2015/12/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」にヴァイルさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」にヘレボルスさんが現れました。
ヴァイル > マグメールでも特に治安の悪い路地。
フード付きのマントを羽織った少年が眺める足元には、
蛙やイモリ、鳥の雛といった市中の路地には少しそぐわない生き物の数々が転がっている。
もし彼らの表情を見分けられるものがいるなら、恐怖に染まっていることがわかるだろう。

「退屈な奴らだったな……」

面白くもなさそうな表情で蛙に靴を乗せる。踏み潰さない程度に。

ヘレボルス > 「――ンだこりゃッ」

間もなくして、通りの陰から人の声。
逃げてきたイモリの一匹を踏みかけたヘレボルスだった。
普段の道端では見ない生き物の姿に、眉を顰めて角を曲がる。
目と鼻の先に立つヴァイルの姿を見つけて、足を止めた。

「……おい、そこの。お前のペットかよ?」

その声は、常のヘレボルスよりも些か掠れて――まるきり男のように低かった。
空を見れば、月が欠けている。

ヴァイル > 「……む。
 誰かと思えば、灰かぶりか。
 体調でも崩したか」

薄らと笑いを浮かべて、声のほうを見やる。

「初対面かな。大して美味そうなやつらでもなかったから、
 こうして遊んでやっている」

一度蛙から靴底が離れ、宙で翻り、ヒールが振り下ろされ――蛙を貫く。
ヴァイルの周囲に散らばる、統一性のない小動物たちがそれに反応を見せる。
野生のものとも、飼いならされたものとも微妙に異なる仕草。
――まるで怯え竦んだ人間のような。
その様を、眠たそうに目を細めてヴァイルは観察していた。

「おまえも遊ぶか?」

先ほどのイモリのように、生き物のうち数匹がヘレボルスのほうへと向かって逃れてくる。
看過するならば、通りすぎてどこかへと消えてしまうだろう。