2020/04/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 廃教会」にアルヴィンさんが現れました。
■アルヴィン > 冒険者ギルドに出されていた依頼は、貧民地区にあるとある廃墟…元は教会であったという、その廃墟の探索と掃討だった。
なんでも、下水溝に繋がる地下道から出没するジャイアントラットの被害が甚大である、というのがひとつ。
そして、墓地が掘り返されていた、ということから…食屍鬼…グールが出没しているのでは、という懸念があるためだという。
ギルドの簡単な調査では、どうやら貧民街で身元の知れぬ遺体が出た時にも、投げ込み寺とされてしまっているらしい。
このままでは疫病の発生源となることも懸念されるという、極めて緊急度の高い依頼だったのだ。
騎士は、愛馬をギルドに預けると、一人その境界まで歩み来た。
依頼を受けた後、常のように調えられていた軍装に加え、松明やその他の探索の道具を調えて、こうして廃教会の前に立っている…。
■アルヴィン > 片手には松明を。その松明には、炎だけではなく松明そのものに『光明』の呪文が唱えられてあった。水を掛けられて火は消えても、『光明』の呪文の効力までは消せない。
そして、呪文の効力は消せても、炎は消せない。
両方を一度に消させるには、相手にもそれなりの労力を強いる。
そういう保険をかけていた。
そうして騎士は、廃教会へと歩を進める…。
まずは建物の周囲をぐるりと巡ってゆく。
なるほど、確かに引き取り手のない遺体が放置されてもいた。
騎士は頭上を見上げ、まだ陽が高いことを確かめると、遺体ひとつひとつに祈りを捧げつつ、躊躇うことなくそれらの遺体をひとつところへと集める。
教会の中庭には、朽ちた廃材などが散乱し、焚きつけになるものはいくらでもあった。
そういったものを集めると、騎士は遺体を荼毘に付したのだった。
祈りを捧げ、火勢が強くなるよう、呪文も唱えた。
そうして、万一の延焼がないように気を配るという仕事を終えれば…時は随分と経っていた。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 廃教会」にリア・メルリースさんが現れました。
■リア・メルリース > 荼毘の煙が風に靡-なび-く。
風音に乗り、澄んだ弦楽器の音色が流れた。
廃教会の逆側……騎士からすれば斜め後方。
緑基調の軽装を纏った女は、風に金髪を遊ばせつつ、竪琴を奏でる。
死者を弔うは彼の祈りのみならず。
場を彩るは、静かなる鎮魂歌-レクイエム-。
「……余計な手出しだったかしら?」
パチリ。残り火に廃材が爆ぜる音と共に、女は笑んだ。
異教の者の弔いの歌は、あるいは、と。
■アルヴィン > 「…滅相もない。彼らも…喜んでいようと思う」
なにせ、おれは無粋極まると、騎士は振り向きもせずにそう答えた。
なんとならばまだ、輪廻へと戻りゆく魂を、騎士は見送ったままであったから。
そして、荼毘の煙が空へと昇り、消えゆくと。騎士はゆっくりと鎧を鳴らし振り向いた。
そして、折り目こそ正しいが、いくさ場での簡素な礼をその姿へ捧げたのだ。
「思いもかけぬ、手向けをいただいた。おれからもお礼申し上げる…」
そう、騎士は幽かで穏やかな笑みを口の端に過らせた。
武の神の祈りでは、彼らも救われきれまい。
嫋やかな楽の音に送られるなら、輪廻の道行もまた穏やかであれかしと…そう騎士は微笑んだ。そして…。
「…かような場所に、お一人でいかがされた…?」
食屍鬼まで徘徊するというような廃墟だ。
騎士のその眼差しには、幾分か怪訝そうな色が過りもし…。
■リア・メルリース > 「そう、それは良かった。
特に目的はなかったのだけれど、死せる者の澱-よど-みを感じて、ね。
