2016/12/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にサロメさんが現れました。
■サロメ > ……悪徳な貴族の家と転々と、安娼婦のように扱われはや数週間
第七師団の副将軍であった頃の姿はもはやそこにはなく
薄汚い身体にボロ布を羽織っただけの格好で、路地の裏にその身を潜めていた
期待に応えることもできなかった
責任を果たすこともできなかった
オーギュスト将軍は見つかったのだろうか
将軍、副将、両方を欠いた師団はどうなっているのか
───それを確認する勇気もない
「…………」
焦点の定まらない、闇に堕ち込んだ瞳はただただ虚空を眺める
■サロメ >
なぜ、こんなことになってしまったのだろう
国の為に本気でこの身を窶したいと心に決め、家柄を捨てて第七師団の戸を叩き
騎士としては滅茶苦茶とも言えたあの第七師団の中で、周囲に気圧されず駆け上がり気づけば副将を任されていた
オーギュスト将軍の右腕として、時としては不利な立場にもなる師団の王城での立場を盤石となるよう尽力し、
時には、自分のその責任感を利用されることもあったが、それを乗り越えて
「(───乗り越えて?
乗り越えてどうなった?
今ここにある私の姿が、全ての答えじゃないか)」
騎士を騎士とも思わない、女を自分の欲の捌け口のような玩具としか思わない
そんな貴族ばかりが、のさばり力をつけているようなこんな国は
「(……衰退し、滅んでしまったほうが、良いのだろう)」
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にエドヴェルトさんが現れました。
■サロメ >
「(そうだ、滅べばいい──)」
王国を、王城を守ることに命をかけ尽力した我々を、
尊厳を奪い、奴隷と蔑み、剰え嘲笑するような───
この国は腐っている、守る価値もなければ
その為に剣を振るう価値もあるわけがない
瞳が、心が、暗く沈んでゆく
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にハイドリアさんが現れました。
■エドヴェルト > 酒場で食事を済ませ常宿へ戻る道すがら
不意に感じる気配に自然と警戒するような歩法を取る
悪漢や孤児と言った者が多い界隈であるから一応、慎重になりながら進んでいけば
ボロを纏った小さな背中が見え、警戒を解きながら「もし」と驚かせないように声を掛けて
「良ければこちら、如何か?
酒場で食べきれなかった物を店主に包んで貰ったのだが…」
懐から包みを取り出し背中に語りかける
背後からであったからボロを纏った人物はよく見えておらず、男か女か、ハッキリはしない
■ハイドリア > 彼女はのんびりと歩いていた。
場には似つかわしくない装いで、決して治安が良いとは言えない場所を
無人の野を歩むがごとく堂々と。
時折彼女の姿を見かけその様子から獲物と判断した愚か者が姿を現すも
軽く笑みを向けるだけで彼らは何もすることなく彼女を通していく。
ちょっとした用事で王都まで来たが…やはりつまらない。
つまらない相手ばかりでたいくつだ。
ああでもあの二人の様子を確認できたのは面白かった。
帰りに少しつまみ食いでもしようかとこの辺りに足を向けたのだけれど…
ふと前方に二つの影を見つける。
片方は確か…ああ、あの娘だ。こんな場所で会うとは思わなかった。
もう片方は…目を向けその素性に思い至ると深い笑みを残し立ち止まる。
なんとも面白い組み合わせではないか。
これからどうなるだろう。
■サロメ >
「え…? ……あ、ぁ…………ありがとう……」
声をかけられれば、緩慢な動作で振り返る
目深く被った、薄汚れたフードから除く灰色の髪と、色の落ち込んだ金色の目
その顔立ちと、か細い声から女性であることは一目でとれるであろうか
「(…こうやって施しを受けてまで、生きながらえる意味があるのかどうかは……)」
考えてみれば今日は何も口にしていなかった
僅かに香る、酒場で出されたであろう料理の香りでそれを思い出す──
■エドヴェルト > 振り返った人物が女性と判ればやや難しい表情をした
眼に生気はなく、かすかに聞こえる声に力はない…先程、確かに気配を感じたが、
