2022/08/20 のログ
エレイ > 「えっ。構わねぇーの? ──っととッ」

意外な返事に軽く目を丸めると同時に、雑に投げて寄越されたそれを軽く慌てつつもキャッチして。
手に伝わる重みと、異様な感覚にまた軽く瞬きし。

「んじゃあ失礼して……あれ、これ剣ってゆーかカタナ? 拵えがコレなのに
刀身がカタナとはこれ如何に……」

とりあえず一言断りを入れてから、鞘から少し引き抜いて刀身を確認するが、
拵えに似つかわしくない日本刀らしき刀身が見えるとまた驚いたような声を漏らし。

「……ってか。こうして持ってみてわかったんだが……このカタナは、キミ自身なんだなぁ。
魔剣……いや妖刀といったほうがエエのか。
ちなみに名前はなんというのかな? ああちなみに俺は謙虚な旅人で冒険者のエレイというのだが」

そして改めて彼女に視線を向け、この刀がただの刀ではないことも、そして
この刀こそ彼女自身であることも察したらしき言葉を投げかけ。
しかし男はそれで彼女に警戒を向けるでもなく、相変わらず緩い笑みを浮かべて名前など問いかけたりもして。

影打 鈍 >  
鞘から覗く刀身は、ただひたすら黒い。
よくよく見ればそれは黒ではなく濃すぎる赤だと言うことがわかるだろうが、とにかく黒い。
同時に圧迫感になるほどの存在感も感じるだろうか。

「ほう。よく気付いたな、いかにも、それが私だ」

人目でそうとわかるのは珍しい。
胸の前で腕を組み、頷いて見せて。

「妖刀の影打、銘は鈍だ。ちなみに拵は前の所有者の趣味らしい」

エレイ > 「俺様も少々特殊な体質の持ち手でな、触れたモンのオーラとかが視えるんだが……
コレはなんというかスゴいなあ。刀のサイズに収まる存在規模ではねえぞ」

うなずく彼女にまたドヤ顔を見せながら、刀身を鞘から完全に引き抜くと
朧な月光に翳すようにして眺めてみて、黒……黒? 赤黒? とか首を傾げて独り言ち。
刀身の放つその異常な存在感、男もひしひしと感じてはいるがやはり動じた風もなく。

「……カゲウチ、ナマクラ? 鈍とはまた謙虚な銘だなという顔になる。こんなに斬れ味抜群なのに」

聞かされた名前……もとい銘に不思議そうに眉を持ち上げ。
それから、近くにあった役目を終えて打ち捨てられた木箱に、する、と撫でるように
刀を走らせる。一拍遅れて、木箱はきれいな切断面のバラバラの木片に解体された。
『振るわれた』彼女自身なら、男が一呼吸の間に複数回の斬撃を木箱に浴びせたことが解るだろうか。

影打 鈍 >  
「何を考えて付けたのかは知らん。人間のやることだからな」

言葉遊び、と言うやつだろう。
どちらにせよ自身にとっては自身の名がそれだと言うだけの話だ。
一見無造作に振るわれた本体と、それによってバラバラにされる木箱。
それを見て片目を顰めて見せて。

「――見るのは良いと言ったが振るって良いとは言っとらんぞ」

別に何か減るものではないが、許可なくいきなり振るわれるのは少し面白くない。
とは言え何かするでもなく、彼への視線が少し冷たくなったくらいのものだ。

エレイ > 「──あ、すまぬぇつい。『こんなナマクラはないだろう』という潔い心が出てしまった結果だったが
確かに持ち主でもないのに許可もなく振り回すのはデリカシーがなかったという意見」

冷たい視線を向けられると、軽く慌てて眉下げた笑みで謝罪し。
鯉口で刃先を拭うようにしてから丁寧に鞘に納刀すると、彼女に返すべく歩み寄り。

「刀とか久々に見たせいかどうもはしゃいじゃってな、サンキューだぜ。
お礼兼失礼の詫びにと言ってはなんだが、俺に何かできることがあったら何でも言ってくれていいのよ?」

彼女に刀を差し出しつつ、不意にそんな提案を。

影打 鈍 >  
「次は気を付けてくれ」

若干むすっとするが、謝罪をされればすぐに表情が戻る。
幸い、と言うべきか、彼の腕は優れていたのは良かったことだろう。
へたくそに振り回されるのはごめん被る。

「ふん? 出来ること、と言われてもな」

本体を受け取り、腕を組む。
今は特に血に困っているわけでもない。
手入れが必要な訳でもないし、担い手を探しているわけでもない。

「――まぁ、何かあったら、だな」

そう告げるとくるりと背を向け、歩き出す。
あいさつ代わりに背中越しに右手を振って、カランコロンと下駄を鳴らしながら去っていくだろう――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」から影打 鈍さんが去りました。
エレイ > 去りゆく背中を小さく笑って見送り、自分も踵を返してその場を去ってゆく。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にリチャードさんが現れました。
リチャード > 貧民街のスラム小屋から出てくる身なりの良い男性。
頭を下げる男性に顔を向けて、ひらり、と軽く手を振れば

「いやいや、そんなに頭を下げないでください。
たまたま私が診にこれて、たまたま奥さんに間に合った。それだけです。
それに、きちんと対価は頂きましたし」

だから、気にするなと今一度伝えれば、何度も頭を下げる男に背を向けて歩き出す。
ごみごみとしたスラム街でも特に気にするでもなく歩いていく男と、時折男に声をかける貧民街の人間。

その声に対しても穏やかな笑顔で応えれば、少し立ち話をしつつまた進む。
そんなゆったりとした歩みの男は特に時間を気にするでもなく歩みを進めていた。

リチャード > ある程度進んでいけば、スラムからは抜けて、それでも貧民たちが住まう住宅街の辺りに。

至った場所は変わっても、やっている事はあまり変わらない。
声をかけられて足を止め、少し話してまた歩く。
次に診察予定があれば急ぐのだが、今日はそういうわけでもないので結果ゆっくりした動きになっていくだろうか。

リチャード > そのまま時間はかかったものの、貧民街はいつの間にか抜けていく。
その後どこに向かうかは男次第。

どちらにしても、男の向かう先には患者がいるのだろう。

大きなカバンを揺らしながら、その背は平民街の雑踏へと消えていった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からリチャードさんが去りました。