2020/08/06 のログ
サチ > 「ご立派になられたらまたお姿見せて下さいな。
是非お祝いしましょ」
気恥ずかしそうな様子はまだまだ可愛らしいものだったが、いつか立派に成長した姿が見れたらきっと感慨深いものがあるのだろうと感じて。人は成人した暁には祝うものだから、そうなったらお祝いしようと。
「変なんですか? ふーん…まあお金持ちには変わり者も多いって言いますしね。
良くしてくれてるなら私も嬉しいです。何か困った事があれば相談して下さいね」
及ばずながら相談くらいには乗ります、とすっかりお姉さん気分でどん、と胸を叩いてお節介して。
よく冷えた桃の香り高い飲み物を口に運ぶ様子にいきなり飲むと噎せますよーと一応注意して。
こちらも冷えた牛乳をゆっくり傾けつつ。
「ん? 字、ですか? 親がいた頃には手習いもしてましたし、教会の日曜学校にも行ってましたのでそこで。
ジーゴ君はご主人様に習ってはいかがです?」
日曜学校に通うには少し年かさにも見えるし、ミレー族となると偏見もあり居ずらいかも知れない。
いい主人なら簡単な勉強くらい見てくれるのでは、と首を捻りつつ。
そこら辺に落ちていた街路樹の小枝を拾うと、片手でカップを持ったまま屈んで地面に、「これが1、でこれが2…」と数字を書いていき。

ジーゴ(番号215642) > 「背はこれくらいになるから、そうなったらお祝いね」
頭の上に手をのばした。
目一杯伸ばした手まで背が伸びるかは分からないけれど。

「ご主人様、やさしいから大丈夫」
今は特に悩みはない。
なぜ、主人が自分に優しくするのがわからなくて、困ることがある程度だ。
主人のことを思い出すだけで、自ずと口角が上がる。

「むせないよー」
桃のとろりとした飲み物にもむせること無く
喉の渇きに任せて、簡単に飲み干してしまうと、
コップをその辺において


「きょうかいがっこーか。ご主人様にはあんまりじゃまにならないようにしたくて…」
頼めば教えてくれるだろうし、頼まなくても教えてくれようと思っているようだけれど。
負担をかけすぎると、捨てられるかもしれないと、漠然とした不安を持っている彼は、主人に頼ることをあまり好まない。

「お前、もう親いないの?しんだ?」
親の話をしたときの言葉づかいが過去形だったから
思わず尋ねた。
親がいなくなるのはきっと悲しいことだと思うのに
思わず聞いてしまって、気まずそうに視線をそらす。

「いち…に…さん?」
同じように拾った小枝で、相手が書く数字を真似する。
6は曲がる方向を間違えるし、9も棒が伸びる方が間違っている。
10を越えた頃には、真似する手が完全に止まる。
「じゅういち?」
両手の指の数以上数えられない少年はもう一度、1から順番に数え始めて、10まで数え終わってから。
「じゅうの次がじゅういち?」
先が長いことが思いやられる質問をした。

サチ > 「なるほどー。それは楽しみです。全力で祝っちゃいましょう」
先立つものがないので大した事は出来ないかも知れないが気概は存分にあり。
このくらいー、と彼と同じ位置で手を伸ばして。
「そっかぁ……いいですねえ。私もいっそ欲しいくらいですねえ」
不自由ない様に食べさせてくれる主人、若干羨ましい。そうなったら楽かもーとぽんわりと思いを馳せ。
私じゃ無理かーと我に返って額をぽかっと叩くおとぼけ具合。
すぐにカップを空にしてしまうそちらとは対照的にゆっくりマイペースに飲み。
「そうですかぁ。それなら日曜学校に行ってもいいかも知れません。ただ、もしそうじゃなくても信者の態でいないとなりませんが」
ふむ、と主人思いの様子に顎に手を当てて考え込むように首を捻り。
「私の親ですか? さあ……死んだかも知れませんねえ。どこにいるか判んないんですよ」
気まずそうな相手とは違ってあっけらかんと苦笑しながら頬を掻き。親がいないと言うのはお互い様なのではないかとも感じ。
「1は簡単でしょ? えっと、6はこう、で9はこう……9のうにょーんが下で、6のうにょーんは上ですよー」
伸ばす箇所をうにょーんと可笑しな表現で説明して。
11、12と続けて書き。
「そうそう、じゅういち、じゅうに、じゅうさん……19までいったら次は20です。数字が読めたら計算もできる様になりますし、時計も読めますからね。字よりは簡単ですから」
弟ってこんな感じなのかなーとほのぼのした心境で説明しながら、100までいけるかな?と地面に一杯数字を書き出して。