感じた気配ほどの脅威は感じさせない
これであればギラついた悪漢や傭兵崩れの方が幾分マシである
「…大したものではなくて済まないのだが…
腹が減っていると、気が滅入るからな…考えも良くない方へ流れがちになるものさ」
手渡した包みの中はローストした鶏肉を挟んだサンドイッチ
常宿では食事は出ないから自分が朝食にしようか、と思っていたものだった
彼女がそれを受け取れば、何かまた気配を感じ取ったか、周辺を見渡すような素振りを見せた
■ハイドリア > 「これはこれは…思わぬ遭遇をしたわねぇ…」
場違いな声をゆっくりと響かせる。
二人が顔を向けたならそこには暗闇から歩を進める、明らかにこの場にそぐわない格好の女が一人。
扇子で口元を隠しながら貴方達を見つめる瞳には面白げな光が宿っている。
まさかこの女が記憶を読む蛇であるとは夢にも思うまい。
「片方は捨てられたおもちゃに…武人…だったかしらぁ?」
揶揄するような内容と皮肉を言の端に乗せながらゆっくりと紡ぐ。
経験上間延びした声とその容姿は多くの相手に油断を誘うことが多いが
二人はどう反応するだろう?
■サロメ >
腹が減っていると気が滅入る───
そうだろうか、そうなのかもしれないが
空腹のことなど、今の今まで忘れていた
まだ僅かに熱の残る食べ物を受取り、小さく頭を下げる
過去の彼女であったなら、
魔族戦闘のエキスパート、巧妙に隠したとしてもその存在に気づけたのかもしれないが
「………?」
新たにかけられた声に、そちらに顔を上げ、向ける
捨てられたおもちゃ
そう表現するということは…自分の存在と、これまでの境遇を知っている者なのか
「………」
無言のままそれを否定せずに、ただその目を地面へと伏せた
■エドヴェルト > 頭下げる様子に向かって軽く手を上げ、かまわない、と視線で伝えた
それよりも、誰かの視線を感じるような気がし改めて周囲を探ろうとすれば、
視線の主が暗闇より現れる
人ではないな、と気配から察するが確信を持ったのは彼女の武人、という言葉であった
「…武人、か…最近では専ら、美術商の真似事をしているがね…」
捨てられたおもちゃ、と称された彼女は視線を地に向けた
思い当たる節があるらしい。彼女への警戒を解かぬまま、さてさてどうなることか、と
苦笑しつつも成り行きに身を任せる
■ハイドリア > 「色々と楽しんでいたようだけれど…今はこの辺りに住んでいたのかしらぁ?
…ああ、貴方は私を知らなくても無理はないわねぇ」
笑い声を含ませながら男性に顔を向けた。
「先代はお元気かしらぁ?彼の事は中々気に入っていたのだけれどぉ
珍しい場所にいるものねぇ…」
さらりと相手に告げる。
彼の先代は実に実直な人物だった。
彼女からしても好人物だったけれど…
「…ああそう、亡くなったのねぇ」
答えも待たず少しだけ寂しそうな感情を言葉の階に残しながらつぶやく。
■サロメ >
「──……私は…お前達のことなど、知らない。
私の事を知っていたとしても、それは騎士であった頃の私だろう」
掠れた声で小さくそう呟き、視線を外す
立場を利用され、悪徳な貴族に考え得る限りの凌辱を受け
文字通り薄汚く穢れた彼女にもう騎士であった頃の風格は欠片も見えない
■エドヴェルト > 「…申し訳ないが、お嬢さん。俺も貴女を存じ上げない
そしてあちらのご婦人の事も残念ながら…」
現れた女の視線が此方に向けられる
口振りからするにどうやら、先代の事をしっているような雰囲気であった
「…死ぬまで潔い方でいらしたよ、あの方は…
看病させろというと、稽古は済んだのか?と怒鳴り散らすような方だった」
死んでいく私など放っておけ、とでも言いたげな様であった
と、苦笑を1つ浮かべて
■ハイドリア > 「フェリサの子飼いだったハズだけれどぉ?」
逃げ出したの?と言わんばかり。
目を背けたいような経験をあっさりと本人に思い出させるような言葉を放つ。
一方で…
「……らしいわねぇ。あの子らしいわぁ
頑固で真っすぐで……珍しくまぶしいような子だった」
くすくすと楽しそうに、けれど寂しさをにじませて一人笑い声を残す。
どちらが本当の彼女自身かは…誰にもわからないかもしれないけれど。
そして男に声をかけるだろう。
「ねーぇ?その子、私の知り合いの所有物なのよねぇ?
