2018/10/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」にカインさんが現れました。
■カイン > 喧騒から少し離れた場所にある貧民地区の路地の一つ。
その間を抜けるように歩いていく男の姿があった。
遠くに喧騒は聞こえれど、それに近づく気配はない。
そんな様子に少しばかり渋い表情を浮かべ。
「……こりゃあ久しぶりにアレだ。迷ったか」
ほろ酔い気分でふらふらと、酒場を出てから暫くの間歩き回っていたのだ。
不用意にそんなことをすれば日々道が増えて消えていくこの界隈、
そうなるのも至極当然であった。もうすっかり酒気は抜けている物の、
だからと行って特徴らしい特徴のないこの場所から現在位置を割り出すのは難しい。
■カイン > 「せめて目印になるようなものがあればいいんだけどなあ。
声が聞こえてくるという事は繁華街からはそう遠くないと思うのだが」
言いながら見上げる空。路地の合間から見える星空に、
後ろ頭を引っ掻いて渋い顔を浮かべる。
その気になれば壁をよじ登って上から何とかする、なんて芸当もできない事はない。
できない事はないが、それで要らない恨みを買うのも阿呆らしい。
喧騒の元まで行ければどうとでもなりそうな気もするが、
そもそも道が繋がってないこともザラにあるこの近辺では難しいのは身をもって知っている。
思案気に小首を傾けるのだった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」にイルミさんが現れました。
■イルミ > 「はぁっ、はぁっ、はぁ……」
荒い息を吐きながら、三角帽子の裏路地を駆ける。駆ける、と言ってもその脚はお世辞にも速いとは言えず、あえて擬音を付けるなら『とことこ』とか『ぽてぽて』とかそれくらいの野暮ったいもの。唯一躍動感があると言えるのは大袈裟に弾んで見せる無駄に大きな胸くらい。
「はぁ、はあ……あっ……!?」
そんな走りでも本人的には必死なもので、目の前数メートルというところに来るまで目の前に怪しげな男の影があることに気づかなかった。明らかにビックリした様子で脚を止めると、少し迷った後、おどおどしながら忍び足でその横を通り抜けようとする。この上なく挙動不審である。
■カイン > 「さて、とりあえず歩き回ってみると…ん?」
諦めた様子で首を横に振って歩きだそうとした瞬間、
見覚えのない女性が目の前に飛び出してきたと思えば慌てた様子を見せているのが見て取れた。
少しの思案のあとに自分の横を通り抜けようとする相手に興味を惹かれた様子で、
通り過ぎようとする相手の肩にポンと軽く手を置き引き留めようとし。
「まあ、待ちなってちょっと聞きたいことがあるんだが。
それとも何か急ぐ用事でもあるかい?誰かに追いかけられてるとか」
半分冗談といった様子でからかい混じりに問いかけながらなんとなしに女のやってきた方に視線を向け。
■イルミ > 「ひいっ!」
肩に手を置かれた瞬間、悲鳴を上げて飛び上がりそうになったが、なんとか堪えた。堪えたと言っても甲高い声のような何かは漏れて、肩は跳ね上がってしまったのだからもうほとんど同じなのだが。
「あっ……あっあっ、あの……ちょっと、その……迷って……」
何も後ろめたいことはない、単に急いで帰ろうと走っていたら、暗い裏路地で道に迷ってしまっただけのことだ。それを説明したいのに、慌てれば慌てるほど口は上手く回らず、視線は相手の顔を見ようとしては反らしを繰り返す。やはり挙動不審。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」にイルミさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」にイルミさんが現れました。
■カイン > 「お、っと。怖がらせるつもりはなかったんだが…そりゃあなんというか」
あわよくば道を聞こう、と思っていた腹づもりであったが残念ながらご破綻である。
少しだけバツが悪そうに女を見て肩を揺らし。
「迷ったなら、落ち着いて歩いたほうが良い。
あんまり走り回ったら余計に迷うぜ?とりあえず、