ジーゴ(番号215642) > 「ほんとにご主人様ほしいの?奴隷になるのはやめたほうがいいよ?いたいし、こわいよ?」
相手のおとぼけ具合とは裏腹に、真面目な声色。
主人次第では奴隷は酷い目にあわされる。
相手を真面目に心配して。

「ん…かみさまかぁ」
宗教のことは全くと言っていいほどわからない。
この国で多くの人が信仰している宗教だったとしても
奴隷から生まれた奴隷にまでは浸透していない。
教会学校に馴染めるかなぁ、と首を傾げた。

「どっかいっちゃったの…」
親が子どもを置いてどこかに行ってしまう事情はわからないけれど。それはきっと悲しい事だと思うから、声は沈痛なもの。
「オレはね、親はもとからいないからよくわかんないけど」
なにも、無から生まれたわけではないから
親はいるはずだけど。親の顔も親の声も何も知らない。


「うにょーん」
相手の言葉に軽く噴き出すと、真似をしてみる。
9と6はとりあえず書けるようにと何回も地面で練習して。
「ひゃく?」
とにかく相手の真似をして、数字を書き並べて。
理解したか理解していないかはともかく、100まで書くことにはかなりの時間をかけて成功する。

「できた!ひゃく!」
ずいぶん時間をかけてようやく、周囲の地面を数字でいっぱいにした。
その頃には既に小さく欠伸を漏らして、眠い目をこする。

サチ > 「や、そっちじゃなくですね……?」
奴隷の方じゃないです、と真面に受け取る様子にふる、と首を振って。
何だか最初の頃より随分優しい子になったなあと感じ。
ご主人効果恐るべしと感じ入っていた。
「神様の事が分からなければまず、それを教えてくれますから行くのはいいかも知れませんね。
でも、耳とかは隠した方が穏便に済むかも知れません」
色んな育ちの子供が集まるので勿論虐めっ子だっている。ミレー族はほぼ見ないので浮いてしまうだろうから一応アドバイスを。
「どっか行くだけなら別に良かったんですけどね……フフ。ひょっこり帰ってきたら私きっとはっ倒す」
全然切ない話とかじゃないですよー、と声が沈んでしまったので、いい子いい子と頭を撫でつつ不穏な科白。
「ご両親はいらっしゃらなかったんですね……一人で頑張ってきて偉いです」
さらにいい子いい子と撫でなでなで。
「っふふ。大分覚えましたねー!
忘れない様に繰り返すといいですよ。なるべく使ってれば自然と覚えますから」
時間はかかったが百までいくと、ぱちぱちぱちと拍手をして、数字がまるで模様の様に周囲に書き出されている光景を見下ろし。書きながら飲み終わっていたカップを潰して彼のと一緒に棄てに行くと。
おねむな仕草に手を差し出して、
「さて、遅くなっちゃいましたね。ご主人様が心配しているといけないので早く帰りましょ」
促すとそこから帰路へ着こうか。

ジーゴ(番号215642) > 「オオカミの耳かっこいいでしょ!だからあんまり隠したくない」
あとまぁ、帽子持ってないし、付け足される言葉。
ミレーとして差別されてきたなかで、狼はかっこいいと自分に言い聞かせることで、
生き延びてきた少年はミレーの特長を隠すことはあまり好まない。

「ふーん」
あまり相手の家庭の事情が分からなくて、返す言葉に困った。
「奴隷からうまれた奴隷には親はいないんだよ」
えらいと、かけられる言葉ににっこり。
頭を撫でられると、心地よさからご機嫌になって。

「かえろ」
差し出された手を握ってしまうくらいにはまだ幼くて。
道が分かれる途中まで一緒に帰って行くだろう。
今までは相手と別れてからも貧民街の地面を適当に寝床にしていたけれど
今はもう帰るべき場所があることが嬉しくて、まるでスキップするように帰路について

サチ > 「そうですねえ……」
丸だしとなると差別意識が強いので心配だが、虐められないといいがと祈るばかり。
なるべく人目に付く様な場所にいれば大丈夫だろうかと。
苦労しますねえ、と屈託なく笑って言う声によしよしよし、とやたら撫でくり回したい気持ちになって手をわしゃわしゃさせ。髪を乱してしまったので、最後は撫でつけて。
「えーと、今は一時半近くです……」
そして姉弟の様に手を繋いで別れ道までの帰途を辿り。
途中で時計が見えると、指差して時計の見方も少し話し。
やがておやすみなさい、と軽やかな足取りで家に帰る少年と別れ。
すっかり性格も穏やかになって心身共に豊かになった姿をほっこりして見送った。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からサチさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からジーゴ(番号215642)さんが去りました。