2022/12/19 のログ
■グライド > (一軒目の酒場では、酒が足りなくてもう一軒
扉を開き、騒がしい店内を歩きながら、空いている席を探す
途中、見つけた店員の少女。 相変わらず、随分と肌色の多い給仕服では在るが
こんな場所では別に不思議な事でも無く、気にも留めずに通りすがり。)
「よう、嬢ちゃん。 エールとパン、後は鹿肉のステーキで頼むぜぇ。」
(先刻までの光景は見ておらず、其の腰元を、ぽむと叩きながら
腰に蔓延るだろう悦を、煽るやも知れぬが、意図してでは無い
偶々空いて居た酒場の端、角の場所へと、しぶしぶ移動しては
料理が運ばれてくるまでの間、暫し店内の様子を眺めて過ごそう
――或いはそこで漸く、先刻の少女が随分と、弄ばれて居ると判るのかも知れないが
その事情も知らなければ、そういう役割なのだろうかと思うだろう。)
「……なんだ、隣の娼館から派遣でもされて来たのか?」
(もしこっちに娘が来るようであれば、何気なくそんな事を問いかけてみるだろうが
店の中、半ば公共の玩具と化して居るなら、引っ張りだこだろうか)。
■マツリカ > 本来ならば店主が率先して揉め事には割って入りそうなものだが、この場に限ってはそうではない。
多少のお触り――と言うには過激だが、大っぴらに行為が始まらない限り、その狼藉は黙認される。
そもそもが訳有り者の多い場所だ。逐一規律を正してなどいられない。儲けが出るならそれで良いのだ。
「んひっ、ぅぁ――は、ぐぅっ♡お、おやめ、くだしゃ――んぁあっ♡」
『おいおい、指でけつ穴かき回すだけでトロ顔とは随分遊んでんじゃねぇか。
こんなんじゃ毎日困るんじゃねぇか?へへ、飯食う所だから何がとは言わねぇけどよ』
下卑た野次を聞かされながらの荒々しい愛撫に、しかし開発済みの体は喜んでしまう。
膝が震えて、腰が砕けそうになる。その一瞬前に、やってくるのは別の給仕で。
『ほいほい、おっちゃん、意地悪はそのくらいにしとき。ウチが御酌したるさかい。
――ほれ、ご新規のお客さん、ご注文取って、おもてなししてきぃや、な』
方言混じりのさっぱりした女性給仕が、さらりと助け舟を出す。
客の男も貧相な肢体の娘よりも所々立派な方が好みなのか、早々に少女を開放して。
よろりと近くの机によりかかり、ほんの少しだけ休むと心機一転。仕事に戻った。
ぬるり。密に濡れた内腿がなんとも気持ち悪い。とは言え、気にしても仕方あるまい。
――それから、少女は女性給仕に示された客の所へと足を運んだ。
丁度、男性の客と目が合う。いらっしゃいませ、と定形の挨拶を述べれば、ぽんと腰を叩かれて。
「ひゃうっ!?――あ、はい、エールとパン、鹿肉のステーキ、でございますね?」
畏まりました。そう告げると、席を離れて店主の方へ。料理の注文を通す。
そして訪れる僅かな休憩。店主が用意した冷水を二口程飲んで、火照りを鎮めて。
料理が揃ったならば、お盆を受け取る代わりに冷水のカップを返し、再び男の元へ向かった。
途中、尻を撫でられたり、先程の痴態を揶揄されたりで多少時間が掛かってしまいながらも切り抜けて。
「お、お待たせしました。ご注文の品、失礼致します」
机の上にエールのグラスを、焼いたパンの入った籠を、鹿肉のステーキが乗った皿を並べる。
途中、男からの質問には頬を朱に染めながら、しかしどう答えるかを思い悩みつつ。
「ぁー、その、娼婦では、ないです。えぇと……それ以外は、秘密で」
普段は王立学院の生徒です、などとバカ正直に言えるわけもなく。
しかし、娼婦だと思われるのも収まりが悪いから、言葉少なく否定しておく。
■グライド > (他に給仕が居ない訳では無いらしい
助け舟に出て来た他の女を眺めた後、助け出された娘が一度消え
