2020/06/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にタマモさんが現れました。
タマモ > ここは王都マグメール、貧民地区のどこか。
人の気配は疎らな、薄暗い裏通りである。
その裏通り、入り組んだ先にある、少し空けた場所。
少女の姿は、そこにあった。

「………ふむ、相も変わらずと言うか…よぅ頑張るのぅ」

少し離れた場所から、交わされる会話が聞こえる。
それは複数で、そんな会話と共に、慌しく駆ける音も混じっていた。
まぁ、この王都で散歩をしていれば、たまに起こる事だ。

己の捕獲で出る、報奨金狙いの冒険者達。
いつものように、軽く遊びで逃げ回り、追い詰められたふりをする。
後は、適当な頃合で、結界の中に閉じ込めれば良し。
駆けても駆けても抜け出せぬ、無間の法。
疲れ切るまで駆けて貰い、その後で解放してやるのだ。

たまに、中に楽しめそうな相手がいれば、この場所に誘い出す。
とは言え、今回は、そんな相手が居ただろうか?
そんな事を考えながら、軽く視線を夜空に向ける。
一応、この結界、少女独自のものだ。
相手に出来そうなものは、抜け出せ、己の前に。
そうでないものは、飽きるまで抜け出せない。

使えると言えば使えるし、使えないと言えば使えない。
式にこれを伝えたら、まず間違いなく、突っ込まれるだろう術であった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にロゴスさんが現れました。
ロゴス > 薄暗い路地裏に、輝板によって黄と青の双眸が爛々と輝く。
裏通りに影を落とすように立っているのは、まだ稚気さえ感じさせるミレー族の若者。
しかし大振りな剣や、金縁の盾や鎧は、彼が冒険者であるということを如実に示していた。

「……………………」

少女が潜む通りに、足音が響く度に尻尾が揺れる。
彼には猫の耳と尻尾があった……ミレー族だ。
ミレー族ということを公にしている冒険者はほとんどいない。
被差別民であるミレー族にとって、それは極めて困難なことであるためだ。
しかし逆説的に、それは彼の冒険者としての実力を示す材料の一つとなっていた。

「……いるんでしょ。出てきてよ」

まだ幼さを残した、高めの声が薄暗がりに響く。

タマモ > ぴくん、少女の耳が揺れる。
その声は、明らかに他の冒険者と違う、己に語り掛けるもの。
いや、まぁ、確証はないが…
しかし、あの場での発言にしては、間違いなくおかしい。

「ふむ…」

今の段階では、その姿は見えてない。
ゆえに、少年の声とだけ分かり、その種族までは分かっていない訳だが…
まぁ、良いか、それを理解してる相手なんて、面白いじゃないか。
そう思えば、その声の主の周囲だけ、張った結界を緩めた。
他の冒険者達とは違う、進めば、己の元へと誘う道をついでに敷いて。

出て来いと言われたんだから、出て行けば良いじゃないかって?
いやいや、動くの面倒だし、とか、相手に来て貰う気満々であった。

ロゴス > 少年の黄色い目が道筋を捉える。
これは迷宮である、というのが少年の第一の所感であった。
不自然に見えないよう周囲の風景を投影し、然れど偶然出口に近づく者は自然とそこから離れるように動く。
例えるならば、並の者には知覚できないすり鉢状の空間とでも言おうか。
看破できれば、勢い良く走り抜ける要領で容易に脱せるが、気付かねばいつまでも同じ道をぐるぐると歩き回らせられる。
それが少年の前にあからさまな綻びを見せた。

「……ふーん。誘ってるんだね」

薄目をより一層薄めながら、少年は剣の柄を握りしめる。
そして、明らかに誘っていると知りながら、その道へと足を踏み入れた。
さて、鬼が出るか蛇が出るか……いや、狐なのだが。

タマモ > さて、誘いの道を歩み、出でるのは何者なのか。
それは、少年から見れば、少し進み角を曲がればすぐだった。
散々巡り巡らされた場所なのに、何ともあっけないものだろう。

そうして、角を曲がって見えるのは、少女の佇む小空間。
小空間とは言っても、小さな公園が収まる程の広さはあるが。
月明かりに照らされる、その少女の姿は、人であって人でないもの。
異国風の着物を着付け、狐の耳と尻尾を持つ、一見して同種。
しかし、すぐに違いが気付くのは、その尻尾の多さゆえか。

