2020/08/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にサチさんが現れました。
サチ > 「や、ちょ……あっ! 放して、放して下さい……!!」
賑わう繁華街から一本裏に入っただけでぐっと人気が薄くなり、代わりに一層ヤバイ空気が澱んだ様に漂っていた。
近道とは言え、早めに抜けてしまおうと急ぎ足になっていたが、それも一歩遅かったらしく、その辺を獲物を物色するかの様にうろついていたゴロツキに速やかに出くわしてしまった。
路地の奥に引っ張り込まれかけて手首をつかまれ、そんなものに応じられる訳もなく当然の抵抗。
声高に拒否して振り払おうとするが、そう簡単には行かない。
嫌がる女と強引な手に出る男、と言うこの辺りでは全く珍しくない、と言うか完全に見慣れた一幕。
「い、やです、って……は、放さないと、殴っちゃいますよ……!?」
人気のない薄暗い路地の真ん中。
男をき、と睨みつけて全然迫力の足りない凄みを見せるが、何の効果もない。
言う前にとっとと殴る蹴るの先制を仕掛けた方が余程賢かっただろうが。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にジーゴ(番号215642)さんが現れました。
ジーゴ(番号215642) > 貧民街の奥。治安は随分いまいちなエリア。
少し遠くから聞こえる見知った声、それも穏やかじゃない言葉にに耳をそばだてて。
握りしめるのはその辺で拾った酒瓶。

かなり近くまでたどり着けば、足音を殺して忍び寄る。
狼のようにしなやかな脚でゴロツキの背後に近寄って。
「その人、オレのなんですけど」
突然発した、問題含みの言葉。

突然の言葉に、振り向いたゴロツキを、手にした酒瓶で目一杯殴る。
そこまで強くない少年の腕力でも、不意打ちであればなんとか。
ふらつきながらもゴロツキがこちらに反撃を加えようとすると、
それはなんとかギリギリのところで回避して。

「逃げられる?」
見知った相手にかけた言葉。
何より逃げ出さないと自分の身が危うい。
相手の返事を待つ間もなく、後ろを向いてゴロツキを背に駆け出そうとして。

サチ > このままでは本当に連れ込まれてしまう。タダでは済まない事になる。
強硬手段に打って出るしかない……。
マジで殴ろう、ここは景気よく全力で一発カマしてやろう。余裕があったらボコボコにしてやろう、と意を決したその時。
「――――へ……?」
どご、とガラスと人体のぶつかり合う鈍い音が響き、男の背後から会心の一撃を加えた姿を目の当たりにして目を大きく見開き。
「いつから……?! あ、あぶな――ッ」
しれっと所有権を勝手に主張する言葉に突っ込みかけたが、男の反撃を受ける様子に声を発しかけたが、すれすれでかわして、声を掛けられると。
ハッと我に返ったかの様に慌てて頷いて。
「よし来たスタコラ…!」
せっかく作ってくれた隙を無駄にはすまいと、殴られて男がよろけている内にとこっちもその場から猛ダッシュ開始。
駆け出す少年を追いかける様に地を蹴って。
待て、と発される怒号を振り切って、そのまま走って、無茶苦茶走って。
声も遠く届かない距離まで逃げ切ると、はあはあと息を荒げて脇腹を抑え。
「も、もー…いい、です、かね……?」

ジーゴ(番号215642) > 走って、走って、走って、走って。
ようやく止まった頃には呼吸音が裏路地に響くんじゃないか、という荒さになっている。
地面にへたり込んで、荒い呼吸を繰り返した。
一瞬だけであれば、早くも走れるけれど、まだまだ体力の伴わない少年はひどく疲れていて。


「オレまで……にげなきゃだめになったじゃん」
勝手に助けておきながら、適当なことを言った。
まだ、ゼイゼイと荒い呼吸。

「大丈夫だった?まだなにもされてない?」
呼吸が少し落ち着き始めてようやく、相手のことを心配するかのように声をかけると
立ちあがって、地面にへたり込んで付いた汚れをはらった。
以前より相手との身長差は縮まっているようで、不安そうに相手をのぞき込む獣の瞳の位置が近い。

