2020/01/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/酒場」にサーシャ・ゼロさんが現れました。
サーシャ・ゼロ > 「おじさんこんばんわー」

喧騒に包まれる酒場の店内。
そこにまったくそぐわない明るい声とともに店の中に入ってくれば。
小走りにカウンターへ向かって店主に声を掛ける。
此方の顔を見た店主はどこか慌てた様子を見せるもののこちらは全く気にしたそぶりは見せず。

「えー、だってこの間いつでも店に遊びにおいでって言ってたじゃん」

などと店主と会話をする内容が周囲に漏れればどこかで店主が少女を抱いてその時に何か約束したことはわかるだろう。
今は不味いから、適当に飲み食いして帰ってほしいと言われれば頬を脹らませ。
不承不承といった感じでもう一人の客以外いないカウンター席に腰掛けて簡単なスープと飲み物を頼む。

この界隈では最下層の売春をやっていたり、言われればすぐに抱かせるビッチだと、ぼそぼそとほかの客がささやいているが。
そんなことは気にしたそぶりもなく置かれたスープを掬って口に運び

カイン > 「…おやま、これはまた珍しいというかなんというか」

のんびりと酒を煽っていたところにふと聞こえる声。
明らかにこの場には不釣り合いなその幼い声に、
思わず驚いた様子で視線を向けると思った通り幼い少女の姿。
目を瞬かせて小首を傾けながらも、店主の様子に肩を揺らして目を細め。

「よう、嬢ちゃん。こんな所に何の用事だい?」

漏れ聞こえてくるささやき声も含め、興味を惹かれた様子で声をかける。
ちらりと店主の方を伺いながらも、追加で酒を一つ頼みながら少女の様子をしげしげと眺め。

サーシャ・ゼロ > 「んぇ?」

野菜と肉を煮込んだスープを飲んでいたところに声を掛けられれ。
気の抜けたような声で反応すれば顔を男の方に向け。

「お手伝いの帰りにお腹が空いたから、ご飯食べよーって思ったときにおじさんのお店が近くにあったから寄ったんだよ」

口元を手の甲で拭いながら相手の質問に答える。
何を言われるのか焦る店主とは裏腹に、裏のない目で相手を見ながら笑みを浮かべ。

カイン > 「おや、こんな時間に手伝い…?そりゃまた大変だ。
 市場かなんかの仕事かい」

思い当たる職種はいくつかあるが、とりあえず当たり障りのない内容をチョイスして問いかける。
相手の物言いにはすこし驚きながらも、少女の言葉が本当かどうかと裏付けるように店主に一瞥を投げつつうなずき。

「そりゃいい子だ。んじゃ何かおごってあげよう。
 何か食べたいものでも飲みたいものでも好きに頼んでいいぜ。
 …というか、店主と知り合いかい?」

どういう方面でかはさておき、相手の言動をとりあえず素直に受けて言葉を返す。子供相手にはどうにも甘い様子。

サーシャ・ゼロ > 「ん~ん、えっとね。
 貧民地区の奥にある小屋でね、壁の穴に裸になって入っとくの。
 そうすれば数時間後に良かったら10ゴルドくらい貰えるんだよ」