少し私のところで預かろうと思うのだけれどぉ…先に声をかけたのだものぉ
権利は優先してあげないとねぇ?」
優しげに、しかしそれはすでに所有物であるとがんとして言外に告げる。
それが所有物であるといわんばかりの貴族然とした口調で。
「知り合いの子だものぉ。よしみで一晩なら貸してあげるわぁ?その子のこと
…望むなら…だけれどねぇ」
■サロメ > 「………」
アダンと自分の関係を知っている
つまり、そういう立場にある人間ということなのだろう
アダンには、されることがなくなるまで弄ばれてから捨てられた
───預かる、というのも奇特なことだ、と思った
既にこれ以上穢れようがないほどに、穢れているのに
「…好きにするといい。
もう私にそんな価値が残っているとも、思わないが」
道具のように扱われることは慣れきった
命を断つ術もその気力もないから生きながらえている、それだけの状態なのだろう
■エドヴェルト > 笑いはすれどどこか、自分の育ての親を懐かしみ悲しむような声に警戒心が緩んでしまう
どこか怪しい女性ではあるのだが、真意を掴みかねるような感覚もあった
「……俺は別に。俺や貴女がどうこうする権利はないだろう?」
ボロを纏う少女はどうするつもりなのか、と視線を向ければ小さく聞こえた声に、はあ、と小さく溜息を零した
「…他人に自分の行末を任せていいならそうすれば良い
ただ、1つ言わせてくれ。世の中には自分の行末を、自分で決めることすら出来ない人間もいる、それだけだ」
かつて、幼かった頃の自分の様に
飽きれたように嘆息を零すし思いの外、つまらぬ人物であったか、と
感じた気配もどうやら自分の間違いで腕が鈍ったか、と思い
警戒して刀の鞘に掛けっぱなしであった手を離せば、好きにしろ、とそっぽを向いた
■ハイドリア > 「…まぁ今まで自由にできたのだから十分でしょぉ?」
”元”女騎士の言葉にその目がすっと細まる。
それがどのような感情だったかは本人にしか分からないかもしれないが
その目に気が付いていたなら決して愉快な感情ではなかったように思うだろう。
気力のないソレに一瞥を向けると男へと視線を戻す。
「貴方ぁ…”長くは此処には居られない”でしょぉ?
この領内では”仕事”でいる間しかいられないのだしぃ
…それにさっきの言葉でわかったでしょう?
この子にはもう自身の生末を選ぶ権利なんかないのよぉ。
言ったでしょぉ?この子はもう、”所有物”。
人としては扱われていないわぁ?」
言葉の端々に魔族として扱われる前に王都を離れるべきと含ませた言葉を放つ。
同時にそれは奴隷以下の存在であると諭すように告げた。
これでも彼女からすれば猶予を与えた、気の長い行動。
■サロメ >
他人に自分の行末を任せる?
自分の望む道などとうに奪われ潰えた
投げかけられた言葉は心には届くものの、響いたかといえばそれは
「───征く先を自分だけで決められる人間など、いるものか」
いるとすれば、この国では王族くらいだ
それ以外の者は、突出すれば叩かれ、足を引かれ、潰され、歩けなくされる
そんな国だと、この身を持って全て悟ってしまった
「……」
自由にできた?
