる。
そして言葉のイントネーションも王都のものとは違う。「ばば」とはもしや彼女自身を指した言葉なのか?
「月、ですか。満月は過ぎちゃいましたけど、確かに綺麗ですね。明るいんで、夜中でも少しだけ安心して歩けるんで頼もしいです。
……でも、いくら明るいとはいえ夜の野外ですから。モンスターとかに襲われたら危ないですよ? ええと……」
つややかな黒髪。思えばここまで真っ黒な髪も王都ではあまり見ない。
「……僕は、冒険者やってるテルヴェっていいます。あなたは……」
■アイ > 自らを『婆』と呼ぶ童女は、ゆっくりと隣に腰かけるテルヴェをやはりにこやかに見やり、そしてまた月を仰ぎ見る。
コロコロと、虫たちの音。どこからか、蛙の求愛の低い喉声。案外と、夜は賑やかなものだ。
「ん、ばばかぇ?ばばはの、『アイ』じゃ。ここからずっと東の国の言葉で、藍色のアイじゃよ。」
テルヴェを真っ直ぐ見る瞳は深い夜の色。らんらんと輝くような事はない。
「テルヴェ坊は、小さいのに大変な仕事をしとるんじゃの。どれ、脚をさすってやろ。少し楽になるやもしれん」
そういって、テルヴェの脚にそっと手を伸ばす。
小さいもなにも、彼女の方がよほど背が低いというのに。
■テルヴェ > 「アイさん、ですね。
……東の国の言葉。アイさんは、東の国から来たんです?」
東の国。言葉も文化も異なる地が、九頭龍山脈の向こう、魔族の国をも抜けた向こうにあるという話は、聞いたことだけはある。
聞いただけで、実際に言葉や衣装を目にするのはこれがはじめてだが。
冒険者の気性ゆえ、珍しい物には並々ならぬ興味が湧く。相手は異性とはいえ子供(にみえる)、つい遠慮なくその装いをまじまじと見つめてしまう。
しかし、脚に彼女の手が添えられれば、さすがにビックリして服の下の筋肉がぴくりと緊張を見せる。だが避けようとはしない。
「えっ、そ、そんな……揉んでもらうなんて悪いですよ……うう。
……な、なんか、アイさんってその……えーと、見た目より大人っぽい、ですね……」
やや言葉を選んで逡巡しながら、照れくさそうにそう言う。
マッサージされるなら素直に施されるが、丈夫な布地の一部に綿の詰められたズボンは、革鎧ほどじゃないにせよ硬い。
「まぁ僕も小さいんで、自分が思ってるより子供に見られることも多いですけど……えへへ……」
■アイ > 「そうじゃよ、東から。西へ、西へ。」
大人っぽいと言われたのが可笑しかったのか、クスクスと笑い、テルヴェの足元に屈む。
大きく開いた胸元はふくらみは殆どなく、蚊にさされた跡のようなものがポッチリと左右にひとつづつ伺えた。
「まあ無駄に歳だけはとっておるよ。どれ、なんじゃこの履き物は…こうやって固いもので包まれておるから余計にえらくなるんじゃろなあ、可愛そうに。」
綿が入った厚手の布の上から、小さな手がテルヴェの脚をギュ、ギュと優しく揉む。
「そうか、坊が思うとるより子供に見られるかぇ。まぁ、そう見えるうちはあせってもせんないでな。そう見えるならそう見せておけばよいんじゃよ。
…にしても、これではちとなで辛いのぅ。」
■テルヴェ > 「アハハ、すみません。冒険用の厚手のズボンですから、揉みにくいですよね。
いいですよ、そんなに無理してマッサージして頂かなくても。僕、回復は早いですから………ッ…!」
防具の厚みに難儀するさまに苦笑を浮かべるが、その視界に可愛らしい突起が映ると、テルヴェは思わず顔を赤らめ、視線をそむけてしまう。
開いた襟から見えるそれは、まさしく子供の胸。そういうモノに興奮する性格ではなかったが、アイさんの大人びた雰囲気とのギャップが、テルヴェの心を捉えてしまった。
ちり、と下腹部に血が集まるのを感じ、歯をくいしばってしまう。
「……す、すみません、あの、お召し物が崩れてるようですが。お言葉ですが、大人なら身だしなみはしっかりと……」
婉曲的に言葉を選んで、着物の崩れを指摘する。その声は震え声だ。
「……そ、そうだ、マッサージはいいので、東の国のこと聞かせて下さい。僕すっごい興味あるんですよ!