せめて慰めになるのならと思って」
礼節を踏まえた彼の立ち振る舞いに、女は緑目を細めた。
無目的の言葉は半分は本当で、半分は嘘。
人の形をした淫魔は、獲物を探していた所。
「ふふ、ただの騎士様ではないみたい。
お若いのに神聖魔法まで修めていらっしゃるのね?」
ともあれ、魔を滅する者相手に不利なのは承知。
なら、言葉を交わし、会話を楽しむのも悪くはないかと。
■アルヴィン > その澱みは、間違いなくこの廃墟にわだかまっていたものだ。そして未だ、浄められきれてはいなかった。
だがそれは、常人に察せられようものではない。騎士は、幽かに瞠目する気配を示し、そして頷いた。
「貴女と、さほどに歳は変わるまいと思うが…さて」
お褒めに預かり恐悦至極と、幽かに照れたような色を頬に乗せた後。騎士はそう囁いた。
そして、囁いた後に、気づいたのだ。
そう、年恰好は変わらぬように見える。が、果たして娘はその外見通りの存在なのか、と…。
気配が張り詰めたのは、けれど一瞬。
騎士は、柔い苦笑を口許に刷く…。
「貴女こそ。…この澱みに気づかれるとは、お若く見えるに、手練れでいらっしゃるようだ」
そう、告げながら。騎士はゆるりと娘に向けて歩を進めゆく…。
■リア・メルリース > 「私は貴方のように剣を振るう事は出来ないけれど、剣だけが力ではない。
戦いを生業とする方なら、よくご存じでしょう?
それに、王都マグメールは人種の坩堝-るつぼ-だもの。
見た目だけが、全てではないことも」
近づけば解るだろう。女にしては長身。
されど、視線は彼を上目遣いで見上げる形。
色欲を表に出しはせず、魔術の類も使わず。
女はただ、竪琴を小脇に抱えて、彼の蒼眼を覗き込む。
深く、深く、深く……。
■アルヴィン > 女の翡翠の瞳が覗き込むのは、夏空のような蒼い瞳。
騎士は、その蒼い瞳をまっすぐに向けて、そして穏やかに太く微笑んだ。
「剣など…。その力は限られよう」
剣士にあるまじき言葉と、そう思う者もいるかもしれぬ。が、それこそがこの騎士が、老いた師から最初に戒められた言葉であったのだ。それを女は、見事に言い当てていた。
そんな女をまっすぐ見つめて騎士は、そっと掌を差し出す。
それはまさに、淑女をいざなう騎士の辞儀。
「ここはまだ…死者の安寧には遠い場だ。さ、戻られるがいい…」
死の穢れもまだ、色濃い。せめて、廃墟の入り口近くまでは戻るがよかろうと、騎士はそう告げる。
女の力をどう見定めたかはともかく、騎士が差し伸べた掌は、淑女を危地から無事に案内しようという騎士、そのもの…。
■リア・メルリース > 「限りがあることを知っている。だからこそ力を生かせる。
己を戒められるのは、貴方の強さ。そう思うわ」
剣を修めた背景を知る由はないが、それでも裏打ちされた意志は感じられる。
伸ばされた青年の手に、己の手を乗せ、逆の手でスカートの端を摘まむ。
淑女礼-カーテシー-というには真似事にもならないが、女は並ぶように横に立った。
「……得体の知れぬ女を、淑女として扱ってくださるの、騎士様?」
くすくすと、喉が笑みの鈴を鳴らす。
■アルヴィン > 「…至言だな、驚いた」
その言葉に、騎士は掌を重ねた女の翡翠の瞳をまじまじと見つめ、その後にぱちくりと瞳瞬かせて告げた。そして、やはりくすぐったげにもう片手で口許を掻く。
「…とは、言えだ。その力をおれが活かせているかどうかは、また別の話だ。まだまだ、おれは未熟ゆえなあ…」
ここは、食屍鬼の徘徊する魔窟だ。であるに、騎士の女を導きいざなう歩調に乱れはなく、むしろ呑気ですらある。死者達を送るに捧げて、松明はもう手にはない。その空いた手で口許を掻いた後に、騎士は不思議そうに女を見つめる…。
「…貴女は、おれと共に死者達を悼んでくださった。淑女と認めるに相応しいとおれは思うが?