十分?
「(………そんなことが、あるものか)」
十分になど足りない
探すべき人間も探せず、守るべきものも守れず
不満や不足ばかりが浮かび上がる
僅かに一瞥に返した抗議の視線は、少しだけ色づいて見えた
■エドヴェルト > 「正直に言えば、俺の所在はともかく、誰であろうと命あるものを所有物扱いされるのは好かんがな
貴女は俺の事を知っているようだし、その辺りの理由もわかるだろう…
そこで拗ねている女は好きにしたら良い、自分では生末も好きには出来ない、状況に抗う事も
しないでは手の施しようがない」
サンドイッチが無駄になったな、と吐き捨てるように零せばフードを被り直して
「…先代の死を悼んでくれた事には、陛下になりかわって礼を言う…感謝する」
立ち去ろうとハイドリアの脇で一瞬立ち止まり、それだけを伝えればふらり、とこの場を後にして
貧民地区の闇に消えていった
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からエドヴェルトさんが去りました。
■ハイドリア > 「下らないわねぇ…分相応だったかもしれないわぁ」
氷のような視線を向ける。内心が筒抜けとは気が付いてもいないのだろう。
それを読んで尚、そこにあるのは人間を捕食対象としか思っていないようなそんな光。
彼女は色々な意味で、人間を愛していた。
けれど眼前のそれに向ける感情に愛情は微塵もない。
ああこれもあの城に群がる多数の蒙昧共と同じか。力を、その意味を理解していない愚か者共。
その程度なら所詮、慰み物が相応しいかもしれない。
「そうねぇ…あなたの境遇からすればそうかもしれないわねぇ」
男にのんびりと言葉を返す。
「…良い男だったわぁ。
このくだらない世界で美しい物の一つとして愛していたと伝えてくれるかしらぁ?」
そのまま去っていく男の後ろ姿に向け体を傾けぽつりと投げかけた。
……
「さて…とぉ」
再び向けられるは張り付いたような笑み。
その視線は獲物をねめつけながら吟味するように全身を走った。
「貴方はどうしようかしらぁ」
誰かに尋ねるような言葉を投げる。
■サロメ > 「………」
無駄担ったな、と吐き捨てられたサンドイッチ
まだ僅かに熱の残るそれを、口に運ぶ
……美味、と感じるだけの体力はまだ残っていたらしい
生き長らえてどんな意味があるかどうかは───だが
「……どんな言葉を投げかけられても、刺さらないさ。
人であることを否定され、私はもうそれを受け入れた。
…どうされようと、抗う気力も何も、残っていないよ」
師団を守る、という意思も、
あの人が帰ってこなければいずれは力不足によって崩れるだろう
あれだけ国内を探して見つからなかったのだ、最悪の結果が最も信頼性が高い
「……だからどうとでもするといい」
■ハイドリア > 「初めはもう少し面白そうなことを考えていたのだけれどぉ…
今の貴女ではそれの役にすら立ちそうにないのよねぇ。
なんならフェリサの家に送り届けてあげましょうかぁ?
今の貴方にはお似合いかもしれないわよぉ?」
再び凌辱の嵐へと返してしまおうか?
彼女は真面目にそう思っていた。
現状この娘を捕らえるのは容易い。あれに恩を売っておくのは悪くない。
あれは悪徳だが決して無能ではない。放っておけば面白く動いてくれるだろう。
「そうねぇ、だって貴方楽しんでいたようだしぃ
誰かがそうしてくれるものねぇ?