まぁ、こちらからも、同時に相手が見える。
何者がやって来たかは、こちらも気付くのだろうが。

「………おぉ…何者が来るかと思えば。
ミレー族ではないか、冒険者なのに?いやはや、珍しいのぅ」

その姿を見れば、明らかに冒険者風の少年。
不思議そうに、かくん?と首を傾げ、見詰めるのだった。

ロゴス > 「………これは」

道を抜け出てきた少年は、半ば眠たそうな顔をしていたが、九つの尾を持つ少女の姿を見ると目を丸くした。
ミレー族のような亜人に見えるが、彼女がそうではないとは一目でわかった。
自分達とは異なる理の中に生きる、全くの異種だ。

「たかだか女の子一人にここまで賞金を出すの? って思ったけど。
 君を見て合点がいったよ。僕にも捕まえるのは無理だね」

そう言いながら、少年は少女に向けて歩みを進めていく。
剣の柄からは手を離し、敵意の類も手放して。

「良く言われる。けど、珍しいはこっちのセリフだよ。
 魔族でも神族でもない、『人にあらざる人型』なんて初めて見た。
 人であった者や、人を超えた者なら何度か見たけど」

それが、少年が少女に抱いた所感なのであろう。
不思議そうな眼差しなのはこちらも同じ、左右で色の異なる相貌がじっと妖狐の少女を見つめていた。

タマモ > どうやら、不思議に思ったのはお互い様らしい。
己の居る広場に姿を現わす少年、その表情から察せられる。
まぁ、己の事を、少しでも理解した事までは、分からないが。
ただ、即下した判断、その呟きに少女は瞳を細めた。

「ほほぅ…何じゃ、いつもの連中と違い、理解が早いではないか。
どの冒険者?も、そうであると、面倒無くて助かるんじゃがのぅ?」

歩み寄りはするも、獲物に触れていた手が離れている。
それは、言葉の通り、己と事を構える事を止めたと見て良いだろう。
そんな様子に、うんうんと頷いてみせて。

「あー…あぁ、なるほど。
お主は、それを判断出来るたいぷ、なんじゃな?
ただ見た目を珍しい、等と言う者でないとは…」

口元に指を当て、思案する仕草。
その視線は、少年に向けられたままだが…それが、探るように上から下まで見れば、ふむ、とまた頷く。
その視線は、少年がこちらに向ける瞳、そこで止まる。
まぁ、それが何か、なんて分かるものではない。
だが、直感が、そこに要因があると感じさせたのだ。

………が、まぁ、それはそれだ。
誰がどんな力を持っているか、なんて、気にする少女ではない。
それよりも、気になるのは…
瞳を少年に向けたまま、少女自身も、また少年へと歩み寄る。
特に、今は敵意も害意もない。
単に、その姿をよく見る為に近付いた、それだけだから。

ロゴス > 少年はその裡(うち)に魂を九つ宿し、一日(ひとひ)に九回殺さなければ滅びには至らない。
しかも一度殺す度に、受けた力を上回るように力を増し、学習を行う。
それ故に己に悪意や敵意、殺意を向ける者に対しては必勝の自信があった。
しかし逆に言えば、彼は殺されなければ真価を発揮できないのだ。
少女のように逃げ回るだけのもの、殺さずに無力化できるものが自分の力量を上回っていれば、どうにもならない。

「彼我の実力差を判断できないほど、僕は半端者じゃないよ。
 君は僕よりずっと強いし、そして敵意もない。悪意、というか悪戯心は少し感じるけど。
 とにかく、僕はそういった相手は苦手なんだ」

しかし、自分の持つ力の本質を初対面でいきなり話すほど愚鈍でもない。
ただ単に『苦手だ』とだけ述べて、事を荒立てるつもりはないと語る。

「んー……魔力の流れが全然違う。僕の右眼は魔眼に似たもので、そういった力を可視化できるんだ。
 というか、魔力かどうかすら怪しいけど……まぁいいや。僕はロゴス。君は?」