…例え、貴女が淫魔であろうとも」
そう、騎士は柔らかく告げる。
中庭をまだ、出きらぬうちだ。そんな場所での騎士の言葉にもし女が幽かにでも驚いてくれたなら。
騎士は悪戯めいて、女に片眼を閉じてみせ…。
■リア・メルリース > 「謙虚は美徳。それでいて卑屈さが一切ない。
未熟を自覚している者は、上を目指せる。
騎士かくあれ、といった所かしら」
女の自分に歩調を合わせたエスコート。
そして、どこか少年のようなウィンクに、狙い通りか、女の口が小さなo-オー-の字を象った。
そこから「参った」というような苦笑へと転じ、女は肩をすくめた。
「解っていたのね。
真面目一辺かと思えば茶目っ気も見せて、本当に付け入る隙のないこと。
いいわ、たまには淑女を演じるのもね。ここで本性を出して討伐されたくはないもの」
中庭を出る辺りの頃合いで、女は改めて彼を見た。
「……リア・メルリースよ。騎士様、お名前は?」
■アルヴィン > 「…いくらなんでも、褒めすぎだ、それは」
ありありと、頬を桜に染めて騎士は、ふい、と視線を逸らせてしまったのだけれど。むしろだからこそ、女はその頬の色を、心行くまで楽しむことができたろう。
そして女は、自らの言葉に騎士の苦笑が柔らかく深められてゆくのもまた、見てとれる。
「百邪断斬、万魔駆滅…。数多のよこしまなる者を断ち斬り、よろずの魔を駆逐し滅せよとは言うが…。貴女に、邪なものは覚えなかった。
…それも、おれが未熟ゆえ、既に貴女に惑わされたかな?リア殿…?」
むしろ楽し気に。騎士はそんな言葉を紡いでみせる。
魔窟へと射す陽光もゆるりゆるりと弱まりゆく中で、騎士はしっかりとそれでも、淫魔を守るように歩を進めた。
「アルヴィン…。アルヴィン・アルヴァーハードと」
よろしく、見知りおかれたいと、そう、名乗りを告げて騎士は…とっていたその白磁の手の甲へとくちづける…。
■リア・メルリース > 「ふふ、可愛らしい反応も見せてくれるのね?
褥-しとね-に誘えなかったのは残念だけれど……
ひと時でも惑わせられたなら淫魔としての面子は守れたのかしら。
またの邂逅を、聖騎士アルヴィン・アルヴァーハード。
今度は、夢の中で会いましょう?」
手の甲へ落とされる口づけ。
返礼代わりか、あるいはエスコートの報酬か。
背伸びをして、彼の頬に口づけを返す。
斜陽の中、二人の影が伸びていった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 廃教会」からリア・メルリースさんが去りました。
■アルヴィン > 落とされたくちづけに、騎士のその頬は一気に、そして見事に桜と染まる。
「…参った」
くすぐったいその頬へ、指を伸ばし触れさせるのがどうももったいなくて。騎士は、なんともいえぬもどかしさに行き場のない指を頭に伸ばして、ぽりぽりと髪を掻いた。
そして…。
再び、その蒼い瞳は廃墟へと。
そこにはまだ、食屍鬼達が潜んでいよう。
餌となる者達が弔われ、それこそ飢えて這い出てくるだろう。
そう、もう夜は遠くない。
騎士はゆるりと、左の腰間の愛剣、その鯉口を斬る。
そして、ただ一人再び廃墟へと歩を進め征く…。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 廃教会」からアルヴィンさんが去りました。
ご案内:「貧民地区の宿」にネメシスさんが現れました。
ご案内:「貧民地区の宿」にアカサギさんが現れました。
■アカサギ > 案内する、といっても。
アタシが普段使う宿っていうのはまぁ、何の変哲も無い宿である。
とはいえ、お気に入りの宿というのはある。
「ほい、到着~」
貧民地区の一角にある宿。そこはアタシがよく使う宿で。
ネメシスがイスに座るのを見つつ、アタシは置いておいた荷物を漁り。
「さて、お酒はいかが?
