2016/03/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」にヴァイルさんが現れました。
ヴァイル > 「……早くも路地裏に逆戻りとはな」

建物が入り組み、満足に日の当たらない路地裏。
汚れた襤褸を外套代わりに身体に巻きつけてうずくまるヴァイルの姿があった。
石膏のような肌も相まって、遠目に見れば本当に死体に見えかねない。

世間に流布する風聞ほどに《夜歩く者》の弱点はないが、
日中うかつに出歩けないことは事実であり、不便である。
先日売られた喧嘩による消耗は未だ癒え切っていない。
誰かから血を飲まないことには如何ともし難い。

ヴァイル > じっとしていても活力が戻るわけではないが、
無策に彷徨いて狩人の類と出くわすのは困る。
今の状態でも人間の狩人に負けるとは考えないが――
余計に厄介なことになるのは明白だ。

見つけた一匹のネズミの死骸の尻尾を指でつまみ上げ、
口に運び、咀嚼する。
常人がそんなものを口にすればいかな疾病にかかるかもわからないが、
人の身ではないヴァイルにはその心配は無用である。
その反面、不足が解決されるということもない。
気分の問題である。

ヴァイル > うずくまっていた身体を伸ばし、寛いで、
濃い影の下から日向を気だるげに眺める。
誰ぞ来ぬか、と期待して。

それにしても最近半死半生の目に遭いすぎている。
一応は仲間であるはずの魔族からも嫌われ、
人間どもにはもちろん憎まれ、
よくわからん理由で喧嘩を売られてこのザマだ。
自分の選択の結果であり泣き言を言うつもりはないが、
いささか厳しい環境にいることは認めざるを得ない。

「困ったぞ」

どこか愉快そうに笑った。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」にヴィールさんが現れました。
ヴィール > コツ、コツと靴音を響かせながら入り組んだ路地裏を辿る。
先日より可愛がっている貧民地区の少年の姿が見えない。
確か此処ら辺にいた筈だが―――と。日向もあまり差し込まなくなった細道を覗き込む。

其処には、襤褸を纏った何者かがいた。
一瞬彫像というか、死体に見えてビクッと震えるも―――

「………あんた。生きてる?」

そっと声を投げかけて、恐る恐る距離を詰めていく。
夜盗とか、そういう形あるものだと対処は出来るが、得体の知れないものはやはり怖い。

ヴァイル > 「生きているさ」

影の中、双つの紅い光が瞬く。どうやら瞳であるようだった。
返ってきた声の質は日向の少年とさして変わらない
若い少年のものであったが、どこか老いの気配も纏っている。

「近くに寄れ。
 退屈しているんだ。話がしたい」

掠れてはいるが明朗で、愉しげな声。
息をしているかも定かではなかった輪郭が微かに動く。
手招きをしていた。

ヴィール > 「そうかよ」

死んでいなくて良かった。とは、死体を見たくないという自分勝手な気持ちからだ。
瞬く紅の双光。手招きをされていると知れば、少し警戒心を露わにしながらも距離を詰めていく。

「……退屈? …ならこんな所に籠ってねぇ方がいいだろ」

声の調子でいえば自分と歳もそう変わらないだろうか……声だけの判断だが。

「それとも暗いところが好きなのか?」

ヴァイル > 「生憎とそうは行かない。
 陽に当たれば肌が焼けて崩れる身なのでね」

冗談めかしたような口調。
近くに踏み込めば、錆びた鉄の臭いが漂う。
濃い色の髪を三つ編みにした少年が、襤褸から顔を出している。
高い踵のブーツを備えた、くつろいだ足。
路地裏という場所には少々そぐわない端麗な顔立ちの口元に、薄らと笑みを作っていた。