サチ > 「っは、はーぁ……超走ったー……」
完全に振り切ったと思われた所で、ぜーぜー言いながら壁に片手をついて前屈み気味に片手を心臓に当てていたが。
その自分以上にへばっている様子に、気づくとあわわと慌てて。
「あ、あ、大丈夫ですか? 済みません……」
へたり込んでいた相手が覗き込んでくると、うんうんと首肯して見せ。
「全っ然大丈夫です! お蔭様で! 助かっちゃいました」
にこーと能天気に笑いかけては、そのままぎゅ、とお礼のハグ。一度両手を回して抱き締めると。
「……ん? なんかちょっとでかくなりました……?」
前よりも少し体格に変化がある様に感じてその肩に手を置く様な姿勢で小首を傾げた。

ジーゴ(番号215642) > 「大丈夫ならよかっ……!」
突然のハグに驚いて言葉が止まる。
なされるがままにハグもされているけれど、体は緊張してぴたり、と止まった。
驚いて、獣の瞳は丸く、耳は大きくピンと上に伸びた。

「あ…、メシちゃんと食えるようになったから。運動もしてるし」
身長だけではなく、ハグで触ったであろう胴体が少し分厚くなったことにも気がついただろうか。

「あのね、オレね……ご主人様に買われたの。で、名前も付けてもらったの。だからちょっと背が伸びた」
たどたどしく、始まる近況報告。
ご主人様に買われたから、ご飯がいっぱい食べられるようになって、背が伸びたこと、寝食には困っていないこと、
ご主人様に自分を買った代金を払わないといけないから、忙しいこと、大きくなるために運動も始めたこと。
色々なことを、少ない語彙力の中でなんとか説明しようと懸命に話して。

サチ > 「あ、済みません、つい……」
突然ハグったものだから驚かれている。そりゃそうだ。
遅れて納得すると、後頭部に手を当てて苦笑しながらお詫びして。
それから続くご報告にふんふんと相槌を打ちながら耳を傾けて。
「ほー。そうなんですかあ。なるほどです。良かったですねえ。
うん、ちょっと太ったみたいで。
もっとおっきくなんないといけませんものね」
にこにこと話を聞くと、そう言いながらまた手を伸ばしてわしゃわしゃ頭を撫でまわしにかかり。
「で、なんというお名前になったんですか?
あ、そうだ、些少ですがさっき助けてもらったお礼に……」
と、お金が必要な事が会話から分かったのでごそごそとポケットを探るとコインを数枚取り出して。どうぞ、とその手に握らせようとした。50ゴルド程だったがなけなしの。

ジーゴ(番号215642) > 「つよくならないといけないってご主人様が言うから」
主の意図は、ミレー族はただでさえも生き延びづらいから
ある程度の自衛能力を身につけないといけないという趣旨のもの。
最近始めた運動の成果は出ているようで、少しずつ細かった四肢にも筋肉がつき始めている。

「ジーゴだよ」
まだ手にして間もない名前。
自己紹介をしながら照れて、赤くなった。
前は自己紹介するための名前さえ持っていなかったから、
名前を付けてもらったこと自体が嬉しい。

「あ、」
差し出されたコイン。受けとるかどうかの一瞬の葛藤。
前会ったとき、相手もあまりお金持ってなかったことを思い出して。しばらく黙り込むけれど

「いらないよ。おかね欲しくて助けたわけじゃない」
なんとか出した結論。
小さく笑って、お礼を断った。
頭を撫でられるのは、なされるがままに。
獣の毛も今までよりも心なしかつややか。

「オレ、家族とかいなくてだれかと暮らしたこともないから色々初めてなんだけど、ご主人様にご飯つくったりとかしてるんだ」
今までとは大きく変わった生活を大変ながらも楽しんでいることを懸命に伝えて、

サチ > 「そうですね、男の子ですし強い方がいいです」
うむうむと大きく首肯して。
特に深い意図で同意した訳ではないが一般論としてそうだろうと。
短い間に随分立派に…と思わず目頭を「よよよ」と抑え。
「ジーゴ君。いいお名前ですね。そう呼びます」
生活が安定しているお蔭で以前よりも精神的にも豊かになった様に見える。
照れる様子を微笑まし気に見やり。
そして、お礼として渡したコインを逡巡ののちに遠慮する様子にぱたり、と目を瞬いて。
「え!? ええぇ!?」
驚いてずさ、と後ずさった。誰アナタ!みたいな別人を見る様な目つきになっていたが。
「ほ、ほんとに要らないん、ですか……?」
全力で驚愕しつつも、本当に心も豊かになったらしいと察してはコインをポケットに戻し。
触れた毛並みも随分艶やかになった事や嬉しそうに話す言葉に自然と表情を綻ばせ。
「そうですか……良かった、幸せそうで。
じゃあ――喉も渇いた所ですし、ジュースでも奢りますよ、ね?」
せめてそのくらいは、とまだやっているスタンドか何かを求めて歩きだしつつ。