葡萄酒、モルト、エール、蜂蜜酒、麦酒。
一通りあるけど?」
荷物袋からビンを取り出して見せる。
アタシはエールをグラスに注いで。
後は、ネメシスにも空のグラスを渡して、酒瓶は机の上に。
「それじゃあ、乾杯で」
にこりと微笑んで、グラスを掲げてみせる。
お互いの立場もあるだろうけど。今このときは、一対一の女の子同士、ってことで。
■ネメシス > 椅子を案内されるも、その前に鎧を脱ぎ始めようとごそごそと動くネメシス。
完全に一人で脱ぐことはほとんどなかった為に結構手間がかかったり。
脱ぎ終えた鎧を部屋の隅に置いてから、漸く椅子へと腰かける。
その時には既にエールの入ったグラスが机に置かれていた。
「乾杯。」
と、渡されたエールを口に入れる。
…苦い。
実の所、ネメシスはほとんど酒の類を飲むことが無い。
先日の花見の時ですら、茶やジュースばかり飲んでいる有様で。
「早速だけど、信頼できるようなって話してたじゃない?
何か、これをしてくれたら見たいなのってあったりする?
…あ、お茶とかあるかしら?」
グラスを半分ほど開けた所でどうやらギブアップの様子。
口元は渋そうにぎゅっと閉じていた。
■アカサギ > 「ん~……冷えたエールは美味しいねぇ」
とりあえず乾杯、とりあえず一口。
うん、飲みなれた味だぁ。
見回りの後のこの一杯がたまらないんだよね。
「これを、っていうか……。
アタシたち、お互いを知らなすぎじゃない?
だから……お互いのこと。もっと、良く知るべきだと思う」
テーブルに置いた酒瓶をちら、と見つつ。
荷物袋から違うビンを取り出してみせる。
アタシが東の地から持ち込んだ、お茶である。
「それ、お茶だからど~ぞ。
……たとえば、ネメシスの好きなものとか。
普段どんなことをしてるのかとか。教えて?」
アタシはベッドに腰掛けながら、ネメシスをまっすぐに見る。
好くも嫌うも、まず相手を知らないとできない。
だからこそ。まずは会話。っていうか。
普通に、アタシが会話したいモードになってます。
■ネメシス > 「そうね、おいしいわよね。」
皆口を揃えて言う。
特に団員達は怪我をしていてもエールをあげれば機嫌よく飲んでいる。
目の前のアカサギもそんな感じなのだろうかと目をぱちくりさせて。
「なるほどなるほど。
そもそも一度くらいしか会ってないものね。
あ、ありがとう。」
グラスを空にして、瓶の中のお茶を移して口にする。
先日の花見で飲んだ味が口の中に広がっていく。
これはとても飲みやすいと、安堵の表情。
「好きな物ねえ…甘い物を食べるのや飲むのが好きだし、
戦闘も好きかなあ…。
あ、でも一番好きなのは可愛い女の子を孕ませちゃうことかも。」
出されたお茶を口に入れつつ、ぽつりぽつりと思いついたことを口にする。
早速不穏な単語が飛び出すなのであるが。
「アカサギはどう?
てか、こんな感じで大丈夫?」
こういう場面はあまり経験がなく。
実際の所、合っているのか大層不安で。
顔には動揺が浮かんでいた。
■アカサギ > 「……ふふっ、そんな顔してない。
お酒、苦手なんだ?」
明らかに鈍い反応。見れば分かる。
まぁ、お酒って好き嫌い、向き不向きがある飲み物だしね。
アタシは……割と好きだけど、強くは無い。
「そういうこと。会議の時は、ほとんど会話できなかったしね」
そもそも、初対面の印象はほぼほぼ最悪。
でもそれはビジネスあってのこと。
だから、アタシは。目の前の女の子のことを、もっとちゃんと知りたい。
「ハハッ、アタシも! 甘いものは好きだし、甘い飲み物も大好き。
……戦闘は、ちょっと苦手だけどね。
……はぁ、そんなことだとは思ったけど。逆に、男の人に興味は無いわけ?」
ネメシスの言葉に、笑ってしまう。
なんていうか、意外な一面も見えたし、やっぱりか、っていう一面も見えた。
「うん。それでいいの。
逆に、ネメシスが聞きたいこととかも聞いてくれていいんだよ?」
なんだか、落ち着かない様子のネメシス。
その様子を見ると、逆にアタシの方が落ち着いちゃう。
アタシは、エールをお代わりしつつ、ネメシスを見る。
この際だ。腹を割って話してみよう!