話して良いものか数秒逡巡したが、この力については話すことにした。
真実を隠すには何も語らないよりも、ほんの少し真実を明るみにした方が良いと、少年は知っているのだ。
そして、こちらも少女にただならぬ力を感じているが、それを追求するつもりはなかった。
そんなことよりも、もっと価値のある質問の一つが、今行った名を問う行為。そして。

「可愛いね、君」

ふにゃり、と笑みながら少年がありのままに口にしたその事実。
少なくとも少年にとって、今はそれが最も重要であった。

タマモ > そうした意味では、確かに、少女と少年の相性は最悪だ。
少女の戦術が、殺める事でなく、まず無力化させる事だから。
まぁ、それはあくまでも、今の少女。
それと違える存在の場合は…いや、考えない方が良いだろう。

「………」

少年の言葉を聞き、少女は視線を逸らす。
強い、のはどうでも良い。
敵意、害意、それらは、確かに今は抱いてない。
が、悪戯心を突かれれば、つい反応してしまうのだ。
その言葉の真意?そんなもの、少女にしてみたら、どうでも良し、である。

「あぁ、妾は魔力とやらには疎い、よぅ分からん。
で?その、魔眼?とやらも、よく分からんが…まぁ、何らかの力が見えるんじゃな?
………?…ちなみに、それはあれか?いつでも見えるものなのか?

…おっと、名乗られて、返さぬのはあれか。
妾はタマモじゃ、覚えるも忘れるも、お主次第じゃろう」

言葉と同様に、首を傾げる少女。
とりあえず、そんなものなんだろう?みたいな感じに、問うてみた。
と、それを考えると、続いての疑問が浮かび、それも続けて問い掛けて。

と、そこに名を伝えられれば、ぽむっ、と手を打つ。
そして、いつもの名乗り文句を行うのだった。

「………もう少し、あれじゃ。
こう、な?もう少し、違う言葉があるじゃろう?ん?」

と、最後に、少年が口にする言葉。
僅かの間を置き、ぽむ、少年の肩に手を。
ずぃっと顔を寄せ、じとーっとした瞳を向ける。

褒め言葉だ、間違いなく、褒め言葉のはずだ。
だが、少女的に、納得がいかない。
微妙な拘りだ、少女は、可愛いよりも、美しいとか、美人とか、そう言われたいのだった。

ロゴス > 「なーんでそこで目を逸らすのかなー」

悪戯心を感じる、という指摘と同時に目を逸らす様に、顔を覗き込むようにする。
なお、その根拠は先程の結界である。何しろ効果の割に異様に七面倒な構造であることは、視ることができたのだ。

「うーん、もうちょっとわかりやすく言うと……こう、ビビーっと! 違うのを感じた。これでわかる?」

両手の右手と人差し指で四角形を作って、右目の前に翳しながらそう述べた。
恐らく、余計にわからないだろう。

「えー。タマモ、可愛いのに。耳も尻尾もふわふわで、すっごく綺麗だよ。
 あ、そっか。僕も可愛いって言われるより格好良いって言われる方が嬉しいから、そういうのかな?
 それじゃあ、えーっと……色気がある! ……で、いい?」

早速タマモという名前を気安く口にする。
肩に手を置かれ、ジト目を向けられても柔らかい笑みは止めず、マイペースに妖狐の少女を評価して。

タマモ > 「世の中、色々とあるものなのじゃ、うむ」

ひらひらと、誤魔化すように手を振る少女。
その言葉の端から、気にするな、と言わんばかりのもので。
まぁ、実際に図星を突かれただけ、ってのもあるが。

「ふむふむ、そうかそうか…全然分からん。
まぁ、そうしたものが分かる、じゃろう?
それだけ分かれば、十分じゃろうて」

少年の説明に、頷きながらも、さらっと分からないのを答え。
ともあれ、そうしたものなんだろうと、その程度の理解で考えるのを打ち切った。
その様子から、明らかに考えるのを面倒臭がり、放棄したのが分かるだろう。

「うむ、耳と尻尾については認めよう。
あー………そうじゃな、確かに、お主はどちらかと言えば、可愛らしく見えるのぅ。
む…?…となると、お主も、その方が良いのか?」

名を呼ばれるも、そこは、特に気にした様子はない。
むしろ、その方が気楽で良いと考えているからだ。
己の言葉に、笑みを崩さぬも、理解する言葉に満足そうに。
少年の零す考えに同意の言葉を伝えながらも、その言葉に、首を傾げ、そう問うのだ。