なんでも建物がどれもこれも黄金で飾られているとか、ものすごい切れ味の片刃の剣があるとか……ホントなんです?」
こめかみに汗を伝わせながら、テルヴェは早口でまくしたてる。乱れた自分の心を懸命にコントロールしようとしているのが明白だ。
意図せず、バックラーを結んだ左手で股間を隠してしまう。
■アイ > 「おや、そうかね。ま、若いうちは回復がはやいもんじゃでな…
ん?おお。こりゃ、ばばのお粗末なもんを見せてしもうたかいね。」
テルヴェに指摘され、立ち上がって布切れのような衣服を正す。胸元といっても袖すらないので、横からは脇の周囲が顕わだ。
大きく切れ込んだ腰元からは、そのまま下肢が伸びる。肌着を着用しているようにすら見えない。
「金で飾った建物なぁ」
クツクツと可笑しそうに笑う。
「たしかに、無くはないよ。そういった物を建てた王もおったのぅ。太刀の類は確かに鋭いが、やはり持つものの腕がたたんとなぁ。
……?どうした、坊。どこか、気分でも悪いのかえ?」
表情を覗き込もうとする顔が、近い。
■テルヴェ > 「粗末って……」
粗末じゃなくて未成熟っていうか……と心中で突っ込みを入れつつ、衣装を正す仕草には一瞬安堵しかける。
……しかし、それでも露出の多い衣装だ。あちこちから肌が覗き、無垢な太腿や腋が月光で白く輝くのを見れば、再び顔が熱くなる。
アイさんが顔を寄せると、狼狽っぷりにさらに拍車がかかる。覗き込もうとする視線を懸命にかわそうと首を振り、はふ、と熱い吐息が漏れる。
いかに奥手なテルヴェでも、ここまで露骨に色気を見せられれば気がつく。この女性は痴女の類だ。
「月を見ていた」など、なんと分かりやすい言い訳だったか。乗せられて座り込んでしまった自分の浅薄さに、後悔の念が浮かんでくる。
「……あ、アイさん。ホントは何が目的なんですか。
狙うなら、もう少し体力ありそうな大人の男性を狙ったほうがいいと思いますよ……」
視線を合わせることなく、バックラーで股間を隠しながら、震え声でそう問いかける。
盾の下で、硬い布地を押し上げ始めた肉の感触がもどかしい。相手の正体に気付きかけても、ここまで緊張してしまうと、身体が言うことを聞かない。
■アイ > 「狙……ん…ん?」
意味がよく解らなかったかの様なきょとんとした表情。
「坊、本当に大丈夫かいね。なにやら震えが来ておるようじゃし…それに、ずいぶと汗をかいて…」
その声は心配げなトーンだったが、ふと盾で股ぐらを隠しているのに気づき。
「なんじゃ、坊。もよおしたのかえ?んふふ、誰にでもあるもんじゃよ。大丈夫、恥ずかしがらんでも、ええんじゃ。」
やはりにっこりと笑みを浮かべ、テルヴェの感情を知ってか知らずか、子供を撫でるかのように頭に手を伸ばして来た。
■テルヴェ > 「うう………」
アイさんの装いや振る舞いは、王都でよく目にする娼婦のそれに近い。しかし、口ぶりや表情は無垢。
勘ぐり過ぎたか、と再びテルヴェの顔に後悔が浮かび、申し訳無さに涙が滲みそうになる。
他方で、バックラーの下で膨らみ続けるそれは収まる気配を見せない。
「……ご、ごめんなさい。変なこと、言ってしまって。
でも、この辺でこんな夜に、武器も鎧も着けずにひとりでいる女性って……その、どうしても色々警戒せざるを得なくって」
そう言ってはいるが、実際に警戒に入るのはテルヴェは遅すぎた。テルヴェが駆け出し冒険者の域を出ない理由の1つである。
「同じ年頃の子でも、こんな風に女性に優しくされるの、あまり慣れてなくて……ごめんなさい。
放っておけばすぐに収まりますから……気にしないでください……ごめんなさい……」
口調が弱々しくなり、一言毎に謝罪の言葉を付け足しながら、みるみる萎縮していく少年。
頭を撫でれば、夜風にさらされた冷たい金髪がさらさらと指の間を流れる。ぴくりと一瞬皮膚が緊張を見せるが、逃れようとはしない。