自分の中で、売春紛いの事は仕事とはとらえておらず。
全く隠すそぶりも見せずに言い。

「やったー!じゃあ、お肉食べたいなー」

好きに頼めと言われれば嬉しそうに手をあげて。
奢ってくれる人と距離を取るのも失礼かなと子供ながらに考えれば相手の横に座り直し。

「おじさんと?
 うん、何度かおじさんの友達と遊んでくれたことあるからね」

一応は店主の立場を慮って何でとは言わないものの。
ここまで会話していれば容易に想像がつくだろう内容で会話しつつ。
店主に鶏ももを焼いたものを頼み

カイン > 「それは…」

相手の言葉に思わず言いよどみ、
軽く視線をさまよわせながらぽんと相手の頭を叩くように撫でようと手を伸ばし。

「体に悪そうな仕事だから風邪引かないようにしなよ?
 なるほど、そりゃまた…大変だな」

何がと言えば店主の性癖がである。
すこし呆れた様子で笑いながらも、少女が食べ物を頼むのに合わせてやってきた酒を一口煽る。

「ま、ここであったのも何かの縁だな。俺の名前はカイン、
 嬢ちゃんの名前を聞いてもいいかい?」

そう言いながらに名前を問えば緩やかに目を細めて少女の様子を上から下まで眺め。

サーシャ・ゼロ > 「私風邪ひいたことないんだよねー」

生まれながらにして魔力の一部を受け継いだ身であることも手伝い。
本人も知らないことだが感染症などにはほぼ無敵を誇る状態となっており。

「私はサーシャ。よろしくねカインお兄ちゃん」

名前を聞かれればにこやかに答え。
椅子の高さもあって脚がつかず、ぶらぶらと健康的な艶のある脚を揺らし。
相手の近くによれば、子供ながらにどこか男を誘うような甘い香りを漂わせていて。

カイン > 「そりゃいいことだ。子供は元気なのが一番、ってね。
 ああ、よろしくサーシャ。…ふむ、なるほど」

相手の様子を見れば好奇心を刺激された様子でゆっくりと目を細め、
顎に手を当ててすこし思案げである。

「ふむ、じゃあサーシャ。もし俺がサーシャと遊んでほしいって言ったらどうする?」

相手の反応を楽しむように、冗談交じりに問いかけた。
その少女の様子に応じるようにして、
店主の様子も伺ってるのは店主も似たような状態で引っかかったんだろうとの当たりをつけてのことである。
どんな反応するのかを見たいとばかり、なんとも意地が悪い。

サーシャ・ゼロ > 「ん?お兄さんが?」

相手が思案する間、届いた鶏肉をほお張っていて。
そんな中で訪ねられれば小さく首を傾げ。

「全然いいよー。
 私で遊んでもらえるの大好きだから」

と、屈託のない笑みを浮かべて承諾し。

カイン > 「ああ、興味はあるね。
 …それじゃ、マスター。店の部屋借りるよ」

少女に承諾されれば笑ってうなずき返してみせると、
サラリと店主に告げて少女に向かって手を差し出してみせ。

「ま、食べ終わるくらいまでの間は待つけどね、っと」

反対の手で残った酒を口元に運んでぐいと飲み干し、
緩く息を吐き出す。そこに色欲の色が混ざるのは今更隠す気もない様子。

サーシャ・ゼロ > 「わかった、ちょっとまってね」

そういえば残っていた料理を急いで平らげ。
皿を空にすれば椅子を降りて差し出された手を掴み。

「お待たせ!じゃあ行こう」

まるで遊びに連れてきてもらった子供のように。
相手の手を引いて案内を促し。

カイン > 「急がなくてもいいんだけどな、っと」

笑って言いながらも相手の手を軽く握り、
左右に揺らして見せて立ち上がる。
そのまま言葉にうなずいてゆっくり笑い。

「あいよ、それじゃあ行こうか。
 コケないように気をつけなよ?」

そう言葉を返す男の側も、まるで近所の子供に対するような言動である。
ある意味自然で、極端に異質とも言える光景を奇異の目で見る周囲の様子などどこ吹く風で、
二人連れ立ってその場を後にしていくことになるだろう。

サーシャ・ゼロ > 「そこまでドジじゃないもん」

椅子から下りた相手とともに、手をつないでその場を後にし。
相手の知る部屋に向かうことになるだろう

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/酒場」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/酒場」からサーシャ・ゼロさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にグライドさんが現れました。
グライド > (元はと言えば、まだ小さな娘が大きなパンを抱えて走って行くのが見えたのが始まりだ
決して治安が良いとは言えない地区、なんとなし気になって足を止めた後
子供が消えた路地の向こうで、確かに、小さく悲鳴が上がったのを聞き留めた。
駆けつけて見れば案の定、其の大きなパンを奪った数人の男と、腕を捉えられた先刻の子供。
やれやれと、若干億劫そうに溜息を零してから、止めに入ったのが数分前の事だ。