■ネメシス > 「まあね。
この際だから言うけど、私お酒飲めるような年でもないのよ?
まだ生まれて1歳だし。」
団員は大抵が知っているが、それ以外の人は知らないであろう
自分のことをぽつぽつと。
「あの会議はなかなか盛り上がったわね。
そうなんだ、なら今度おいしいもの食べに行く?
この辺りにも良いお店たくさんあるし。
シノビ? ってのは表立っての戦闘はあまりしないって聞くわね。
アカサギもそうなの?
…男の人はあまり興味ないかなあ。
多分、これは父親の特性がそのまま引き継がれたのでしょうね。」
笑われながら、淡々と口を動かす。
今日は外が少し冷たく、お茶の熱が心地よかった。
「そうねえ…聞きたいこと……。」
困ったようにアカサギの顔を見つめる。
実の所、今すぐ聞かないといけないようなことは思いつかなかった。
人となりはこの前の一件で概ね理解できたことだし。
あまり言いにくい所を聞いてみたいとも思えなく。
「趣味とか、あるの?」
口から開いたのは、まるでお見合いみたいな質問。
■アカサギ > 「……。
それは、ネメシスなりのジョーク?」
はい? と首を傾げてしまう。
だって、見た目は明らかにアタシと同い年くらいなわけで。
いや、胸に関しては相当アタシが格下だけど。
「確かにね。
いいね。そういうの大好き!
うん。まぁ、アタシが殺し屋やってるのも、スキル的に正面からの戦闘が向いてないってのもあるしね。
……ふぅん。なるほどねぇ。そっかぁ……」
もったいないなぁ、なんても思う。
だって、ネメシスならモテモテだろうから。
……うむ。エール美味しい。どれだけでも飲めるね。
「趣味? ……ん~……。
訓練と、散歩かなぁ。
訓練は日課になっちゃってるし。散歩は見回りを兼ねてだけど。
この街、ホント退屈しないもんねぇ」
趣味、と言われるとなかなか難しい。
思いついたのはそんな感じのこと。
あれ、よく考えるとアタシ、無趣味な人間じゃありません?
■ネメシス > 「別に隠すようなものじゃないんだけど。
私ね、生まれる時から特殊な術を組んで生まれてるの。
だからこう見えて1年も生きてないし、あれだけ絶倫なの。」
最後の言葉については言うまでもないだろう。
何せ、その絶倫ぶりをその身で味わったのだから。
「でしょ、私はそういう友達少ないし。
今度どこか行きましょう。
正面切って戦えるなら正面から行った方がリスクが少ないからね。
うちはまあ、そういう技能を持ったメンバーがまだまだ居なくて。
女の子を抱くにしても、可愛い方がいいでしょう?」
自分が可愛いと言うか、造形的に良いのは自覚していたネメシス。
誇るとかではなく、そういう風に生み出されたのだろうと知っているから。
「凄いわね、訓練と散歩が趣味なのね。
日課が修行ってのが忍者らしくていいわね。
私の最近の趣味って言うか、遊びは外に出ることかな?
