2018/11/04 のログ
アルクロゥ > 相手がすぐ答えられずに困っているのを見ると、内心で面白がり意地悪く笑みを浮かべるが、それを誤魔化すように軽く咳払いする。

「美味しいもの?
生憎、いま食べられるような物は持ち合わせが……あ、いや、そう言えば有るには有るか」

言いかけで何か思い出すと、彼女の足を撫でていた片手を戻そうとするのだが、その足も一旦逃げようとして思いとどまるような素振りを見せた事に気付き、まだ手を離さない事にした。

「なんだ、物盗りかと思ったら意地悪をされていたのか。
そんな悪い子の足には、あげる物もあげられないな。
お詫びに遊び相手にでもなってくれるなら、良い物をあげても良いが……」

勿体つけた口ぶりで自分の方がよっぽど意地悪い笑みを隠し切れていない。
ゆっくりと足を撫で上げ、太ももからさらに上まで這わせようとするが、彼女の手に抑えられると動きを止めた。
そして足から手を離す代わり、逆にその手を軽く掴んで彼女を覗き込むように顔を近づけて迫る。

しかし別にすぐ害意があるわけでもなく、その間に自分の懐を探して何か見つけ、半透明に透き通った赤色の宝石かドロップのようなものを取り出して彼女の目の前で見せた。
一見すると硬そうだが、指の間でわずかに歪み弾力があるのが見て取れる。
そして微かな甘い香りを漂わせているのも分かるだろう。

サナ > 抑えた指を見ていて、表情の変化に気づかない。
咳の音を契機に視線を僅かに上げると、緩んでいた唇が結ばれるのが見えた。嘘、の気配が少しばかり。

「……だって、ただ通り過ぎて行くよりは、少し足を止めさせてみたくなったから。………なんだか、ずるいオトナの顔、してる」

手を抑えたものの、扱いかねて眉を寄せる。
動いたのは相手が先で、喉の奥で小さく、音にならない声を上げる。
閉じ合わせた太腿に、気にも留めずに伸びる手。
重ねた指に力がこもると、大して執着もなく離れていき。裾野をほんの僅かに乱されたまま、抑えた手がはがされる。

距離が近くて思わず目を瞑る。
影になったフードの奥が僅かにさらされる。
青灰の双眸が見返して、僅かに揺らいで伏せられる。

固まった体躯が、好奇心に負けるのは間もなく。
綺麗な、甘い香り。左手が触れようとのびる。

「………綺麗。美味しそう。
意地悪は、悪戯好きそうな手で相殺だと思う。
おまけにその綺麗なのをつけてくれて、……‐‐‐‐…そうだね。今夜抱き枕、に。なってくれるなら、ついていく。」

アルクロゥ > 「それなら大人は皆こんな顔をしているのではないかな」

彼女が警戒しているのを分かっていながら、その様子も面白そうに楽しんでいる。
彼女の手は知らない男に触れられても拒み切れないように見えて、それが却って男の嗜虐心を煽り、つい彼女を苛めてみたくなってしまうのだった。

せっかく一度閉じた太ももが緩み隙間が開くのを感じると、男としてはその先も期待してしまう。

「そっちは既に意地悪をした後だから、こちらだって最後まで悪戯させてくれても良いだろう?」

男が見せたものは子供が好きそうなグミのお菓子に似ていて、彼女がそういう物を食べた事があれば単なるお菓子だと思ってしまうかもしれない。
しかしその正体は媚薬のような物だった。
大して強いものではないが年頃の娘には十分な効き目で、相手に精神や感情がなければ効果はない。
不思議な相手の正体を確かめるには役立つし、ただの人間なら一晩の愉しみになってくれるだろう。

焦らす振りをしながら少しずつそのドロップを彼女の口元へと近づけていくと、やがてそれが娘の小さな唇に触れ、拒まれなければそのままさらに優しく押し込んでいく。
口の中には甘くも酔うような味と匂いが感じられ始めるだろう。

「ほら、遠慮せず食べると良い。
そしたら一緒においで。暖かい寝床は用意してやろう……枕になってもらうのはお前だがね」

そう言って、彼女の口内にドロップを含ませるとそれを舐めている間に手を引いて立たせ、肩を抱き自分のマントの中へ誘い込む。
冷たい雨に濡れていた彼女に束の間の暖かさと甘い夢を見させるように、どこかへと連れ去っていくのだった。

サナ > 「……そう、かな。……貴方がそういうのなら、そうかもね…」

緩く首を傾げて笑う。全面賛成でもないけれど、言われてみれば頷けてしまう。大人の機微に気付かずに。

「……意地悪は一言しか。ああでも、まだ足を退けてはいないかな…。
‐―――最後まで、って、」

指先につままれた、蠱惑的な赤いドロップ。
危うい匂いもするのに、与えられないとなると余計に欲しくなる。
触れた質感の思いがけない弾力に、正体を掴みきれない不可思議さを思うもの、の。薄く唇を開いて、与えられる粒を口の中へと。

ほんの少し眩暈と、水の中に潜ったかのように。
薄い膜を張ったように、相手の声が遠く感じられる。
手放せずに口の中で転がし、甘い味に満たされ、

「おいしい。これ、なあに。――――……だめ、私が枕にする…。」

よろめくようにマントの中へと。
冷たい身体に触れる腕が、体が温かいーーーー否、熱い、のか。
ふわふわと真綿の上を歩く足取りで、誘われるまま続いて歩く。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からアルクロゥさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からサナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にサナさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からサナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」にジードさんが現れました。
ジード > 貧民地区の住人たちの塒が多くある区画の一つ。
その裏通りに店を構えている露店があった。
並べられているのは傷薬類のポーションや気付け薬、病薬の類で
普段男が取り扱っている如何わしい類のものは表に出されていない。

「はい、気を付けて帰んなよ。
 …えーと、傷薬の減りが早いか。帰ったら少し作ったほうがいいな」

お世辞にも身なりが良いとは言えない子供に傷薬を手渡して
その後ろ姿を見やりながらぽつと呟く。
それなりに繁盛はしているものの、儲けの少ないものばかり取り扱っているので収益は左程でもない。

ジード > 「寒くなると山賊とかも増えるしねえ。どちらかというと傷薬の類の方がお金にはならんけど」

その分作るのに手間にもならないのは楽でいい。
頬杖を突きながら露店の内側から街並みを眺めると、
相変わらず人通りがないように見えてひょっこりと人が現れるのが散見される。
何とも不思議な光景だと妙に感心した様子を見せ。

「ま、そうでなきゃこんな入り組んだ場所には住めないか」

周りを見回せば自分の周りにも無数の路地が組み合ってるのがよく解る。
初見でくれば今でも迷いかねない。

ジード > 「今日はハズレだな。やれやれ、別の通りのいい場所を探そうか」

表側の喧騒とは裏腹に静かな路地の様子に苦笑いが浮かぶ。
これはどうにもならぬと思ったか立ち上がると手早く荷物を片づけ、
路地の向こう、繁華街へと消えていくのだった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」からジードさんが去りました。