――想定外は、男達が尋常でなく物分かりと諦めが悪かった事か。)

「―――――……何人出て来るんだ、お前らはよう。」

(いつの間にか、近くに居たらしき仲間だろう連中が微妙に増えている。
最初の数人は殴り飛ばしたが、手加減をし過ぎたか、まだ立ち上がっており
――さて、此処から如何した物か。

戦場ならまだしも、都の中で殺傷沙汰は面倒が過ぎる
変に怪我をしない様に、という加減は、存外難しいモノなのだ
幸いなのは、先の子供は既に逃げ果せていると言う事なのだが
其れが逆に、「この男から毟るだけ毟り取る」と言う事になっているらしく)。

「――――やぁめとけ、怪我人が増えるだけだぞ。
パン如きで暫く寝込みたかぁねぇだろうよ。」

グライド > (傍から見たら、ごろつき共に襲われて居る一般市民、だろうか
とはいえ、所詮素人に毛が生えた程度の殴る蹴るが当たる筈も無い
痛がって居るのは囲んでいる男達の方であり、此方はピンピンしている
とっとと諦めてくれない物かと、若干面倒に為り掛けた処で
――ふと、男達が互いに目配せをし始めた。
何を、と様子を窺えば、各々が、其れまで何処かに隠し持って居た
或いはその辺の道端に落ちていた、ナイフやこん棒、或いは鉄片を刺した棒切れ等を構え始め。)

「――――……おー、おー、やる気じゃねぇか、そうかい。
パンと娘っ子逃して頭に来てんのかも知れねぇが、ソイツは愚策だぜ。」

(何せ、武器を最初に構えたのが相手の方なら――防衛するのは、正当な権利だ。
そうなれば、此方も手加減してやる義理も無い。 流石に殺すまではしなくても、だ。
そして次の言葉も待たずに、殴りかかって来る一人目の、其の一撃を屈んで躱しては

――其の、横っ面に一発、強烈な掌底を叩き込んだ。
くるん、と相手の身体が回転しながら倒れ込み
其のまま地面へ転がり、動かなくなったなら。
――死んじまった、とか、思わず呟いた仲間の一人に、僅か眉根を跳ね上げて。)

「だ阿呆、気絶させただけだ、人聞きが悪いぜ。
まぁ、暫く顎は言う事聞かねぇかも知れんがな。」

(僅かに、躊躇が生まれるのが見て取れた。
とはいえ、其れでもまだ傍目からは、多勢に無勢、に見えるやもだが)。

グライド > (明確な力の差、と言う物が見極められる位なら
もうとっくに撤退して暮れていても良い筈なのだ。
数で押せば何とかなる、という考えが一片でも存在するからこそ
中々退くに退けない状況になって居るのだろう。

――其処まで考えて、ふと、思い浮かんだ名案。
むしろ、今まで思い浮かばなかったのが不思議な位であり。
まぁ、恐らくは普段、そう言う選択を余り取らないからなのだろうけれども、兎も角。)

「―――――よし。」

(何か、決めた様に呟いてから。)

「じゃあな。」

(――その場で、くるりと後ろを向いて、元来た道を撤退して行く。
向こうが退かないのなら、此方が退けば良いだけの話。
普段撤退戦でも、殿を務める盾役だからこそ発想が無かったが
別に依頼でも戦場でも無いのだから、居座る必要とか、ないのだ。

無論、追いかけては来るだろう。 来るだろう、が
何せ今の己は鎧も盾も装備していない丸腰、逆に言えば一番軽い訳で、撒くには都合が良い
そうして、暫く走った後、後ろから追いかけて来る男達の声が聞こえなくなった辺りで、やれやれと歩みを止めては
さて、何処まで走ってきてしまったかと、辺りを見回した)。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にライカさんが現れました。
ライカ > もうそろそろ日が暮れるから今日の寝床とご飯を調達しなくてはいけない。表通りの露店は店じまいをし始めている。
商品から目が離れやすい今がねらい目だろう、と路地裏から表通りを見る。
クルクルとお腹が鳴っている。3日くらいはまともなものを食べていないと思う。今日こそは少しでも食べないといけない。
路地裏からパン屋の主人が商品から目を離すのをじっとうかがっていた。
路地裏から表通りをのぞく自分は完全に不審に見えるだろうに。