良かったじゃなぁぃ。何も考えずに生きていけるわよ?」
半分聞き流しながら言葉を連ねる
■サロメ > 送り返される
その可能性を示唆されると僅かにその身体を小さく震わせる
「っ……私は、玩具としてもアダンに捨てられた身だ。
そんなことをしても…何にもならない……」
だからやめてくれ、と
そう内心で悲痛に叫んでいる
相手が心を読めることなどは露も知らない
「───楽し、んで…?」
そんなことは、
………否定できるだろうか
身体はもう完全に、雄のそれを求めるだけの肉に改造されて
やがて心も肉体につられて………言われる、その通りなのか
心の奥底、ほんの僅かに残った中で葛藤が生まれる
■ハイドリア > 「楽しんでいたじゃなぁぃ」
笑いながら返す。
その表情は慈母のような笑顔。
すべてを包み込むようなそんな表情。
けれどその瞳だけは月の元、まるで暗闇に浮かぶように光り輝いている。
「アレに嬲られて、他の男どもに遊ばれて…
あらあらぁ…前後どこでもイけるなんてはしたない子ねぇ」
くすくす、くすくす…
その笑い声はまるで直接脳に染み込むような響き。
「乱暴にされて、人としての尊厳なんて無視されて
それでも可愛い声を上げてよがっていたじゃなぁい?
自分から腰を振ってそれが気持ちよくって仕方がなかったんでしょう?
雌に堕ちていくのが堪らなく気持ちよかったんでしょう?
それの何を否定できるのぉ?今の貴方がぁ」
無邪気に小首を傾げる。
それの一体何が違うのかと。
■サロメ >
「───」
なぜこの女はそれを知っているのか
あの場にいた貴族の中に混じっていたのか
ぐるぐると思考がまわる
しかし、それよりも……
「違う……そうなるように、されたんだ…。
薬も使われた、アレは───」
あの、淫らに腰を振る、雌犬のような顔をした女
「あれは、私じゃない───」
奥底、最後の誇りに火が点いた
■ハイドリア > 「フェリサが嫌なら別の相手に送ってあげるわよぉ?
もっともっとねちっこくて、悪趣味で、
相手を死ぬほどいたぶるのが好きなそんな貴族だっていっぱいいるものぉ。
勿論貴方だってそれを知っているでしょぉ?
良かったわねぇ…死ぬまで好きな場所に突っ込んでもらえるわよぉ?
貴方の心と体が望んだ通りにぃ」
けれど蔑みの声は止まらない。
「何が違うのよぉ?
淫らに腰を振って、自分は屈服させられた雌です。もっと犯してっておねだりしてたじゃなぁぃ。
あれがあなたじゃなかった?冗談…後ろの穴でも口でもイけるはしたない淫乱じゃなぁい。
あれも貴方よぉ。快楽を受け入れ、言い訳さえ与えられれば淫らに男に媚びる肉便器よぉ
それの何が違うのぉ?ねぇ、教えてぇ?」
ゆっくりとしゃがみ込み視線を合わせてほほ笑む。
その口から紡がれるのは毒なれど、その表情は許す者の笑み
■サロメ > 「違う、ちが───」
淫乱、肉便器
貧民街へと打ち捨てられてからは、言われなかった侮蔑の言葉
そのほんの少しの間だけで、自分の心が多少とはいえ持ち直していたことを知る
否定しなければ
自分はそんな存在ではないのだと
「私は───」
私は
何だった?
騎士などと、名乗れるわけがなかった
「……違う、違うのに、私は……そんな」
目尻に熱を感じる
間もなく、ぽろぽろと大粒の涙が頬を伝う
視界は歪み、目の前の女の微笑みも見えなくなった
■ハイドリア > 「雌犬としての貴方ならみんなに喜んでもらえるわぁ?
