2018/11/05 のログ
ご案内:「ル・リエーの水遊場 中層」にイルミさんが現れました。
イルミ > 「……あっ、本当だ、人はあまりいないんだ……」

キョロキョロと小動物のように辺りを気にしながら更衣室から水遊場へと脚を踏み入れる。その格好は普段の分厚いローブとは色以外似ても似つかない、大胆な水着。本当は体のラインが出ないものが良かったのだけど……

「貧乏には、勝てない……よね」

男性の店員から『安くする』と言われたのが、フロントレースアップと言われるタイプのビキニ水着。剥き出しになった胸の谷間がレースで覆われて強調される形になっている。……というかむしろ乳肉に半ば食い込んでハムのよう。完全にサイズが合ってない。

イルミ > サイズを用意していない店側を責めることは出来まい……明らかにおかしな体型をしているのはこっちの方だ。とはいえ恥ずかしいものは恥ずかしいのもまた事実で

「は、早めに済ませよ……」

寒くもないのに身体を抱きながら、誰もいないのにこそこそ隠れるように、水場に近づく。そもそもこうしたレジャー施設のようなものに無縁なはずの自分がわざわざ苦しい家計の中で水着を買ってまで来た目的はただひとつ、泳ぐ練習だった。

イルミ > 釣りをしよう、と思い立ったのは、魚やその他の水棲生物が魔法薬の材料になると知ったからだった。しかも、そういった特別な魚でなくても焼いて食べれば家計の足しになる。ナイスアイデア!と思ったのも束の間、つい『もし水に落ちたらどうしよう』と考えてしまった。常日頃からうっかりしてる自分のこと、十分ありえる話だ。ましてやうっかりクラーケンのような大物が餌に食いつこうものなら……

泳げさえすればいい、泳げれるなら何も怖がる必要はない。そう思い至れたのは布団の中でブルブル震えて数十分過ぎてからだった。

「泳ぐだけ…水に浮いて、手足で進むだけ…難しくない、よね?」

水の中、まだ脚のつくところで、まずは身体を慣らす、それから力を抜いて水に浮く練習……とほぼ独学で泳ぐ練習を始めるが、子供が水遊びをしているだけである。本人だけは真剣なそれが、『泳ぐ』という段階に達することなくしばらく続くことになる……。

ご案内:「ル・リエーの水遊場 中層」にジアさんが現れました。
ジア > 肌寒くなろうと、常に高温の炉がいくつも稼働している工房では冷え知らずの毎日で、元々暑さに強くても気が滅入る。
普段なら川や湖、海に飛び込んで気を紛らわせたものだったが、流石にこの時期では命の危険があるため、こつこつと貯めたお金でやってきたのは、いろんな所で評判は聞いていた施設だった。
幸い、高い場所にさえ来なければ懐の痛み具合もそれほどではなく、始めてくる場所に気持ちを高ぶらせながら見て回って。

「わ、あれってもしかして!?……ええっと。お姉さん、何してるの?」

人も少なく、思う存分泳ごうと思ったところで、見つけた先客は遠目には溺れているように見え、少年は少し慌てて走り寄った。
そして近づいていくと、そんなに水位のない場所だとわかり、そこで奇怪にも見える動きをしている相手へ、きょとんとした表情を浮かべて小首を傾げた。

イルミ > 「か、か、顔を水につけるだけだから…顔を洗うのとおなじだからっ……わっぷぁ!?」

どうしても肩から上を水に浸ける踏ん切りがつかないでいたところにいきなり声をかけられて、驚きのあまりひっくり返りそうになった(胸下まである水位のおかげでそうはならなかったけれど)。振り返ってみれば、そこにいたのは自分よりいくらか年下そうな少年で、

「あっ、あの……え、えっと、別に何も……おっ、おかまいなく……」

いくら男性恐怖症の自分でも子供相手にそう怖がりはしない……しないが、とても情けないところを見られたことに気づいて顔が赤くなった。その表情を見られたくなくてあわてて顔をそらす。

ジア > 「あ、ボクはジアって…うわわ!?だ、大丈夫!?」

声をかけた相手に少年は続けて名乗ろうとしたが、相手が驚きながら水面を波立たせていくと、それにやっぱり溺れたのかと思い、自分もプールに入ろうとする。
結果として支える必要がある程相手が転んだりということもなく、少年が間近へ近づいていくことになるだけだったが。

「もしかして、お姉さん泳げ…泳ぎの練習にきたの?それにしてはその…結構思い切ってるよね」

プールの中に入りながら、慌てていた相手へうっかりと口から出かけたドストレートな指摘を飲み込み、多少含んだ言葉で問いかける。
そうして顔を赤くしている相手に近づいていけば、その体つきからすると非常に攻めたデザインの水着に気づいてしまい、少し気まずそうにしながらも視線を逸らす相手に対してその胸元を視線で追ってしまっていて。

イルミ > 「あ……わ、私は、イルミって言います……その、う、うん……でもこの水着は……」

まさかこんな子供(というほどには幼くないのかもしれないけれど)からこの水着のことを指摘されるとは思っていなくて、ますます顔は熱くなる。幸い向こうもこちらの顔を見ようとはしていないようだが、

「あ、サイズの合うものがなくって……しかたなく……」

嘘は言っていない。サイズが合う水着がないのも、この水着をしかたなく着けているのも本当だ。ただ……この水着もサイズが全く合ってないというだけで。

ジア > 「うん、イルミお姉さんだね。よろしくね」

慌てていた相手の名前を聞けば、少年はニコリと笑いかけていく。そうして普段から教え込まれている礼儀としての挨拶はしっかりしながらも、あまり積極的には見えない素振りからは想像できない水着に時折視線を誘導されてしまっていた。

「そっか、なら仕方ないよね。ボクでよかったら、多少は泳ぎ方も教えられそうだけど…なんだか顔赤いけど、体調悪かったりしない?」

少年も懐事情から種類こそ多彩にあっても一番安物を使わざるを得なかったことから、説明には納得したように頷いていく。そして泳ぎに話を戻していき、その肢体に目を奪われていたことで相手の顔色に遅れて気づき、視線を逸らしてる相手の方へとそそくさと移動しながら、その顔を覗き込もうとするだろう。

イルミ > 「あ、いやっ、その……わ、私は大丈夫だから……」

非常にまずいことになった。彼が心配してくれているのは素直にうれしいし、怖いとも思わないのだけど、それがよくない。怖いと拒絶することすら出来ない『オス』が目の前にいるというだけでもこちらとしては手詰まりに近いのに、それが心配して顔を覗き込もうとしてくる。しかも、こちらの身体にも興味がないわけではなさそうとなると、

「……っ、う……」

離れて、と言っても手遅れだろう、目をそらしながら、抑えきれないピンク色の魔力が溢れてしまう。サキュバス固有の魅了の魔術の原始的な表れ方、発情の魔法だ。それをなんとか抑えようと身じろぎすると、そのポーズは何故か恥じらいながら胸を強調するようなものになる。