グライド > (気づけば、表通りの近くまでは辿り着いて居たらしい。
やれやれ、と、ひと悶着の終わりを確かめて、後頭部を掻きながら歩き出す
時間的にも日暮れごろ、別段何か用事が在った訳でもないが
一日が奪われた様な心地が、若干しない事も無かった。

――ふと、通りを見れば、早い店は閉まり始めている。
この時期に、そんな根を詰めて遣っている商店もあるまい
せめて、と、まだギリギリ開いているパン屋へ近付けば
並んで居たパンを二つほど選んで、買うだろう
夕食、というには少ないが、小腹を埋める位には為る
ポケットから硬貨を取り出し、店主へと渡す、そんなやり取りは
或いは、あわよくば晩御飯を掠め取ろうとする者にとっては、ねらい目、に見えるのだろうか)。

ライカ > 隙を窺っているとパン屋に客が現れて、パン屋の主人とやり取りをしている。きっと今がねらい目だと察する。
キュッと踏み込んでパン屋をめがけて人込みをすり抜けていく。どれでもいいから一つ、パンを盗まなくちゃいけない。
パン屋の隣を走って通っていくように装って、手を伸ばす。もう少しで届く、パンを取ることができたらそのまま走って逃げなくてはいけない。パンを取ることができたといっても気が抜けないので要注意していかないと。
少し緊張しつつパンに手を伸ばし…。

グライド > (――背後から、足音がする。
先刻まで追われていた故に、追い付いて来たのかと一寸耳を澄ますも
足音の尋常でない軽さに、違うなと判断した。
行きかう人とは全く違う、此方へと真っすぐに向かう駆け足
ちらりと横を振り向いて、其処に、人波を避けながら接近する小さな影を見つけては

――其の細い指先が、パンを一つ掠め取るよりも前に
其の体躯をひょいと抱え上げ、肩へと担ぐ様に載せてしまい。)

「―――よう、こんなトコで奇遇じゃねぇか。」

(――まるで、顔見知りであるかの様に声を響かせると共に
店主から、更にもう一つパンを買う。 先刻彼女が手を伸ばしかけた物を、だ。
そうして、其のまま何事も無かった様に買い物を続けたなら
早々に店先から離れて行こう――無論、少女を肩に担いだままで)。

ライカ > パンが取れる、と思った瞬間に体が宙に浮く。あっという間に誰かの肩に乗せられてしまう。そして声をかけられる。
その言葉の意味が分からず間抜けな声が出た。

「えっ…あ、キャッ…!」

抱えあげられた瞬間にフードが取れそうになってパッと頭を抑える。

「な、何…?」

自分が困惑している間に男は何事もないかのように買い物を続け、終わらせる。
その間、自分は担がれたままで。一つ分かっていたのは自分は晩御飯を盗むことに失敗したのだという事。
この男は私を離してくれない様子だ。どうやって逃げようかと思案し…

グライド > (この都で、フードを被ったままの連中は大抵訳アリだ
傷がある、ミレーである、御尋ね者である、理由は様々だろうが
この少女もまた、とっさにフードを抑えた辺り、そう言う事なのだろうと勝手に思う
先刻買ったパンのうち、一つの方を封を剥がせば、ふと、抱えた少女の眼前に掲げて。)

「――ほれ、喰いな。 痩せぎすじゃ美人が台無しだぜ、嬢ちゃん。」

(逃げようか、の算段の最中に、そんな事を。
抱えた儘離す様子は無さそうだが、もし、彼女がパンを受け取るなら
其の時にようやく、パン屋から離れた処で地面に降ろし、解放するだろう)。

ライカ > どうやって逃げようかと思案していると目の前にパンが差し出される。
さっきのパン屋さんのパンだ。腐りもしていない綺麗なパンは美味しそうで、そっと手が伸びかけたがぐっとこらえる。