■アイ > アイの手のひらが、テルヴェの金髪を優しく撫でる。脚を揉まれた時よりも直に、小さな手から体温が伝わっていく。
「ん、ん。大丈夫じゃよ、坊。大丈夫じゃ。」
だんだんと声が小さくなっていくテルヴェにまた微笑みながら声をかける。
「ん…?放っておいては身体に毒じゃぞ?夜は冷えるでな、出してしもうた方がええよ。
…ああ、そうか。すまんすまん。ばばめが見ておったら、恥ずかしいわな。
そりゃ、ばばは後ろを向いておこ。鈍いばばめで、すまんのう、坊。」
くるり。テルヴェに背を向け、ご丁寧に両の手で自らの眼を被う。
確かに、鈍い。この期に及んでまだ、テルヴェの下半身の問題を小用と勘違いしているようだ。
尤も、テルヴェをまだ精通前の子供だと認識しているのであれば、それも無理からぬ所ではあるのだが…
■テルヴェ > 「……え? あ、ハイ……」
自然に収まる(はずの)モノを、出してしまえというアイさん。離れることなく目を逸らして、目を覆うアイさん。
……そうか、おしっこしたがってるのと勘違いしてるんだ。テルヴェもようやく、齟齬に気づく。
なぜか寂しい気持ちになり、すぐにその自らの感情を自分自身で疑う。より恥ずかしくない方に勘違いされたんだから、それはそれでいいじゃないか、と。
「それじゃ失礼します……」
それに、頻尿気味の体質でもあるテルヴェ。尿意もあった。お言葉に甘え、席を立つ。
その場で用を足しても匂いが残って不潔。テルヴェは背を向けるアイさんから距離を取り、やや離れた位置に小高い盛り土を見つければ、そこに隠れて屈む。
……たまらない気まずさに、そのままその場を去ってしまいたい気持ちも去来する。どうしようか……。
……………。
「………っあ!! あ゛あああああああああッ!!!」
アイさんの背後、盛り土の後ろから突然、テルヴェの悲鳴が響いた。
■アイ > 「んむ、ゆっくりの。あわてて出すと、脚にひっかけるでな。」
放尿しているはずの少年の、唐突な悲鳴が夜に響き渡る。
うっかりミミズにでも小便を引っ掛けてしまったにしては、切羽詰まった声だった。
「坊!?」
さすがに何事かと振り向き、声をかける。その先には……
■テルヴェ > 土盛りの向こう。
テルヴェはズボンを膝下まで下ろした状態で、地面に倒れこんでいた。その目は恐怖に見開かれ、全身がカタカタと震えている。
股間についた男の子の証はぷっくりと膨らみ切っており、先端からは粘液が糸を引いていた。
その糸の先、地面にはおしっこの染みと、それの何倍もの量の真っ白な液体が、水溜りを作っていた。
アイさんが駆けつけるのをテルヴェが感知すると、真ん丸に見開からた目でそちらを見やり、
「来ないでッ! ………いや、ええと、気をつけてッ……!」
と震え声で叫ぶ。
倒れこむテルヴェの傍らでは、桃色の餅のようなものが蠢いていた。そのリンゴ大の球体は地面から十数センチほどの距離をあけてフワフワと浮いているように見える。
……実際は、桃色の球体の周りに、空気とほぼ屈折率の変わらない透明な粘体を纏わせているのだ。
《ゼラチナスマター》の幼体。テルヴェがダンジョンで植え付けられたコアの分裂体が1つ、腸内に残っていたのだ。
それが排泄と同時に無理やり体外に出てきたのだろうか。テルヴェの臀部からその粘体に至る道筋に、きらきらと光る粘液の跡ができている。
「………うう、見ないで………」
生まれたての粘体は、本来の生息域でない屋外の風に当てられ、儚く震えている。危険度はなさそうに見える。
テルヴェの真っ白なお尻はその粘体以上にぷるぷると弱々しく震えており、陰茎の先端からはトロトロと精液の残滓が溢れている。
■アイ > 「なんじゃこれは。坊の尻子玉という訳ではなさそうじゃの…」