サロメ=D=アクアリア…騎士団の面倒な副団長でぇ、結局誰も守れなかった無能よりもぉ
番号札をぶら下げられて奥を突かれて啼き声を上げながら穴を絞める貴方のほうがぁ…ずーっとみんなに望まれてるのよぉ
それもそうよねぇ?だって貴方は何も成せなかったものぉ。雄を喜ばせる以外…なぁんにもねぇ?」
喜ばれるという言葉に嘘はない。
初めから開発された彼女のような見目麗しい玩具を欲しがる貴族は数多い。
ましてや元副将軍まで上り詰めた女…多くの屈折した無能達の被虐欲求を存分に満たす事だろう。
それこそ死ぬまで地下に幽閉され、その呼吸が止まるまで。
「ならそこで獣みたいに啼き声をあげて居れば良いわよぉ
誰も”貴方”なんて望んでいないの。貴方は何もできないから
……当然よねぇ?何かを成す処かあなたは部下をも死地に送り込んで、
しかもその戦後処理で自分は男の上で嬉しそうに腰を振っているのだもの。
その上あれは自分じゃなぁぃ?浮かばれないにも程があるわぁ」
蔑みの声はやまない。
彼女は決して逃がさない。
「だったらまだ玩具のほうが幾分かましだわぁ
少なくとも誰かを喜ばせることができるものぉ」
騎士であろうとすればするほど、仲間を思えば思うほど
圧し掛かっているであろう言葉を容赦なく重ねていく。
けして 逃がさない と。
■サロメ >
「………」
言葉が突き刺さる
容赦なく胸を射抜き、抉られる
女の言葉は文字通りの現実で
きっとそれはもう、覆らないのだということを感じさせる
蔑みが、僅かに灯った瞳の火を再び押し消してゆく
残るのは燃えカスのようなグズグズになった黒い、何か
「……腐った貴族どもの弄び玩具が、似合いだと」
掠れた声でそう呟き、顔をあげる
まるで力なく、そのままどさりと倒れるようにその背を薄汚れた壁へと預ける
ボロ布が揺らぎそこから僅かに覗いた身体は、痣や噛み痕、注射痕、滲んだ卑猥な落描きや乾いた汚濁の張り付いた、あらゆる凌辱を受けた姿そのままを晒す
「……ふ、あははは───」
小さな、自嘲の笑みがそこにはあった
■ハイドリア > 「ええ、それが分相応というものよぉ
駄犬は駄犬らしくよがり声をあげて腰を振っていればいいのよぉ。
そうでしょぉ?駄犬さぁん。それとも淫乱な肉便器さんって呼んだ方がいいかしらねぇ?」
余りにも残酷な内容をまるで世間話のように積み上げていく。
それが眼前の娘の心を砕くとしても、一向にかまわなかった。
再燃しかけた誇りを容赦なく吹き消していく。
当然だ。たとえここで折られなくとも、
彼女が眼前で崩れそうな娘に望んだ役割はおそらくもっと残酷な言葉を向けられる。
その程度で折れるならば…
(駒としても使えないなら別の駒にするしかないわよね?)
使えない”駒”を盤上に立たせるつもりはない。
■サロメ >
「……分相応、か…それで?
こんな薄汚れた犬にお前は何の用がある……。
アダンの元に送り返すなら、好きにしろ。
もっともアイツは一度壊し捨てた玩具などで遊んだりはしないだろうが」
悪い方向へと吹き切れたことを自覚した
ただ、その言葉はつらつらと滑るようにその口から出ている
…堕ちきってしまえば、これよりも下がないというなら、冷静にもなるというものだ
「犬と会話する貴様は何だ、単なる暇人か、それとも───」
晒けた身体を隠す気もないらしく、そのままの姿勢で言葉を続ける
■ハイドリア > (ヒトなど所詮こんな物か)
失望を隠しきれたかは正直わからない。けれど…この娘はこれが限界だろう。
ここまで来てなお…この娘は自身を受け入れられないのだから。
「犬…かぁ。そうね、犬なら考える必要なんて、無いわよねぇ」
ここが最下層の地獄だというなら、この世界はもっと幸せな世界だったはずだ。
もっと誰かを救えたはずだ。あの人を救えたはずだ。
けれど…それを知らせるつもりはない。
「良いわぁ…なら考えないで済むようにしてあげる。
犬として生きる覚悟ができたのならぁ…それがあなたの選択なら
それは尊重してあげないとねぇ」