とは言え、こう、じーっと見ている訳だが…
実際、この装備が無ければ、まず可愛く見えてしまうものだろう。
いや、装備があっても、可愛く見えると言えば見えるのだが。

ロゴス > 「そうだねー、いろいろあるよねー」

くり、くり、と耳と尻尾を動かしながら同意をする。
何だか少年の雰囲気がどんどん緩くなっているのがわかるかもしれない。
この少年、戦闘時には尋常ならざる集中力を発揮する反面、その反動で普段はものすごーく鈍感に過ごしているのだ。

「うん、そうだね。ふあ……ぁ。難しい話は眠くなるし」

そう言いながら既に欠伸をしている。
目の前の少女は少年にとって既に驚異ではなく、もっと友好的な何かであった。

「その服も、意外と大胆な作りになってるよねー。
 横から見たら、胸とか丸見えじゃない?」

そう言いながら、ごく普通に脇の方をモロに見ようとする。
実際には胸に晒しか何かを巻いているのかもしれないが。

「んー、僕もやっぱり男だし、可愛いはどうなんだろう? って思う。
 でも、褒めてくれるのは嬉しいし、可愛いでもいいのかなー? とも思う。
 タマモは僕のこと、可愛く見える?」

じーっと見てくる様子に、こちらもじーっと見つめ返す。
やがて、交錯する視線に何かを思いついたらしく、ふにゃりと破顔した。

「僕ら、お互いに興味津々みたいだね。ね、友達にならない?
 そうすれば、相手のことをより良く知れると思うよ」

タマモ > 「そうじゃな、理解が早いと助かるのじゃ」

少年の同意に、ぽんぽんと気安く肩を叩く。
少年が、どれ程の戦力を持っているか、それは分からない。
が、正直、そんなものはどうでも良いのだ。
戦う気はそもそも無いし、堅苦しくない方が少女としてはありがたい。

「分かる、分かるぞ、小難しい話なんぞ、するだけ面倒と言うものじゃろうて」

ふっ、とどこか遠い目をしながら。
無駄に、自慢気に胸を張り、そう答える少女であった。

「うん?…あぁ、今は暑いからのぅ、袖は除いておる。
まぁ、小物をすぐ取り出せないのが欠点じゃが、暑いよりましじゃ。
………と言うか、丸見え、と言う程でも無いと思うぞ?
ほれ、ちゃんと隠れておる」

少年の指摘に、軽く手を浮かせたりしてみせる。
普段は袖があり、横から覗くも何もないのだが、今は覗けば僅かに見えるのだ。
言われて、改めて確認してみるも、やはり横からでは、横乳程度しか見えはしないようで。
ほれ、ほれ、と見せてみせ。

「むむむ…妾としては、断じて可愛い、はのぅ…
なるほど、納得出来るならば、お主は可愛いで良いのじゃな。
妾からみても、お主は可愛らしいと思うぞ?
まぁ…妾からすれば、ほとんどの者達は、可愛らしく見えるがのぅ」

腕を組み、その意見には考えるところ。
とは言え、少年自身は良いとの事で、ならば良し、と結論付けた。
そして、少年の問いには、偽る理由もないし、そう答えておいて。
もっとも、伝えた通り、少女の生は何百年どころではないのだ、そう見えてしまうのは仕方無いだろう。

「否定はしまい、友となるのも、悪くはなかろう。
良く知る、か………確かに、知ってみるのは、良さそうじゃ」

ふと、ある思い付きをし、それを伝えてくる少年。
その言葉に、くすくすと、少女は笑う。

ロゴス > 「うんうん、あれこれ言っても仕方ないことと大事なことがあるよね」

この少年の気質は、どうやらタマモとの相性が良いらしい。
こちらもタマモの持つ力にさしたる興味は持っていない。
興味があるのは、彼女の人となりだ。

「タマモもそう思う? やっぱり簡潔さは美徳だよね。
 難しい話よりも、お昼寝やバーベキューの方がよっぽど楽しいよ」

例え相手が子供であろうとわかりやすく、というのが最も難しい。
だがインテリを名乗るならそれは果たすべき徳である。
それが出来ないのなら、小難しい話なんてやめて口を噤んで頂きたいというのが少年の意見だった。