浮遊体。テルヴェが「来ないで」「気をつけて」と言うからには、近づくと危険という事だろうか。
言いよどんでいた所をみるに、ただ露出した下半身を見られるのが恥ずかしかっただけとも思えるが、用心にこしたことは無い。
『見ないで』と言われたものの、観察せねばなるまい。
一見、桃のような球体がただ浮かんでいるだけのようにも見えるが、テルヴェの臀部から続く粘液と、足元の草が見えない何かに押しのけられている。
透明な何かが、浮かぶ桃を覆っているのだろう。これだけ透明なので有れば、むしろ都合が良いかもしれない。
「坊、眼を瞑るんじゃぞ」
幸い、月が出ている。藍は右手をゼラチナマスターのコアに向ける。
【 月 は 無 慈 悲 な 夜 の 女 王 】
聞きなれぬ、異国の言葉がその唇から紡がれたその後。まるで月からでも伸びてきたかのように、細い細い光の束が、突き刺さるように幼体ゼラチナのコアを捉えた。
■テルヴェ > 「はひっ……!」
言われたとおりに、ぴっちりと目を瞑るテルヴェ。
そして上天から一筋の光条が降り注ぎ、ゼラチナスマターの幼体の核を貫くと、まるで針を刺された風船のようにぐにゃりとしぼんでしまい、やがて動きを止めた。
物理的攻撃にすこぶる強いスライム系生物も、純粋なエネルギーを直接コアに照射されれば弱い。ゆえに初心者向けのモンスターとして捉えられている。
(ただしダンジョンに生息し規格外の質量に成長するゼラチナスマターの成体はその限りではない。用心を…)
そんな弱々しいモンスターの幼体相手にも、尋常でない怯えを見せるのがテルヴェであった。
瞼の奥で光がきらめき、呪文が終わるのを確認して目を開く。ゼラチナスマターが絶命しているのを見れば、はぁぁ……、と気の抜けた長いため息をつく。
「………あ、ありがとうございます、アイさん……うう……」
鼻の詰まったような震え声で御礼を述べる。しかし、依然として腰が抜けたままで、下半身を露出したまま立ち上がれないでいる。
弱々しく開いた脚の間で、中太りした陰茎がふるふると左右に振れ、なおも漏れ続ける白濁液でお腹を汚している。
陰茎も陰嚢も、その体格と比べれば大きめと言えるであろう。そして、垂れ流す精液もまた、歳相応とは到底思えない量。
おへその下では正体不明の紋様が赤く不気味に光を灯している。
「………あうう………見ないで……ごめんなさい、ごめんなさい……」
男性器を女性に見せつける体勢になってしまっていることに、耐え難い羞恥心を覚え、涙を浮かべるテルヴェ。
しかし膝も足先も震えが抜けず、閉じることさえできない。
■アイ > 「…やれ、効いたか。一か八かじゃったが…」
これがもし、ゼラチン質の屈折率が高いモンスターであれば、あるいは効果が薄かったかもしれない。
藍は萎んだ塊が再び動き出さないかしばらく伺っていたが、いつまでもテルヴェを放っておくわけにも行かず、小走りに近づく。
「大丈夫じゃったか、坊。気づいてやれんで、すまんかったのう。」
少年が動けずに居るのを見て、その傍らに座り込む。何度も繰り返される詫びの言葉に、「いいんじゃよ」とささやく。
辺りに垂れ流された、おびただしい性の迸りに眼を疑うも、とりあえずどうにかせねばならないと少し考えると、髪に結わえた幅広の白いリボンを解き、その股ぐらを汚してしまった粘液を拭き取っていく。
■テルヴェ > テルヴェ本人でさえ、排泄のためにズボンをおろして屈んだ瞬間まで、腹の中に1匹残っていたことに気付いていなかったのだ。
本人にとっても青天の霹靂であり、それゆえの狼狽っぷりともいえよう。
体内から前立腺を圧迫された余韻で、今も射精が止まらない。
「うう……アイさんは悪くないです。その上に助けていただいて、なんてお礼を言ったらいいか……」
