2020/06/05 のログ
■サナ > 「逆効果だって言われたこと、きっとあるでしょう」
それでも笑いを形作れることは、不思議に思えた。
己はどうだっただろうか、彼とは異なるだろうけれど。……鏡を見る時のように、彼の瞳の揺らぎを、双眸に映す
「どうして、私は、貴方の耳をもふっているだけなのに。」
柔らかく嘯いて、数歩後ろに体が揺らぐ。壁にもたれて、相手の体重の半ばを受け止める。間に挟まる、というべきか。薄布越しに胸の膨らみが押し潰される感覚は、あるけれど。体温の高さが伝播し、煽っているのか煽られているのか分からない。耳朶の内側で小さく笑い声を立て。逃がさないよう背に触れた手を腰に下ろし、深く抱き留める。―――本気で振り払われれば、容易く逃がしてしまうのだろうけれど。
「寝床を貸して、今夜眠る場所をくれたら、やめてあげる」
小さく差し出した舌先で、反応があった場所を追うよう耳孔をぬるりと弄る。
別料金どころ、か。
■番号215642 > 「や…やめっ……やッ」
逆効果だと言われることがあるとしたらまさに今だろう。もふる手が進むと耐えられなくて声を漏らす。既に笑ってみせるような余裕はどこかへ吹き飛んでいて。
呼吸さえ段々荒くなって
「もふるから、こうなるんだろ……」
言葉の合間にふーふーと息を漏らす。肩で息をするもなんとか言葉を発して。相手の背後の壁に手をついて、体勢を立て直そうとするも。腰に伸びた手に抵抗はしない。厳密には、抵抗できない。快感からか、奴隷としての性質か、その両方かもしれないけれどなされるがままで。
「そのへんの地面……しかな…い…やめッ」
そもそも本人が宿無しの逃亡奴隷だ。寝床が欲しいのはこっちの方だが。与えられる快感をやり過ごすかのように目をつぶった瞬間に耳に舌が差し込まれる。
「んッ…」
与えられる刺激を、快感をやり過ごすことができなくなって。体を小さく震わせた。声をこれ以上上げないように下唇を噛みしめて。刺激に耐える。
徐々に体の力は抜けて、抵抗するどころか相手に重なり合うようにもたれかかってしまうだろうか。
■サナ > 「耳、弱いんだね。
………少しやりすぎちゃった気がする」
体重を完全に受け止めるには力が足りず、行き場を逃がすようにずるずると膝を折って地面に座り込む。容赦ない壁に擦れた背中が痛いけれど、バチかなって、我慢を決め込んだ。
温かい身体を留めて置ける間くらいは逃がさないように、背で腕の輪を作って囲い込み。熱を帯びた体躯に額を寄せて目を瞑る。
野宿もそれなりに慣れたもので、――――するりと眠りに落ちる気配。
■番号215642 > 「だから、やめろっていってる」
もっともな反論。ようやく解放された耳をパタリと動かした。相手と一緒に地面にへたり込んで。
刺激が止んで、ようやく理性を取り戻しつつある狼も寄せられた体をそのまま受け止めて。裏路地で身を寄せ合ったまま、一夜を過ごそうか。獣の兄弟が身を寄せ合って眠る姿とどこか似ていて。
朝方。日が昇るよりも早く、彼女が起きる前には狼の姿は消えているだろうか。報酬の硝子と一緒に。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からサナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」から番号215642さんが去りました。