船とか手に入ったから練習も兼ねて航海とか。
アカサギもどこか行ってみる?」
お互い、趣味となるとどうしても仕事とかかわりがあることが多い様子。
仕事人間と言うか、お互い切っても切れない状況なのだろうか。
そして、ネメシスの場合は多分に自分の好みと言うか、実益も混じっていて。
■アカサギ > 「……はぇぇ~……。
だとすると、ネメシス凄く頭いいんだねぇ」
生まれて一年とかで、立派に騎士団の仕事をしているわけで。
アタシが一歳のときとか、そりゃあ普通に赤子ですから。
想像もできないお話である。
「アタシも友達ほとんどいないもんなぁ。
あぁ、最近一人お友達ができたけど。
ふぅん……騎士団も大変だねぇ。
……わからないでもないけど。アタシ、女の子抱くのを性的嗜好のメインに据えてないんで」
気持ちは分かるんだけどね……。
やっぱり、どっちかっていうならアタシは抱かれるほうが『楽』ではあるなぁ。
「師匠たちが、訓練はサボるとすぐに技が鈍るって言っててね~。
……へぇ~、航海かぁ……。
あ、だったら東に久しぶりに行きたいかも!」
国の外とか、興味がある。
船旅なんて、最高に気持ちいいしね。
と、そこでアタシはネメシスに向かって真剣な表情になり。
「そういえばさ。あの会議、色んな人いたじゃん?
あの中でさ、実力者っていうか。
……関わる時、気をつけたほうがいい人とかいた?」
コレに関しては、個人としての脅威と、組織力としての脅威。
両方の側面から興味があった。
中にはそうとうな腕利きもいたみたいだし。情報は集めるにこしたことはない。
■ネメシス > 「頭良くないんじゃない?
あの会議も後半はほとんど話についていけてなかったわよ?」
一歳としてみれば凄いのかも知れないが、それは術式で成長を早めたからとも言える。
全てにおいて通常と異なる存在故に、比べる相手が居なく。
う~~~ん、と首を傾げていた。
「へ~、いいじゃない、お友達。
うちは拡大スピードが速すぎて、地固めができてないって感じかしら。
アカサギは、多分抱かれる方がいいんじゃない?
あのリアクションはそんな感じがするわ。」
揶揄するわけではなく、あの夜のことを思い出して。
無茶苦茶に犯したのも事実だが、後半は随分と気持ちよさそうにしてたなあと。
「厳しいお師匠様なのね。
私はそういう人居ないから、どうしても中途半端になってるかな~。
あ、じゃあ今度纏った時間作っておいて。
流石に東に行くのなら直ぐに帰ってくるわけにはいかなでしょうから。」
船を手にしたばかりであり、練習航海の機会が欲しいネメシス。
地理間のある相手を乗せての船旅は練習としても丁度よく。
アカサギ達の故郷にも興味があった。
「それを言うなら、皆そうじゃない?
ざっと見て分かったと思うけど、み~~んな一癖二癖ありそうだし。
あんな場所に呼ばれるレベルなんだから、相当な猛者ばかりでしょ。
敢えて言うなら、当局側の組織を率いている様な相手かしら。
貴方達の組織がどこまで根を張っているかわからないけど、
気を付けないと組織ごとやられちゃうかも知れないわ。」
個人として腕利きも多数いたが、こちらについては挙げたらキリがないような気もする。
実際、腕利き揃いではあったことだし、今思い返してもとんでもない会議ではあったのだが。
なので、敢えて忠告するとしたら組織の方だろう。
何せ、アカサギにとっては所属組織がどうなるかが一番懸念だろうと予測して。
■アカサギ > 「えぇ? そうは見えなかったけど?」
少なくとも、アタシの目には堂々としていたように見えたし。
そういった雰囲気は全然感じてなかったんだけどなぁ。
「ん。数少ないお友達。
なるほどねぇ……課題点ってわけだ。
まぁ、正直。色事の訓練も、受け主体だったしね」
ん~、と伸び一つ。そのままネメシスを見れば。
なんか楽しそうな様子なので、思わず頬を膨らませてしまう。
絶対、あの夜のこと考えてる。
「厳しいっていうか、真面目な人たちだったなぁ。
ん、わかった。って言っても……。
基本的には暇してるんだけれども」
東に行く、というのもだけど。
船旅っていうのが何よりもテンション上がる。
あの独特の雰囲気とか、すっごく好きなんだよねぇ。
「……なるほどね。確かに。
うん、ありがと。そういう観点から気をつけてみます」
腕利きなのは当たり前、むしろ気をつけるべきは組織力。
たしかに、それはネメシスの言うとおりかもしれない。
むしろ、個人の能力がそんなじゃなくても、組織力が高い相手の方が危険度高いかもしれないし。
あの会議の参加者については、慎重に調べたほうがいいかも。
■ネメシス > 「そう?