申し訳無さそうに目を伏せる。しかし、戦慄くテルヴェの傍に歩み寄って座る彼女には、「だめ、来ないで……」とうわ言のように繰り返しつぶやく。
そして、自らの髪を留めている純白のリボンを解いて、身体を拭おうとすると、いよいよテルヴェは目を見開き、
「だめ、だめっ……! 汚れちゃう……!」
股間の汚れは、粘体の体組織の残滓と、テルヴェ自身の精液が半々くらいか。
濡れて糸をひく太腿にリボンが触れると、ぴくん、とテルヴェの小さな身体が跳ね、拒否感を示す。
同時に、未だ勃起の収まらない陰茎から、新たな白濁液が勢い良く吹かれ、四方八方に鞭のように糸を伸ばす。
直ぐ側にいるアイさんにも掛かってしまうであろう。
「やだ、やだぁ……汚れちゃうからぁ……だめっ、お願い……うああぁぁ……」
申し訳無さと悔しさに、情けない嗚咽を漏らすテルヴェ。
■アイ > 「なに、こんなもの。洗ってしまえば、平気じゃでな。」
そうはいうものの、再び精を放った陰茎を見て一度手を留める。
「坊は、ばばの事を見た目より大人と言うてくれたが、坊も見た目より大人じゃったのう。ふふ、元気な大人じゃ。どれ。」
泣き顔になったテルヴェの上半身を少し起こし、頭の下に白い腿を差し入れた。
横向きに膝枕をするような体制になると、包み込むようにその頭を抱きかかえ、落ち着かせるように大丈夫、大丈夫とゆっくりと繰り返す。
「じゃ、少しコレを持っていておくれな。」
そう耳元にささやき、テルヴェの手に粘液で汚れたリボンを持たせると、片方の手はその頭を優しく抱いたまま、空いたもう片方をいまだビクビクと暴れる陰茎へと伸ばした。
■テルヴェ > 「あうう、そうだけど、そうだけどぉ……」
洗えば大抵の汚れは落ちる。でも、精液の強い匂いはなかなか落ちないこともあるし、汚れとは違う「穢れ」のような概念に敏感な人は多い。
アイさんは平気というものの、テルヴェ自身の良心はなかなか見切りをつけられない。
さすがに頭の方には汚れは飛んでいない。膝枕をされたことよりも、頭のほうにアイさんの身体が移ったことで汚す心配が少なくなったことに、にわかに安堵を見せる。
「……あたたかい…」
後頭部に当たるふとももの柔らかさ、体温。怯えきっていた心に陽が差し込んできたような心地よさを覚え、うっとりと目を細める。
しかし、そうして隙を見せた瞬間に、陰茎に小さな指が這う感触が走る。テルヴェの腰が、思わず跳ねてしまう。
「………っあ! だ、だめ、だめええっ!」
猫が鳴くような甲高い声で喘ぎ、テルヴェは目を閉じたまま、快感に身を捩る。
勃起した状態でも半分包皮につつまれた亀頭の先端から、ぴゅ、ぴゅ、と白い弾丸が吹き出し、月の光を反射して地に落ちる。
テルヴェは渡されたリボンをしっかりと握りしめ、声を殺し快感に耐えようとしている。どうしても、歯の間から声が漏れてしまうが。
■アイ > アイの小さな手がゆっくりとテルヴェの大きくなった竿をしごく。その手づかいに荒々しい所はなく、やさしく、いたわるような力加減で上下を繰り返す。
「大丈夫じゃよ。おのこは皆、おちんちんの先から精が出るものじゃでな。なんも、恥ずかしい事ではありゃせんよ。
それとも、このばばにされるのは嫌かぇ?」
テルヴェの頬に自分の頬を重ねるようにしていた体勢から一度顔を上げ、そう質問をなげかける。改めて見れば、やはり幼い顔つきである。
答えを待たず、一度キスをするかのように鼻先に鼻先を触れさせると、また元の体勢に戻り、親指と人差し指で輪を作って陰茎の皮を引っ張り気味にしごき始める。
「…もし、ばばの事が恐ろしかったら、云うてくれてもええでな」
■テルヴェ > テルヴェの肉棒はパンパンに充血しているが、それでもわずかに柔らかさを保っており、指の動きに合わせて嬉しそうに踊る。
ひとつ扱くたびに、棒の芯から熱気が放たれ、熱い粘液がぴゅっと糸を引く。勢いはないものの、精液が鈴口からとめどなく溢れ続けている。