「おまえとて照りつける陽光に晒されては満足に眠れまい。
 暗闇とは誰にとっても安息の場所だろう」

目を細める。

「ところで、おまえは誰かね。
 ここに住んでいるにしては、小奇麗な装いだが」

ヴィール > 「へぇ。そりゃまた、不便な身体だな」

率直な感想が口から零れ出た。
嗅ぎ慣れた鉄の臭いには目立った反応を見せなかったものの、彼の端整な顔立ちにはつと切れ長の瞳を細めてみせる。

「そういうもんか。まぁ安息の場所、ってのは確かだけどさ……怖いところ、ってのも忘れちゃいけねぇよな」
少なくとも自分にとっては、暗闇は怖い。

「もう少し小奇麗なところには、確かに住んでるぜ。
 ここには友達を探しに来ただけだ……代わりにあんたに会った」

ヴァイル > 「だろう? いたわってくれ」

目を細めて、大儀そうに立ち上がる。
背丈は相手よりもいくらか高い。

「ほう、友人を。
 結構な話だが、あまり長居はせんほうが良いぞ。
 この地区は、陽が出ていてなお昏い」

短い歩幅で長い髪を揺らして近寄る。

「どれ、顔をよく見せておくれ」

相手の顔を覗き込む。
魅了の暗示を込めた邪眼の禍々しい輝きが、双眸に灯った。

ヴィール > 「いたわれって言われても…何すりゃいいのかわからねぇって」

いくらか高い相手を、やや首傾けて見上げる。

「……みたいだな。そうするよ。
 つっても、初めて来たわけじゃねぇんだけど……」

辺りを見回していれば近寄ってくる彼の姿。
覗き込まれた瞬間は、さぞ虚を衝かれたような顔をしていたことだろう。

「――――え」

魔法、それも精神力の類は素人に近い。
どんな術をかけられようとも、あっさりと。呆気ない程に軽くかかってしまうだろう。

ヴァイル > 「名乗り遅れたな。おれはグリム・グロットの子、ヴァイル・グロット。
 深い手傷を負った。
 治療のためには、食事が必要でね……」

一瞬相手に生じた違和感をかき消すような自然な足取りで、息のかかる距離まで。
そうして腕を引いて、路地の影のより深い場所まで連れて行く。

それに逆らうことはできない。
どうしてか、目の前の人物に逆らってはいけない――
そう、感じてしまう。

「おれの飢えを、おまえで満たさせてはくれないか」

両腕で緩く相手の身体を包み、そう穏やかに“お願い”する。
いつのまにか殺伐とした血の臭いは消え、
昏い花の香りが二人を包んでいた。

ヴィール > 「ヴァイル……手傷、怪我……か?」

腕を引かれ、連れて行かれるのは路地の陰。
逆らってはいけない、そう思わされている。だからこそ、普段なら出てきそうな棘の言葉の一つも無い。

「……わかった。俺は……ヴィラル。ヴィラル・バロッツォ……」

花の香りが鼻先を擽る。
"お願い"を断る理由など無い。こっくり、と従順に頷いた。

ヴァイル > 「ああ。おれは何もかもに嫌われているんだ。
 そのせいで身体が真っ二つになるような、酷い仕打ちを受けた」

ヴィラルと名乗った少年の従順な様に、《夜歩く者》は笑みを深める。
それは人が人に向ける親愛とは異なる――
魔獣が哀れな獲物に対して見せる、捕食者の悍しい笑い方だった。

「ヴィラル、か。ふふ、似た名だな。
 なにがしかの縁があったと見える」

慣れた手つきで、ヴィラルの衣服を緩めていく。
そうして露出した首筋に、正面から抱きついて、顔を埋め――牙を立てる。
尖った先端が、肉の中に埋めこまれる感触。
痛みはない。むしろ――いつまでも続けてほしいと思いかねないほどの甘い快楽がある。
溢れる血を舐る舌は、ヴァイルの肌の冷たさとは逆に、奇妙に熱い。