程無くして、客に揉まれながらここまで戻って来るのを見れば
片掌を掲げ、此処だと声を掛けて。)
「なんだ、娼館勤めかと思ったが、そうでも無いのか
なら、借金の肩にでも拾われた口か? 随分と遊ばれてる見てぇだが。」
(心配、と云う程ではないが、純粋に、大変だなぁと言う労い
料理がテーブルに並べば、早速とばかりエールのグラスを手に取り
ぐい、と景気良く煽ってから、秘密だと言う様子に口端吊り上げれば
其れ以上の追求はせずに置こうか。)
「だが、随分と真っ当じゃあ無さそうだ。
事情は聞かねぇが、確かに其の様子じゃ大変だろうよ
――よう、喰ってる間、ちょいと酌でもしねぇかい?」
(他に従業員が居ないのなら引き留めるのも悪い、が
多少の御触りが許されるなら、そう言うのも黙認はされないだろうか、と
勿論、其の分働けぬだろうし、店としても困る所は在ろうが
――片手をもう一度掲げて、別の店員に。)
「よう、10年物の瓶を開けさせな。 久し振りだからよう、ちったぁ貢献してやるぜ。」
(――この店の中では、其れなりに値の張るブランデー。
其れを一瓶、丸ごと注文掛ければ、店の売り上げに貢献してやりつつ
――ぽん、と、己が隣を叩いて示そう。 其処に座りな、と。
そして、置いた掌を退けなければ。 其の上に、腰を下ろせ、と)。
■マツリカ > 客の好みが千差万別であるから、給仕も様々なタイプが居る。
男好みする肢体の者、聞き上手な者、睦事が上手な者――などなど。
少女の場合は、胸元が貧相だったり背が低かったりと、マニアックな方向だ。
しかしそれでも好む者は居るし、何なら女性であれば何でも良いという者も居る。
逆に、見目麗しい男性も男娼紛いの事をするのだ。良くも悪くも平等である。
「――あぁ、その、はい。借金、というのは間違いではないかと」
自分のでも親類のでもなく、赤の他人の借金のカタ、ではあるが。
秘密と言えば、男は素直に食い下がってくれた。察してくれたとも言う。
少女はその様子に安堵しながら、真っ当じゃないという言葉には苦笑して。
「そう、ですね。私も大分驚いてます――お酌ですね?畏まりました」
男の誘いに乗るのは、他の客を相手にするよりも穏やかに過ごせそうだと思ったから。
つまりは打算の結果である。ついでに言えば、男の配慮に甘える結果とも言えるだろう。
エールの瓶を片手に、男のグラスが乾いたらそっと注ぐ。それをほんの少しだけ。
瓶が空になってしまえばおしまい。それだけでも有り難かったのだが――。
「え、あの、えぇっ!?」
男が他の給仕を呼ぶと、告げられた注文に目を丸くする。
仕事始めに教えられたが、男の示す酒は結構な額面だったはず。
自分のため、というのは考えすぎか。いずれにせよ、驚きである。
なにせ、本来ならば貧民地区の酒場ではまずありえない金額なのだ。
それこそ、客が賭博で大勝した時に、旨いこと煽って飲ませる一品だ。
そんな酒が捌けるのだ。店主はきっと大喜び。少女の一晩など気にすることもない。
「――あ、隣、ですか?では、失礼して……」
そして男が隣を進めるなら、そこにちょこんと腰掛けて、持ってきたブランデーの瓶を抱えて。
中身の値段に戦々恐々としながら、男のグラスを何度も満たして、おっかなびっくり過ごすのだ。
己の素性は言わないが、名前くらいならばと教えるなどして、そうして夜が過ぎていく。
結果的に少女の被害が多少の夜更かしだけで済んだのは、間違いなく男のお陰だった――。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 場末の酒場」からマツリカさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 場末の酒場」からグライドさんが去りました。