「んーん、嫌じゃない、嫌じゃないです……。でも、見られるのは、恥ずかしい……。
こんな屋外で、街道のそばで、こんなこと……恥ずかしすぎて……みっともなくて……うう……」
テルヴェの身体が力無く断続的に痙攣し、それとタイミングを同じくして、精を放つ勢いが瞬間的に増す。
まるで壊れた泉、あるいはおもちゃのよう。
アイさんの顔が鼻の触れ合う距離まで寄せられれば、テルヴェは顔をそむけず、しかし頬をかあっと赤く火照らせ、まっすぐに見つめている。
「アイさんのこと、恐ろしくなんかない。むしろ……えと……綺麗で、優しくて、心強くて……。
……僕のみっともない所を見せたり、汚しちゃったりして、嫌われるほうが、怖い……」
女性の放つ穏やかな熱気に頭が包まれ、思考に靄がかかり始める。うっとりと目が細まり、こわばった身体が脱力していく。
それにつれて、テルヴェの言葉も徐々に眠たげなトーンを帯びていき、素直な思考を吐露していく。
■アイ > 「なにも、みっともなくなんかありゃせんよ、坊。そぅか、ばばの事を綺麗と云うてくれるか。
大丈夫じゃ、こんな事で坊の事を嫌いになったりするものかぇ」
テルヴェの声がだんだんと眠たげに変わってきたのを悟り、アイは男根への刺激を緩めて代わりに身体をより密着させていく。
【 ねんねん ころり ねんころり 坊やよい子だ 泣かずに ねやれ… 】
静かに、ゆったりと。愛おしげに子守歌を歌い始める。その言葉自体はテルヴェには判らないだろうけれども。
■テルヴェ > 本当は、アイさんのことを「可愛い」と言おうとした。でも、どうも相手は見た目と合致する精神年齢ではない模様。
だから「綺麗」という言葉を使ったし、実際にそう口にしてしまうと、なおのことこの女性が大人びて見えてくる。
……そして、その包容力のある愛撫、頭を包む膝や腕の例えようのない暖かさと柔らかさに、テルヴェは目をとじる。
「よかった……嫌われなくて、よかった……」
蚊の鳴くような甲高く小さい声で、つぶやく。
異国の言葉で紡がれた歌が聞こえる。意味はわからない。しかしその音色は、響きは、テルヴェの魂にふわりと染みこんでくる。
母の子守歌を知らぬ心に。母の膝、母の腕、母の胸の暖かさを知らぬ身体に。
「………アイ……さぁん……」
喉を鳴らしながら唇を動かしてもうひとつ鳴くと、その湿った唇も半開きのまま、テルヴェは動かなくなった。
ダンジョンで酷い目に遭った上に夜をおして歩いてきたのだ。疲労の溜まった身体が脱力し、すうすうと寝息を立て始める。
陰茎はアイさんの指の中で徐々にその硬さを失っていくものの、精液はなおもコポコポとゆるやかに湧き出し続けている。
再び扱くなら、優しく扱く限りでは起きそうにはない。
■アイ > 「ぁいな。おるよ、坊」
名前を呼ばれれば、小さくそう答え。すっかり寝息が聞こえてくれば、歌声も細く。
アイは、この少年からなおも溢れつづける精液を時折拭う。流石に尋常ではない事はこの女妖にも解ったが、どうすることも出来なかった。
身体をまるめ、すやすやと寝息を立てる少年の頬にそっと口付けをする。
周囲にはまた、虫たちの音や蛙の喉声が静かに戻っていた。
・
・
・
グラリ、身体を揺さぶられたような感覚。空はほんのりと明るくなり始め、月はその姿を限りなく薄くしている。
同じようにアイの姿も無かったが、つい先ほどまで暖かな何かに包まれていたような感じは残っている。
周り一面はすっかり綺麗に…なっては居なかったが、少なくともテルヴェのズボンは元通り上がっていた。
尤も、多少ゴワゴワしていたが。
■テルヴェ > ころり。半勃ちのおちんちんを丸出しにしたまま、アイさんの膝の上で軽く寝返りを打つテルヴェ。
耳が彼女のお腹に密着すると、血の流れる音、心臓や内臓の鼓動が響いてくる。