こっちはそれほど提案とかできなかったわ。
まあ、目指す方向が違うから仕方ないんだけどね。」
やはり、王城に属する立場とは色々見ている方向が違うんだなと実感し。
肩を竦めるのであった。
「いいじゃない、大事にしてあげたら?
ま、その辺は私の子供たちが大きくなれば解決するんだけど。
ただ、その時までに他の手段でも補強しないといけないかしら。
…まあ、流石のシノビよね。」
何を考えているかは顔に書いてあっただろうから、膨れ面にも納得し。
それ以上機嫌を損ねるのも不味そうだったので、濁すにとどめた。
「暇なの?
所属組織の仕事とかありそうだけど。」
先日も護衛を務めていた所。
長期で連れ出して大丈夫なのかと目を見張る。
「そんな所かしら。
個人の腕利きもいくらでも居たんだけど、それは最悪そっちでどうにかできるんじゃない?
だからうちも現在拡大中。
とまあ、会議についてはこれ位かしら?」
二杯目のお茶を飲み終え、ふうと息を吐き出し。
じ~~~っとアカサギの顔を見つめる。
信頼と言っていたが、これでいいのだろうかと言いたげに。
■アカサギ > 「いやぁ、聞き役っていうか、進行役も大事じゃん?
それに、そういう違う立場の人間との意見交換の場でもあったわけでしょ?」
それを言うなら、アタシなんて護衛で行っただけだしね。
……正直、シリアスな空気に馴染めなくて大変だった。
「もちろん、そうするよ。っていうか。
ネメシスもお友達なんだからね?
アハハ、お互い大変だねぇ。
ん~、まぁね。だから、本当に気持ちいいセックスって、あんまり回数こなしてないんだよね」
言い忘れてたけど、こうしてお酒飲んだりして会話してるのだ。
ネメシスだって、もうお友達、である。
「あるけれど、そこまでおおっぴらに動けないの。
アタシにも、アタシなりの立場ってあるから」
あんまり動きすぎてもよくない、微妙な立場、というやつである。
「ありがと。いろいろと勉強になった。
今のところは、他の組織とかも味方と思わず、敵と思わず、ってところかなー」
ネメシス同様、エールを飲み干して息を吐く。
なんだか見つめられるので、微笑み返して。
「大丈夫。少なくとも、今日アタシたちは少しお互いのことを知った。でしょ?
話をする前のアタシたちより、仲良くなってるんだもん。
こうやって、信頼関係って築かれるんだよ」
そう言って、す、と握手しようと手を差し伸べる。
信頼の。友人としての第一歩。
それを表すための、握手をしようと。
■ネメシス > 「まあ、意見交換をしたんだけど。
立場が違うとなかなか意見も会わなかったわね。」
それが分かった時点で収穫と言えば収穫なのだが。
そして、何となくだがまたああいう場が来るような気がしていた。
「あら、そう? 嬉しいわね。
あの時は結構気持ちよさそうにしてたけど。
駄目だったのかしら?」
相当な回数よがらせたのに、とでも言いたそうな表情。
お友達と言ってもらった事には満更でもなかったのか、口元が綻んでいた。
「なら、一緒に船旅でも行きましょうか。
まあ、無理に敵対する必要もないわよ。
仲良くできるならその方が良いし。
恐らく、あまり接点が生じることもないわ。」
彼女らの組織とは活動エリアが異なる組織達。
アカサギがほほ笑む様をにこやかに見つめて。
「それなら、また今度気持ちよく抱かれてくれる?
そうね、その時は可愛いミレーの子供を産んで欲しいわ。」
差し出された手に、両手で固く握りしめる。
友情を育めたことは大変喜んでいた。
が、それはそれとして孕ませ願望は相変わらずであった。