ヴィール > 「嫌われてるのか……。……真っ二つって大変だな……痛そうだ」

ぼんやりと思考回路も定まらない。
獲物と認識されているような彼の笑みも、最早意識に留まらない。

「……縁。こんな所でってのが、まぁ残念だけどな……」

衣服を緩めれば間も無く露出する首筋。
正面から抱きついてくる彼の身を抱きしめる。
立つ牙から感じる甘い快楽に、はっ、と切羽詰ったような吐息が零れた。
肌の冷たさと舌の熱さのギャップが、また吸血時の快感を助長しているようで。

ヴァイル > どれほど血を啜ったろうか。
やがて、ぷは、と唇を離す。
穿たれた傷痕に舌が這い、温い唾液がまぶされる。
残念、という言葉に、小さく笑う。

「それは済まないな。
 だが、先程も言ったように、おれは陽の光の下には出れぬ身。許せ」

尊大に言うと、抱いた手が繊細な動きを見せる。
背筋、脇腹、腰をつぅと悪戯をするように指がなぞった。

ヴィール > 血を啜られたこと、そして唾液がまぶされたこと全てが快楽に繋がる。
身を震わせながらそれを享受し、離れていく唇をもどかしそうに双眸が見つめる。

「……別に、いい。……っ、っ……何を……?」

尊大な言い方に、唇をへの字に曲げながらも答えた。
ところで弱い箇所を指先がなぞる、その感触に思わず怪訝な声が零れる。

ヴァイル > 「何って? 食事の一環さ。
 思いの外愛らしい反応をする。ただ噛み千切るには惜しい。
 それとも、男の愛撫など受けたくはないかね?」

作り物めいた美貌が、再び顔を覗きこむ。
邪視の禍々しい輝きは瞳にはすでになかった。

「おれとて慈悲はある。
 おまえに望む喰われ方があるなら、選ばせてやったっていい」

身を少しかがめ、顔の位置が首筋から胸元へと移り、唇で軽く吸い付く。

ヴィール > 「食事か……そっかよ。……いや、男の愛撫の経験は……無いでもない」

言葉を濁した。取り立てて話す程気安い思い出でもない。
ヴァイルが覗き込めば、彼ほどでは無いにしても程好く整った顔立ち、しかし気の強そうな表情の少年を見ることが出来るだろう。

「……っく、んっ……、……なら、もう少し優しくしろ……」

胸元に吸い付かれれば、その頭を抱くようにして快楽を受け止める。
しかし強請ることは相変わらず高慢な言葉遣いだ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」からヴァイルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」からヴィールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」にヴァイルさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」にヴィールさんが現れました。
ヴァイル > 「優しく、ね。難しい注文をする。
 これでも精一杯優しくしてはやっているつもりなんだが」

生意気な言葉に気分を害した様子はなく、むしろ愉快げな表情。
魅了の邪視を使っておきながら、ただ従順であるよりもそちらのほうが好みであるらしい。
相手の身体を、壁際へと押し付ける。
腰や背筋、敏感な場所への緩やかな愛撫はそのままに、覗き込んだ顔が唇を奪い、舌が侵入していく。

ヴィール > 「精一杯か。……まぁ、これはこれで……」

これでも従順な方だ。
元の性分が一々反抗的で生意気であるから、大分緩和されたとしてもこの程度である。

壁際に押し付けられ、愛撫されながら唇が重なる。
侵入してくる舌を自身の舌で受け止め、絡ませる。

ヴァイル > 深い接吻に、水音が立つ。
柔らかな肉同士が湿った洞窟の中で蠢き絡まり合う。
唾液が啜られ、代わりに与えられる。
ヴィラル自身のものである血の味が薄く広がっていく。
漏れる吐息までをも、貪欲に味わっていく。

愛撫する指はやがて下肢――両脚の間へと降りて、
欲望を煽り立てるかのような動きで擦り上げる。

ヴィール > 柔らかな肉同士が絡まり合い、擦れ合う。水音を立てながら深い口付けを交わし、混じり合う唾液を啜る。
舌に乗せられる薄い血の味に瞳を細めて、それすらも味わう。