まるで、母の胎内にいるような錯覚。実の母なんて、顔も声も名前さえも知らないというのに。
テルヴェの記憶は、魔族の家畜として捕らえられていた6年を越えて、産まれる前の姿に戻っていた。
……自然と、身体が丸くなる。
………。
「……ふぁ…??」
身を起こすテルヴェ。未だ夜はあけず、肌寒い。
ぶるっ、と震えを覚える身体を起こそうと地面に手をつくと、いままで頭を置いていた箇所の周りが温かい。
「………アイ、さん?」
先程まで自分を寝かしつけてくれていたアイさんの姿はもう、どこにもない。
ただ、地面と、自らの後頭部に、女性らしい柔らかな肉感と温感がふわふわと滞留していた。
ズボンも戻してあるが、その中身はしっとりとしている。排泄しようとして脱いで、そのまま精液垂れ流し状態になってしまったのだ。仕方がない。
「……ありがとう、アイさん……僕なんかに、こんなに気をかけてくれて……」
きっと自らの棲家へ帰ったのだろう。どこに住んでいるかは知らないが。また逢いたい。
……ふと左手を見れば、モンスターの粘液と自らの精液で汚れた、純白のリボンが握られている。彼女が汚れを拭ったあと、握らされたままだった。
「……これ、洗って返さなくちゃなぁ……」
テントも立てず火も熾さずに野原で寝るのは、いかに人里近くといえど蛮行すぎた。無事に朝を迎えられたのは奇跡といえるかもしれない。
もしかすると、アイさんが守ってくれていたのかもしれないが。
ここのところ、テルヴェは守られてばかりである。とても不甲斐ない。いつか名誉挽回はできるだろうか……。
疲れは取れた。テルヴェは立ち上がると荷物をまとめ、湿った着衣に不快感を覚えながらも、再び帰途につく。
その耳には未だに、異国の子守唄のメロディがゆるやかに流れていた。思わず頬がほころぶ。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からテルヴェさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からアイさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にソードさんが現れました。
■ソード > (もうすぐ日も暮れる。
西日は茜色に世界を照らしており、街道を行く者達を悉く茜色に染めていた。そんな中を行く一人の男。
普段は持たない、ひも付きの大きな革袋などを肩に担いで王都への道を行く。
もう王都までは目と鼻の先である。)
あー……夜が更けきるまでにはつくかね。
(ちら、と目を細めながら、山際に消える陽光を視界の隅に一瞥しながら嘯いた。
仕事帰りだ。
魔物の討伐、並びに魔物の出現状況の確認。
加えて、該当地域にのみ自生する薬草類の採取。
担いでいる袋の中身は、後者の薬草類である。
何はともあれ、昼頃にそれらの作業をすべて終えて、こうしてのんびりと王都への道を進んでいるという塩梅であった。)
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にシェリルさんが現れました。
■シェリル > (街道を歩く商人と思しき男達を見かけ、この程度なら勝ち目があるだろうとスケルトンをけしかけてみれば、仲間を庇うなどして立ち向かうどころか悲鳴を上げて逃げ出す始末。しかも、互いに互いを囮にしようと足の引っ張り合いまで演じ)
……つまらない。
(実に期待外れでがっかりだと、しょんばりと肩を落としてスケルトンに追いかけられながら男たちが逃げ去った王都の方角を眺め。彼らの友情もここまでだろうにと、嘆くように首を振り。さすがに、時刻が時刻と次の犠牲者が期待できるかどうか微妙なところと悩みながら、街道のわきに佇みあたりを眺め)