「おー、本当だ。絶妙に見えない。タマモ、いいプロポーションだねー。
 綺麗なおっぱい。えへへ、水着とか着たら、さぞや美人さんなんだろうなー」

どうやら彼も男子、色事には相応の興味があるらしい。
ほれほれと横乳を見せられれば、素直にガン見している。

「うん、じゃあタマモは……えーっと、こういうのシェンヤンでは何て言ったっけ。
 ……そう、ベッピン! 別嬪さんでどう?
 僕は、タマモの好きなように評価してくれていいよー。可愛いって思うなら、頭とか、撫でる?」

そう言って少し屈んでみせる。僕としてはタマモも撫でたいけどー等と思っているが。
とは言え、先程の様子ではあんまり喜んでくれなさそうなので自重。

「えへへ、それじゃあ僕たちは友達だね。これからよろしくね、タマモ」

そう言って少年は無邪気そうに手を差し出し、握手を求めるのであった。

タマモ > 「その通りじゃ、お主、なかなかに分かるようじゃな?」

正直、こちらとしても、とてもありがたい。
興味の有無が大きな少女にとって、この少年はやり易いのだ。
互いに、それが近いようだから。
気が付けば、まさに意気投合、みたいな?

それは、考え方も同じもの。
少年もまた、己と同じ、深く考えるのが面倒と取るタイプ。
………まぁ、第三者からすれば、何とも言えぬものだろうが。

「もちろんじゃ、この体型もまた、妾の自慢じゃからのぅ?
小さ過ぎず、大き過ぎず、それが一番じゃ!
………あぁ、まぁ、趣旨としては、それもそれで良いんじゃがな?」

羞恥心が皆無、と言う訳でもないが、希薄なのは確か。
横からのガン見も気にしないまま、腕を戻す。
が、そこから零れる言葉は、何でも食する雑食意見だった。

「………! 別嬪、そう、まさにそれじゃ!
ロゴスよ、お主はよぅ分かっておるな!
…ん?…妾の評価は、良いならば可愛いのままじゃな。
ふむ…こうしたところも、良いものじゃのぅ」

少年の言葉に、まさにそれだ、と言わんばかり。
ぱしんっ、と両手を打って、びしりと指差してみせる。
そして、続く言葉に、ふっ、と笑みを零せば…
遠慮無しに、その頭を胸元へと抱え込み、ぽむぽむと頭を撫でてやるのだ。
うん、ある意味で役得であろうか。

「うむ、宜しゅう頼むぞ、ロゴス」

と、一度身を放し、その手を握るのだ。

ロゴス > 「えへへ、褒められた。何でだろう、タマモに褒められると何だか嬉しいなー」

にこにこと笑いながら、なかなかにわかると認められたことを喜んで。
思考よりも直感を優先するタイプで、小難しい話は好まない性質の近似性もそうではあるが。
それ以上に、とても素直で言うことを良く聞くというのも、タマモとの気質と相性が良いかもしれない。
まるで姉弟のような関係性が、この短時間で築かれようとしていた。

「タマモって、自分に自信のあるタイプなんだねー。僕、そういう人は好きだよ。
 ネガティブな人は、悪いけど眠くなっちゃうから」

顔は笑顔のままだが、腕が戻されると少し尻尾がへにゃりと下がった。
もっと見ていたかったらしい。

「また褒められた、嬉しいな。えへへ、撫でてくれるの? って、わわっ!
 柔らかい……」

我が意を得たり、とばかりに手を打つ様子にこちらまで嬉しくなって。
だが、胸元に頭を抱え込まれると、笑顔が崩れて顔を赤らめるのであった。
頭を撫でられるのは想定していたが、胸の感触を肌で感じられるとは思っていなかったが故に。

「えへへ……こちらこそ、よろしくね。
 ねぇ、ギルドの話だと神出鬼没らしいけど、塒(ねぐら)とかはあるの?
 僕は、冒険者ギルドに登録してるから、そこを経由すれば居場所はすぐわかると思うよ」

顔に僅かに朱を残しつつも、しっかりと握手を返して、まずはそんな質問を。
友誼を交わした以上、連絡が全く取れないというのは、その、何だ、困るのだ。