2019/07/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にエレイさんが現れました。
■エレイ > 「──む……」
人気も無く灯りもない寂れた夜の裏路地を、一人のんびりと歩いていた金髪の男は、
脇道から己の前に躍り出てきた影にふと、足を止めた。
『──ミャーオ』
それは猫だった。暗がりの中でなお黒く、逆に目立つシルエット。
その中で目だけが金色に浮かび上がっていて。
「……なんだ黒ぬこか。しかもお前平民地区でも稀によく会うヤツじゃねーか。
もうお馴染みすぎて顔すら覚えてしまう始末」
しかめっ面でそう言いつつしゃがみこむと、黒猫は気安く寄ってきて男の突き出した膝に
スリスリと顔や身体を擦りつけて来る。
「……愛想をしたってやるモン特になにもないから無駄だぞ。ってゆーか相変わらず
目ヤニまみれだなと呆れ顔になる。もうちょっと自分でキレイにすろ」
眉下げてフンス、と鼻を鳴らしつつ猫の顔を見やれば、目元にこびりつく大きな
目ヤニが確認できて。片手で首根っこを抑えながら、もう片方の手を顔に添え、
親指でぺりぺりと目ヤニを剥がしてやってゆき。
■エレイ > その後もしばらく、猫と戯れて過ごしたらしい……。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/裏路地」にハーティリアさんが現れました。
■ハーティリア > 暑さがじっとりと体を覆うようになった王都の片隅に、ひんやりと…冬のような冷たさと甘い香りがただよう一角。
木箱に腰掛け、夜闇の中…動かなければまるで彫像かなにかのように一種作り物めいた造形の美女めいた風貌が……ゆるりと目を開ける。
「……おっと、もうこんな時間か。記憶の整理してるとどうにも、時間がかかる。ん、ぅぅ……っ!」
ふぁ、と欠伸のような仕草を交えてグッと伸びをすれば、何時からその体勢でいたのか、バキバキッ、と強張った体が音を立てた。
人気のほとんどない路地の中、体をほぐしながら歩きだせば、冷気と甘い匂いがまるで付いてくるように、ふわりと動き出す。
そのまま、今は誰も居ないように見える、誰かが居た「痕跡」だけはある路地をカツカツと足音を立ててあるき始める。