ジーゴ(番号215642) > 「大きくなるし、強くなるよ」
相手の言葉に頷いて。
背を伸ばすのも、四肢を強くするのも早めにやっておきたい。
ある程度の年齢になったら成長が止まってしまう気がするから。


「ジーゴはね、ご主人様が付けてくれたの」
由来は大したものではないが、ご主人様が付けてくれたというだけで大切にしている。

「オレも、最近はちゃんとかせいでるから」
相手の驚きに、はにかんで笑ってみせるけれど
そういう程は稼ぎは良くない。ミレーの労働力はそこまで高くは売れない。
ただ、主がとりあえずの寝食を保障してくれていることが
心の安定に繋がっている。
相手だって生活に困っているんだろうな、という想像力のほうがお金を欲しい気持ちに勝った。

「ジュースのむ!桃ジュース!」
それでも食欲には引き続き素直。
季節もので、安くはないジュースを思わずリクエストして。相手を追いかけるように、歩き出す。

サチ > 「頑張って下さい、陰ながら応援してますよ!」
ファイトー、と笑顔で拳を振り上げながら声援を送り。
きっとその内もっと手足も伸びて肩幅も広くなって立派な男子となるだろう。
それをまた見れるのを楽しみに。
「そうなんですねぇ。
いいご主人様がいらっしゃるようで何よりです。きっとこれまで頑張ってきたからいい事あったんですよ」
気分はもう身内。うんうんと微笑まし気。はにかんで稼いでいると語る声にどこか頼もしさを感じながら。
「頑張ってるんですね。じゃあ、きっとすぐにお金持ちになりますよ。
――あー、いいですねえ桃……あっちの方ならこの時間でもやってますかね」
こく、とリクエストに頷きながら、夜半でも皓々と灯りの落ちない賑やかなエリアへと移動して。
やがて、貧民街のちょっとした広場となっている場所まで来ると、いくつか飲食の露店もやっていて。
ソフトドリンクから酒類まで飲み物を売るスタンドを見つけると、
「桃の…ありますか? あ、ピーチネクター? はい、それで……後、アイスミルクお願いします」
少年にネクターと自分用にちょっと迷いながら安価なミルクを注文して。
やがて木の皮を円錐形に巻いて作った簡易なカップに注がれた飲み物を代金と引き換えに受け取り。
「はいどうぞー。あそこで飲みましょうか」
ピーチネクターを手渡しつつ広場の片隅のベンチ状になっている花壇の縁を示して。

ジーゴ(番号215642) > 「ありがとう」
応援が嬉しくて、でも少し恥ずかしくて。
小さな声でお礼を言った。
もうしばらくすると、背はまたにょっきり伸びて
遅れていた成長を取り戻すだろう。

「ご主人様、たぶんいい人。ちょっと変な人」
面倒を見てもらっているし、奴隷としてはかなり丁寧に扱ってもらっている自覚はある。
特に価値が高いわけではない奴隷をわざわざ買い求める点では少し物好きかもしれない主人のことを話す少年の顔はほころんで。

貧民街の中でも比較的治安が良いエリア。
飲み物の露天にたどり着いて、無事に飲み物を受けとると
「もも!」
喜びの声を漏らした。

花壇の縁に腰掛けると、買ってもらった飲み物を口に運ぶ。
思えばもうすっかり暑い季節だ。
その上、さっき走った後の乾いた体にジュースが染み渡る。

「お前って文字よめるの?どうやっておぼえた?」
最近の悩みは文字の読み書きができないこと。
文字が読めないと求人の広告が読めないし
市場でも数字が読めないと値札が読めないし。
相手が文字の読み書きができるかはわからないが
少しでも参考になる話が聞けないか、と問うてみて。