「…なんで?」

食べていいと男は言う。そして美人が台無しだと。自分が美人かどうかはわからない。けどどうして私にパンをくれるのかもわからなかった。
何か裏があるのでは、と思ってしまう。

グライド > (彼女がパンを受け取らないのなら、きっと肩の上に乗ったまま
其れでも、パンは相手の眼前にずっと差し出されて居るだろう
なぜかと、何処か疑いの目で聞いてくる相手には、相手の横顔を見て。)

「あん? そりゃあ、腹減ってんのは辛いからよ。
俺も食うし、ついでだ。 変に盗むよりゃあ良いだろうよ。」

(何か特段の理由なぞない、と、あっさり。
何か仕込む暇なんて在ったかよ、と、先刻店で買ったばかりのパンをひらりと振っては。)

「気まぐれって奴だ。 怖いなら、パンだけ奪って逃げりゃいい」

(告げて、先んじて彼女を肩から降ろそう。
其の上で、パンを受け取るか否か、彼女へと選ばせて)。

ライカ > 男が盗むよりいいだろう、と言う。確かにいいのかもしれないが、と思っているとパンだけ奪って逃げてもいいと、私を降ろす。
降ろされ地面に足をつけてから男を見上げる。
気まぐれだと言っていた。なら、今受け取ってしまえば何も言われずに、無事に晩御飯にありつける。

「………」

無言のまま、パンを受け取った。
受け取ってから、男をじっと見つめる。本当に良かったのか、と。

グライド > (少女がパンを受け取るなら、ようし、と笑う。
其れから、己も又買ったパンを取り出して、彼女の目の前で包装を剥がし
其れを、一度彼女に掲げる様見せてから。)

「そういう時はな、いただきます、ってんだ。」

(余りにも、当たり前な台詞を響かせたなら。
まるで自分が手本を見せるみたいに、いただきます、なぞと一言告げてから
先んじて、己の分のパンへと嚙り付くだろう。
彼女が迷っている前で、遠慮なぞする事は無いと示す様に
自分が先んじて遠慮なく)。

ライカ > 男は笑い、いただきますと言えばいいという。
そして、もう一つパンを出して男がいただきますと言って食べ始めたのを見てパンに目を向ける。

「い、いただきます……?」

そう言ってからパンにかじりつく。
パンは今日作られたものだろう、ふわふわと柔らかい。バターが練りこまれていたのかほのかに甘い香りがして美味しかった。
美味しい、と思った瞬間にお腹がもっと欲しいとなるので夢中になってパクパクと食べた。

グライド > (少女がパンへと嚙り付く。
一度口に入れば、後は夢中になって貪る様子に、ふ、と口端を吊り上げた
当然と言えば当然だろう、随分と痩せた其の体躯で、満足に食事が採れて居るとは思えない
恐らくは、パンの一つでも栄養としては不十分だろう。
だが、パン以上に食事を突然与えたとて、其れこそ不信しか無い筈
故に、せめて、手軽なパンで留めたのだ。

もし、彼女が一つを食べ終えて、まだ欲しいとなるのなら
己が買った、もう一つの方のパンも差し出そう。
一個も二個も、己にとっては大した差じゃない。
けれど彼女にとっては、貴重な一個、になる筈なのだから。)

「よう、御前さん行く当ては?」

(そして、問うてみる。 それは純粋な質問だ。
少なくとも定住している様には見えない其の姿
何処かの施設だとかに引き取られていたりするわけではないのか、と
確かめる様に問うてから、人の流れを避けるようにして、少し、通りの端へと寄って行こう)。

ライカ > 食べ終えたころを見計らったかのように男から声をかけられる。
行く当て、と聞かれて今日の寝床のことだろうかと思っていつもの路地裏を指さす。あそこは風が入りにくくていい。

「あっちで寝る」

そう言っていると男が道の端へと行くのでついていく。これで話が終わったわけではないだろう。この間みたいに何か要求を聞かないといけない気がする。トコトコとついていく。
お腹は少し満たされたようだけど、まだクルクルとお腹はなっていた。一個もらったからそれでいいのに。