どっちからきたかって方角はわかるかい?」
大雑把でいいと問いながら挙動不審な様子を落ち着けようと笑って見せる。
■イルミ > 「あ……は、はいっ、その……すみません、ちょっと」
ひとつ断りを入れて、深呼吸をする。顔を背けて、出来るだけ匂いを吸い込まないようにして。ほんの少し、魔族の匂いを嗅いだ気がしたけれど、たぶん気のせいだろうと気にしないことにして、
「ごめんなさい、少しだけ、ビックリしただけです……ええっと」
少し落ち着いた。今度こそ顔を見ようとして、やはり目は合わせられなかったけれど、間違いなく人間の男性……そう見えた。頬が少し熱いのは走ったからだ、と自分に言い聞かせながら頭を小さく下げる。
■カイン > 「おや?」
はて、と何か引っかかるところを感じつつも微妙に顔が見えない様子に目を瞬かせつつ、
とりあえずと咳払い一つして話を切り出し。
「ま、とりあえずここから脱出するという目的は一緒なわけだ。
これもなにかの縁だし一緒にどうだいお嬢さん」
そう笑いかけながら右手を差し出して見せれば、
半ば強引に顔を覗き込んで目を合わせようとしてみせ。
「ま、最悪ココらへんの宿にでも入って一晩明かせば大体の場所も判るだろうしな」
■イルミ > 「あっ……えっ、ええと……」
とりあえず一緒に行動するというのは、防犯という点からも、単純に心細くないという点からも歓迎すべきことではあるのだけど、それでも男性と一緒にいるというのは少し不都合があった。怖い、というのももちろんあるけれど、
「っ……!」
覗き込んできた男性の目から顔を隠すように、慌てて三角帽子を目深にかぶる。悪い人ではない。それはわかっているのに、時々香ってくる魔族の匂いに胸がざわついて、顔がますます赤くなるのを感じていた。
■カイン > 「へえ…?なるほど」
女の様子に、何となく察するものがあったらしい。
伸ばした手をそのまま相手の腰に回したかと思えば、
己の方へと抱き寄せてみせると臀部を軽く撫でて見せて反応を伺い。
「ま、でも折角会ったのも何かの縁か。
宿代は都合するから、今日は二人でどこかに泊まるというのはどうかな?」
そのまま耳元で白々しく語りかけてみせた。
その誘いがどういう意味かというのを隠しもしない。
■イルミ > 「えっ?あっ、ちょっと……」
抱き寄せられると、抵抗する間もなく体がぶつかり、隠しきれない大きさの胸が彼の胸下に当たってむにゅりと形を変える。突然のことで一瞬呆然としてしまったが、お尻を撫でられる感触の前に『意味がわからない』は通るはずもなく、
「や……だっ、ダメです、ダメ……」
と言うのは口だけ。身体は彼から離れようとせず、真っ赤になった顔に嫌悪の要素はゼロ。耳元で囁かれれば、決壊するようにピンク色の魔力が溢れ出す。サキュバスに特有の、オスを発情させる低位の魅了魔法だ。
■カイン > 溢れ出る魔の気配。その正体は、何も考えずともすぐさま自分の体で察することが出来てしまう。
だがあえて抵抗することなくそれを受け入れれば、
駄目だという相手の唇を軽く自分の唇で塞いでしまいながら強めに臀部を揉み。
「それは通らないな、こんなに興奮させられた責任はとってもらわないと」
白々しく言い放ってしまえばそのまま強引に体を抱えあげ。
「名前は何ていうんだい?」
そう笑いながら問いかけてみせ、有無を言わせずあるき出そうとし。
■イルミ > 「んんっ……!」
強引なキスに身体をこわばらせたのは一瞬だけ。すぐに受け入れたように力が抜けていったのは、彼がこちらの正体に気づいて、その上で抱こうとしているということを察したからだった。羞恥心がないわけではないけれど、サキュバスの本能がそれに負けるわけもない。
「い……イルミ、です……」
大人しく抱き上げられると、初めて彼に目を合わせて、恋する乙女のような表情でぽつりと名乗った。
■カイン > 「よろしく、俺はカインだ」
そう名乗りを返して笑って見せれば、
そのまま二人連れ立って闇に消えていくことになるのだった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2/路地裏」からイルミさんが去りました。