右手に呪を宿らせる。
数秒後掌の上に小さな宝石が現れ、それを軽く握る。
「感謝してほしいわぁ?次目覚めたとき貴方は肉欲の檻の中。
疲れたでしょう?苦しかったでしょう?それももう終わりよぉ。
もう…何も考えないで済むように、一生楽しめるようにしてあげるぅ。
苦しみも悩みもない…そんな一生を送らせてあげるわぁ。
文字通り…”一生”ねぇ?」
女神のような慈愛の表情を浮かべゆっくりと相手の頬へと手を伸ばす。
壊れた玩具に人格など必要ない。
拒まなければ意識を失い…次目覚めたときは彼女の宣言通り
快楽に啼き、腰を振るだけの哀れな人形として目が覚めるだろう。
■サロメ >
「あ───……」
意識が遠のく
…薄らいでいく意識の奥底で誰かの背中が見えた
「(この背中を、ずっと追い続けていたような……)」
やがてその背中すら遠く、白いもやの中へと消えていった…
■ハイドリア > 「…ああそうそう…あの将軍さん、生きていたのだけれどね。
今の貴方にはそれも必要のない情報だったわね…。
さようなら。可哀そうな子。ゆっくり…おやすみなさい」
ゆっくりと優しく告げる。それは間延びしない、穏やかな声。
それは本当に心の底からの親切と、愛情。
「最後に一つ貴方に救いを与えてあげましょう。
その体はこのままではもう持たない。
持って数か月…という所ね。
もし…もしもう一度目覚めたいという奇跡が起きたなら
…一度だけ、願いをかなえてあげましょう」
悪魔は天使の顔をしてやってくるという。
ならば私は今この表情がふさわしい。
……
「さてさて…どうしたものかしらねぇ?」
その娘の体と意識を完全に作り変えて行きながらひとり呟く。
もちろん痕跡など残すつもりもない。
このままであればこの娘は数か月と持たず愛玩動物としてその生を終えるだろう。
それこそ暗い暗い地下で…
(まぁ別のルートから手を回すけれどねぇ)
回りまわって例の将軍の元へと噂はたどり着かせるつもりではある。
そうなるように仕向けるのだから。
ただ…その場所に向かったところでその頃には確実にもう全て手遅れだ。
自身を信じ続けた大事な部下を失い怒りに震えるあの子は…
(戦争を始めてくれるかしら?始めてくれるわよね)
沢山の物を巻き込んで戦を始めるだろう。
失ったものを取り戻すため、屍山血河を築くだろう。
それが彼女の望み。
全てを巻き込み滅ぼす嵐を、あの人を殺した人類に絶望を。それだけが彼女の望み。
■サロメ >
完全に意識が闇に落ちる間際
何か聞こえた気がする
生きている?
それを考える前に、意識は途絶えた
ずるり、と壁を背にしたままその身体がずり落ちるように横たわる
ボロ布が剥がれ、整った顔が曝け出される
身体の今の状態は世辞にも綺麗とは言い難いものだが、
貴族達も意識してかその顔には傷をつけなかったことが伺えた
■ハイドリア > 「そうねぇ…前からあのふざけた顔を恐怖に強張らせたいと思っていたのよねぇ…」
静かにターゲットを決める。
アレをまずは駆逐させよう。恐怖と不信をまき散らそう。
あの人を殺めた世界を、私は絶対に許しはしない。
「…何をやっているのぉ?この娘を回収してついてきなさぁぃ
暫くは私の館でその傷を元に戻すわぁ。道具にしても愛情を持つのが上に立つ者の義務よぉ」
使い魔を呼び出し、静かに娘を抱えさせる。
大事な商品なら傷つけることは許さない。
「幸せな世界で永遠に夢を見続けんことを…」
くすりとほほ笑むと宙に円を描き、その中へと消えていく。
その場には娘がまとっていたぼろ布だけが残り…
数分後それは一瞬で燃え上がり細かい灰となって風に吹き消えていった。
…まるで一人の娘のココロとその最期を表すかのように。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からサロメさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からハイドリアさんが去りました。