「……っ、ん……ん、ぅ……」

その指が下肢へ、薄い生地で出来たハーフパンツに仕舞われたものを刺激し、煽る。
敏感な欲望は反応して首を擡げ始める。もっと、と求めるように自ら腰を押し付けていく。

ヴァイル > 舌が引きぬかれ、唇が離れると、銀糸の橋が間に生まれる。
口づけを終えたヴァイルの表情は、行為の最中とは思えないような、涼やかなもの。
尋常の情欲などは存在しないとでも言いたげだった。

形として浮かび上がった欲望に、くすりと笑い、一度指の動きを止める。
ぎゅっと身体を密着させた。

「触って欲しい?」

もう片方の手を、小柄な少年の髪の上に置いて、あやすように撫でる。

ヴィール > 互いの唇を繋ぐ銀糸に視線を落とし、次いでその涼やかな表情を見つめる。
対する此方は口付けの余韻もあって微かに頬を赤らめ、情欲を分かりやすくも露わにする。

密着する身体、髪を撫でられる相手の仕草。
快楽に潤む瞳が彼を見上げた。

「………っ、……触って、…欲しい、っ」

普段ならばきっと言わなかったであろう台詞を、声を震わせながら口にする。

ヴァイル > 「いい子だ」

目を細め、発情する様をとくと観察すると、猫なで声で囁く。
緩くなぞっていた冷ややかな指が、滑るような動きで
下腹を経由して、ハーフパンツの下へと潜り込む。
その内側、陰嚢を包むように掌で持って、付け根を焦らすように指先で擽る。

「もっとよく見たいな」

膝を折る。
撫でていた手は尻のほうへと回され、
下肢を包む脚衣をすっかり下ろし、股間を曝け出させてしまおうとする。

ヴィール > 囁かれる猫なで声に、背筋を甘い痺れが走る感覚を覚える。
冷ややかな指先は発情により熱を籠らせる自身の肌に心地好い。
ハーフパンツの下。陰嚢、その付け根をまとめて刺激されれば、陰茎が次第に熱を帯びて硬くなっていく。

「……っ、くぅ……ヴァイル……っ」

ハーフパンツは簡単に取り払うことが出来る。
股間が腰を折った彼の眼前に晒された。その肩を両手で掴むようにして、見下ろす。

ヴァイル > 「ふふ。どうした、ヴィラル?」

名を呼ぶ彼の声に、片目を瞑って悪戯っぽい表情を見せる。
露わとなってしまった局部に、自身の唇を舌で濡らした。
硬くなった陰茎を優しく掴むと、くにくにと軽くこね回す。
先走りがあれば掌で触れて、平たく延ばしていく。

湿った息が吐きかけられ、彼の獣の全体を包む。
すん、と鼻を鳴らし、滾る牡の匂いを楽しむ。

ヴィール > 「ぅあ、っ……それ、……あ、ぁ」

露わになった局部は、少年らしい大きさで幼さを多分に残す。
優しく捏ね回される感触に甘い声を上げて、普段の高慢さ等微塵も感じられない態度で。
掌で触れられる陰茎は跳ねて先走りを散らす。

唇を噛み締め、見やるその瞳には隠しきれない欲望が現れる。
それを誤魔化そうとする気などすっかり失せてしまったようで。

ヴァイル > 官能にあえぐ幼い声に耳を傾けながら、浅く弄ぶだけだった陰茎にいよいよ顔を近づける。
片方の手が、支えるように尻肉を掴む。
閉じた唇からはみ出させた舌が、ちろちろと反り返った裏筋や雁首を舐め上げ、透明な滴りをすくいとる。
時折相手の顔を見上げ、その反応を伺いながら。