グライド > 「まぁ、一個で足りる訳もねぇな
俺が御前さん位の時なんざ、ひょろひょろだってのに何だかんだ食ってたからよ。」

(彼女には知る由も無い昔話。
相手の正確な年を知りはしないが、兎も角、空腹なのは察せる。
ほれ、と、矢張りもう一つのパンを差し出しては、道の端へと共に佇み
代わりに彼女が示した方向を示せば――路地裏、せめて風が無い、と言う程度の場所を見て
成程なぁ、と、大方予想通りだとばかりに頷いて。)

「んじゃ、もう一個だ。 嬢ちゃん、一人っ子か?
弟とか、家族は他に居るか?」

(今は彼女一人のようだが、連れ合いや、共に行動している連中はいるのか、と。
何か要求をするわけでもない、ただ、彼女の事を問いかけては
純粋に、食べている間の話し相手でも求める様に)。

ライカ > ほれ、と差し出されたもう一つのパンを見て相手を見てから受け取る。

「いただきます」

さっき教えてもらった挨拶を言ってから一口かじる。やっぱり美味しい。
もぐもぐしていると男が質問してきた。一人っ子?と言うのはよくわからなかったが、弟や家族と呼べるものはいない。首を傾げた後に横に振る。

「私はずっと一人だよ」

私の記憶の中で誰かとずっと一緒にいたことがない。もしかしたら今よりももっと小さい時は居たのかもしれないが。覚えていない。

グライド > 「なるほどな、いや、もし連れがいるんなら
ソイツにも食わせて遣らにゃ不公平かと思ってよう」

(実際、身寄りのない孤児や、浮浪児なんて珍しくも無い。
戦争によって家族をなくすだの、奴隷が主を失ってだの
今までにも様々な理由で宿の無い連中は見てきた。
だが、大人ならまだしも、子供にとって今を生き抜くのでも難しい物だ
かじっていたパンの、最後の一口を押し込んでから
暫し、ふぅむと何がしか考え込んでから。)

「……どっか、孤児院だので暮らすっつーのは考えねぇか?」

(そも、そう言う場所が在る、と言う事自体知らない可能性も在る
この独り暮らしを敢えて続けている筈も無いだろう
問いながら…とは言え、己も当てが多い訳ではない
信頼、と言うのはこの御時世、中々に貴重な物なのだ)。

ライカ > 「そっか」

なんだかこの男は奇特な人らしい。普通こんな子どもにご飯を与えたりしないだろうに。
パンの残り三分の一を名残惜しく食べながら、再度聞きなれない孤児院と言う言葉に首をかしげる。あんまり聞かない言葉だったから思い出すのに時間がかかったが、確か身寄りのない子どもたちが住んでるところ、と聞いたことがある。
そもそも私はなんでこの町をふらふらしていたんだったか…。

「孤児院、は知らないけど…私は入れないよ」

ミレー族であるからか私の耳を見るだけで追いかけてくる人がいることを思い出した。どうせどこにも安息はないのだと思っているし、今まで一人で大丈夫だったからいいかな、と思って。
この人は私にパンをくれたし、ミレーだからと言って目の色を変える人ではないかな。
そう考えて少しだけフードをめくる。

「ミレー族だもの」

ひょこひょこと動かした耳はほかの人に見られてはまずい。すぐにフードをかぶりなおして男の反応を待つ。

グライド > 「気まぐれってのは、遣るなら確りだ。
でなけりゃ、相手の為にならん事も在るからよ。」

(それでも、気まぐれには違いない。
実際の処、この子を助ける義理なぞ無いのは確かな事だ
だが、先刻のパン屋で、うっかり反射的に
盗もうとして居たのを誤魔化した時点で、己にとっては意味が在る。

孤児院、という言葉其の物に疑問符浮かべる辺り、何となく察する。
そして、相手がフードを持ち上げるなら、其の頭部に生えた人間の其れとは違う耳に
おーう、と、小さく声を響かせて納得し。)

