2023/05/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──ある日の夜。
男は人気の少ない夜道を、傍らにいる女性に肩を貸しながらえっちらおっちらと歩いていた。
傍らの女性はだいぶ酒に酔っているようで、殆ど男にぶら下がるようにしながら千鳥足でなんとか歩を進めている。

「……こう激しく酔っ払ってしまってはもつわけもない。とりあえずここに入って休もうず」

ちらりと女性を横目に見遣り、その酔い具合を見て苦笑を漏らす男。
度を越して飲みまくったのか、あるいは極端にアルコールに弱かったのか、それとも何か他の要因か──それはまあさておき。
男は安宿の前で一度足を止めると女性にそう提案し、返事を待たずにその中へと入り込んでいって。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にカジャさんが現れました。
カジャ > ――擬態、獲物に近しいモノとなり混ざり溶け込むモノ、獲物と同じ姿且つ庇護欲を誘うモノ、あるいは獲物と同じ姿で獲物を挑発し誘うモノ、諸々。

擬態には色々と理由や手法などがあるが、カジャと呼ばれる呪詛の塊が擬態したのは獲物と同じ姿となり溶け込むモノに加えて、年齢の若い雄に擬態する事で庇護欲を誘い獲物の警戒心を下げる為の擬態である。

即ち、擬態は擬態でも『疑似餌』。
ボロボロのローブをまとう小柄な少年の姿となる事で、油断と庇護欲を誘い、無用心に油断して近づいてきた獲物を喰らう為の姿だ。

狩場も王都マグメールの貧民地区を選んだ。
今のこの姿も貧民地区に存在しても違和感が無い姿。

どこかで拾ったボロボロのローブを着込み、擬態した顔も体も隠し、ぽつんと一人で貧民地区の路地を当て所なく彷徨う。

それは王都の貧民地区では然程珍しくない光景である。
だからそれが何かまで誰も見ようとはしない、それが何かまで警戒はしない、それを知ってか知らずか警戒をせずに貧民地区の路地を歩いている。

カジャ > 浮浪者か孤児院から逃げ出した者か。
その程度では貧民地区の住人達のほとんどは声もかけず、目もくれない、奇異の視線もなく、獲物としても価値がないと一目でわかる姿に興味を持つ者は皆無だ。

極稀に見回りの者や炊き出しをする者が貧民地区に訪れることもあるだろう、そうなればこの風貌にきをかける者もいるだろうし、声をかける者もでて来るが、今のところその気配もない。

擬態、疑似餌。
少年の姿をした呪詛の塊は稀有な存在をまっている。
声をかけられ手を取られれば、掴み返して左眼の蛇と酷似した瞳で相手の心に滑り込もう、逆にその手に爪を立てて傷口をつくり、逃げ出したところを追うこともできる。
――…一番はその首筋に牙をつきたてて毒を流す事。

フードの奥底で感情の起伏が希薄な貌を一瞬だけ無邪気な、しかしおぞましい程に醜悪な笑みを浮かべる。

人型となったカジャは思考も行動パターンも人に似る所為か、そうした妄想や想像すらも可能で、何事も無ければ狩猟方法などを考えながら、時々そうやって醜く嗤うのだった。

そのまま貧民地区への闇に消えていく。
犠牲者がでたとか出ていないとかそんな噂は流れない
何故なら貧民地区では良くあることだろうから……。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からカジャさんが去りました。