先端まで到達すると、わざとらしく大きく口を開き――
ぱくりと、生暖かな肉の洞に牡茎が導き入れられる。
飴玉を転がすように、舌先で未成熟な器官を舐り回していく。

ヴィール > 陰茎に顔を近づける、その様を見つめながら期待にか、興奮にか拍動が高まる。
肩に添えるだけだった両手に力を篭め、その青白い肌を掴む。

敏感な箇所を舐られればその度ひくりと肉棒が震えて、先走りは溢れて伝い落ちていく。
見上げるなら快楽の虜となった少年の表情が見て取れるだろう。

肉の洞、生暖かく滑りを帯びた口内に陰茎はすっぽりと収まる。
未成熟、さながら経験豊かな器官は弄られれば容易く反応し、劣情に堪らず自ら腰を揺らし始める。

ヴァイル > 「…………っふ」

肩を握られ腰を動かされ、空気が鼻を通って抜ける。
その動きに逆らうこともなく口淫を続けていく。
頬張った淫茎が劣情に暴れるのを、滑る頬肉や口蓋、舌の裏で受け容れる。
互いの肉の柔らかさと硬さが触れ合い、唾液と淫液が口の中で溶け合ったものが
じゅくじゅくと下品に音を立てた。
自身も長い髪を乱して頭を前後に動かし、舌と唇を以って
先端から根本まで扱き上げ、奉仕し、射精へと導かんとする。

ヴィール > 一切の動きを受け容れられるならば、逃れようの無い快楽がその身を襲う。
瞬く間に近づく絶頂の波に堪えるよう唇を噛み締めていたが、
彼の唾液と蜜が絡まり下品に音を立てるならばその我慢も容易く崩壊する。

「………っく、ぁっ……ぁ、イッ」

名を呼ぶ暇も無く、びくっ、と腰を震わせると同時。
未成熟な陰茎の先端より白濁した液体を、彼の喉奥目掛けて放った。

ヴァイル > 両目を閉じて、律動とともに放出される精を、咽ることもなく口の中に蓄え、
緊張を失いゆく陰茎とともに舌で転がして丹念に味わっていく。
水音を立てて唇を離し、性器を己の口から解放する。
膝を付いた姿勢で見上げ、口を開き、白濁に塗れた舌を誇るように相手に見せつけた。
再び舌を収めて、ごくりと喉を鳴らしてうまそうに嚥下する。

「どうだ。よかっただろう?」

自分勝手な子供のようにそう言って、ふぅ、と満足したように息を吐いて、
ぺち、と相手の太腿に頬をくっつけた。
吸血と口淫を通して人の生気を貪った魔族のかんばせは、心なしか活力を得て無機質さから遠ざかって映る。

ヴィール > 全てを彼の口の中に吐き切る。
熱を失いつつある陰茎が舌で転がされる感覚に柔らかな吐息を零して、解放されると同時に両肩から手を離した。
見せ付けられる白濁に塗れた舌、それに目を落とすなり苦笑して。

「………よかった……すごく」

そう呟けば壁に背を預け、ずるずるとその場に腰を落とす。
地面に膝をつく彼と同じ視線の高さ。
仄かに赤みの残る頬、眼差しが正面から向いた。

ヴァイル > 「ふふ、そうだろう、そうだろう」

肩を揺らして機嫌よさそうに笑う。
気取った涼し気なものではなく、見た目の歳相応の幼い笑い方。
腰の砕けたヴィラルの額や頬に、じゃれつくように何度も口づけをした。
やがて満足したか、ゆらりと立ち上がる。

「退屈と飢えが紛れた。また喰われに来い」

上位者の傲岸なものに戻った顔つきで見下ろす。
纏った襤褸をマントさながらに颯爽とたなびかせ、
路地の闇の奥へと溶けるようにして、その姿と気配を消した。

ヴィール > 額や頬に落ちる口付けを、瞳を細めて受け容れる。
やがて立ち上がった彼をそのままの体勢で見上げて。

「………気が向いたら、な」

そんな言葉だけをその背に投げかけた。
姿掻き消えて暫く後、漸く腰を上げて立ち上がる。

「………勝手なヤツ」

そう吐き捨てるように呟き、緩慢な足取りでその場を後にする。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」からヴァイルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」からヴィールさんが去りました。