「……確かに、此処じゃミレーは生きづれぇか。
……確か、どっかの森ン中に、ミレーの自治集落みてぇなのが在るとは聞いたが。
流石に、ソイツを探すってのも骨が折れるだろうしなあ。」

(ミレー一人、匿うと言うのも中々に難しい話だ。
何せ、見かければ人の家にまで押し入って攫おうとする連中が居るのも確かで。
其れ以降は、ミレーと言う単語を出来るだけ使わぬ様にしつつ
ふと、フードの上から相手の頭を、ぽんと撫でて。)

「――よう、ちょいと待ってな。
―――――……もし、雪だのなんだので外がヤバくなったら、この宿に行って俺様の名前を出せ。
知り合いでな、部屋が貸せなくても、夜に食堂で雑魚寝する位は許してくれるからよ。」

(ひとつ――提案めいて、問う。
中には野良が性に合っているという連中もいるから、別に無理強いする訳では無いが
この冬、一切の当てもなく彷徨うのは、確実に厳しい筈だ。
後で一言言付けてやると、ふと、懐から取り出したのは、少々古くなった羊皮紙
其処に記された、貧民地区と平民地区の境目辺りに在る宿の名前を示しては
彼女に、其の羊皮紙を渡そうか。)

「俺様はグライド、しがない傭兵って奴だ。」

ライカ > 「……そうなの?」

私にパンをくれたのは気まぐれなのだという。そういうものなのだろう。まぁ、ご飯をくれたのは嬉しかった。と、最後の一口を食べ終わる。

男は私の耳を見て察したらしい。見ても態度が変わらないのでホッとする。
そして男の話を聞いて驚く。

「ミレーのじちしゅうらく?村?があるの?」

フード越しに大きな手で頭を撫でられながら、相手を見上げる。そんなものがあるだなんて知らなかった。どんなところなんだろうか。
思案していると男が一枚の羊皮紙を差し出してきた。それを受け取って文字を見る。
文字は書けないが読もうと思えば読めるのでじっと見つめて読む。どこかで見たことのある宿の名前だ。
男はここに行けば夜に寝ることは許してくれるという。
ミレーの私が行っても大丈夫なのだろうか、と思いつつも屋根があって雨風が凌げるのは魅力的な話だった。
そして男は自分の名前をグライド、と名乗った。

「グライド…私はライカ」

グライド > 「聞いた話だ、確かめても居ねぇから、噂止まりかも知れんがな。」

(あくまで、実際に行って確かめた事は無いと伝えては。
けれど、在り得ない話では無いとも、付け足そう。
何せ、迫害されている種族が、自ら生きる土地を開拓したとて何ら不思議はない
元より己も、農夫であった頃からミレーとは普通に接して居た事も在り
この国の風土の如き偏見は然程無く。

――文字が読めねば、読んで伝えるしかあるまい。
ただ、どうやらその知識はあるようで安心しつつ。)

「ライカ、か、良い響きだぜ。
俺様も傭兵だからな、ずっと此処に居る訳じゃねぇが…
見かけたらたかりに来な、ちったぁ食わせてやる。
せめて、もうちょいと肉が付くくらいにしねぇとな。」

(くつりと、笑って、そして通りへ視線を向ける。
先刻に比べれば減った行き交う人の数
閉まった店の代わりに、今の時間なら、露店やらが始まっており。
――ふと、少女の方を一度見降ろしては。)

「……よう、ライカ。 俺様はもうちょいと出歩く心算なんだがよ。
もう少し、食べ歩きに付き合うか?」

ライカ > 「……そっかぁ…でも、あるなら行きたいな」

あるかどうかはわからない、それでもそんな噂があるのなら信じてみたいとも思う。
いつかは行ってみたい。私を受け入れてくれるかどうかはわからないけど。

「…そう?私自分のことはミレーって言う事と名前しか知らないの。
たかる…?」

聞きなれない言葉だったが相手の雰囲気からして好意的な言葉なのだろうと思う。
相手は夜になると出てくる露店を見て私に言う。
食べ歩き、という事はきっと歩きながらまだ食べるのだろう。いいのかな、一緒に行っても。

「いいの?」